
オランダで原子力発電所の新設準備を担う国有企業NEO NLは8月25日、フランス電力(EDF)、米ウェスチングハウス(WE)社と、新規原子力発電プラント2基の建設に向けた基本設計(FEED 1)調査契約をそれぞれ締結したことを明らかにした。両社は今夏以降、オランダでの新規建設を具体化するための設計作業を開始する。オランダ政府は今年2月、2基の新設を担う国有企業「NEO NL(Nuclear Energy Organisation Netherlands)」を設立した。NEO NLは、政府の方針や立地決定に基づき、新設2基の許認可から建設、運転、最終的な廃止措置までを担う実施主体。同2基は、それぞれ少なくとも100万kWeの設備容量を持ち、同一地点に建設される。今夏以降、気候・グリーン成長相と住宅・空間計画相が共同で優先立地の決定案を策定する予定で、NEO NLはその間、ベンダーの選定に向けた準備を進める。FEED 1は2段階で実施。まず「FEED 1a」では、建設地点がまだ正式に決定していないことから、立地条件に左右されない設計・技術面の検討を進める。政府による優先立地の決定案策定後、「FEED 1b」に移行し、候補地の条件を反映した検討を行う。これにより、政府の立地選定と並行して準備作業を進めることが可能になる。FEED 1では、両社がそれぞれ提案する第3世代+(プラス)炉について、オランダの建設規則、原子力安全規制、許認可要件、技術基準、工程などへの適合性を詳細に検証する。また、早い段階でリスクや重点的に対応すべき事項を洗い出すとともに、将来の発電所所有者とベンダーの責任範囲についても整理。期間は12~18か月程度と見込む。今回の契約により、両社は今後の入札に向け、より精度の高い提案を行うための準備を進めることができる。これにより、将来の建設費の予見性を高め、事業リスクの低減につながることが期待される。なおFEED 1は、オランダ政府が以前、米WE社、仏EDF、韓国水力・原子力(KHNP)の協力を得て実施した実現可能性調査(F/S)に基づいている。F/Sでは各社の原子炉設計が同国への導入に適しているかを評価したのに対し、FEED 1では法令や規制要件への適合性など、設計についてさらに詳細な評価を行う次段階のもの。オランダ政府は、原子力を2040年までに炭素排出ネットゼロを達成するための主要なエネルギー源に位置づけており、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換。2022年12月には、新規大型炉の建設地として同国ゼーラント州で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR, 51.2万kWe)サイトが最適との見解を示していた。政府は2023年12月、KHNP、WE社、EDFとボルセラ・サイトにおける2基の新規建設の技術的可能性、安全性、環境影響、コストと時間の詳細な見積りを含む、F/Sの実施について契約。2024年にF/Sは完了したが、KHNPは以後の選定プロセスからは撤退している。なお、優先候補地とされたボルセラだけでは環境影響評価の手続き上、法的に持続可能な立地決定にならず、今年2月の時点で、ボルセラ・サイトを含むスロー地域に加え、フローニンゲン州のエームスハヴェン、ロッテルダム港のマースフラクテII、ゼーラント州のテルネーゼンの4地域の7か所がサイト候補に挙がり、安全・環境面を含めた総合評価が実施された。その結果、以下の2地域3地点に候補が絞り込まれた。ゼーラント州: テルネーゼン(Terneuzen)のMosselbanken/Paulinapolder フローニンゲン州: エームスハヴェン(Eemshaven)のEmmapolderとEemscentrale政府は今年末には、テルネーゼンとエームスハヴェンのいずれかを選定する予定である。政府は最大4基の大型炉の新設を計画し、最初の2基は早ければ2030年代末までに稼働させたい考え。追加2基については2028年頃には建設方針を決定する一方、別途、小型モジュール炉(SMR)の導入の可能性についても、並行して検討していくとしている。
04 Sep 2026
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仏政府は8月20日付の政令で、フランス電力(EDF)に同国北部にあるグラブリーヌ原子力発電所(PWR, 95.1万kW×6基)において2基の改良型欧州加圧水型炉(EPR2, 165万kWe)の建設準備工事に必要な環境許可を発給した。これにより、EDFはサイト整備や地盤補強工事を段階的に進めることができるようになる。なお、原子炉の建設許可そのものではなく、核物質を扱う施設や原子力安全に関わる設備の建設は対象外。2023年6月の「原子力推進法」に基づき、環境許可の取得後には特定の土木工事や付帯施設の建設を開始することができるようになった。具体的には、敷地造成・土工、地盤改良、建設用設備の整備、鉄道設備の移設、取水路の建設、初期の土木工事など。保護対象の動植物種の移送や水管理、自然生息地の保全、公害対策、建設現場の環境モニタリングなどの環境対策も講じる必要がある。環境許可の取得により、原子炉建設に必要な全ての手続きが完了するのを待たずに、長期を要する複雑な準備工事に着手できる利点がある。グラブリーヌ・サイトに建設される2基のEPR2は、EDFの6基の新設計画の2組目となり、同サイトで既に稼働している6基の90万kW級の原子炉を補完するものとなる。1組目はパンリー発電所(PWR, 138.2万kW×2基)に、3組目はビュジェイ発電所(PWR, 90万kW級×4基)に建設される。なお、2025年12月に明らかにされたEPR2計6基の建設費用の見積額は合計728億ユーロ(2020年価値)。■グラブリーヌの基礎工事における課題グラブリーヌ・サイトでは、敷地整備が特に重要な課題となっている。この敷地は海から埋め立てられた干拓地に位置しており、厚い砂層と粘土層、地表に近い地下水位が特徴。巨大で重量の大きいEPR2を建設すると地盤が不均一に沈下・変形し、建物や配管などの安定性を損なう恐れがある。地盤改良をしなければ、EPR2では約50~80センチの沈下が起こる可能性があると予測されている。既存の90万kW級原子炉6基でも25~30センチ程度の沈下が確認されているが、EPR2は場所によって従来炉の約2倍の重量があるため、より厳しい対策が必要になる。EDFは当初、地中に鉄筋コンクリート製の柱を多数設置し、さらに土と固化材を混ぜて地盤を硬くする方法を検討していた。しかし、仏原子力安全・放射線防護局(ASNR)は、その規模は前例がなく、十分な施工実績もないと懸念を表明。より実績のある技術の使用に加え、補強システムの有効性、地震荷重下での動的挙動、および追加の地盤工学試験・調査の結果について、さらなる根拠を示すように求めた。そこでEDFは設計を見直し、長さ約50mの鉄筋コンクリート製の柱を約2,000本、重量の大きい建物の下に配置し、建物の基礎に直接つなぐのではなく、その間に十分に締め固めた粒状充填材の厚い層を挟む方法を提案。この層によって建物の重さを柱と地盤に分散させ、局所的に影響が集中するのを防ぐ仕組みである。さらに、地震の際に砂地の「液状化」を防ぐため、建物の下にある約15mの砂層を取り除き、液状化しにくい材料に置き換える計画だ。フランス技術アカデミーは、この新たな方法について、基本的な考え方は妥当で、特に大型液化天然ガス(LNG)タンクの建設において国際的な施工経験の実績もあるとし、「頑健な(robust)」設計だと評価。一方で、地下水位より深い場所を掘削する難しさや、塩分を含む地下水に100年間さらされるコンクリート製の柱の耐久性など、今後注意すべき課題も指摘した。さらに同アカデミーは、建設後に基礎を直接見ることができなくても、センサーとデジタル技術によって沈下や劣化の兆候を長期間監視できるように、建設段階から光ファイバーセンサーや腐食を調べるセンサーを組込み、「デジタルツイン(仮想モデル)」から実際の建物の挙動をセンサーで常時把握し、設計時予測と比較する仕組みを推奨した。ASNRはこの新しい地盤対策について、EPR2の設置許可申請(DAC)審査の中で2026年秋に意見を示す予定となっている。DACは今年6月に実施されている。■パンリー・サイトでは準備工事が進行中同国北部にあるパンリ―・サイトでは、EPR2初号機の準備工事が2024年夏に始まり、2026年初めには1,000人以上が現場で作業している。1990年代に中止されたN4原子炉プロジェクトの旧基礎を解体し、崖の形状を整えるために100万㎥以上の白亜(石灰岩)を掘削して崖を整形するほか、海側への拡張工事も進む。準備工事は2028年初めまで続き、その後、土木工事および電気機械設備の設置が開始される。DACは2023年6月に実施済みであり、環境許可を2024年6月に取得している。
