キーワード:SMR
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ノルウェー政府 SMR発電所計画で環境影響評価の準備へ
ノルウェー政府は4月8日、同国西部にあるアウレとハイムの両自治体で計画されている複数の小型モジュール炉(SMR)を備えた原子力発電所の建設に向け、環境影響評価(EIA)プログラムの策定を複数の機関に委託した。この計画は、ノルウェーの新興エネルギー企業であるノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft AS)社が2023年11月に提案したもので、西部ノルウェー海側のアウレ(Aure)自治体とハイム(Heim)自治体の境界に位置する共同工業地帯のタフトイ(Taftøy)工業団地でのSMR建設を想定している。これを受け、エネルギー省、保健・介護サービス省、司法・公安省、気候・環境省の4省は、水資源エネルギー局(NVE)、放射線・原子力安全局(DSA)、国民保護局(DSB)に対し、包括的な環境影響評価(EIA)プログラム策定に向けた勧告を、遅くとも今年9月までに作成するように求めている。ノルスク社が8日に4省から受け取った書簡によると、4省は各局との責任分担を明確化し、EIAプログラムはノルウェーの法律と国際条約を確実に遵守しなければならないと強調。影響評価の目的は、原子力法やエネルギー法、公害防止法および放射線防護法に基づく許認可プロセスにおいて、その決定に関連する十分な情報提供に資することである、と説明している。ノルスク社は今回の決定を受け、「ノルウェーの原子力法を適用した実践的なガイドラインの策定において重要な一歩である。ノルウェーにはすでに包括的な原子力法があるが、商業用原子力発電に適用されるのは初めてである」と述べ、ノルウェーの原子力発電にとって歴史的であると評価した。タフトイ工業団地で計画されている発電所は、最大出力150万kW、年間最大125億kWhの発電能力を持ち、運転時には最大500人の雇用を見込んでいる。ノルスク社は、ノルウェー国内の複数の自治体や電力集約型産業と連携したSMRの立地可能性調査を実施し、SMRの建設・運転を目指している。同社のJ. ヘストハンマル会長によると、国内では原子力発電導入に向けた調査に率先して取組む自治体の数が急速に増加しているという。
- 23 Apr 2025
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チェコ SMR建設計画に進展
チェコ電力(ČEZ)は4月8日、自社の進める小型モジュール炉(SMR)×2基の建設計画の支援に、米国のエンジニアリング会社であるアメンタム(Amentum)社を選定した。ČEZが運転するテメリン原子力発電所(VVER-1000、108.6万kW×2基)のサイト、および閉鎖予定の石炭火力発電所があるトゥシミツェ(Tušimice)のサイトにおいて、英ロールス・ロイス社製SMRを建設するプロジェクトに関する環境影響評価(EIA)報告書を提出する。アメンタム社は2サイトで初期のスコーピング調査を実施後、入札によりEIA実施者に選定された。EIAは、潜在的な放射線障害、廃棄物管理、事故発生時の影響のほか、地下水と河川の汚染防止対策、輸送、騒音などを調査対象としている。EIA報告書はチェコの環境省によって正式に承認される前に、公聴会と第三者機関による独立した評価を受ける。アメンタム社のA. ホワイト上席副社長は、「当社のチェコにおける長年のプレゼンスと計画プロセスに関するノウハウは、この戦略的プロジェクトの推進にとって理想的。ČEZとロールス・ロイス社が、電力生産の脱炭素化に向けてSMRの有効性を実証するための大きな一歩を踏み出すことを支援していく」と語った。チェコは2033年までに発電や熱生産における石炭利用を全廃し、再生可能エネルギーとともに、大型炉と中小型炉(SMR)の導入により、原子力発電を拡大する方針。既存のドコバニ原子力発電所(VVER-440、51.0万kWe×4基)とテメリン発電所での増設を優先させ、石炭火力全廃後、特に2035年以降に旧石炭火力サイトにSMRを順次リプレース、地域暖房を含めてSMRを活用する計画だ。2024年9月には、チェコ政府とČEZはSMR供給者7社の中から入札によって、ロールス・ロイスSMR社をSMRの建設プロジェクトの優先サプライヤーに選定している。なおアメンタム社は、オランダのボルセラ原子力発電所のサイトを建設候補地とする2基新設の計画について、2024年11月、オランダ気候政策・グリーン成長省からの委託により、海外ベンダーの3社(米ウェスチングハウス社、フランス電力、韓国水力・原子力会社)が実施した技術的実行可能性調査と市場調査に対する全面的なレビューのほか、同省に対して2基の新設に係る技術面および市場面での実行可能性、および、設計と資金調達に関する助言を行っている。またその翌月には、ノルウェーのコンサルティング企業であるマルチコンサルト・ノルゲ社(Multiconsult Norge AS)とともに、ハルデン・シャーナクラフト社(Halden Kjernekraft AS)から、ノルウェー南部ハルデン市でのSMR建設の実行可能性調査を受注。SMR建設にあたり、ノルウェー国内外の機器・サービスに関するサプライヤーの候補企業の調査のほか、採用炉型、環境影響などの評価を実施している。
- 21 Apr 2025
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米マイクロ炉 大学キャンパスに設置へ
米国の先進原子力会社である、ナノ・ニュークリア・エナジー(NANO Nuclear Energy)社は4月2日、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)と、研究用マイクロモジュール炉「KRONOS MMR」初号機の同大学キャンパスでの建設に向けて戦略的提携契約を締結した。同契約により、イリノイ大学はKRONOS MMRの許認可、立地、市民参加、研究活動に係わる正式パートナーとなり、研究・実証施設である原子炉の恒久的な設置サイトとなる。NANO社の創設者兼会長であるJ. ユー氏は、「設計が現実のものとなる。今回、サイトが選定され、イリノイ大学シャンペーン校の世界トップクラスの工学教育機関グレインジャー工科大学がパートナーとなった。単なる研究炉ではなく、安全でポータブル、かつレジリエンスのある原子力エネルギーの未来のための実証実験の場となる。当社の長期的な原子炉開発戦略の基盤となるものであり、世界中のコミュニティ、キャンパス、産業界に次世代の原子力エネルギーを供給していきたい」と意気込みを語った。KRONOS MMRは、冷却材にヘリウムを使用する第4世代の小型モジュール式高温ガス炉。5エーカー(0.02㎢)未満のコンパクトな設置面積で、最大4.5万kWt(1.5万kWe)の出力により、ローカルグリッド、再生可能グリッド、プロセス熱システムとシームレスに統合し、柔軟に稼働するように設計されている。燃料は、低濃縮ウラン(LEU)またはHALEU燃料を使用。NANO社は、KRONOS MMRエネルギーシステムは、既存の技術を活用し、新たなブレークスルーや時間とコストのかかる研究プログラムが不要と強調している。MMR(マイクロ・モジュール炉)は米国のウルトラ・セーフ・ニュークリア(USNC)社が開発していたが、USNC社は2024年10月、米国破産法第11章第363条に従い、自社技術の売却プロセスを実施することを発表。競売により同年12月、NANO社がUSNC社のMMRを含む、原子力技術資産の一部を買収し、MMRをKRONOS MMRに改称した。