キーワード:SMR
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米運輸省 商業船舶向けSMRの活用可能性を調査
米運輸省海事局(MARAD)は5月7日、商業船舶へのSMR搭載の実用化に向け、産業界からの意見募集(8月5日締切)を正式に開始した。D. トランプ大統領令に基づく取り組みで、長年構想にとどまってきた船舶の原子力推進に関し、政策的な検討が本格化しつつある。今回公表した情報提供依頼(RFI)では、SMR技術の技術的・商業的な実用性を評価するとともに、商業化に向けた政府支援の方向性を検討する。意見募集の範囲は、船体・機関への統合設計から、責任・保険の法的枠組み、寄港受け入れ体制、人材確保・育成、規格の標準化まで広範にわたる。背景にあるのは、D. トランプ大統領が署名した「Unleashing American Energy」(2025年1月)と「Restoring America's Maritime Dominance」(2025年4月)の2つの大統領令だ。海事産業強化を目的とする大統領令を直接的な契機としつつ、エネルギー政策面での原子力推進方針とも連動する形で、政府として原子力船の実用化検討を進める構図が鮮明となっている。過去にも原子力船の建造・運航は試みられている。米「サバンナ号」、独「オットー・ハーン号」、日本の「むつ」などがあるが、商業的採算性や制度面、社会受容性などの課題から普及には至らなかった。SMRは従来の特注設計型原子炉と異なり、小型化とモジュール化により既存船型への搭載を現実的なコストで実現できる可能性があると期待されている。MARADは寄港間隔の延長、航続距離の拡大、GHG排出削減を原子力推進の利点として挙げる。S. M. カーメル海事局長官は「SMR導入の成功のためには、技術実証だけでなく、制度・インフラ・運用を含めた包括的な取り組みが必要」と述べた。近年、海運業界では脱炭素化とエネルギー安全保障への関心を背景に、英国・韓国でも船級協会や大手造船所を中心に原子力推進船を想定した整備制度や概念設計が進められている。国際的な動きも加速しており、MARADはRFI終了後、公開ワークショップや技術交流を通じ、課題の具体化を進める方針だ。
- 20 May 2026
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チェコ電力 英ロールス・ロイスSMRと先行作業契約
チェコ電力(ČEZ)は4月24日、英ロールス・ロイスSMR社と、テメリン原子力発電所サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの先行作業契約(Early Works Contract: EWC)を締結した。これにより、サイト固有設計や許認可準備など初期エンジニアリング作業が開始される。一方、ČEZは今回の契約について、機器供給や着工を含むものではなく、投資決定を意味していないと強調している。またČEZ は同日、チェコ産業貿易省とSMRプログラムに関する覚書を締結。SMRは、大型炉、ガス火力、再生可能エネルギーと並び、チェコの将来のエネルギーミックスを支える存在となることを確認。同覚書に基づき、作業部会を設置して以下を検討していくこととしている。投資モデル資金調達方法欧州委員会による認可プロセスチェコ・英国間の政府協力規制・法制度支援チェコ国内でのSMR建設条件整備ČEZのD. べネシュCEOは、「チェコはSMR計画によって、従来からの原子力技術ノウハウを活用し、さらに深化させることができる。政府との覚書も重要であり、ドコバニ・サイトでの増設と同様に、国家の支援が不可欠である」と述べた。ロールス・ロイスSMR社のC. チョラトンCEOは、「チェコは原子力の豊富な実績と高度な産業基盤を持っており、両国のサプライチェーンを連携強化し、SMRプロジェクトを成功裡に導くことが可能。当社は欧州においてSMR導入に向けた複数の契約・提携を進めている数少ない企業の一つであり、欧州優先のアプローチにより、英国やチェコを含む早期導入国に最大の経済的利益をもたらす」と語った。ČEZは、同社のトゥシミツェ(Tušimice)石炭火力発電所サイトにおいてもSMR計画を進めており、その他の候補地も調査中。既存の石炭火力発電所サイトは、送電・インフラ設備を活用できることに加え、SMRによる地域熱供給との親和性も期待されている。ČEZは2024年10月、ロールス・ロイスSMR社とチェコで合計最大300万kWeの電力供給を実現するための戦略的パートナーシップを締結し、SMR技術の開発・準備に直接関与。ロールス・ロイスSMR社の約20%の株式を取得し、戦略的少数株主となった。テメリン・サイトで計画されるSMRは、英国の北ウェールズ・アングルシー島ウィルヴァ・サイトで先行して進められている導入計画に続く案件となる見通し。ロールス・ロイスSMR社は2025年6月、英国初のSMRの導入を目指す英政府により、優先権者に選定され、同社製SMR(PWR、47万kWe)3基の建設をウィルヴァで計画。英政府系機関 Great British Energy – Nuclear(GBE-N)と今年4月、SMR導入に向けた技術設計契約を締結している。「ロールス・ロイスSMR」は一般にSMRとしてイメージされる30万kWe級以下の炉型より大型である一方、モジュール化、工場生産型のアプローチを活用し、大幅な工期短縮とプロジェクトリスクの低減により、コスト競争力の向上が期待されている。現在チェコでは約4割の電力をドコバニ原子力発電所(VVER-440×4基)とテメリン原子力発電所(VVER-1000×2基)が供給。チェコ政府はSMRに加え、ドコバニ・サイトに大型炉2基を増設する計画を進めている。2025年6月、プロジェクト会社のドコバニII原子力発電所(EDU II)は、韓国水力・原子力(KHNP)と2基増設のエンジニアリング・調達・建設(EPC)契約を締結した。
- 14 May 2026
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米国 ガス火力先行・SMR移行モデルを計画 AI需要に対応