03 Sep 2026
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米国のAI開発企業Atomic Canyon社は8月18日、原子力産業向けAIアシスタント「NIVA(Nuclear Industry Virtual Assistant)」を、北米の商業用原子力発電所向けに全面展開すると発表した。NIVAは、米国原子力発電運転協会(INPO)、電力研究所(EPRI)、原子力エネルギー協会(NEI)と共同開発したもので、これらの組織に加盟する商業用原子力発電所が利用できる。約6か月間の試験運用を終え、原子力発電所に蓄積された膨大な技術、規制、運転情報をAIで検索・整理し、現場の専門家が必要な知識に迅速にアクセスできる仕組みが、実証段階から本格運用の段階に入った。NIVAでは、「Knowledge Assistant」と「Operating Experience(OE)Assistant」の2機能を提供。「Knowledge Assistant」は、利用者が自然な言葉で質問すると、原子力規制委員会(NRC)の規制指針やNEIのガイダンス、INPOの基準、EPRIの技術報告書などを根拠として回答を生成し、回答中に出典を示す。もう一つの「OE Assistant」は、単純なキーワード検索ではなく、質問の意味や文脈を分析して関連する過去の運転経験を抽出し、その内容についてさらに掘り下げて質問することができる。技術的な問題への対応を支援する「Troubleshooting」機能も開発中で、2026年後半の試験運用を予定している。NIVAの技術基盤となるのが、Atomic Canyon社のAIプラットフォーム「Neutron」と、原子力分野に特化したAIモデル「FERMI」。Neutronは、許認可根拠、運転手順、保守履歴、エンジニアリング記録などとAIをつなぐ役目を担う。FERMIはオークリッジ国立研究所(ORNL)とスーパーコンピューター「Frontier」を活用して共同開発され、5,300万ページを超えるNRCの規制関連データを学習。原子力特有の用語や略語、文脈を理解するとともに、回答を実際の記録に紐付け、専門家が検証できる仕組みを採用している。先行導入企業には、米国最大級の原子力事業者であるコンステレーション社も含まれる。同社が所有する12の原子力発電所でNIVAを6か月間試験運用し、今後も業務強化や知識継承、効率向上に活用する方針だ。Atomic Canyon社は今回の全面展開と同時に、NVIDIA社、ベンチャーキャピタルのPlug and Play Ventures社、米資産運用会社バンガード社のT. バックリー元CEOらから新たな資金を調達した。NIVAの全面展開により、原子力産業が長年蓄積してきた知識をAI検索で共有し、運転・保守、人材育成の効率化につながることが期待されている。
02 Sep 2026
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海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は8月24日、米国ワシントンD.C.で米運輸省海事局(MARAD)と協力覚書(MOC)を締結した。米国籍の原子力商船の実用化に向け、商業、産業、規制面での取組みを加速することが目的で、連邦機関と民間企業の協力としては初。同社は準備が整えば、2028年にも米国で原子力推進商船の初建造開始をめざしている。本MOCは、米政府主催で8月26日~27日にワシントンD.C.で開催された「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」発足に向けたIAEA閣僚級会合に先立って締結された。米トランプ政権は2026年2月、「海事行動計画」を公表。米国の海洋分野の衰退を食い止め、民間投資を動員し、経済および国家安全保障の要と位置づける 海事産業の再建と米国の造船能力の強化をめざしている。こうした中、小型モジュール炉(SMR)などの先進炉を活用した原子力推進は、商業海運の復興の一翼を担う重要な存在になると期待されている。原子力推進船舶は、長期間の連続航行が可能で、従来の舶用燃料への依存を減らし、推進時の炭素排出がないことが利点とされる。原子力商船の活用は重大な商業的機会である一方で、安全かつセキュリティを確保し、投資可能な環境を整備する必要がある。両者は今回のMOC締結を受け、政府、産業界、その他利害関係者が、規制承認、港湾運営、労働力の資格認定、燃料およびライフサイクルサービス、保険・資金調達、建造・運用面での産業側の能力、連邦政府による将来的な需要創出の仕組みなどについて協議する場を設ける。こうした取組みを通じて不確実性を低減し、船舶、造船所、関連インフラへの民間投資が可能な環境を整備していく方針だ。コアパワー社のM. ボー氏CEOは、中国が世界の商用造船市場を席巻し、原子力推進の商船開発も積極的に進めるなか、戦略的な対応が急務となっていると指摘。同社は、米国の70年にわたる海軍での原子力運用実績と次世代の原子力専門知識を活用し、米国内に原子炉の搭載、初期燃料装荷、試験、試運転、燃料交換・取出しなどを担う専用の「原子力統合・ライフサイクル造船所」の整備を計画している。船体の建造は通常の商業造船所や世界トップレベルの造船能力を有する日本や韓国などの同盟国が担い、米国内の専用造船所では、原子力関連の工程・保守に必要な専門能力を重点的に構築することを想定している。原子力商船の就航を支援すると同時に、原子力資格を有する人材、サプライヤー、重工業の生産能力を拡大し、米国の海事産業基盤の強化につなげたい考えだ。さらに、コアパワー社は8月19日、米テキサス州のコーパスクリスティ港湾局と同港の「海事原子力対応能力(maritime nuclear readiness)」を調査するMOCを締結。調査では、同港に浮体式原子力発電所を設置し、港湾や周辺地域に安定した電力を供給する拠点として活用することや、将来の原子力商船の寄港地とする可能性を検討する。これとは別に、MARADも同日の8月19日にコーパスクリスティ港湾局とMOCを締結した。SMR技術の統合、耐障害性の高い港湾マイクログリッド、陸上電源システム、次世代船舶推進システムに対応可能なインフラ、人材育成などを検討し、海洋エネルギーシステムの発展に向けた取組みを共同で進めていく。同港は米国最大の石油輸出港であり、国内有数の液化天然ガス輸出拠点でもある。本協力は、今年7月のカリフォルニア州ロングビーチ港湾局とのMOC締結に続くもの。MARADは2026年5月、海上輸送システムへのSMR導入支援について業界から意見を募った情報提供要請(RFI)を実施しており、今回の協力もこれを受けたものである。米国では海運・造船の再建政策に加え、国際海事機関(IMO)が掲げる2050年頃までの国際海運の温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ目標や、SMRなどの先進炉開発の進展を背景に、原子力船の実用化に向けた動きが活発化している。こうしたなか、IAEAを中心とするATLASが、海洋における民生用原子力利用を国際的な規制・制度面から支える構図が形成されつつある。