今後NANO社は、イリノイ大学が米原子力規制委員会(NRC)に提出する建設許可申請(CPA)の準備を支援するため、地下調査を含む地質学的特性評価のプロセスを開始する。この作業はサイトの環境パラメータを理解するために不可欠であり、施設の信頼性と安全性を最大限に確保し、NANO社の予備安全解析報告書(PSAR)と環境報告書(ER)作成をサポートするものである。この戦略的提携により、イリノイ大学とNANO社は、規制当局の許認可プロセス、プラント設計の実施、市民やステークホルダーの関与、および労働力の育成分野で協力していく。イリノイ大学はNRCとの規制面での関わりや市民との交流を主導するほか、PSARやERなどのライセンス活動を支援しつつ、サイト配置、建設性評価、将来のオペレーター訓練プログラムを実施。NANO社は、プラントの設計、建設、システム統合、商業化に向けた開発を行う。この提携は、イリノイ大学のノウハウとNRCとの関わりを基に構築されており、同大学は2021年6月、(当時)USNC社製MMRを将来に学内で建設するため、NRCに意向表明書(LOI)を提出している。イリノイ大学内のグレインジャー工科大学のC. ブルックス教授は、「KRONOS MMRプロジェクトは、国内初となるだけでなく、学術界初となる可能性があり、学生、研究者、規制当局、市民が実際の世界のマイクロ炉開発の取組みを直接、大学サイトで学ぶことができる」「このエネルギーシステムは、教育、研究、大規模な実証を通じて原子力の新しいパラダイムを可能にする可能性を秘めており、米国のどのキャンパスにおいても最先端の原子力研究のプラットフォームとなり得るものだ」と指摘。NANO社の最高技術責任者兼原子炉開発責任者であるF.ハイデット博士も「同プロジェクトは、将来のあらゆる大学主導の原子力プロジェクトの先例となる」と強調した。
- 17 Apr 2025
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データセンターの電力消費量 2030年に日本超え
国際エネルギー機関(IEA)は4月10日、報告書「Energy and AI」を公表。データセンターの電力消費量が、2030年までに約9,450億kWhと2024年の水準から倍増するとの見通しを明らかにした。これは、現在の日本の総電力消費量をわずかに上回る規模である。報告書によると、AIが他のデジタルサービスに対する需要増と並んで、この増加を牽引する最大の要因であるという。特に米国の影響が圧倒的に大きく、2030年までに見込まれる電力需要の増加分の約半分を、データセンターが占める見通しだ。さらに、データセンターによる電力消費量は、アルミニウム、鉄鋼、セメント、化学などのエネルギー集約型産業全体で使用される電力の合計を上回ると予想している。なお、現在、米国のデータセンターの半分近くが、5つの地域クラスターに集中している。これにより、これらの地域では既にデータセンターが、電力市場に大きな影響を及ぼしているという。また、報告書は、データセンターの旺盛な電力需要に対して、蓄電設備や地域間の電力融通といった電力系統のバックアップに支えられた、再生可能エネルギー(再エネ)と天然ガス火力が、供給面での主導的な役割を担うと指摘している。具体的には、今後5年間で世界のデータセンターにおける電力需要の伸びの半分を、再エネがカバーすると予測。再エネについては、短い建設期間や高い経済競争力、そしてIT企業による積極的な電力調達戦略を背景に、2035年までに4,500億kWh以上増加すると見込まれている。原子力については、2030年以降に小型モジュール炉(SMR)の導入が進むと予想。米国では、大手IT企業がSMR開発の支援に乗り出しており、特に、SMR初号機が運転開始予定の2030年以降、原子力発電の役割が一段と大きくなる見通しだ。現在、IT企業は既に合計出力2,000万kW以上ものSMRへの出資を計画しており、SMR開発が順調に進めば、さらに大きな展開が見込まれるという。また、再エネの着実な増加とSMRの拡大により、天然ガス火力の追加需要は抑えられ、2035年までに米国のデータセンターへの電力供給の半分以上を低排出電源が占めると予測している。同様に、中国でも2030年以降、SMRの導入により、データセンター向け電力供給における原子力シェアが大幅に増加する見込みである。2030年から2035年にかけて、再エネと原子力の拡大が進むなかで、石炭利用が相対的に減少。報告書は、2035年までに再エネと原子力を合わせて、中国のデータセンターへの電力供給の約60%を占めると予想している。そのほか、欧州では、再エネと原子力が、追加で必要となる電力の大部分を供給する見通しである。これにより、欧州全体における両電源のシェアは合わせて、2030年までに85%に上昇する。また、現在、日本と韓国のデータセンターが消費する電力は、世界のデータセンターの電力需要の約5%を占めており、このシェアは2030年まで維持される見込み。両国では、再エネと原子力が、2030年のデータセンターの消費電力の現在の35%から60%近くをカバーすると見られている。一方で報告書は、AIやデータセンター事業者による原子力投資が実現せず、既設インフラからデータセンターに電力供給される場合、2035年までにデータセンター向けの電力供給に占める原子力の割合は、現在の約15%から約10%にまで低下する可能性があると指摘している。関連記事:原子力産業新聞 FEATURE「IT社会と原子力」
- 16 Apr 2025
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米DOE SMR初期導入に9億ドルの支援を再募集
米エネルギー省 (DOE)は3月24日、トランプ大統領によるエネルギーおよび人工知能(AI)分野の規制緩和方針に基づき、小型モジュール炉(SMR)の配備に向けて、総額9億ドル(約1,352億円)の支援に対する再申請プロセスを開始した。 C. ライトDOE長官は、「米国の原子力ルネサンスは今始まる。豊富で安価なエネルギーは、米国の経済的繁栄と安全保障のカギだ。本募集は、先進的な軽水炉型SMRの配備を通じて、より多くのエネルギーの送電をめざす、先行企業への行動を呼びかけるもの」と強調した。 米国の電力需要は、消費者のニーズ、データセンターの成長、AI利用の増加、産業部門の恒常的な電力需要によって、今後数年間で急増すると予測されている。DOEは、SMRはエネルギー集約型部門に信頼性の高い電力の提供とコンパクトなサイズおよびモジュール設計により柔軟な設置が可能であり、特に、軽水炉型SMRが、米国の既存の軽水炉を支えるサービスとサプライチェーンの活用により、短い期間で導入可能な利点を指摘する。DOEは、第3世代+(プラス)軽水炉SMRの配備のリスクを軽減するために、次の2つのカテゴリーに分けて資金提供を実施する。1つ目のカテゴリーとして先陣を切る、ファースト・ムーバー・チーム支援(First Mover Team Support)では、DOEは、同時に複数の第3世代+SMRの受注促進を目的として、コンソーシアム・アプローチ、すなわち、電気事業者、原子炉ベンダー、建設業者、エンドユーザーなどがチームとして参加することを条件とし、最大2チームを支援。支援額は最大8億ドル(約1,202億円)。プロジェクト設計に保障措置とセキュリティを取り込むため国家核安全保障局との協業を考慮する。2つ目のカテゴリー、ファスト・フォロワー・導入支援(Fast Follower Deployment Support)では、設計、許認可申請、サプライチェーン、サイト準備などの分野で国内の原子力産業の発展を妨げてきた主要なギャップに対処し、第3世代+SMRのさらなる配備の促進に向けて約1億ドル(約150億円)を支援する。選考は、技術的な利点のみを考慮し、応募締め切りは2025年4月23日。前バイデン政権下で2024年10月に実施された募集時における申請者が再び審査を受けるには、新しいガイダンスに従って提案を再提出する必要があるとしている。詳細は、第3世代+SMRのWebページの参照を呼び掛けている。