米国の原子力プロジェクト開発企業ブルー・エナジー社は5月5日、GEベルノバ社とガス火力を先行導入し、その後原子力発電へ段階的に移行する発電モデルを発表した。同モデルは、米国における人工知能(AI)向け電力需要の急増に対応しつつ、早期の電力供給と建設リスク低減を図ることが狙い。両者はGEベルノバ社のガスタービンとGEベルノバ日立ニュークリア・エナジー(GVH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(30万kWe)を用いた発電所の設計・開発を行う。まず実績あるガス火力で早期に電力供給を開始し、その後SMR により長期的なクリーン電源へ移行する構想だ。初号機をテキサス州にあるブルー・エナジー社のサイトに建設し、近隣のデータセンター・キャンパスに電力を供給する計画である。両社はまた、2029年に同サイトへGEベルノバ社製7HA.02ガスタービン2基を納入し、早期に電力供給を実現するため、納入枠予約契約を締結した。さらに両社は、サイト現場での建設ではなく製造工場や造船所でモジュール生産し、バージで輸送・設置する方式を検討している。工期短縮や建設費削減に加え、サイト周辺の地域社会や州に至るまでのサプライチェーン全体で数千もの雇用創出効果も見込む。なお、ブルー・エナジー社は2025年12月、米原子力規制委員会(NRC)から、原子力発電所の建設段階を再編成するアプローチの承認を受けている。同アプローチでは、非原子力設備を先行整備し、早期に収益化することで、原子力プロジェクト特有の長期投資リスク低減を狙う。まず非原子力かつ安全性に直接関与しないインフラのオフサイト製造と現場設置から着手。原子力コンポーネントが許認可および建設段階を経ている間にも、機器製造やインフラ整備を進めつつ、ガス火力による電力供給を開始できる。ブルー・エナジー社は、これにより、従来の原子力発電所の建設工期を少なくとも5年短縮、ガス発電開始までの時間を48か月以下に大幅に短縮し、原子力発電プロジェクトでは初めて設備投資の大部分について、将来の売電収入を裏付けにプロジェクトファイナンスを成立させやすくなるとしている。両社は近い将来、ブルー・エナジー社の建設許可申請に向け、サイトの予備的な安全分析作業など必要な開発や特性評価作業の実施で契約を締結する予定。ブルー・エナジー社は2027年には最終投資決定し、NRCに建設許可の申請を計画している。ガスタービンは早ければ2030年に約100万kWeの電力を供給すると見込んでいる。その後、蒸気供給に切り替え、BWRX-300は早ければ2032年に稼働を開始、合計約150万kWeの電力を供給する計画だ。
- 13 May 2026
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NEA事務局長「日本の原子力産業に世界が依存」 供給能力不足に懸念
経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)のW.D.マグウッド事務局長は4月15日、第59回原産年次大会に合わせて行われた記者会見で、世界的な原子力回帰が進む中、日本の原子力産業が国際的に極めて重要な役割を担うとの見方を示した。一方で、今後急増が見込まれる原子力機器・設備需要に対し、世界全体の供給能力が不足する可能性にも強い懸念を表明した。マグウッド事務局長は、世界各国がエネルギー安全保障や脱炭素化の観点から原子力を再評価していると説明。特に、各国が2030年代半ばを見据えて新規原子力発電所計画が相次ぐ中、製造基盤や人材などサプライチェーンの整備が追いついていないとの危機感を示した。「日本の原子力産業がこの15年間でより強くなったと評価しているが、今後どのような役割が期待されるのか」との質問に対し、事務局長はNEAが約2年前に日本で実施した「国別安全文化フォーラム」に言及。「日本の安全文化の現状について非常に深く理解することができた。ここ数年の進展には非常に強い印象を受けた」と述べ、日本の原子力産業の改善を高く評価した。その上で、「世界的な原子力回帰が進む中、日本の製造業への依存は今後一段と高まる」と強調。特に、圧力容器や蒸気発生器といった大型機器に加え、タービン発電機などのBOP機器分野でも、日本企業の存在感が大きいとの認識を示した。一方で、「今後数年間にわたり生じる需要に対して、(機器や設備の)供給能力が十分ではない可能性がある」と指摘。各国のエネルギー担当閣僚との対話では、「2030年代半ばまでに新規原子力発電所を建設したい」との声を多く聞くとした上で、「現在の世界全体の供給能力では、それを支えるには不十分だ」と述べた。また、メーカー側には生産能力増強に向けた設備投資が必要となる一方、「多くの企業は、本当に市場が立ち上がるのかという確実なシグナルを待っている」と説明。さらに、「新規プロジェクトを検討する際、最初に日本の同業者へ連絡する」と述べ、原子力産業界における日本企業への信頼の高さを示唆した。 会見ではこのほか、人材不足や小型モジュール炉(SMR)の初号機リスク、地政学リスクなどについても質問が出た。人材面では、OECD諸国全体で科学技術分野に進む若者の数が退職者数を補えていない状況にあると説明。特に日本については、少子化が長期的課題になっているとした上で、「人材育成に重点的に取り組む必要がある」と指摘した。また、SMRについては、「コストそのものよりも不確実性が大きな課題」と説明。初号機建設には大きなリスクが伴う一方、MicrosoftやGoogleなどの大手IT企業が、そうしたリスクを引き受ける“ファーストムーバー”として重要な役割を担う可能性があるとの見方を示した。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえた原子力施設の安全性については、「原子力施設は極めて堅牢」としつつも、「武力紛争時に原子力施設を保護するための国際的な枠組みは、現状では不十分」と指摘。将来的には、新たな国際的合意形成が必要になるとの見方を示した。福島第一原子力発電所の廃炉については、「多くの安全上のリスクは既に低減または除去されている」と評価。英国セラフィールドや米国ハンフォードの例を挙げながら、「こうしたクリーンアップには数十年単位の時間が必要」と説明した。その上で、「慎重な分析なしに問題解決を急ぐ方がむしろ懸念される」と述べ、日本政府や東京電力による現在の段階的対応に信頼感を示した。
- 13 May 2026
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IHI 中長期計画で原子力事業の強化を発表
IHIは5月8日の決算説明会で、2026年度からの中長期経営計画を公表した。エネルギー分野では原子力事業を成長分野の一つに位置づけ、生産体制や人材の強化、次世代炉分野への投資を進める方針を示した。同社はエネルギー分野における2040年に向けた成長シナリオとして、原子力事業に関し、国内原子力分野での基盤強化を打ち出した。その実現に向け、原子力発電所の再稼働に備えた生産体制および人員の強化、六ケ所再処理工場の竣工対応と運転・技術支援、再処理から廃棄物処理・最終処分までを含む事業体制の構築を目指す。同社は原子力事業を、投資を加速することで売上高を伸ばす「成長事業」の一つに位置付け、国内のみならず海外市場も視野に入れた上で、生産力を強化する。同日に発表された同社の2025年度決算説明資料においても、今後2026年度から2028年度にかけて、原子力事業を含む成長・育成事業に優先的に資金を配分すると説明。原子力事業の具体的な投資テーマとして、圧力容器や鋼製モジュールの製造技術力・生産性向上や小型モジュール炉(SMR)などの次世代原子炉の開発を挙げた。同社は今年3月、米国のX-energy社と高温ガス炉技術分野における協業の可能性を検討・推進することを目的とした非拘束の覚書(MOU)を締結。昨年は、ルーマニアのSMR計画向けにでの鋼製モジュールのモックアップ製作を受注するなど、同社は近年、SMR関連や高温ガス炉分野で海外案件への関与を進めている。