01 Sep 2026
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国際原子力機関(IAEA)は8月26日、民間船舶や浮体式原子力発電所への小型モジュール炉(SMR)などの原子力技術利用を安全・セキュリティ・平和利用の観点から国際的に支援する新たな枠組み「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」イニシアチブを立上げた。ATLASは、特定の原子炉を開発・導入するプロジェクトではなく、原子力推進船舶や浮体式原子力発電所を商用化するための国際的な安全・規制・制度面の土台づくりを目的とした、原子力分野と海運分野を国際的に結びつける初の協調的な取組みである。米政府がワシントンD.C.で主催したIAEA閣僚級会合(8月26日~27日)でATLASイニシアチブが発表された。同会合には50か国以上から政府、規制当局、原子力・海運業界、港湾関係者など約600名が参加。28か国((アルゼンチン、バングラデシュ、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、ドミニカ、エクアドル、フィンランド、フランス、ギリシャ、インド、イタリア、日本、韓国、マルタ、オランダ、ノルウェー、パラグアイ、ポーランド、ルーマニア、サウジアラビア、シンガポール、スロベニア、トルコ、UAE、英国、米国))が共同声明に参加した。原子力の海洋用途を現実化するには、国際的な原子力・海事コミュニティが協力し、原子力技術の安全かつ確実な導入を確保、海上における民生用原子力利用に対する保障措置の効果的かつ効率的な実施の強化が不可欠。そのためIAEAは今後、運営委員会のほか、各国や産業界などからなる6つの専門プロジェクトグループを設置し、原子力安全、核セキュリティ、保障措置、規制などを検討する。特に、原子炉を船舶や海上施設に搭載する場合に必要となる国際的なルールや規制、港湾インフラ、責任分担など、陸上の原子力発電所とは異なる実務上の課題への対応を進めていくとしている。IAEAは、1962年に運転を開始した世界初の民間原子力貨物船「NSサバンナ」から60年以上を経て、次世代の民間海洋原子力利用に向けた国際的なルール作りを本格化させる方針。ATLAS発足の背景には、世界の貿易の約80%を海上輸送が担い、海上貿易が年間約2%拡大する一方で、長距離輸送のエネルギー安全保障や脱炭素化が課題となっていることがある。特にSMRなどの先進炉は海洋用途において安全かつ実現可能な選択肢となり得る。頻繁な燃料補給を必要としない高速海上輸送を可能とし、コンテナ船、バルク船、タンカー、クルーズ船、砕氷船、オフショア支援船などへの利用が期待されている。また、浮体式原子力発電所は、送電網などのインフラが整っていない沿岸・遠隔地の産業に、電力、熱、淡水、非常用電源などを供給する用途も見込まれる。IAEAは設計、燃料、海洋工学の進展により、一部の原子力推進船舶は2030年代にも導入可能になると予測している。IAEAのリーダーシップの下、ATLAS参加国や産業界の間で海事分野における革新的な民生用原子力技術の開発と導入が促進され、あらゆる活動が最高水準の原子力安全、核セキュリティ、および不拡散に根差した協力の継続が期待されている。
31 Aug 2026
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ウラン濃縮事業者のウレンコUSA社は8月18日、米ニューメキシコ州ユーニスにある濃縮施設の増設工事の起工式を開催した。米エネルギー省のC. ライト長官も出席した。 同社は今年6月、米国唯一の商業規模のウラン濃縮施設の能力を約50%拡張すると発表しており、新たに遠心分離機のカスケード24基を設置し、年間2,100tSWUの濃縮能力を追加する。最初のカスケードは2032年から順次稼働し、2036年まで段階的に増設する計画である。 既存の濃縮プラントの生産能力は4,300tSWU/年で、米国の濃縮ウラン需要の約1/3を占める。現在、700tSWU/年の拡張工事も進行中で、2027年に完了予定。今回の拡張工事と併せると、2030年代には生産能力が7,000tSWU/年以上となる見込みである。建設ピーク時には300~600名、操業段階では約70名の新たな雇用創出が予想されている。 今回の増設計画により、ウレンコUSA社の投資総額は80億ドルを大幅に超える見込み。同社は、原子力発電の拡大に伴う米国内の低濃縮ウラン(LEU)需要に対応し、国内原子燃料サプライチェーンとエネルギー安全保障の強化に貢献していく考えだ。
31 Aug 2026
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シンガポール貿易産業省(MTI)と中国国家原子能機構(CAEA)は8月17日、中国・北京で原子力技術の平和利用に関する協力覚書を締結した。MTIのS. タン・エネルギー・科学技術担当大臣とCAEAのZ. シャン主任の立会いの下、A. リー・エネルギー・貿易担当事務次官と J. リウ副主任が覚書に署名した。MTIは同覚書締結を、最近の米国、フランス、韓国を含む様々な国際パートナーとの協力と同様、原子力導入の可能性について客観的かつ技術的な評価を行うための自国の能力構築を支援するものと位置付ける。今回、中国と締結した覚書では、能力構築パートナーシップの対象となる主要分野として、原子炉技術の安全性および技術的評価人材育成および専門家の相互訪問市民への啓発、広報、および関与活動原子力安全、保障措置、および核セキュリティー原子力技術の応用を掲げている。シンガポールは、これら海外関係機関との協力による能力構築の取組みを2027年に予定されている国際原子力機関(IAEA)の「統合原子力基盤レビュー(INIR)」フェーズ1ミッションへの準備にも活かす方針である。INIRフェーズ1ミッションでは、将来的な原子力発電導入について「十分な情報に基づいて意思決定できる能力」が国内に整備されているか、能力構築の取組みが正しい方向に進んでいるかを確認するためIAEA専門家が評価する。同ミッションは、原子力導入を決定するための手続きではなく、シンガポールは原子力分野の人材・制度・技術基盤の整備状況を国際的な基準で確認したい考え。国際的に認められた評価フレームワークであるIAEAのマイルストーン・アプローチに基づき、原子力安全規制、放射性廃棄物管理、緊急時対応など19の分野にわたり包括的な評価を受ける。フェーズ1の完了後、安全性、信頼性、経済性、環境の持続可能性を慎重に考慮し、実際に導入を進める場合には、フェーズ2で建設入札を進める準備状況、フェーズ3で初号機を安全に運転できる準備状況についての評価となる。シンガポールが原子力を検討する背景には、電力の約95%を輸入天然ガスに依存し、国土が狭く再生可能エネルギーの拡大余地も限られていること、2050年ネットゼロに向けて安定した低炭素電源が必要なことがある。特に、小型モジュール炉や安全機能が強化された先進炉に注目している。2012年にも原子力導入の技術的可能性が調査されたが、当時の利用可能な原子力技術は同国での展開に適していないと結論付けられた。以後、シンガポールは将来の原子力の技術進歩に備えて能力強化をめざし、IAEAが原子力発電プログラムを確立するために必要とする19の主要分野の能力構築に取組んできている。
28 Aug 2026