- 31 Mar 2025
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インド ラジャスタン7号機が送電開始
インドで建設中のラジャスタン原子力発電所7号機(PHWR、70万kW)が3月17日、送電網に接続し、送電を開始した。同機は、2024年9月19日に初臨界を達成している。インド原子力発電公社(NPCIL)は、計16基からなる70万kW級の国産PHWR建設プロジェクトを掲げており、ラジャスタン7号機が営業運転を開始すると、同プロジェクトではカクラパー3、4号機に次いで、3基目となる。ラジャスタン8号機、ゴラクプール1、2号機が建設中で、10基が計画中。すべて2031年までに運開予定であり、インド原子力省(DAE)は同年までに原子力発電設備容量を2,248万kWに増強する計画である。インドの原子力発電開発をめぐっては、N. シタラマン大臣が2025年2月、2025年度(2025年4月~2026年3月)連邦予算を発表。原子力発電設備容量を2047年までに少なくとも1億kWに引き上げるとともに、2,000億ルピー(約3,500億円)を投じて小型モジュール炉(SMR)の研究開発を推進する「原子力エネルギーミッション」を開始、2033年までに少なくとも国産SMR5基の運転開始をめざす方針を表明した。さらに、民間企業がこのセクターに参入するための大きなハードルとなっていた原子力法および原子力損害賠償法の改正を進め、民間部門との連携強化を図る考えを示している。インド政府で原子力や科学技術を担当するJ. シン閣外専管大臣は、3月12日付けの下院議会への答弁書で、バーラト小型モジュール炉(BSMR)の開発状況について説明した。既存のPHWRを改良したBSMR-200(20万kWe)は、バーバ原子力研究所(BARC)とNPCILが設計・開発したもので、鉄鋼、アルミニウム、セメントなどのエネルギー集約型産業向けの自家発電用や、閉鎖予定の火力発電所の代替、送電網が未整備で接続されていない遠隔地への配置を想定している。現在、概念設計が完了し、当局の承認待ちであるという。建設期間はプロジェクト認可取得後、60~72か月を見込み、機器および部品の製造と納入はDAEが開発した国内のベンダーを通じて実施される。また、出力5.5万kWeの先行2基のツインユニットを2033年までにDAEのサイトに設置することも明らかになった。
- 18 Mar 2025
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独シーメンス 英製SMRにタービン供給へ
独エネルギー・エンジニアリング大手のシーメンス・エナジー社は2月28日、英国で小型モジュール炉(SMR)の開発を行うロールス・ロイスSMR社とパートナーシップ契約を締結した。この契約によりシーメンス社が蒸気タービン、発電機、その他補助システムを供給することになりそうだ。最終契約は、2025年末までに締結予定。シーメンス・エナジー社は、何十年にもわたり、原子力発電所の非原子力部である、いわゆる「パワーアイランド」の機器とサービス供給の実績がある。原子力発電所向けとしては、出力2万kWから190万kWまでの蒸気タービンと発電機、および運転制御システムをラインナップする。シーメンス・エナジーの取締役会メンバーであるK. アミン氏は、「当社には数十年にわたる機器供給の実績があり、ロールス・ロイス社は必要な実装のノウハウを持っている。エネルギー供給の未来を共に形作る機会を嬉しく思う」と語った。ロールス・ロイスSMRは既存のPWRをベースとしており、電気出力が47万kWとSMRにしては大型なのが特徴。運転期間は60年以上。なお同炉は、英国の原子力発電所新設の牽引役として2023年7月に発足した政府機関「大英原子力(Great British Nuclear=GBN)」が実施するSMRの支援対象選定コンペで、最終選考に残った4炉型の1つ。最終入札の提出への招待状が2025年2月に各炉型を開発する4社に送られ、選定プロセスは最終段階に入っている。GBNは今春に支援対象を決定する予定だという。
- 12 Mar 2025
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北欧 小型高速炉の導入に向けて協力
スウェーデンの先進炉開発企業であるブリカラ(Blykalla)社は2月26日、ノルウェーの新興エネルギー企業であるノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft)社と、小型モジュール炉(SMR)「SEALER」(5.5万kWe)の展開に向けて協力覚書を締結した。 SEALERはブリカラ社が開発する鉛冷却高速炉。安全で効率的、出力拡張の可能なコンパクトなモジュール設計を特徴とし、2030年までに初号機の臨界を達成し、2030年代に量産を開始する計画である。独エネルギー大手のユニパー社、スイス大手エンジニアリング企業のABB社、スウェーデンの原子力発電事業者OKG社、スウェーデン王立工科大学などのパートナー各社から支援を受けており、スウェーデンのエネルギー庁や欧州連合などから約5,000万ユーロ(約80億円)の資金を供与されている。 ノルウェー国内では近年、原子力発電導入に向けた調査に率先して取組む自治体の数が急激に増加。ノルスク社はSMRの建設、所有、運転を目指し、国内の複数のサイト候補地で各自治体や電力集約型産業と連携したSMRの導入検討や建設可能性の調査を実施している。今回の覚書により両社は、ノルスク社が現在開発中の発電所プロジェクトにSEALERを導入し、ノルウェーでの展開にむけたサイト適性、規制対応、実行可能性の評価を行う。 両社は今後さらに、スウェーデンにおいて初号機となる実証炉SEALER-Oneの許認可手続き、資金調達、建設、運用面でも協力していく考えだ。ノルスク社はSEALER-Oneプロジェクト会社への参加可能性やブリカラ社への出資など、スウェーデン市場への進出を模索する。両社は覚書締結を契機に、原子力エネルギー開発の強化、サプライチェーン、許認可手続き、ファイナンス、研究等の分野で協力し、両国で革新的で信頼性の高い原子力の展開を加速させ、北部遠隔地への電力供給を含む、スカンジナビア地域のクリーンで安定したエネルギー安全保障を実現させたい考えだ。 ブリカラ社はこれに先立つ2月3日、重要なコンポーネントと安全システムの検証を目的に、電気式のプロトタイプ(SEALER-E)を収容した試験施設の起工式を挙行している。同施設はスウェーデンのオスカーシャム原子力発電所サイトに建設されるが、起工式には、スウェーデンのE. ブッシュ副首相兼エネルギー・ビジネス・産業相も出席した。建設の第1段階は6月までに完了予定であり、2025年第3四半期には試運転を開始する予定である。
- 11 Mar 2025
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欧州 小型高速炉開発で連携