- 12 May 2026
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カナダ 国産技術とウラン資源を軸に輸出拡大へ
カナダのT. ホジソン・エネルギー・天然資源相は4月29日、カナダ原子力協会(CNA)年次総会において、カナダ天然資源省が「カナダ新原子力戦略」を策定中であることを明らかにした。同戦略は、2026年末までに公表予定である。同戦略では、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)技術などの国産技術革新、豊富なウラン資源、世界レベルの労働力と安全規制体制といった独自の強みを基盤としている。国内産業の成長を促進するとともに、国内の電力安定供給とエネルギー安全保障を強化するとともに、2030年までに年間最大2,000億加ドル(約23兆円)規模の成長が見込まれる世界市場への参画を目指すとしている。なお同戦略は、以下の4本の柱で構成されている。カナダ全土で新規原子炉建設を推進世界市場向け主要供給国・輸出国としての地位を確立ウラン生産および燃料ビジネスの機会を拡大カナダ発の原子力イノベーション(核分裂・核融合を含む)の開発その一環として、北部・遠隔地の防衛関連施設を対象に、熱と電力を供給できるカナダ管理下のマイクロ炉導入可能性を調査する。国防省を通じ、2026~2027年にかけて、4,000万加ドル(約46億円)を投じる。さらに、連邦政府は、カナダ原子力研究所(CNL)のチョークリバー研究所(オンタリオ州)に対し、今後10年間で22億加ドル(約2,525億円)の設備投資を行うことを決定。新たな先端材料研究センターに加え、CANDU炉の技術支援、原子力安全・セキュリティ研究、小型モジュール炉(SMR)や燃料の開発、電力会社の既存炉の寿命延長と信頼性向上支援など、同国の原子力分野におけるリーダーシップの維持強化を支えるため、カナダ原子力公社(AECL)の施設や研究設備の刷新を目的としている。カナダでは現在、オンタリオ州とニューブランズウィック州のCANDU炉17基が同国電力の約13%を供給している。原子力産業の経済貢献は年間220億加ドル(約2.5兆円)に上る。また同国は2024年時点で、世界第2位のウラン生産国で、世界生産量の約24%を占めた。政府は、国内技術と資源を組み合わせ、原子力をエネルギー安全保障と産業競争力の柱に位置づける考えだ。
- 11 May 2026
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カザフスタン SMRや第4サイトも検討へ
カザフスタンのK.-J. トカーエフ大統領は4月15日、2050年までの原子力産業の国家戦略を承認した。エネルギー安全保障の強化、持続可能な経済成長、脱炭素対応、技術力向上を目的とする同戦略では、具体的な建設計画として、2050年までに少なくとも3サイトで原子力発電所の稼働を想定。小型モジュール炉(SMR)の導入に加え、第4サイトの検討も行っていくとしている。同国では電力需要の増加と供給不足が顕在化しており、統一電力システムによる見通しでは、2026~2032年に追加で最大約266万kWの設備容量が必要となる可能性がある。特に南部および西部で不足が顕著とされ、安定供給には地域特性を踏まえた複数の原子力発電所の段階的整備が不可欠と位置づけている。戦略では、①原子力発電の拡大、②ウラン資源の活用、③研究開発、④廃棄物・使用済み燃料管理、⑤核セキュリティ強化、⑥人材育成・産業育成、⑦デジタル化――を柱に掲げる。建設計画としては、第1、第2サイトは、同国の南部エリアに計画。第1サイトでは、ロシア国営原子力企業ロスアトムとの協力により、アルマティ州のジャンブール地区にて、ロシア製VVER-1200×2基の建設が決定しており、2025年8月にエンジニアリング調査が開始されている。第2サイトでは、最大出力240万kWeの導入を計画しており、第1サイトと同じ、ジャンブール地区がすでに候補として特定されており、中国との協力が有望視されている。第3サイトでは、最大合計出力120万kWeの小型モジュール炉(SMR)の導入を計画。さらに、電力消費量の増加が予測される中、有望な地域に4番目の原子力発電所の建設プロジェクトを実施する計画を示している。SMR導入については、地域的な特性、プロジェクトの技術的・経済的な妥当性を考慮し、SMRの適用可能性に関する技術経済分析を行い、SMRの設置優先地域の特定(エネルギー不足地域や電力網インフラが未整備な地域を含む)、および老朽化した石炭火力発電所の代替可能性を検討していくとしている。安全面では、福島第一原子力発電所事故の教訓を反映し、外部電源なしでも機能する受動的安全システムを採用、国際基準に基づく廃棄物管理を実施すると強調した。この戦略の推進により、建設段階(1つの原子力発電所の建設ピーク時には最大1万人)だけでなく、エンジニアリング、科学、教育、サービス分野においても、数千の雇用の創出が想定されている。送電線などのインフラ整備、教育・人材育成の強化によるスキル向上、原子力クラスター形成で国内産業を活性化させて国際競争力を高め、エネルギー安全保障と経済・技術の自立性を長期的に向上させる考えだ。
- 28 Apr 2026
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nucleareuropeが行動計画 EUに提言
欧州各国の原子力協会17団体などで構成される欧州原子力産業協会(nucleareurope)は3月24日、EU域内での原子力導入拡大に向けた行動計画を発表し、EUに対し資金調達や規制のあり方を含む政策枠組みの見直しを求めた。EUが原子力をめぐる制度設計を進める中、業界側から具体的な見直しを求める踏み込んだ提言が示された。今年3月に最終版が公表された欧州委員会(EC)の原子力実証プログラム(PINC)によると、加盟国が計画する原子炉の運転期間延長および新規大型炉の建設には、2050年までに約2,410億ユーロ(約38兆円)の投資が必要と試算されている。なお、小型モジュール炉(SMR)や先進モジュール炉(AMR)には追加的な投資が必要とされる。原子力発電設備容量は2025年の9,800万kWから2050年には1億900万kWへ増加する見通しだ。このような巨額の投資需要を背景に、同行動計画では導入加速に向けた課題として、長期的な政策ビジョン、投資促進のための財政枠組み、規制手続きの迅速化、燃料サイクル、サプライチェーン―の5分野を提示した。財政面では、原子力が他電源と同等に資金調達できる環境の整備を求め、EUの中長期財政枠組み(MFF)において、再生可能エネルギーと同等の扱いとする必要があるとした。また、長期契約への保証などによるリスク低減を通じ、民間投資の呼び込みを図る必要性を強調した。規制面では、許認可手続きの長期化が新規建設の制約要因となっていると指摘。審査期間の短縮や手続きの合理化、加盟国間の制度の統一を求めた。さらに、供給安定性の観点から燃料サイクル全体への投資や、域内のサプライチェーンと人材基盤の維持・強化の必要性も示した。nucleareuropeのE. ブルティン事務局長は「原子力プロジェクトを加速するには、今後20年にわたる多額の投資が欠かせない」と強調。EUの政策が投資を後押しするカギを握ると訴えた。