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米先進炉開発事業者のテラパワー社は8月14日、韓国ソウルで、韓国の現代E&C(現代建設)社およびSKイノベーション社と、先進炉「Natrium」の米国や韓国、一部海外市場での開発・商用化に向けた協力で合意。テラパワー社は、自社の先進原子力技術と韓国企業の原子力建設・運転の経験を組合わせ、Natrium炉の世界展開を加速させる方針である。Natrium炉は34.5万kWeのナトリウム冷却高速炉で、熔融塩蓄熱により一時的に最大50万kWeまで出力を高めることが可能。テラパワー社は今年3月、米原子力規制委員会(NRC)からワイオミング州ケンメラーにおける初号機の建設許可を取得し、翌4月から建設を開始しており、2030年に完成予定。同社はNatrium炉の商業展開も視野に入れ、今年1月にはIT大手のMeta社と、米国内で最大8基のNatrium炉を建設する商業契約を締結。早ければ2032年までに2基の供給に向けてMeta社が初期開発を資金面で支援し、さらに2035年までに最大6基の追加導入で合意している。2月には、英国における包括的設計審査(GDA)が開始されている。今回、現代E&C社とは、Natrium炉の商業展開を支援する枠組み協力で合意。現代E&C社を設計・調達・建設(EPC)の請負業者として選定し、最大8基の建設に向け、工期・価格・性能保証面で協力する。本提携により、コストの合理化、設計・建設効率の向上、グローバルなサプライチェーンを強化してNatrium炉の導入を加速し、米国および選定された国際市場へNatrium炉を展開する考え。加えて、テラパワー社はSKイノベーション社と韓国初となるNatrium炉の導入および国際的な事業拡大に向けて基本合意書を締結した。運用と保守の最適化のため、デジタルツイン技術やAIを含むエンジニアリング・デジタル技術面での協力を検討する。さらに、同日の8月14日、テラパワー社は斗山エナビリティ社とNatrium炉の主要機器製造契約を締結した。ケンメラーで建設中の初号機向けに、炉心バレル、原子炉容器ガードベッセル、炉内構造物を製造する。両社は2024年12月から製造可能性の検討を進め、設計改良を重ねて製造発注が可能な段階まで成熟度を高めてきた。
26 Aug 2026
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米原子力エネルギー協会(NEI)と米原子力学会(ANS)が共催する「Nuclear Energy Conference & Expo(NECX)」が8月24日、米テキサス州ダラスで開幕した。27日までの4日間の日程で、1800人を超える原子力関係者が参加しており、米国原子力産業の活況を映す大会となっている。25日の開会セッションでは、NEI理事会議長を務めるエンタジーのD. マーシュ会長兼CEOの開会挨拶に続き、米原子力規制委員会(NRC)のH. ニー委員長が登壇した。ニー委員長は約15分間にわたり、NRCが進める規制改革について説明。「もはや原子力を導入できるかどうかではなく、いかに早く、大規模に展開するかが課題だ。NRCはその実現を支える規制機関へと変革していく」と述べ、原子力発電の大幅な拡大を見据えて規制のあり方を変えていく考えを強調した。続いて、米国の主要電力会社で原子力部門を率いる幹部らによるパネルセッションが行われた。既設原子力発電所の最大活用に加え、新規建設に向けた投資の促進、サプライチェーンの強化、人材の確保など、今後の原子力発電拡大に向けて産業界が直面する課題が幅広く共有された。NEIのJ. コーテック上級副理事長は本紙の取材に対し、「今年のNECXには1800人以上が参加し、昨年から500人規模で増えた。これは現在の米国原子力産業界のモメンタムを表すものだと受け止めている」と指摘。「この機会を生かし、産業界の動きがさらに活性化していくことを期待している」と語った。
26 Aug 2026
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ハンガリー政府は8月23日、記録的な熱波に伴うドナウ川の低水位により運転制限を実施していた同国のパクシュ原子力発電所(ロシア製PWR=VVER-440、各50万kWe級×4基構成)について、同26日に全基を運転再開する見通しを示した。ドナウ川の記録的な低水位によって冷却水の取水が難しくなり、7月末から出力制限や運転停止を実施していたが、川底堰の建設やバージの設置に加え、上流での降雨によって水位が上昇し、運転再開の見通しが立った。パクシュ発電所は同国唯一の原子力発電所で、1983~87年に運転を開始し、ハンガリーの総発電電力量の約45%を供給している。8月2日時点で同2号機を除く全基が運転を停止、2号機は50%出力で運転を継続していたが、8月10日には水位の上昇を受け、定格出力に復帰した。一方で、政府は8月12日、事態の悪化に備え、長期的な対策として発電所前の川床に堰を建設するほか、緊急措置として全長80m、幅10m、深さ3mのバージ2隻を沈め、局所的に水位を引き上げることを決定していた。本事業の推定費用は総額61億フォリント(約30億円)。なお、パクシュ発電所の運転停止に伴う電力輸入による経済的損失は毎月少なくとも500億フォリント(約250億円)に達するという。翌13日には、川底堰の建設に向け、軍を動員して両岸から約14.5万m³の石材を投入する計画が示された。完成まで約30日を見込み、低水位時にパクシュ発電所付近の水位を少なくとも約50cm引上げることを目指している。バージの沈降や川底堰の建設に加え、ドナウ川支流の水門の開放、ドイツとオーストリア上流域での降雨による増水もあり、20日には水位が約15cm上昇。これにより、運転中の2号機の停止は不要となったほか、22日には3号機、23日には1号機が稼働を開始。8基の冷水ポンプのうち7基も稼働を再開した。P. マジャル首相は23日のパクシュ発電所での記者会見において、26日には全4基の定格出力での運転に復帰できるとの見通しを示した。また同首相は、記録的な干ばつとドナウ川の低水位を受け、今秋にも気候危機の影響から守るための気候法、水資源管理法、エネルギー管理法案を議会に提出する考えを示した。水資源確保のための貯水施設の建設などを検討していくとしている。隣国のルーマニアでは、同国唯一の原子力発電所であるチェルナボーダ発電所(CANDU6, 70万kW級×2基)においても取水するドナウ川の水位低下を受け、冷却ポンプを保護するための予防的措置として、1号機が7月28日に運転を停止。2号機の運転継続に向け、発電所の集水域に水を誘導するため、8月3日にはルーマニア海軍が発電所周辺の川底の岩盤を爆破。さらに、バージを沈めるなどの対策を講じたが、水位は安全基準を下回り、2号機も8月13日に運転を停止した。同国の原子力シェアは約20%。政府は不足する電力を補うため、国内の利用可能な発電設備を最大限活用し、輸入電力への依存を抑える措置を実施。今後10日間の電力需要や気象予測などをふまえ、両機停止による供給不足は既存の発電設備で補えるとの見通しを示している。一方で冷却水を確保するため、8月22日に国家緊急事態委員会が緊急措置を決定した。川床浚渫や取水地点に水を導く堤の設置に加え、オルト川のダムから5日間、平均50m³/秒の追加放流、必要に応じて大容量ポンプやドナウ・黒海運河からの放水を活用する。また、ブルガリアのコズロドイ原子力発電所では7月以降、ドナウ川の記録的な低水位でも独自の陸上揚水ポンプにより必要な水量を確保し、5-6号機(VVER-1000、各104.0万kWe)の運転を継続してきたが、水位予報が引き続き下降傾向を示す中、8月21日から5号機の出力を予防措置として約12万kWe低下させている。52年に及ぶ同発電所の運転史上初めての措置であるという。
25 Aug 2026