フランスの小型ナトリウム冷却高速炉(SFR)を開発するヘクサナ(HEXANA)社は2月20日、ベルギーの大手エンジニアリング・コンサルティング企業であるトラクテベル(Tractebel)社と戦略的パートナーシップ契約を締結した。これにより、ヘクサナ社のSFRと蓄熱能力を組み合わせた小型モジュール炉(SMR)の、エネルギープラットフォーム開発を加速する。トラクテベル社はフランスに基盤を置く電気・ガス事業者エンジー(Engie)社の傘下企業で、原子炉の設計や建設プロジェクトにおいて、フランスの国内外で50年以上の経験を有する。今回の契約で、SMRエネルギープラットフォームの原子力部の建屋・施設の設計に加え、システムの効率性、信頼性、長寿命の確保のため、特殊コンポーネントの取扱いとメンテナンスを実施する。また、欧州の安全規制への適応を支援する。ヘクサナ社は、2023年設立の仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)からのスピンオフ企業。SMRエネルギープラットフォームは、高温熱および電力を生成するように設計された小型モジュール式の高速炉(40万kWt)を2〜6基統合し、電気出力は最大90万kWとなる。CEAが数十年にわたり開発した実証済みのPhénix、Superphénix、ASTRIDの高速炉技術に基づくという。高温の熱エネルギー貯蔵と電力を組合わせ、重工業や航空・海上輸送などのエネルギー集約型産業のニーズに適時に応えると強調する。また、英国発祥で、現在はフランスのパリに本社を置く先進炉開発企業のニュークレオ(Newcleo)社は2月20日、スウェーデンの先進炉開発企業であるブリカラ(Blykalla)社と、鉛冷却高速炉(LFR)用材料の共同研究開発に関する契約を締結した。これにより両社は、それぞれの研究開発プログラム支援のため、契約の範囲内で互いの研究施設や専門スタッフにアクセスし、材料の試験結果、関連データを交換する。但し、商業目的や本契約の範囲外での新技術の開発には使用されない。それぞれの研究開発プログラムと工業化プロセスから得られる知見を組合わせ、材料ソリューションを強化。次世代炉の信頼性と長寿命を確保し、欧州の脱炭素化に向けてLFR技術の商業化を促進したい考えだ。なおこの契約は、欧州SMR産業アライアンスの目標に沿ってサプライチェーンの最適化を支援し、各当事者の炉型の許認可手続きにおいて国境を越えた知識交換の促進にも役立つと指摘する。ニュークレオ社のS. ブオノCEOは、「我々の協力は、それぞれの開発プログラムの加速に役立つ知識の共有を目的とし、原子力セクター全体にも役立つもの。必要性が緊急で時間が限られる場合、この種の協力がカギとなる」と言及。ブリカラ社のJ. ステッドマンCEOは、「当社の耐腐食性材料に関する広範な専門知識とニュークレオ社の工業化能力を組合せ、鉛冷却炉技術の商業化を進める」と語った。ブリカラ社は、安全で効率的、出力拡張の可能なコンパクト設計の鉛冷却高速炉「SEALER」(5.5万kWe)を開発。2030年までに初号機の臨界を達成し、2030年代に量産を開始する計画である。ニュークレオ社は自社開発の鉛冷却高速炉(LFR)である実証炉「LFR-AS-30」(3万kWe)を2030年までにフランスで建設し、2033年までに英国で商業規模に拡大した「LFR-AS-200」(20万kWe)の建設を目指している。2024年12月には英原子力規制庁(ONR)による包括的設計審査(GDA)を申請した。なお、ニュークレオ社は2月24日、アラブ首長国連邦の首長国原子力会社(ENEC)と、欧州およびMENA地域(中東、北アフリカ)でのニュークレオ社のLFRの展開に向けた戦略的協力に関する了解覚書(MOU)に調印。両社は、欧州での既存LFRプロジェクトへの共同投資と開発の機会を模索する協力を実施し、MENA地域のエネルギー需要軽減が困難な業界にLFR導入による脱炭素化を検討する。また、研究炉や運転中の施設を活用した能力開発プログラムや実地訓練での共同作業を通じ、知識移転の可能性も考慮するとしている。MOU締結はENECの新規および先進的な原子力エネルギー技術への投資と展開における成長計画に沿ったものであり、ENECのバラカ原子力発電所の運転実績とノウハウ、ニュークレオ社の先進技術の組合せが大きな価値を生み出すと期待を寄せる。
- 04 Mar 2025
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インド企業 原子力で自家発を計画
インドの天然資源会社大手のヴェダンタ(Vedanta)社は2月20日、合計出力500万kWeの原子力発電所の設計、建設、運転に関し、グローバル企業からの関心表明(EOI)の募集を開始した。ヴェダンタ社は、原子力発電を使用して自社プラントのエネルギー需要を満たす考えだ。エンドツーエンドのターンキープロジェクトを提供する確かな実績を持つ、世界的に認められた企業を探していると表明している。関心のある企業は、募集開始から30日以内にEOIを提出する必要がある。なお同社が、原子力発電所のサイト、インフラ支援、規制当局の承認を手配するという。同社の事業は原油生産からアルミニウム、亜鉛生産まで多岐にわたり、インド全土に工場がある。また、発電事業も手掛けており、既存の900万kWeの火力発電プラントの他、400万kWeの再エネプラントが建設中である。インドのN. シタラマン財務大臣は2月1日、2025年度(2025年4月~2026年3月)連邦予算を発表。原子力発電設備容量を2047年までに少なくとも1億kWに引き上げるとともに、2,000億ルピー(約3,500億円)を投じて小型モジュール炉(SMR)の研究開発を推進する「原子力エネルギーミッション」を開始、2033年までに少なくとも国産SMR5基の運転開始をめざす方針を表明した。さらに、民間企業がこのセクターに参入するための大きなハードルとなっていた原子力法および原子力損害賠償法の改正を進め、民間部門との連携強化を図る考えを示している。最近では、インドのコングロマリットの「ナヴィーン・ジンダル・グループ(Naveen Jindal Group)」が、原子力企業のジンダル・ニュークリア・パワー(Jindal Nuclear Power)社を設立し、今後20年間で1.8兆ルピー(約3.2兆円)を投じて、バーラト小型原子炉(BSR)を含む先進技術を活用し、1,800万kWの原子力発電所を建設・所有・運転する計画を発表。インド有数の電力会社であるタタ・パワー(Tata Power)社も政府の原子力拡大方針に伴い、小型モジュール炉(SMR)の開発機会を模索すると表明するなど、民間企業による原子力分野への参入が目立ってきている。
- 03 Mar 2025
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米国 国家エネルギードミナンス評議会を設立
米トランプ大統領は2月14日の大統領令により、大統領府内に、エネルギー政策の司令塔となる、国家エネルギードミナンス(支配)評議会を設立した。D. バーガム内務長官が議長を務め、C. ライト・エネルギー省(DOE)長官が副議長を務める。他メンバーには、国務長官、財務長官、国防長官、司法長官、農務長官、商務長官、運輸長官、環境保護庁の管理者、経済政策や国家安全保障問題担当の大統領補佐官らを含む。同評議会は、最終的には国内のエネルギー生産を増やすことによって「エネルギー支配を達成する」ための戦略について大統領に助言することを目的としている。評議会は、大統領から、100日以内に提言と既存の権限下で可能な行動の両方を含む計画の提出を要請されている。同大統領令では、この計画によって「信頼性の高いエネルギーの緊急性など、エネルギー支配に関連する事項について国民的な意識を高める」と指摘。「インフレを押し下げ、経済を成長させ、高賃金の雇用を創出、製造業における米国のリーダーシップを再確立し、人工知能(AI)で世界をリードする。世界中の戦争を終わらせるために商業的および外交的な手段を振るい、力によって平和を回復する。そのためには、信頼性が高く手頃な価格のあらゆる形態のエネルギー生産を拡大しなければならない」と強調する。アメリカのエネルギー支配を政策の基軸に据え、原油、天然ガス、ウラン、石炭、バイオ燃料、地熱など、潤沢な国内資源を活用し、外国からの重要鉱物の輸入依存を減らし、経済を成長させる方針を示している。同協議会は、許認可、生産、発電、流通、規制、輸送、輸出を含むエネルギー産業を取り巻くプロセスを改善するための戦略について大統領に助言する。また、官僚的な形式主義や不必要な規制を廃し、民間部門の投資の拡大、イノベーションの促進など、エネルギー支配を達成するための長期目標を含む、より多くのエネルギー生産を可能にするための国家エネルギー支配戦略を大統領に提出する役目も担う。エネルギー生産の増大という政策目標を実現させる行動の例として、発電設備容量の急速かつ大幅な増加、エネルギーインフラの迅速な承認に加え、閉鎖された発電所の運転再開へ向けた取組みの促進や、小型モジュール炉(SMR)の早期運開を挙げている。