- 28 Apr 2026
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スウェーデンのSMRプロジェクト 競合2社が現地企業とタイアップ
スウェーデンで計画されている小型モジュール炉(SMR)プロジェクトをめぐり、最終供給候補に残る米 GE ベルノバ日立 ニュークリアエナジー(GVH)社と英 ロールス・ロイス SMR 社が、相次いで現地企業との連携を強化している。2026年のサプライヤー選定を前に、両社はスウェーデンを拠点としたサプライチェーン構築を進め、欧州展開も視野に入れる。スウェーデン国営電力会社バッテンフォールは、リングハルス原子力発電所隣接地でのSMR建設に向け、GVH社とロールス・ロイスSMR社の2社を最終候補として選定している。計画では、採用炉型に応じて3~5基、合計出力約150万kWe規模の導入が想定されている。GVH社は4月7日、同社製SMR「BWRX-300」の導入に向けて、スウェーデンのエンジニアリング、プロジェクトマネジメント企業であるAFRY社と非独占的な主要サービス契約( Main Services Agreement: MSA)を締結したと発表した。AFRY社はエンジニアリングおよびコンサルティングサービスを提供。GVH社の実績ある技術とグローバルなプロジェクト経験を組み合わせ、欧州での複数プロジェクトで効率的かつ再現性・拡張性のある導入支援が想定されている。AFRY社は、エンジニアリング業務に加え、スウェーデン放射線安全局(SSM)へのBWRX-300の許認可申請も支援するという。一方、ロールス・ロイスSMR社は3月25日、スウェーデンの原子力関連技術サービス企業であるスタズビック(Studsvik)と、SMRプログラム支援に向け、幅広いサービス全体にわたる協力を検討する覚書を締結した。両社は、スタズビック社の技術力や保有施設を評価し、ロールス・ロイス SMR 社の工場製造型原子炉の導入において、同社がどのような役割を担えるかを検討していく。MOUでは、燃料の認証および試験、プラント寿命管理、ホットセル技術、炉心設計および運転モデリング、規制当局向け許認可支援などでの協力を検討していくこととしている。
- 24 Apr 2026
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フィンランド原子力法改正 許認可手続き簡素化へ
フィンランド政府は3月12日、新原子力法案を議会に提出した。原子力施設の安全性を確保しつつ、より柔軟な規制体系を構築して許認可プロセスを簡素化。プロジェクトのリスクを管理し、小型モジュール炉(SMR)などの新技術の利用促進を目的とする。現行の原子力法は廃止され、放射線法や刑法を含む14の法律が改正予定である。経済・雇用省は法改正により、原子力発電への投資を促進したい考えだ。また、より柔軟な許認可手続きを導入し、これにより、エネルギー消費地に近接したSMR発電所が実現可能になるという。新規発電所プロジェクトにおいて、社会全体の公益への適合性に関する最初の包括的な評価は、現行のものよりもより一般的な性質を持つ「原則決定」により内閣が行う。但し、最大熱出力5万kWt以下の原子力発電所プロジェクトについては、経済・雇用省が評価するという。ムルタラ気候・環境相は、「フィンランドには、原子力発電のような炭素排出ゼロで、低廉かつ安定供給が確実なエネルギーが常に必要。今回の法改正により、様々な技術の選択肢や技術の進歩への適応が可能になる。同時に、多様な原子力施設プロジェクトについて、開発者のリスク管理や原子力施設への投資の予見性を向上させ、資金調達の環境を改善を図っていく」と述べ、不必要に詳細な技術的規制を緩和する一方で、安全性、供給の確実性、核物質の管理面では、当局による監督を強化するとしている。新法は2027年1月1日に施行予定。現行の政権期間中に、改正された規則に基づき原則決定の申請を行うことが可能。
- 10 Apr 2026
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韓国 米船級協会とSMR推進船舶の共同開発で提携
韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)とHD現代三湖(HSHI)は3月9日、次世代のカーボンフリー船舶を開発するため、米国船級協会(ABS)と、大型コンテナ船向け原子力電気推進システムの概念設計に関する共同開発契約(Joint Development Agreement: JDA)を締結した。本契約により、16,000 TEU(20フィートコンテナ換算)級のコンテナ船に特化した、原子力電気推進システムの技術的実現可能性を評価。海運業界の脱炭素化基準を満たすため、コンテナ船向けに最適化された原子力電気推進システムの基本設計、電子製品仕様の選定、動力設備のレイアウト設計などで協力する。特に、最大10万kWe級の安定供給が可能な小型モジュール炉(SMR)を船舶動力源として利用したい考えだ。加えて、衝突・浸水などの緊急事態でも安全性を確保できるよう強化された安全基準を設計に反映。国際海事機関(IMO)の規定および国際原子力機関(IAEA)の安全基準に適合する船内電力システムを適用することで、国際規制への適合性と運航の信頼性を確保する方針である。またHD現代は、長時間の航海および高速運航が求められる大型コンテナ船向けに、ツインスクリュー(Twin Screw)プロペラ推進システムを適用し、推進力と機動性の向上を図る。また、エンジンモーターをプロペラに直接連結する直結推進方式を採用し、動力伝達過程で発生するエネルギー損失を最小限に抑え、運転効率を高める計画だ。電力消費の大きい冷凍・冷蔵貨物輸送用のリーファーコンテナの積載拡大も可能となり、荷主の輸送需要に柔軟に対応するという。ABSのM. ミューラー北太平洋事業開発担当副社長は「本協業は、大型コンテナ船向けの原子力電気推進システムの可能性を検証する極めて重要なプロジェクト。HD現代の造船技術とABSの海事安全分野におけるエンジニアリングのノウハウを組合わせ、次世代推進ソリューションの安全性、効率性、環境性能を総合的に検証する」と語った。一方、KSOEのB. クォン電動化センター長は、「環境に優しい船舶の需要増加に応え、原子力電気推進システムの研究開発を拡大し、技術競争力を強化していく」と意欲を示した。HD現代は2025年2月、米ヒューストンで開催された「New Nuclear for Maritime Houston Summit」で、15,000 TEU級SMR駆動コンテナ船の設計モデルを初公開した。今回、共同開発するコンテナ船はそれを上回る規模となる。同年9月に伊ミラノで開催された「Gastech 2025」において、KSOEとHD現代重工業(HD HHI)は、電気推進システムを搭載した16,000 TEUコンテナ船の概念設計について、ABSから基本設計承認(AiP)を取得し、開発の第1フェーズを完了している。