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インド政府は8月14日、2025年12月に成立した「インドの変革にむけた原子力の持続可能な利用と発展に関する法律」(SHANTI法)を実施するための施行規則(Rules)と規制(Regulations)案を公表し、パブリックコメントを開始した。今回のパブコメに付された規則・規制案はSHANTI法を実際に運用するための具体的な枠組みとなるもので、実際の原子力発電所建設につなげるための重要な制度整備となる。コメントの提出期限は9月4日。SHANTI法は、インドのクリーンエネルギー移行と2047年までに1億kWeの原子力発電設備容量を達成するという長期目標の実現に向けて、原子力分野を規定する法律の近代化を目的に制定された。1962年原子力法と2010年原子力損害民事責任法(CLNDA)に代わるものとして、原子力発電へ民間・外国企業の限定的な参入を初めて可能にし、従来の原子力関連法を一本化したもの。規則案では、原子力発電所の建設、所有、運転、廃止措置までを一つの「包括的ライセンス」で認可する制度を導入し、許認可手続きを簡素化する。アルミニウムやセメントなどのエネルギー集約型産業、データセンター、半導体製造向けの自家発電も対象とする。また、事業者がサイトや炉型を最終決定する前に「原則承認」を取得し、ベンダーとの交渉や土地・インフラ取得を進められる仕組みを設ける。外国製原子炉も原産国の規制当局で承認された設計・運転実績を一定の条件として導入を認める。さらに、事業者に対して原子力損害賠償に備えた保険や金融保証を求め、使用済み燃料の搬出までその維持を求める。SHANTI法は、規制監督のもとで限定的な民間の原子力分野への参加を認めており、原子力規制委員会(AERB)に法的権限を与えることで規制を強化。そのため、規制案では、原子力施設の設計、建設、試運転、運転、廃止措置など、ライフサイクル全体にわたる安全規制を具体化。設計段階では安全解析や設計審査、建設段階では品質保証や検査、試運転・運転段階では設備の性能確認や運転管理など、各段階で満たすべき安全要件を定める。また、原子力施設の立地、放射線防護、緊急時対応、放射性廃棄物管理、使用済み燃料管理、廃止措置、核セキュリティなども規制対象。AERBには、検査や試験・製造施設への立ち入り、必要に応じた是正措置を行う権限を付与し、施設の安全確保を継続的に監督する枠組みを整備する。
25 Aug 2026
461
米国の原子力プロジェクト開発企業ブルー・エナジー社は8月13日、テキサス州ビクトリアで計画する「ガス+原子力」発電所の建設に向け、GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と協力の次段階に進むことで合意した。GVH社製7HAガスタービンと小型モジュール炉(SMR)の「BWRX-300」(BWR, 30万kWe)を組合わせ、合計出力250万kWeの発電所となる。今年5月に発表された両者が提携して進めるハイブリッドの発電モデルの基本構想を次段階に進め、エンジニアリング設計、許認可、安全解析を本格化させ、2027年の最終投資決定(FID)を目指す。同プロジェクトでは、ガス火力を先行させ、原子力を段階的に追加。2030年に7HA.02ガスタービン2基、計約100万kWeの電力を近隣のデータセンターに供給し、2032年にはBWRX-300を最大5基、計150万kWeを追加導入する。AIや先端産業の拡大に伴い急増する米国の電力需要に対し、短期間で電力供給を開始できるガス火力と長期的に安定したベースロード電源となる原子力の組合わせで対応する。ブルー・エナジー社は、BWRX-300の標準化・モジュール化された設計をベースに、工場でのプレハブ化や輸送、現地での組立てを統合した独自のアプローチ「Blue Way」を採用して、従来の大型原子力発電所と比べ、工期やコスト、プロジェクト遂行の予測可能性を高める考え。非原子力設備を先行整備するアプローチは2025年12月に米原子力規制委員会(NRC)の承認を受けており、早期に電力供給と収益化を実現することで、建設資金の調達を容易にし、原子力プロジェクト特有の長期投資リスクの低減を図る。まず、非原子力かつ安全性に直接関与しないインフラのオフサイト製造と現場設置から着手。原子力コンポーネントの許認可・建設を進める間にも、機器製造やインフラ整備を進めつつ、ガス火力による電力供給を開始する。これにより、従来10年以上に及ぶ原子力発電所の建設スケジュールを少なくとも5年短縮するとともに、48か月以内に天然ガスによる電力供給を開始できると見込む。GVH社は自社の旗艦であるHAガスタービン技術と先進的な原子力技術を組合わせ、ブルー・エナジー社の革新的なプロジェクトモデルを支援していく方針だ。なお現在、BWRX-300初号機の建設がカナダのダーリントン原子力発電所の隣接サイトで進められており、2020年代末までに完成予定。完成すれば西側初の商用SMRとなる。
24 Aug 2026
766
スペインの原子力事業者であるアルマラス・トリリョ原子力発電会社(Centrales Nucleares Almaraz-Trillo= CNAT)は8月14日、同社が所有するアルマラス原子力発電所(米ウェスチングハウス社製PWR, 100万kW級×2基)の運転認可が2030年6月8日まで更新されたことを明らかにした。 スペイン原子力安全委員会(CSN)が7月16日、同発電所が認可期限まで安全に稼働するための条件を満たしているとの肯定的評価を環境移行・人口問題省(MITECO)に提出。これを受け、MITECOが8月12日に認可更新を承認した。CNATは2025年10月、MITECOに対し同発電所の運転期間を2030年6月まで延長するよう正式に要請。1号機は1983年9月、2号機は1984年7月に営業運転を開始しており、運転認可期限はそれぞれ2027年11月と2028年10月までとなっていた。 CNATは今回の認可更新を受け、アルマラス発電所が世界原子力発電事業者協会(WANO)の基準で世界トップクラスの評価を受けているとし、今後も高い水準を維持しながら、安全かつ信頼性の高い、効率的な運営を続ける決意を改めて表明した。 同発電所は、設備の改善、更新、近代化に年間5,000万ユーロ(約93億円)を投じ、設備を良好な状態に維持。スペインの電力消費量の7%以上(400万世帯分に相当)を供給し、同発電所およびその関連組織で約4,000名を雇用しているほか、燃料交換時期には約1,200名を追加雇用するなど、周辺地域の社会経済における主要な原動力となっている。 スペインの原子力産業団体であるForo NuclearのM. ウガルデ理事長は、今回のMITECOの決定について、「アルマラス発電所の継続的な稼働は、再生可能エネルギーを補完する、安全で排出ゼロかつ競争力のある原子力の価値を強調するもの」と歓迎している。
21 Aug 2026
571
米国で放射性廃棄物の深地孔処分(Deep Borehole Disposal)技術を開発するディープ・アイソレーション(Deep Isolation)社は8月12日、米国成人1,000人を対象とした全国調査結果を発表。同調査によると、回答者の81%が高レベル放射性廃棄物の恒久的な処分方法の確立を「国家的な優先課題であるべき」と考えていることが分かった。一方で、原子力発電所サイトで使用済み燃料を何十年も保管し続けることを支持したのは28%にとどまり、69%が米国に恒久的な処分方法がないことに懸念を示したという。本調査は、同社が世論調査会社YouGovに委託し、2026年4月に実施したもの。調査結果によると、信頼性が高く低炭素電源である原子力への関心が再び高まりを見せる中、回答者の61%が米国における原子力発電の継続利用を支持。74%が、使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物の長距離輸送を減らせる深地層処分を支持していることが明らかになった。また、長期的な廃棄物管理の選択肢として、回答者の61%が放射性廃棄物を天然の岩石による遮蔽のみで隔離する深地孔処分の方が安全としたのに対し、作業員の立ち入りが可能な地下掘削による人工的な遮蔽施設に処分する方が安全としたのは38%にとどまった。