- 28 Feb 2025
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インド 米仏と原子力協力を一層拡大へ
インドのN. モディ首相は2月13日、米ワシントンでD. トランプ大統領と2期目就任後初となる首脳会談を実施した。会談後の共同声明で両首脳は、石油、ガス、原子力を含む米印エネルギー安全保障パートナーシップを再確認した。特に原子力については、大規模な現地化と可能な技術移転を通じて、米国の設計による大型炉や小型モジュール炉(SMR)をインドに共同で建設する計画を前進させ、米印原子力協定を完全に実現すると表明。また印政府による、原子力法及び原子炉に対する民事責任法(Civil Liability for Nuclear Damage Act: CLINDA)の改正に関する2月1日の発表を受け、民事責任の問題に対処し、原子炉の製造及び展開における両国の産業界の協力促進のため、CLINDAに準拠した二国間取決めの確立に合意した。モディー首相は訪米に先立つ2月12日、フランス・パリでE. マクロン大統領と会談。会談後の共同声明では、両者は原子力がエネルギー安全保障を強化し、低炭素経済に移行するためのエネルギーミックスの不可欠な部分であるとの共通認識を強調。両国の民生用原子力分野における協力、特にジャイタプール原子力発電所プロジェクト関連での取組みを確認した。また、民生用原子力協力に関する特別タスクフォースの第1回会合が1月に開催されたことを歓迎したほか、SMR及び先進型モジュール炉(AMR)のパートナシップ確立に関する基本合意書に署名。さらに、印原子力省(DAE)と仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)間で、印・原子力エネルギー・パートナーシップ国際センター(GCNEP)と仏・国立原子力科学技術研究所(INSTN)を通じた原子力専門家の訓練及び教育における協力に合意した。なお、モディー首相はマクロン大統領とともに、2月10日~11日にパリで開催されたAIアクションサミットの共同議長を務めている。
- 26 Feb 2025
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NEAマグウッド事務局長が来日 都市大で講演
OECD/NEA(原子力機関)のマグウッド事務局長がこのほど来日し、東京都市大学で講演した。講演会は同大とNEAが人材交流を目的にMOUを締結したのにあわせて開催された。マグウッド事務局長は、「次代を担う原子力:新たなチャンスと取り組むべき課題」と題し、次世代炉や小型モジュール炉(SMR)導入の展望に加え、原子力利用の加速に向けた資金調達や、規制の在り方、政策支援、市場環境、インフラ整備における課題と対策について、1時間ほど講演した。事務局長は、「2050年のカーボンニュートラル、世界の原子力発電設備容量を現在の3倍にするために、既存炉の長期運転、SMRの建設拡大、原子力の非電化用途の拡充など、同時並行で実施する必要がある。そのためには大きく4つの課題(サプライチェーン、法規制、政策と市場、インフラ整備)をクリアしなければならない」と述べた。特に今日の電力市場は、「長期的な環境対策とエネルギー安全保障が十分に考慮されておらず、出力調整可能なエネルギーに大きな価値がある」と指摘した。また、「各国政府がFOAK(初号機)リスクに対処するための政策の立案、新規原子力建設の資金調達を支援するための政府保証が重要であり、世界銀行のような国際金融機関が大きな役割を果たさねばならない」と語った。そして、「NEAでは、学生を対象としたさまざまなワークショップを各国で開催し、関係省庁や機関、そして産業界の専門家と科学技術について議論する機会を提供している。この講演に参加されている東京都市大学の学生の中にも、良いアイデアをお持ちの方がいるかもしれない」と述べ、学生の参画を促した。事務局長は、「長年にわたり原子力の仕事をしてきたが、原子力の評価は時代とともに変化してきた。私がこの世界に踏み入れた頃は、原子力は経済的に成り立たず廃れていく産業だと考える人が多くいたが、のちに原子力ルネサンスと呼ばれる時代が訪れた。しかし、福島第一原子力発電所の事故のような、業界内に大きな影響を与える出来事があり、そこから多くの教訓を学び、今に至っている。近年では多くの国が、原子力をエネルギーミックスの一部として取り入れるようになっており、今こそ原子力が本領を発揮する好機だ」と強く訴えた。
- 26 Feb 2025
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韓国造船企業 SMR駆動によるコンテナ船の設計を発表
韓国のHD現代グループの韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)社は2月12日、米国ヒューストンで開催された“New Nuclear for Maritime Houston Summit”にて、小型モジュール炉(SMR)駆動によるコンテナ船の設計モデルを初公開した。KSOE社はこれまでに、SMRを適用した15,000 TEU((TEU(twenty-foot equivalent unit、20フィートコンテナ換算)。コンテナ船の積載能力やコンテナターミナルの貨物取扱数などを示すために使われる、貨物の容量のおおよそを表す単位。))級コンテナ船モデルについて、米国船級協会(ABS)の基本設計承認(AIP)を取得。今回公開した設計モデルは、実際の設備や安全設計の考え方を取入れ、経済性と安全性を向上させたものだ。原子力船は従来の船舶と異なり、エンジン排気装置や燃料タンクを必要としない。KSOE社は、これまで大型のエンジンルーム設備が占めていたスペースを最適化し、追加のコンテナを収容できるようにして経済性を向上させた。また、安全性を確保するために、ステンレス鋼と軽水による二重タンク方式の海上放射線遮蔽システムを採用し、堅牢な安全基準を確保している。さらにKSOE社は、世界的なエネルギー技術企業である米ベーカー・ヒューズ社と協力して、超臨界二酸化炭素ベースの推進システムを採用し、既存の蒸気ベースの推進システムと比較して熱効率を約5%向上させた。この技術の導入により、原子力船の経済性と環境上の利点がさらに向上する。KSOE社は、韓国北西部の京畿道龍仁市にある未来技術試験センターに海上原子力実証施設を設立し、安全性設計の検証と試験を行う予定だ。ABSのP. ライアン最高技術責任者は、「原子力船は、カーボンニュートラルが台頭しつつある現在の造船市場においてゲームチェンジャーになり得る。ABSとKSOE社は、世界の造船市場における海上原子力技術の商業化の加速に貢献する」と語った。海事業界では、炭素排出量を削減し、持続可能性の目標を達成するため、海事用途の原子力技術への関心と投資が高まっている。KSOEグリーンエネルギー研究所のS. パク所長は、「原子力船の商業化に必要な国際的な規制を確立するため、主要な船級協会だけでなく、国際的な規制機関との協力を強化している」「陸上のSMR製造プロジェクトをはじめとし、2030年までに海洋原子力ビジネスモデルの開発を目指す」との展望を示した。KSOE社は2024年2月から米国の原子力開発ベンチャー企業であるテラパワー社と次世代SMRの共同研究を行い、関連技術の開発を加速している。同年12月には、米国ワイオミング州に建設中のテラパワー社の先進炉「Natrium」の主要機器の製造を受注した。