- 09 Apr 2026
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フィリピン SMR導入へ米国が資金支援
米通商開発庁(USTDA)は2月16日、フィリピンの電力会社メラルコ・パワージェン(MGEN)社に対し、フィリピン初の小型モジュール炉(SMR)導入に関するフィージビリティ・スタディ(FS)を支援するため、280万ドル(約4億2000万円)規模の資金の提供を発表した。同月には、フィリピン政府も原子力発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートの策定を発表しており、同国における原子力導入に向けた動きが具体化している。MGEN社は、フィリピン最大の配電会社であるマニラ電力(Meralco)の発電子会社。USTDAの支援は米国製SMRの評価および導入ロードマップの策定に充てられる。同事業は、USTDAの支援のもと、米国企業から技術支援の提案を募る形で実施される。FSは年内に開始し、立地や送電網との接続、許認可、資金調達などを含めた導入計画を整理する。一方、フィリピン政府も制度面の整備を進めている。フィリピンのエネルギー省(DOE)は2月24日、原子力発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートを策定した。2032年までに原子力発電所の運転開始を目指すという。フィリピンは1970年代の石油危機を受け、バターン原子力発電所(BNPP、米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)を建設したが、財政問題や安全性への懸念から運転には至らなかった。その後、原子力導入は停滞したものの、2022年に導入方針が示され近年再び検討が本格化。SMRを含む多様な炉型の活用が模索されている。政府は2032年までに初の原子力発電所の運転開始(120万kW)を目指し、2035年に240万kW、2050年に480万kWへ拡大する計画としている。
- 02 Apr 2026
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ノルウェー政府 SMR計画の環境影響評価へ
ノルウェー政府は2月11日、同国西部のアウレとハイムで計画されている小型モジュール炉(SMR)を用いた原子力発電所の建設プロジェクトについて、環境影響評価(EIA)を実施することを決定した。これにより、同国における原子力発電導入に向けた検討が、制度的なプロセスに入りつつある。計画では、アウレ自治体とハイム自治体の境界に位置するタフトイ(Taftøy)工業団地に複数のSMRを設置する。最大出力150万kW、年間最大125億kWhの発電を想定している。2023年、ノルウェーの新興エネルギー企業ノルスク・シェルネクラフト社が、エネルギー省に対しSMR発電所建設に向けたEIAの実施を提案した。同国政府はこれを受け、2025年4月に水資源・エネルギー局(NVE)、放射線・原子力安全局(DSA)、国民保護局(DSB)の3機関に対し調査プログラム策定を要請。3機関は同年9月、ノルスク社の提案を踏まえた評価プログラム案を作成した。同案は越境環境影響評価を定めたエスポー条約に基づく国際協議を経て正式決定された。EIAはこのプログラムに基づいて実施される。T. アースランド・エネルギー大臣は、「今回の評価プログラムの確定はEIAの最低要件を定めるもので、原子力発電の導入を決定したことを意味するものではない」と述べた。ノルスク社のJ. ヘスタマー会長は、「今後はEIAの実施計画を策定し、原子力発電所のメリットと課題を明確にするとともに、地域住民や関係者がどのように関与できるかを示していく。EIAの一部作業はすでに開始されており、周辺住民や自治体などとの建設的な対話を期待している」と説明している。ノルウェーでは電力の大半が水力と風力でまかなわれており、これまで発電用原子炉は保有せず、OECD共同研究プロジェクトとして有名な「ハルデン炉」など研究炉のみを運転してきた。2019年までにそれらもすべて閉鎖されている。しかし近年は電力需要の増加を背景に、国内では原子力導入に向けた議論が進められている。ノルスク社は複数の候補地でSMR導入の可能性調査を進めており、国内各地を対象とした10件のプロジェクトについて報告書を提出している。今回の計画はその第1号プロジェクトとなる。
- 25 Mar 2026
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IHIと米Xエナジー 高温ガス炉分野で協業へ MOU締結
IHIは3月13日、同社の横浜工場にて、米国のX-energy社(以下:Xエナジー社)と、高温ガス炉技術分野における協業の可能性を検討・推進することを目的とした非拘束の覚書(MOU)を締結した。同MOUは、翌3月14日~15日にかけて東京都内で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)にあわせた動き。今回のMOU締結は、Xエナジー社が開発を進める小型モジュール炉(SMR)の高温ガス炉「Xe-100」等のグローバル展開を見据え、原子炉系機器の設計、エンジニアリング、製造、サプライチェーン構築など、幅広く協業の可能性を検討する枠組みの構築が目的だ。IHIはXエナジー社との協業を通じて、先進原子力分野における技術開発とサプライチェーンの強靭化を進め、米国およびグローバル市場における先進原子力技術の商業化の推進に貢献していく考えだ。MOUの協業範囲の対象は、原子炉圧力容器や原子炉内構造物、蒸気発生器の圧力容器および内部構造物、クロスベッセルなどの主要機器。Xエナジー社はプレスリリースで、IHIは、現在の米国では商業規模での確保が難しい高度な原子力製造能力を有していると評価。同社のExecutive Vice PresidentのD. バティア氏は、「原子力の大規模展開には、単一のサプライヤーだけでは対応しきれない生産能力と専門性が求められ、これを前進させるには志を同じくする国際的なパートナーによる連携が不可欠だ」とコメント。そのうえで、「IHIとの協業機会を模索できること、そして日本の優れた製造技術と米国のイノベーションを組み合わせ、共通の目標の実現を目指せることを期待している」と意欲を示した。
- 18 Mar 2026
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EC 初のSMR戦略 2030年代初頭に初号機運開めざす