なお、深地孔処分に関する情報提供後では、同処分方法を回答者の65%が支持し、情報提供前の58%から支持率が上昇したという。廃棄物政策を誰に委ねるかについては、科学者・技術者を信頼するとした回答が68%だったのに対し、政府単独による原子力政策を信頼するとした回答は37%にとどまった。さらに、地層処分施設の建設について、連邦政府だけでなく州が連邦政府の安全規制を条件に申請主体となることを支持する回答も62%に達した。電力需要の増大に対応するために米国が原子力拡大を目指す中、次世代原子力イノベーションとそれを支える長期的な廃棄物管理ソリューションを組合わせた「原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパス」イニシアチブなど、州主導のアプローチに関心が高まっている。ディープ・アイソレーション社は今回の調査結果を受け、米国民は使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物問題への対処の重要性を認識しており、無期限の貯蔵から脱却し、恒久的な廃棄物処分に向けた実用的かつ科学に基づいた解決策を求めていると指摘。エネルギーおよび廃棄物管理政策の立案者が長期的な処分オプションを検討する中で、透明性のあるコミュニケーション、地域社会の参画、信頼できる技術的専門知識が国民の信頼を築く上で極めて重要な役割を果たすことを改めて裏付けたものだと、本調査の意義を強調している。
20 Aug 2026
693
ロシア国営原子力企業「ロスアトム」は8月9日、イランのブシェール原子力発電所の建設サイトへ、ロシアからスタッフの復帰が始まったことを明らかにした。ロスアトムは米国とイラン間の紛争が続く中、作業を中断し、スタッフの多くを段階的にイランから退避させていた。ロスアトムのA. リハチョフ総裁によると、技術・エンジニアリング要員のうち、最初に現場に戻った5名の専門家はすでに業務に着手しており、現地に残った専門家20名と合わせて総数は25名に達しているという。紛争が再び激化しないことを条件に、今後2週間で数十名のスタッフを復帰させる計画。すべてが順調に進めば、今秋には同プロジェクトのスタッフ数を100名に増やす考えで、先に避難させたスタッフ全員を、できるだけ早く現場に復帰させる方針だ。一方、紛争前の状況に戻るには、米国とイランの間で戦闘停止に関する最終的な合意が確定する必要がある、とリハチョフ総裁は強調している。ブシェール・サイトでは、原子力発電開発会社(NPPD)が2013年9月に1号機(VVER-1000, 100.0万kWe)の営業運転を開始。現在、同2-3号機(各VVER-1000, 105.7万kWe)の主要建屋と付帯施設の建設作業が続いている。
19 Aug 2026
562
仏フラマトム社は7月23日、同社が米ワシントン州で操業するリッチランド燃料製造施設で濃縮度10%までの燃料製造を可能にするライセンス修正申請(LAR)を米原子力規制委員会(NRC)が承認したことを明らかにした。これにより米国内での先進炉向け燃料の生産能力を拡大し、小型モジュール炉(SMR)やマイクロ炉を含む次世代炉の導入加速を支えていく方針。フラマトム社は2024年9月、LARをNRCに提出。今回の承認は、同サイトで乾式転換プロセスを活用し、六フッ化ウラン(UF6)を酸化ウラン(UO2およびU3O8)粉末への転換を可能にするもの。同工程で製造される燃料は、既存の軽水炉燃料よりもさらに高い濃縮度を必要とする原子炉向けで、TRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料の製造も含まれる。今年5月には既存の軽水炉市場向けのLEU+(濃縮度5%超の燃料)製造を可能にするライセンス変更の承認もNRCから得ており、燃料交換サイクルの延長を含む、安全で信頼性の高い経済的な燃料サイクルを支援していく。2025年9月、フラマトム社は米国内唯一の独立系TRISO燃料製造事業者であるスタンダード・ニュークリア社と、特定の炉型に限定しない合弁企業を設立している。SMRやマイクロ炉を含む先進炉の開発・運転事業者向けのTRISO燃料の市場投入が目的。今回の承認を受け、予定通りにリッチランド・サイトで設備の試運転を開始し、年間数トン規模のTRISO燃料を生産する。現在の生産能力から大幅な増産となるという。同サイトでは現在の需要に応えるため、2027年にUO2粉末およびTRISO粒子の製造開始を予定している。さらにフラマトム社は、将来的には濃縮度20%までのHALEU燃料を製造する計画である。米エネルギー省(DOE)に対し、HALEU導入に向けた支援金の申請をしており、必要な設備やシステムはすでに設計・解析済みのため、追加のライセンス修正も迅速に進められると見込んでいる。
19 Aug 2026
627
先進炉および燃料技術開発に取組む、米Xエナジー社は8月6日、米ウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社と、高純度低濃縮ウラン(HALEU)および低濃縮ウラン(LEU)の濃縮サービスに関する長期供給契約を締結した。本契約により、Xエナジー社の高温ガス炉「Xe-100」(8万kWe)の燃料調達リスクが大幅に軽減されるほか、同社が計画する計1,150万kWeの商用炉展開に向け、初期燃料需要の一部を賄うHALEUの確保につなげる。セントラス社がオハイオ州パイクトンにある米国遠心分離プラント(ACP)で濃縮したHALEUを、Xエナジー社傘下の燃料製造会社TRISO-X社がテネシー州オークリッジで操業する燃料製造施設でTRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料に加工する。Xエナジー社はHALEU燃料の代金を前払いし、セントラス社の生産能力拡大を資金面で後押し。セントラス社はACPの大規模拡張も計画しており、数十億ドル規模の民間資本に加え、米エネルギー省(DOE)から今後10年間にわたる9億ドルの随時受注契約を活用する方針である。セントラス社のA. ベクスラーCEOは、本提携にあたり、国内燃料サプライチェーンを強化し、先進炉開発業界にとって懸念事項であった濃縮問題の解消に貢献していく考えを示している。Xエナジー社は現在、米化学大手ダウ・ケミカル社とAmazon社、英エネルギー企業セントリカ社と計1,150万kWeの商用Xe-100プロジェクトを進めている。HALEUの商業生産が立ち上げ途上にある中、今回の契約により、プロジェクトの進展に合わせてHALEUの生産を段階的に拡大し、初期案件の一部への安定供給につなげる。なお、ダウ社のテキサス州にあるシードリフト・サイトに建設される初号機(FOAK=first of a kind)プロジェクトとなるロング・モット発電所(Xe-100×4基採用)に必要なHALEUについては、Xエナジー社はすでにDOEのHALEU供給確保プログラムを通じて供給枠を確保している。Xe-100で使用するHALEUはウラン235濃縮度約15.5%で、Xe-100のTRISO燃料の原料となる。従来の5%未満のLEUに比べ、高温運転や長い運転サイクルなどを可能にし、発電だけでなく産業用熱供給にも適したXe-100の性能を支える。
18 Aug 2026
720