- 21 Feb 2025
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米テネシー州 原子力プロジェクトへの支援を拡大
米テネシー州のB. リー知事は2月10日、州議会において2019年の知事就任から7回目となる一般教書演説を行い、2026会計年度(2025年7月~2026年6月)の予算案について明らかにした。原子力関係予算では7,000万ドル(約105億円)を計上している。リー州知事は、「テネシー州が原子力イノベーションをリードし、アメリカの未来を保障する」と語った。知事自身の提案により2023年、州政府が5,000万ドル(約75億円)を投じて、原子力関連企業の同州への拠点移転支援や同州の大学・研究機関における原子力教育の発展を目的とする原子力基金が創設されている。知事はこの基金の創設を契機に、テネシー州が米国の最先端のエネルギー企業から注目を集めていると指摘。米新興企業のケイロス・パワー社やX-エナジー社のほか、仏オラノ社の米国法人オラノUS社がテネシー州に拠点を置いている現状に言及し、先進的な原子力企業の一層の誘致を目指し、同基金への1,000万ドル(約15億円)の追加投資を予算案に含めていると説明した。ケイロス・パワー社は、テネシー州オークリッジにある米エネルギー省(DOE)の「東部テネシー技術パーク(ETTP)」にてフッ化物塩冷却高温炉の「ヘルメス」実証プラントの建設工事を開始している。X-エナジー社は、米・大手化学メーカーであるダウ・ケミカル社のテキサス州メキシコ湾沿いに位置するシードリフト市の製造施設で、Xe-100を4基連結させた発電所の建設を計画。また、オラノUS社が遠心分離方式によるウラン濃縮施設の建設候補地に同州オークリッジ市を選定している。また知事は、同州のテネシー峡谷開発公社(TVA)がSMR建設用地として事前サイト許可を有する、クリンチリバー・サイトにおける小型モジュール炉(SMR)開発支援に向けた基金を創設。5,000万ドル(約75億円)を拠出し、テネシー州を次世代原子力のリーダーとして位置づけると表明した。TVAは今年1月、SMRの建設を検討している主要な公益事業会社や開発者、サプライヤー、建設パートナーと共同で、クリンチリバー・サイトにおける、GE日立製のSMR「BWRX-300」の建設を加速するために、DOEの第3世代+(プラス)小型モジュール炉プログラムから8億ドル(約1,202億円)の助成金を申請している。このほか、原子力関係の予算案には以下を含む。原子力諮問委員会の勧告に従い、原子力関係従業者の教育支援のため、職業教育投資(Governor’s Investment in Vocational Education: GIVE)に1,000万ドル(約15億円)の追加投資。商業用核融合発電のための米国初の規制枠組みの策定に260万ドル(約3.9億円)。さらに知事は、米国全土および世界中から、米南東部への移転を検討している多くの企業関係者と会うが、その決断は、エネルギー、労働者の有無に左右される、と言及。原子力が労働者階級の家庭にとって重要なのは、エネルギーがなければ、経済発展も雇用創出も無くなるからだ、と強調した。知事は、新興企業、新技術、研究開発を戦略的に支援し、経済の多様化、雇用の促進を図るほか、職業訓練、技術教育を拡大し、テネシー州の若者たちに雇用を確保し、テネシー州が米国最大のイノベーターたちの新たなフロンティアになることを目指す、との決意を表明した。
- 20 Feb 2025
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米国 アリゾナ州で新規建設案が浮上
米アリゾナ州のアリゾナ・パブリック・サービス(APS)社は2月5日、同州にある他電力会社2社と、州内において原子力発電の追加導入を検討すると発表した。APS社はアリゾナ州最大の電力会社。石炭火力発電所の他、州都フェニックス市の西に位置するパロベルデ原子力発電所(PWR×3基、各141.4万kWe)を1986年から運転している。同州のソルト・リバー・プロジェクト(SRP)社、ツーソン電力(TEP)社とともに、同州の増大するエネルギー需要に対応するため、先進的な原子炉の導入可能性評価に共通の関心を持っている。APS社はSRP社およびTEP社と協力して、原子力発電所の新規建設を検討し、閉鎖予定の石炭火力発電所を含む、幅広い候補地を評価する取組みを主導する。3社は、原子力は信頼性が高く、安価でクリーンなエネルギーであり、経済成長に貢献する、多様なエネルギーミックスの重要な構成要素であるとの認識で一致している。APS社のT. ゲイスラー社長は、「アリゾナ州のエネルギー需要が急激に増大する中、原子力発電所の新規建設には10年以上かかる。エネルギー源の選択肢の検討を今すぐ始めなければならない。他のエネルギー源とともに新たな原子力発電の実現可能性を評価していく」と語った。3社は追加の原子力発電所として、小型モジュール炉(SMR)と、可能であれば大型炉の設置を検討している。アリゾナ州で建設候補地の予備調査を開始するにあたり、すでに米エネルギー省(DOE)のクリーンエネルギー実証局(OCED)および原子力エネルギー局(NE)による第3世代+(プラス)小型モジュール炉プログラム下の助成金を申請している。助成が承認されれば、3年間のサイト選定プロセスと、米原子力規制委員会(NRC)への事前サイト許可(ESP)申請に向けた準備が加速されることになる。3社は共同作業により、早ければ2020年代遅くにサイトを選定、2040年代初めには追加の原子力発電所の運転開始を計画している。
- 17 Feb 2025
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インド初の民間原子力会社が誕生へ