欧州委員会(EC)は3月10日、小型モジュール炉(SMR)((軽水炉型SMRのほか、液体金属炉や熔融塩炉、高温ガス炉などの先進モジュール炉(AMR)およびマイクロ炉を含む。))の開発・導入を加速する初の戦略文書「欧州におけるSMRの開発および導入に向けた戦略(Strategy for the development and deployment of Small Modular Reactors (SMRs) in Europe)」を発表した。ECは、SMRを欧州の主要な産業開発プロジェクトの一つと位置づけ、2030年代初頭までに欧州で初のSMRの運転開始をめざす。SMRを、脱炭素化やエネルギー安全保障の強化に加え、欧州の産業競争力の強化にも寄与する技術としている。同戦略では、研究、サプライチェーン、許認可、人材育成、資金調達などの分野でEU加盟国や産業界、規制当局、投資家の協力強化を図る方針を示すとともに、SMR導入を促進するための9つの行動を提示。具体的には、技術開発やサプライチェーン、規制面などでの取組みとして、産業向け高温熱供給や海上利用などを想定した先進モジュール炉(AMR)の開発加速、燃料サイクルを含む欧州域内のサプライチェーン強化、同一設計の炉を複数導入するフリート・アプローチの推進と、それに伴う産業標準化の策定や許認可に関する規制協力などを打ち出した。これらの取組みは、EU加盟国間の協力強化や志を同じくする国との国際協力のほか、2024年2月に設立された欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)とも連携して進める。さらに、SMR導入を後押しするため、資金支援の枠組みも提示。EUの投資支援制度であるInvestEUやイノベーション基金などを活用し、初号機(FOAK)プロジェクトのリスク低減を図り、民間投資の呼び込みを進めるとしている。そのほか、革新的原子力技術に関するIPCEI(Important Project of Common European Interest)の枠組みを通じて、投資促進の方針も示した。また、SMRの製造拠点や関連産業を集積するSMRバレー(SMR Valley)の形成や、SMR導入に関心を持つEU加盟国が選定された炉型について規制や政策、経済面などで協力する枠組みのSMR連合(SMR Coalition)を設立する提案も示されている。ECはまた同日、原子力実証プログラム(PINC)を発表。同プログラムによると、EUにおけるSMRの設備容量は、2050年までに1,700万kWから5,300万kWに達する可能性があるとの見通しを示している。
- 18 Mar 2026
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インド太平洋地域での今後の原子力展開にむけ日米産業界が専門的議論
3月14、15日に都内で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)の会期中、2つの原子力関連セッションが開かれ、今後の同地域での原子力の展開をめぐり日米産業界関係者による活発な議論が行われた。「インド太平洋地域のエネルギー安全保障と経済成長を支える原子力」と題する14日のパネルには、増井原産協会理事長、M.コースニック米原子力エネルギー協会(NEI)理事長、ウルバヌス米エネルギー省(DOE)次官補代理、Radiant Nuclear社のバランワルCEO、GEベルノバの田中ディレクターが登壇した。パネルの中で増井理事長は、日本の原子力には設計から運用に至る原子力バリューチェーン全体にわたる統合的な能力、約8万人の従事者に加え政府関係者や研究者を含む豊富な人的資源、100年にわたる原子力ビジネスサイクルに長期的にコミットできる能力の3つの優位性が備わっているとした上で、異なるステークホルダーが長期にわたり協力し合うことで、新規導入国に対して技術と専門知識の両面から包括的な支援を提供できる点を強調。インド太平洋地域で原子力の展開が成功するためには、地元産業をサプライチェーンに早期に取り込み、日米を始めとした同志国が支援することが重要としたほか、導入国が技術選択する際には、設計の成熟度、実際のプロジェクトの有無、サプライチェーンの準備状況の指標からなる「展開可能性」に基づき判断すべきと指摘した。コースニック氏は、世界的に原子力が特別な転換期にあるとした上で、データセンターやAI利用など、急速に増加する電力需要を満たせると述べ、インド太平洋地域の様々な市場規模に対応可能な原子力技術の拡張性について、「Nuclear for You(あなた方に適した原子力)」を提供できることが強みだと強調した。バランワル氏は、同社がTRISO燃料を使用した1,000kW出力の可搬型マイクロ炉をテネシー州の施設で年間50基製造可能だとしたほか、2029年までにインド太平洋地域に同炉を展開する見通しを示した。GEベルノバの田中氏は、原子力が単なる興味の対象から不可欠なものへと変わってきていると指摘。カナダOPG社がBWRX-300のSMRプロジェクトを進めていることで、インド太平洋地域の関心が大きく高まったと強調した。翌15日には、前日のパネルにおける議論の内容を深掘りし、出された意見をIPEM参加閣僚に報告することを目的した「ディープダイブ・セッション」が行われた。コースニックNEI理事長、増井原産協会理事長、日米のメーカー、エンジニアリング企業、燃料企業から関係者が参加した。セッションでは3つの質問が用意され、出席者がそれぞれ自社の経験をもとに回答する形で行われた。インド太平洋地域における原子力発電開発を加速させ、初期段階で成功したプロジェクトが継続するために、政府と産業界にはどのような役割がありどのように協力できるかとの質問に対しては、政府には適正な規制の実施、財政支援、人材育成、リスク軽減における役割が期待されるとの意見のほか、新規導入国への展開にあたっては、ステークホルダー間での建設リスク共有や規制のハーモナイゼーションが重要との意見も出された。続いて、原子力導入の急速な拡大を支援し地政学的リスクを軽減するため、同志国間でのサプライチェーン協力を加速させるには、どのような措置が必要かをめぐり意見が交わされた。日本には技術力のある中小企業サプライヤーが多く存在するため、将来のインド太平洋地域への小型モジュール炉(SMR)展開での日本のサプライヤーの貢献を期待しているとの発言のほか、インド太平洋地域における原子力サプライチェーンの発展を加速させるためには、段階的なアプローチが必要とした上で、初号機の納入を確実に成功させることが不可欠であり、資金調達やサプライチェーン開発など、あらゆる段階において最初からすべてを現地化するのではなく、初期段階ではリスク低減が不可欠との意見も出された。インド太平洋地域全体で原子力発電導入を成功させるために、政府、産業界、規制当局において必要となる最も重要な変化や対応は何かとの質問に対しては、各国政府が異なる種類の原子炉に関心があるとしても、標準化し同じアプローチで原子力発電所を建設することが重要との指摘がなされたほか、インド太平洋地域で高品質重視のサプライヤーパートナーを見つけられるかが地域全体の原子力展開の成功の鍵とする意見も出された。