米エネルギー省(DOE)は7月23日、短期的な燃料需要に対応するため、米航空宇宙局(NASA)およびラディアント・インダストリーズ社に対し、高純度低濃縮ウラン(HALEU)(( U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))の割り当てを条件付きで実施すると明らかにした。第3回目となる今回のHALEU割り当ては、原子力火星探査機「スペース・リアクター1・フリーダム(SR-1フリーダム)」ならびに、ラディアント社が開発するヘリウム冷却マイクロ炉「カレイドス」(Kaleidos)の展開を支援するもの。「カレイドス」は、コロラド州のバックリー宇宙軍基地が設置候補地となっている。一方の「SR-1フリーダム」はNASAのJ. アイザックマン長官が命名した、2028年の打ち上げを目指す火星ミッション。宇宙空間で初めて原子力電気推進(NEP)技術を活用する。DOEのT. ガリッシュ原子力担当次官補は「今回の割り当ては、宇宙探査と国家安全保障のために先進炉へ燃料供給することの重要性を浮き彫りにしている」と述べた。また、米国の原子力ルネサンスを支える国内原子燃料供給体制の確立に向け、DOEの「HALEU供給確保プログラム」が重要な足がかりとなると強調している。多くの先進炉は、既存技術に比べて小型化、運転サイクルの長期化、効率向上を実現するためにHALEUを必要とするが、現時点でDOEまたは商業的な供給源からHALEUを供給できる国内の供給能力は非常に限られている。このギャップを埋めるため、DOEは民間の研究開発、実証および商業利用に向け、2020年にHALEU供給確保プログラムを設立。割り当ては同プログラムを通じて実施されている。1回目は先進炉・燃料開発企業5社に、2回目は3社に割り当てられた。同プログラムで割り当てするHALEUは、国家核安全保障局(NNSA)が管理する原料や政府所有の研究炉からの使用済み燃料由来の高濃縮ウラン(20%以上のU235)をダウンブレンドし、限られた量を製造。加えて、ウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社: USEC)と提携し、オハイオ州パイクトンの濃縮施設で16台の新型遠心分離機を製造・連結して濃縮の実証を行い、短期的なHALEUニーズに対応している。NASAへの割り当ては今回が初めて。ラディアント社は同社製マイクロ炉「カレイドス」の実証試験向けに、第1回目にも割り当てられている。DOEは両者との契約プロセスを開始し、HALEUの割り当てを行う。HALEU供給確保プログラムは継続中であり、DOEは今後も追加企業へのHALEUの割り当てを続ける予定。
18 Aug 2026
647
米ホルテック・インターナショナル社は、ニュージャージー州で廃止措置中のオイスタークリーク原子力発電所(BWR, 64.1万kWe)サイトと、電力会社エンタジー社の供給エリアである米南部で新たなSMR展開に向けた検討を進めている。同社の7月30日付発表によると、米原子力規制委員会(NRC)はこのほど、オイスタークリーク発電所のライセンス終了計画(License Termination Plan, LTP)を承認。LTPは、廃止措置の最終段階とサイトの修復に向けた計画で、残る解体・除染作業や放射線調査の実施などを定めるもの。同発電所は、1969年~2018年まで運転された。2029年4月まで運転認可を取得していたが、経済性の悪化から、当時の所有者・運転者であったエクセロン社が2018年9月に早期閉鎖した。2019年7月にはエクセロン社からホルテック社へ売却され、廃止措置・解体作業が進行中。作業はすでに半分以上が完了しており、2029年までにサイトの部分的解放、2035年末までにNRCのライセンス終了を予定している。ホルテック社は同サイトに、同社が開発する「SMR-300」(PWR, 30万kW級)を4基建設し、2036年までに全基の営業運転を開始したい考え。ニュージャージー州では事実上の原子力発電所建設モラトリアムの撤廃や新規原子力発電の調達制度の設立など、原子力の新規導入に向けた環境整備が進められている。同社は、SMR建設時に約4,000名、運転開始後には400名以上の常勤職の雇用に加え、税収の増加やインフラ投資、AIデータセンターとの統合の可能性など、州政府の支援や経済効果への期待を示している。さらにホルテック社は8月4日、エンタジー社ならびに韓国の建設大手、現代E&C(現代建設)社と、エンタジー社の供給区域で大口電力需要家向けにSMR-300×2基の建設を検討する覚書を締結した。対象地域はアーカンソー州、ミシシッピ州、ルイジアナ州、テキサス州。この取組みは、南部湾岸全域で拡大する工業施設、先進製造施設、AIデータセンターなどによるベースロード電力需要が拡大していることを受けたもの。三者は今後、候補地や電力需要、商業スキームを共同で評価する。ホルテック社がSMR-300の技術・原子炉供給とプロジェクト開発、現代E&C社が、タービン発電機などのBOP機器のEPC(設計・調達・建設)を担う想定である。ホルテック社は、ミシガン州で運転再開に向けて作業を進めるパリセード発電所(PWR, 85.7万kW)の隣接サイトに、初号機となるSMR-300×2基から構成されるパイオニア発電所の建設を計画しており、NRCに建設許可の第一部を2025年12月末に申請済み。また、英国ノッティンガムシャー州のコッタム石炭火力発電所跡地にも、英EDFエナジー社と共同でSMR-300×4基を建設し、併設するデータセンター向けに電力を供給する計画を進めており、今年6月に英政府に提案している。
17 Aug 2026
895
米カリフォルニア州のロングビーチ港と米運輸省海事局(MARAD)は7月22日、商用船舶、港湾、その他の海事資産に電力を供給する小型モジュール炉(SMR)の活用の推進に向けて、協力覚書(MOC)を締結した。米国の海港がMARADと原子力活用に関して提携するのは全米初。但し、具体的な原子炉建設や導入を決定するものではなく、商用サービス向けの原子力推進船舶を実現するため、規制・安全面を含む環境整備を共同で進めることが目的。本協力は、2026年5月にMARADが実施した、米国製で、拡張性があり、商業的に実現可能なSMRの開発および海上輸送システム内への導入支援について業界からの意見を募る、情報提供要請(RFI)によるもの。ロングビーチ港は米国内の18の「商業戦略海港」の一つに指定されており、2050年までにコンテナ取扱量を倍増させるという目標を掲げている。信頼性の高い電源需要の大幅増加が予想される中、両者は本覚書に基づき、米国沿岸警備隊、エネルギー省、原子力規制委員会と協力し、SMRを動力源とする船舶が米国の港に安全に入港・停泊し、必要な整備を受けられるよう、運用手順、安全基準、検査手続きなどの整備を進め、ベストプラクティスの開発と共有を行うこととしている。また、SMRを商業船舶の推進力として利用するだけでなく、港湾施設やその他の海事インフラへの電力供給などへの活用も検討。MARADは、この取組みを米国の造船業や海事サプライチェーンの強化、人材育成にもつなげたい考え。ロングビーチ港側も、連邦政府の支援と民間企業の技術革新を組み合わせ、SMR船舶の開発および港湾受け入れに向けた港湾インフラの評価および整備に必要な措置を講じつつ、次世代の海運・港湾エネルギーシステムの実現を目指すとしている。
17 Aug 2026
536
韓国水力・原子力(KHNP)は7月31日、韓国慶州にある本社で、フィリピンを代表する民間エネルギー企業の一つであるアボイティス・パワー(AboitizPower)社と、原子力プロジェクトにおける協力強化に向けて了解覚書(MOU)を締結した。同覚書に基づき両社は、原子力技術に関する情報交換、新規原子力発電プロジェクトの予備的実現可能性調査(F/S)、および研修プログラム、セミナー、実務者レベルでの協議の実施を通じて、原子力技術およびフィリピンにおけるその適用の可能性を探る。アボイティス社は火力、水力、太陽光、地熱発電、エネルギー貯蔵システムなどの多岐にわたる発電事業を展開し、発電、送配電、電力小売事業をカバーしている。同覚書には、KHNPのチェ・イルギョン上級執行副社長、アボイティス社のC. アボイティス最高コーポレートサービス責任者が調印。フィリピン・エネルギー省のS. ガリン長官と、国営電力公社のJ. ノグラレスCEOも同席した。ガリン長官は、「安全でクリーン、信頼できるエネルギーへの移行は、政府だけで達成できるものではない。強力な官民連携と、KHNPのような経験豊富な業界リーダーとの国境を越えたベストプラクティスの交換が必要」と述べ、エネルギー移行を推進する上で協力の重要性を強調している。フィリピンは、電力需要の増大への対応やエネルギー安全保障の強化に向け、原子力発電の開発に向けた取組みを進めている。政府は民間電力会社と連携し、原子力発電所の候補地に関する共同調査の実施や、発電所の建設・運転に関する許認可手続きを体系化したフローチャートの策定など、原子力プロジェクトの基盤・制度整備を進めている。フィリピンは1970年代の石油危機を受け、バターン原子力発電所(BNPP、米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)を建設したが、財政問題や安全性への懸念から運転には至らなかった。その後、原子力導入は停滞したものの、2022年に導入方針が示され近年再び検討が本格化。SMRを含む多様な炉型の活用が模索されている。政府は2032年までに初の原子力発電所の運転開始(120万kWe)を目指し、2035年に240万kWe、2050年に480万kWeへ拡大する計画としている。