インドのN. シタラマン財務大臣は2月1日、2025年度(2025年4月~2026年3月)連邦予算を発表した。原子力発電設備容量を2047年までに少なくとも1億kWに引き上げるとともに、2,000億ルピー(約3,500億円)を投じて小型モジュール炉(SMR)の研究開発を推進する「原子力エネルギーミッション」を開始、2033年までに少なくとも国産SMR5基の運転開始をめざす方針を表明した。さらに、原子力法および原子力損害賠償法の改正を進め、民間部門との連携強化を図る考えだ。政府報道情報局(PIB)は2月3日、N. モディ首相名で同連邦予算における原子力発電に関する声明を発表した。声明では、原子力開発がエネルギーの安定供給確保や、化石燃料依存の低減に寄与すると述べ、自身が掲げる「先進インド構想(ヴィクシット・バーラト((バーラトは、ヒンディー語で「インド」の意味。)))」の目標に合致すると強調。長期的なエネルギー移行戦略の一環として、原子力を大幅に推進し、エネルギーミックスの主要な柱とする方針を示した。同声明のなかで、政府は今後、ヴィクシット・バーラトに向けた原子力エネルギーミッションを推進し、民間部門と連携して、以下の目標の達成をめざすとしている。- バーラト小型原子炉(BSR)の設置- バーラト小型モジュール炉(BSMR)の研究開発- 原子力エネルギーに関する新技術の研究開発このうち、BSRは22.0万kWの加圧重水炉(PHWR)で、従来のPHWRを民間向けに改良したものとされる。鉄鋼、アルミニウムなどのエネルギー集約型産業の拠点近傍に設置し、脱炭素化を支援する狙いがある。計画では、民間事業者が土地や資本等を提供し、インド原子力発電公社(NPCIL)が現行の法的枠組みのもとで設計や運転、保守等を担う。民間によるBSRの建設に向け、NPCILは2024年12月31日付けで提案依頼書(RFP)の募集を既に開始している。さらに新たな動きとして、インドのコングロマリットの「ナヴィーン・ジンダル・グループ(Naveen Jindal Group)」がこのほど、原子力企業のジンダル・ニュークリア・パワー(Jindal Nuclear Power)社を設立し、原子力分野への参入を発表したことが、複数のメディアで報じられている。それによると、ジンダル・ニュークリア社は、今後20年間で1.8兆ルピー(約3.2兆円)を投じて、BSRを含む先進技術を活用し、1,800万kWの原子力発電所を建設・所有・運転する計画だ。同社は、インドで初めて原子力発電分野に投資する民間企業となる。1962年原子力法は、民間部門による原子力発電参入を禁止しており、原子力省(DAE)傘下のNPCILとバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム社(BHAVINI、高速炉の建設と運転の事業者)の2つの国営企業に限定されていた。しかし、2015年の法改正により、インド国営火力発電会社(NTPC)のような政府系公社がNPCILと提携が可能となっていた。今回のジンダル・ニュークリア社の設立は、インドにおける原子力発電の新たな時代の幕開けを示している。
- 14 Feb 2025
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カナダとポーランドが原子力協力協定を締結
カナダのJ. トルドー首相は1月28日、ポーランドのワルシャワを訪問し、ポーランドのD. トゥスク首相と原子力協力協定に調印した。カナダ企業が原子力技術、燃料、サービスを提供することで、ポーランドのクリーンエネルギー部門を支援し、石炭火力発電の段階的廃止を加速させ、地域全体のエネルギー安全保障を強化することが期待されている。また、両国に高レベルの雇用機会を創出するとともに、原子力協力、不拡散、安全、安全保障に対する両国共通のコミットメント強化にも貢献するとしている。2023年2月、両国の原子力規制機関である、カナダ原子力安全委員会とポーランド国家原子力機関は、小型モジュール炉(SMR)に関する協力覚書を締結し、SMR技術に関連するベストプラクティスと技術レビューに関する交流を深める道を開いた。ポーランドはまだ商業規模での原子力発電を行っていないが、大型炉とSMRの両方を建設する計画である。カナダ輸出開発公社は2024年12月、ポーランド北部ポモージェ県のルビアトボ–コパリノに建設を予定する同国初の原子力発電所のプロジェクト向けに、カナダのサプライヤーによる製品およびサービスの提供への支援を目的とした、最大14.5億米ドルの融資可能性の意向書を発行した。加オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は同社のダーリントン・サイトで、2029年末までにGE日立製のSMR「BWRX-300」の営業運転の開始を計画している。ポーランドもBWRX-300の導入を計画しており、カナダの状況を注視している。カナダ原子力協会(CNA)のJ. クリスティディスCEOは、「原子力エネルギーは、世界のエネルギー安全保障に対するカナダのコミットメントの礎。本協定締結は、カナダが経済成長とイノベーションを促進しながら、強靭で低炭素なエネルギーシステムを構築するために同盟国をどのように支援できるかを例示するもの」と述べ、カナダの原子力技術の輸出を促進し、両国における高レベルの雇用創出と原子力産業へのさらなる投資の可能性に期待を寄せた。
- 13 Feb 2025
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IHI ルーマニア向け米製SMRのモックアップ製作を受注
IHIは2月5日、ルーマニア南部ドイチェシュテイの石炭火力発電所跡地に計画されている米国ニュースケール社製SMR(小型モジュール炉)建設プロジェクトにおいて、原子炉建屋の壁となる鋼製モジュールのモックアップ製作を、同プロジェクトを共同推進するサムソンC&T社より受注したと発表した。〈IHI発表資料は こちら〉同プロジェクトは、石炭火力発電所の跡地にSMR6基からなる「VOYGR-6」を建設するもの。海外向けPWRの鋼製モジュールを供給した実績のあるIHIは、今回のモックアップ製作により、ルーマニア南部ドゥンボビツア県のドイチェシュテイで13年前に閉鎖された旧・石炭火力発電所サイトに、出力7.7万kWの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kW)の建設を計画。現在、サイト準備が進められている。鋼製モジュール製作の工程を検証することで、建設工事の工期短縮にも期待を寄せている。モックアップ製作は、同社横浜工場で行い、2025年4月までに完了する予定。IHIでは、2021年度に米国ニュースケール社に出資を決定。SMR実現に向けた技術開発に取り組んでいる。長年培ってきた原子炉の主要容器の製作経験と技術力を活かし、今後もSMRを始めとする原子力発電事業を通じ、カーボンニュートラルの実現に貢献していくとしている。同プロジェクトは、ルーマニアの国営原子力発電会社であるニュークリアエレクトリカ(SNN)と民間エネルギー企業のノバ・パワー&ガス社の合弁企業であるロパワー・ニュークリア(RoPower Nuclear)社を中心に進められている。「VOYGR」は、蒸気発生器と圧力容器の一体化により、小型かつシンプルな設計で安全性を向上させている。ルーマニアでは、事業計画段階から、建設を見据えた基本設計の契約締結など、進捗があったほか、新興国としてガーナでも建設計画の動きがある。
- 13 Feb 2025
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英政府 新規建設支援で規制緩和の方針を発表