- 17 Mar 2026
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原産協会と米NEI インド太平洋地域の原子力協力で覚書締結
インド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)に出席した日本原子力産業協会(原産協会)と米原子力エネルギー協会(NEI)は14日、インド太平洋地域における原子力発電の展開に向けた産業界の連携強化を目的とする協力覚書(MOU)を締結した。原産協会は1994年のNEI発足以来、長年にわたり交流・協力関係を築いてきた。2023年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、両団体が原子力関連サイドイベントを共催するなど実績を重ねている。近年、特に小型モジュール炉(SMR)技術を中心にインド太平洋地域で原子力発電への関心が高まっていることを背景に、今回、両組織間で正式な覚書を締結することとなった。覚書では、インド太平洋地域の協力に資する政策対話や情報交換の促進のほか、政府や国際機関などと連携し、同地域における原子力の開発・利用を支援することなどを盛り込んでいる。原産協会の増井理事長は「両者の協力は30年以上にわたり実りある関係を築いてきた。これまで正式なMOUがなくても協力関係がごく自然に発展してきたことの表れでもあるのだと思う」と述べたうえで、「今回、インド太平洋地域での協力を盛り込んだMOUの締結により、将来に向けてさらに緊密に連携していきたい」と語った。またNEIのM.コースニック理事長は「両者の正式な協力枠組みが整い、米国にとって戦略的に重要なインド太平洋地域に重点が置かれたことは、今後の活動にとって非常に有益なものになる」と述べた。
- 16 Mar 2026
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日米企業がSMRの東南アジア展開で協力 東京でエネルギー安全保障フォーラム
インド太平洋エネルギー安全保障閣僚ビジネスフォーラムが3月14、15の両日、東京都内で開催され、インド太平洋地域16か国のエネルギー担当閣僚や政府・企業関係者が参加した。日本と米国が共同で主催し、米国からはD.バーガム内務長官、L.ゼルディン環境保護庁長官、日本からは赤澤経済産業相が出席した。開会セッションでは、米通商開発庁(USTDA)のT.ハーディ副長官兼最高執行責任者(COO)が冒頭挨拶を行った。開会セッション後には覚書の署名式が行われ、企業間の協力覚書(MOU)が相次いで締結された。まず、三菱電機、米ホルテック・インターナショナル、韓国ヒュンダイE&Cの3社が、小型モジュール炉(SMR)の東南アジア展開に関する協力覚書を締結した。続いて、GEベルノバと日立製作所が、東南アジアにおけるSMR「BWRX-300」の導入に向けた市場開発や商業機会の検討で協力する覚書を締結した。両社はそれぞれの合弁会社を通じて協力し、同地域でのSMR導入の可能性を分析するとともに、日本企業を含むサプライチェーン構築を検討する。エネルギー需要の拡大が見込まれる東南アジアで、脱炭素電源としての原子力活用を後押しする狙いがある。日立製作所の稲田康徳常務執行役(原子力ビジネスユニットCEO)は「日立は長年にわたりGEベルノバとのパートナーシップを通じて培ってきた知見を生かし、原子力産業に貢献してきた。東南アジアにおけるBWRX-300の導入検討を進めることで、こうした取り組みをさらに発展させていきたい」と語った。
- 16 Mar 2026
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リトアニア BWRX-300導入可能性を評価へ
リトアニアのイグナリナ原子力発電所を運営しているアルトラ(Altra)社は2月25日、米国の首都ワシントンで、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社、ポーランドのSGE社とリトアニアにおけるGVH社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の導入可能性を評価するため、三者間覚書を締結した。「BWRX-300」導入に係る技術面および経済面での実現可能性を詳細に評価し、技術ソリューション、安全性および許認可要件、さらに経済的および市場的な側面を分析する。覚書署名式には、リトアニアのZ. ヴァイチウナス・エネルギー相、米エネルギー省のR. バーラン原子炉担当次官補代理らも出席。ヴァイチウナス大臣は、「リトアニアの原子力発電の経験、アルトラ社の専門知見、先進SMRを開発する米国パートナーの最新知識を結集し、リトアニアにおける次世代SMRの立地可能性を体系的に評価。エネルギー・セキュリティー、持続可能性、気候中立なエネルギー・経済目標にどのように貢献し得るかを判断する。再生可能エネルギーは現在も将来もリトアニアの明確な選択肢であるが、2050年までに完全な気候中立を達成するためには、SMRの可能性も評価しなければならない」と語った。アルトラ社のL. バウジスCEOは、「リトアニアには、原子力発電の実績があり、国家のエネルギー・セキュリティと長期的なシステムの安定性を強化する次世代ソリューションの議論にあたり有利な立場にある。BWRX-300は現在開発中の最も先進的なSMRの一つであり、将来のエネルギーソリューションとして分析評価するのは当然」と強調した。GVH社の先進原子力担当のS. セクストン上級副社長は、加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)と共に西側諸国初となる商用規模のSMRを建設する過程で得られる経験や、SGE社との協力が、リトアニアや他の欧州諸国でBWRX-300を展開配備する強力な基盤となっている」と述べた。欧州のSMR開発プラットフォームであり、BWRX-300の標準設計にも共同出資しているSGE社のR. カスプロウCEOは、「リトアニアのエネルギー移行には、電力システムの安全性を高め、長期的な経済発展を支える安定したゼロエミッション電源が必要。BWRX-300は、これらニーズに応えるために設計されており、数十年にわたる原子力発電の運用経験を踏まえ、安全性と信頼性を確保しつつ、クリーンでコスト競争力のある拡張可能な設計となっている」とし、今回の覚書締結の意義を強調した。SMRの導入検討は、2050年までにエネルギー自立と気候中立の達成を目指す同国の国家エネルギー戦略とも合致する。エネルギー省は2025年、アルトラ社などが参加する作業部会を設置し、先進原子力技術の役割について評価を進めている。なお、2025年のユーロバロメーター調査(欧州委員会が実施するEU公式の世論調査)では、リトアニア国民の57%が今後20年間の原子力の将来を肯定的に見ている。