13 Aug 2026
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ドイツのニーダーザクセン州環境省は7月22日、仏フラマトム傘下のAdvanced Nuclear Fuels(ANF)社がニーダーザクセン州リンゲンの燃料製造工場で計画する、ロシア製PWR=VVER向けの燃料集合体の製造設備への改造を、厳しい安全対策を条件に認可した。ANF社は2022年3月、ニーダーザクセン州環境省に対し、リンゲンの燃料製造工場でロシア設計の六角形のVVER用燃料集合体を製造するため、製造・試験設備の変更や追加設備の設置を含む改造を申請した。ロシア国営原子力企業ロスアトム傘下の燃料製造企業TVEL社が保有するライセンスと技術を用いて、欧州で稼働するVVER向け燃料の製造と供給を目的としている。本申請は、その直前の2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を受け、大きな物議を醸した。同州のC. マイヤー環境相は認可にあたり、ロシアとの原子力分野での協力は政治的に「根本的に誤り」と強く批判し、ロシアへの依存を減らすべきだとの立場を改めて表明した。しかし、ニーダーザクセン州は原子力法に基づき、連邦政府の委任行政として認可を発給する立場にあり、連邦監督当局は安全保障上の評価を見直した結果、「法的に認可を拒否できる根拠はない」と判断。州政府は今回、これに従って認可した。EUが現在、ロシア産ウランや原子力分野に対する制裁を導入していないことも認可の背景にあった。但し、認可には厳格な条件が課せられた。TVEL社やロスアトム、関係する職員の工場への立入りは原則として禁止され、例外的な立入りも監督当局の同行が必要となる。また、ロシア製のハードウェアおよびソフトウェアは第三者による安全性検証を受け、工場内の他のシステムから完全に分離。さらに、ロシアから搬入されるガドリニウム燃料棒は全数について二重の改ざん検査を実施し、従業員に対してもスパイ・妨害工作対策の教育を定期的に行うことが義務付けられた。ロシア製VVERは現在、チェコ、スロバキア、ブルガリア、ハンガリー、フィンランドで全19基が稼働、各国で国内電力供給の1/3~2/3を生産している。ロシアのウクライナ侵攻後、これら欧州の発電事業者は、燃料調達の代替サプライヤーへの切り替えを順次進めているが、ロシア製燃料はいまだ多くの原子炉で利用されている。2023年4月にはドイツの原子力発電所の段階的廃止が完了し、ドイツ国内市場はほぼ消滅。フラマトム/ANF社は2023年にTVEL社との間で締結したライセンス契約に基づき、リンゲン工場でVVER用燃料を製造し、欧州の既存原子力発電所に供給していく考え。フラマトム社によると、今回の認可によりANF社での雇用維持と拡大が保証され、VVER向け燃料集合体は2027年から供給可能だという。フラマトム社は、まずは欧州のVVERで実証済みの既存の燃料設計に基づく燃料製造・販売を実施する一方、100%欧州製のVVER用独自設計の燃料の開発、認定、認可取得、および製造も段階的に進めていく方針である。新規設計の認定には、規制当局の枠組みおよび通常の認証手続きに基づき、数年を要すると見込んでいる。
13 Aug 2026
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スロバキアのモホフチェ原子力発電所4号機(VVER-440, 47.1万kWe)は8月6日、初臨界を達成した。同機では6月29日に燃料装荷が始まった。今後、様々な出力レベルでの試験を実施し、運転条件下における発電所の全システムの挙動を検証、送電網に接続する準備を整える。モホフチェ4号機が稼働を開始すれば、スロバキアの電力消費量の77.5%を原子力発電が賄うことになり、スロバキアは世界で最も原子力発電の割合が高い国の一つとなる。スロバキアでは現在、モホフチェ発電所で3基(1~3号機、VVER-440)、ボフニチェ発電所で2基(3~4号機、VVER-440)の計5基が運転中。両発電所の運転者はスロバキア電力で、2024年3月には石炭火力発電所をすべて閉鎖し、原子力発電、水力発電、太陽光発電による脱炭素電源100%を達成している。また、電力需要の増加を受け、政府はボフニチェ発電所5号機に最大出力120万kWeの新設を計画。米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000の採用が有力視されており、今年4月末、米国、スロバキア、WE社間で基本設計(Front-End Engineering Design, FEED)調査の開始で合意されている。
12 Aug 2026
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ギリシャの閣僚会議において7月30日、原子力発電の役割を評価し、政府に正式な勧告を行うための省庁間委員会の設置が閣議決定された。K. ミツォタキス首相は閣議決定に際し、原子力発電所の建設そのものではなく、同国が国際的な動向に後れを取らないよう早期に科学的調査を行う、明確な枠組みの策定の必要性を強調。多くの国が小型モジュール炉(SMR)に注目する中、省庁間委員会が中心となりあらゆる情報を把握し、精査する役割を担うと述べた。同首相は今年3月にパリでフランス政府と国際原子力機関(IAEA)が共催した第2回「原子力エネルギー・サミット」に出席し、ギリシャが特に小型モジュール炉(SMR)を同国のエネルギーミックスに組込むことを検討していくと表明した。電力需要の増大が予測される中、再生可能エネルギーの拡大に加え、長期的には予測可能なベースロード電源が必要であり、エネルギー自立、経済的競争力、脱炭素化の達成には、原子力が不可欠と強調。政府へ具体的な提言を行うハイレベルな閣僚委員会を設置すると述べた。さらにSMRの活用事例として、海運における原子力利用が海運業界の脱炭素化に寄与する解決策になると指摘し、世界有数の海運国として主導的役割を担っていく考えを示している。ギリシャでは1960年代~1970年代にかけて原子力導入の可能性が検討されたが、安価な褐炭の利用が可能であったため、原子力発電への転換には至らなかった。また、1986年のチョルノービリ事故は、同国で原子力発電利用に反対する気運を高め、近隣諸国の事故から影響を受けることへの懸念も強まった。現在は再生可能エネルギーに注力し、発電量の半分以上を風力および太陽光発電で賄い、電力の純輸入国から純輸出国となっている。一方で、AIを支えるデータセンターと電化の進行により、ギリシャは再生可能エネルギーだけに頼らないエネルギー戦略の再考を迫られており、今回、政府が原子力発電を正式に検討する決定をしたことは歴史的な転換点といえる。
12 Aug 2026
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