英政府は2月6日、K. スターマー首相の掲げる「変化に向けた計画(Plan for Change)」の一環で、原子力を活性化するというマニフェスト公約を実現すべく、英国の新規原子力発電所の建設に向けた規制緩和の方針を発表。イングランドとウェールズで多くの原子力発電所の建設が承認される見通しとなった。今回の規制緩和により、小型モジュール炉(SMR)を英国で初めて建設する道を開くとともに、何千もの新たな高レベルの雇用を創出、英国全土にクリーンで安全かつ低コストのエネルギーを供給し、経済成長を実現させる計画。スターマー首相は英国を原子力エネルギーの世界競争に復帰させると、意気込んでいる。英政府による最近の計画法の改正、インフラプロジェクトに係る司法審査の現在の3回から1回への制限、環境規則への常識の適用に続き、成長を優先させるため、時代遅れの規則を破棄し、NIMBY((公共に必要な施設だということは認めるが、それが自らの居住地に建設されることには反対する住民やその態度を意味する。))にノーを突きつける動きと評価されている。サイズウェルC(SZC)を含め、英国の主要なインフラプロジェクトは計画決定に際し、地元の反対運動家などによる訴訟の結果、訴訟費用と不確実性の増加に見舞われていた。今回の発表では、「英国は長きにわたり、決定が『困難すぎる』とか『長期にわたる』という理由で、遅延や妨害に悩まされてきた。英国は世界初の原子炉開発国であるが、1995年のサイズウェルBの運転を最後に原子力発電所の建設は行われておらず、よりクリーンで安価なエネルギーの利用をめぐる世界的な競争において、遅れをとっている」と言及。「英国の原子力産業界は、規制によって息の根を止められ、投資は崩壊。現在建設中の発電所はヒンクリーポイントC(HPC)のみ。企業が計画許可を取得するために3万ページに及ぶ環境アセスメントを作成するなど、不必要な規則によって何年も遅延が生じた」「投資家たちは、信頼性が高く安価な原子力発電所の建設を急ぎ、英国の野心的な計画を支える重要な近代的なインフラ、例えばスーパーコンピューターなどを支援したくとも妨げられてきた」と、これまでの状況を説明している。英政府は、全国的に原子力発電所の建設を容易にするために計画規則(Planning Rules)を改正し、雇用を創出、長期的には電気料金の引き下げ、そして国民に多くの収入をもたらす方策として以下を掲げる。計画規則に初めてSMRを含め、企業が必要とする場所で建設を可能にする。原子力発電所の建設は既存の8サイト限定を廃止。原子力発電所はイングランドとウェールズであれば、どこでも建設が可能に。原子力発電所の計画規則の有効期限を撤廃。プロジェクトが期限切れにならず、長期的な計画が可能に。首相直属の原子力規制タスクフォースを設置。より多くの企業が英国に原子力発電所を建設できるよう、規制の改善を主導する。スターマー首相は、「英国では何十年も原子力発電所が建設されていない。我々は失望させられ、取り残されてきた。英国のエネルギー安全保障は、プーチン(露)に長きにわたり人質に取られ、彼の気まぐれで英国のエネルギー価格が急騰してきた。この状況に終止符を打つ。原子力発電所の建設を支援するルールに変更し、安価なエネルギー、成長、雇用というチャンスへの長きにわたる妨害者たちにNoを突きつける」「現政権は変化をもたらすために選ばれた。英国を現状維持の眠りから引きずり出し、変化に向けた計画を加速させるために必要な抜本的な決断を下す」と強調した。英エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)のE. ミリバンド大臣は、「建設、建設、建設(Build, build, build)が英国のクリーンエネルギー計画のすべて。英国民は長い間、世界的なエネルギー市場で脆弱な立場に置かれてきた。唯一の解決策はクリーンな電力の新時代を築くことだ」と語った。英国では現在、原子力発電所の建設が8サイトに限定されているが、これは2011年以降見直されていない時代遅れの計画規則の一部。更新される計画枠組みは、投資プロセスを合理化し、開発業者がプロジェクトに最適なサイトを特定、より幅広い選択肢からの開発を可能にするもの。開発業者は、計画プロセスの事前申請段階でできるだけ早く候補地を提示することが奨励され、全体的なスケジュールが早まることが期待される。また、初めてSMRなどの先進技術が盛り込まれ、AIデータセンターなどのエネルギー集約型産業施設との併設に柔軟性をもたらすとしている。SMRは従来の原子力発電所よりも建設費が安く、工期も短い上、必要なサイト面積も狭いため、より多様な場所に建設できる。但し、人口密集地域や軍事エリアによる制約、地域社会の関与、高い環境基準などの立地に関する厳格な基準も引き続き維持するとしている。英国は現在、原子力発電所の建設に最もコストが掛かる国のひとつと考えられている。立地プロセス改革と並行して、タスクフォースが高い安全基準とセキュリティ基準を確保しながら、投資を促し、新しい原子炉設計の承認の迅速化と、開発業者と規制当局との関わりの合理化を目指す。具体的には、英国を国際パートナーとより緊密に連携させ、海外で承認された原子炉設計の迅速な承認のほか、高コストな変更を最小限に抑制し、重複する問題を扱う複数の規制当局が存在する場合、重複を減らし、プロセスを簡素化する方法を検討、規制上の決定が安全かつ均衡のとれたものとする作業が含まれる。この作業は、ヒンクリーポイントC(HPC)などのプロジェクトが直面している問題の解決に役立つという。HPCでは、欧州の3つの規制当局が原子炉設計について異なる評価を下したことが遅延とコスト増の原因と指摘されている。スターマー首相とミリバンドDESNZ大臣は2月6日、ランカシャー州にある英国立原子力研究所(NNL)のプレストン施設を訪問。新設を加速するという政府方針を受け、研究所員らと意見交換を行った。NNLは英国を代表する原子力の民生利用の国立研究所として、英国全体に原子力発電のメリットを確実に届け、英国をクリーンエネルギー大国にするために貢献したいと表明した。原子力発電による経済効果英EDFエナジー社は1月27日、英経済コンサルタント会社による、既存8サイトの原子力発電所による経済的影響の調査報告を公表。これまでに英国経済に1,230億ポンド(約23.4兆円)の貢献をしてきたことを明らかにした。1976年から現在にかけて運転している、改良型ガス冷却炉(AGR)を有する7サイトの発電所と、1995年に運転開始した加圧水型炉(PWR)の1サイトの発電所が調査の対象。総額1,230億ポンド(粗付加価値:GVA)は、発電電力や年31,000人もの直接・間接雇用、50年近くにわたるサプライチェーンへの投資の結果である。サプライチェーン支出の90%以上が英国内を拠点とする約1,500社に向けられており、国内サプライチェーンへのプラスの影響を強調している。また、これらの原子力発電所の稼働により約2.1兆kWhを発電し、11億トンのCO2排出の回避に貢献したと言及。これは英国の自動車からの16年間のCO2排出量に相当するという。EDFエナジー社によると、2024年の英国の原子力発電電力量は373億kWhで安定しており、少なくとも2027年までこのレベルを維持したい考えだ。同社は2024年12月、4サイトで運転中の8基の改良型ガス冷却炉(AGR)すべてを運転期間延長することを決定している。SZCプロジェクトが順調に進捗EDFエナジー社がイングランド東部サフォーク州で建設を計画するSZCプロジェクトの共同マネージングディレクターらが、国会における“Nuclear Week”の期間中の1月28日、SZCプロジェクトの進捗状況を国会議員に報告した。EPR-1750(172万kWe)を2基建設するSZCプロジェクトはその大半を政府が所有し、現在はサイト内で土木工事が進行中である。ディレクターらは、コンサル会社のプロジェクトに対する独立評価が、EPR建設プロジェクトにおける大幅なスケジュールおよびコスト超過につながった落とし穴を回避できる可能性が高いと結論づけたことを報告。また、同プロジェクトが予定通り予算内での完成が予定されていることや、HPCの設計の複製により、これまでに10億ポンド(約1,905億円)の開発コストを削減し、英国全土の290のサプライヤーと25億ポンド(約4,762億円)相当の契約がすでに合意されていること、最終的に英国全土で7万人以上の雇用の創出や建設費の70%以上が英国企業に支払われ、ライフサイクルを通じて英国への1,000億ポンド(約19.1兆円)以上の経済効果が予想されていることなどを報告した。
- 12 Feb 2025
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