リトアニアでは、イグナリナ原子力発電所(軽水冷却黒鉛減速炉:RBMK-1500×2基、各150万kWe)が1980年代から稼働していたが、欧州連合(EU)は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所と同型であるRBMK炉の安全性への懸念から閉鎖を要求、リトアニアはEU加盟と引き換えに同発電所を2009年までに閉鎖した。同発電所は閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。アルトラ社は現在、同発電所の廃止措置作業を実施中だ。閉鎖後、イグナリナ原子力発電所近傍のヴィサギナスに日立製作所が主導する新規原子力発電所プロジェクトも浮上したが、福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電に対する国民の支持は低下。2012年の原子力発電所の新規建設への支持を問う国民投票では否定的な意見が優勢となり、2016年10月の総選挙による政権交代を経て、翌11月にヴィサギナス・プロジェクトは凍結された。その後、リトアニアでは電力不足を補うため、電力供給源の多様化を図り、再生可能エネルギーの導入を促進。現在、総発電電力量の約8割を再生可能エネルギーで賄うものの、近隣諸国(スウェーデン、ラトビア)からの電力輸入量も多い。
- 13 Mar 2026
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緊迫する中東情勢 原子力の再評価が高まる-パリで原子力エネルギー・サミットが開催
フランス・パリで3月10日、フランス政府と国際原子力機関(IAEA)共催による第2回「原子力エネルギー・サミット」が開催された。原子力エネルギー利用に対する世界的な関心が高まる中、国家元首や政府首脳、国際機関や金融機関のリーダー、業界の専門家が一堂に会し、主要なエネルギーおよび気候課題に対処する上での民生用原子力エネルギーの役割について議論した。原子力は現在、世界の総発電電力量の約10%を占めており、多くの国で低炭素かつ安定した電源として、再生可能エネルギーを補完する重要な役割を担っている。2025年9月、IAEAは5年連続で原子力拡大の予測を上方修正し、世界の原子力発電設備容量が2050年までに倍増する可能性があるとの見通しを発表。電力需要の増加、脱炭素化の必要性、エネルギー・セキュリティを背景に、同サミットは国際協力を強化し、民生用原子力の安全かつ持続可能な発展にむけた具体的な解決策を模索する重要な機会と位置付けられた。2024年3月にベルギー・ブリュッセルで開催された前回のサミットをふまえ、本サミットでは原子力発電国と、原子力導入を検討している新興国との間で国際協力を推進するとともに、国家、国際機関、金融界、産業界間のパートナーシップを促進させて、気候目標に沿った、安全で経済的に実現可能な民生用原子力エネルギーの開発の基盤を築くことを目的としている。さらに、2026年春に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議に先立ち、最高レベルの安全、安全性、核不拡散の確保という国際的な公約に沿った原子力エネルギーの平和利用を強調している。サミット冒頭、フランスのE. マクロン大統領は、民生用原子力発電がエネルギー・セキュリティの確保に寄与しており、「フランスの2025年の原子力発電電力量は約3,700億kWhを記録し、900億kWh以上のカーボンフリー電力を輸出した。原子炉の国内における新規建設プログラムも前進している。より不安定で、断片化し、不確実な世界において、それは主権の選択であり、競争力の選択であり、未来への保証でもある。フランスはこの選択をした」と強調した。続けて、IAEAのR. グロッシー事務局長は、「原子力は、低炭素で天候や燃料供給の混乱の影響を受けにくい安定した電源として、エネルギー・セキュリティと電力システムの安定に寄与する。再生可能エネルギーの導入を支えるベースロード電源として、AIの普及などによる電力需要の増加にも対応可能。現在、約60か国が導入を検討しており、原子力の拡大には予測可能な政策、強固なサプライチェーン、資金調達、標準化の推進が重要となる。IAEAは国際金融機関と連携し、各国の原子力導入を支援している」と語った。欧州委員会のU. フォンデアライエン委員長は、欧州は、化石燃料を高価で不安定な輸入に完全に依存し、現在の中東危機はその脆弱性を痛烈に思い知らせたと言及。「1990年は欧州の電力の3分の1が原子力由来だったが、現在は15%程度に過ぎない。欧州が、信頼性が高く廉価な低排出電源である原子力に背を向けたのは戦略的な誤りだった」と述べた。「欧州には自国産の低炭素エネルギー源が必要だ。原子力と再生可能エネルギーの組み合わせが重要であり、原子力は24時間、年間を通じて電力供給が可能である」と原子力の優位性を強調。そのうえで、「欧州には主導権を握るための全てが揃っている。原子力分野には50万人の高度な技能を持つ労働者がいる。欧州が次世代原子力エネルギーの世界的拠点となるために、我々は迅速かつ大規模に前進する意欲がある」とし、「2030年代初頭までにSMRの欧州における実用化を支援するため、革新的原子力技術への民間投資を後押しする2億ユーロの保証枠を創設する」と新たなSMR戦略を明らかにした。その後、各国首相および政府首脳の声明が行われ、午後には、パネルおよび円卓会議で、エネルギー転換およびカーボンフリー電力へのアクセスにおける原子力の役割、特に新規導入を検討する諸国の原子力プロジェクトを支える資金調達、SMRを含む先進炉技術とイノベーション、産業利用の可能性のほか、燃料供給保証、使用済み燃料や廃棄物の管理、施設の建設・運営に必要なスキルやサプライチェーンの開発などについて議論された。なお、同サミットにおいて、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28、於UAE・ドバイ)で署名された、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍にするという「原子力の三倍化宣言」にあらたに、ブラジル、ベルギー、中国、イタリアが署名した。今年3月初めに署名した南アフリカと併せ、署名国は38か国((アルメニア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、日本、カザフスタン、ケニア、韓国、コソボ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ナイジェリア、ポーランド、ルーマニア、ルワンダ、セネガル、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国 (以上38か国)))に拡大した。
- 11 Mar 2026
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