
米大手電力会社のサザン・カンパニーと海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英コアパワー社は10月14日、米エネルギー省(DOE)が「塩化物熔融塩実験炉(Molten Chloride Reactor Experiment, MCRE)」開発の最終段階を加速するため、費用分担型の追加資金支援を承認したことを明らかにした。MCREの開発はDOEの先進炉実証プログラム(ARDP)の下で実施され、アイダホ国立研究所(INL)サイト内にある国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)の試験ラボに設置する計画。サザン・カンパニー、コアパワー社、DOEが共同で取組む官民プロジェクトで、早ければ2027年に初臨界達成が予想されている。MCREが臨界に達すれば、塩化物熔融塩実験としては世界初。高速中性子を利用するMCRE(150kWth)は、液体塩を燃料および冷却材として使用。液体燃料塩は、従来炉の固体燃料棒と比べて高温運転が可能で燃料効率が高く、また安全性の強化が期待されている。INLはこうした特性により、船舶用の小型原子力システムや遠隔地など、新たな応用分野が開かれる可能性を指摘している。2020年12月にDOEの先進炉実証プログラム(ARDP)の将来実証炉リスク低減プロジェクトの枠組みの支援対象に選定され、7年間の事業総額1億1,300万ドルのうち、DOEが80%に当たる9,040万ドルを支援する。今回の追加支援額は公表されていない。MCREの目的は、燃料の挙動、原子炉の運転特性、システム性能などに関するデータを取得し、テラパワー社およびサザン・カンパニーが開発を進める塩化物熔融塩高速炉(MCFR)の2030年代の商業化に資すること。これまで計算モデルに依存していた炉の挙動について、実際に核分裂連鎖反応が持続する状態で測定したデータを得ることが重要となる。INLの原子力科学・技術部門の責任者J. ゲーヒン氏は、実測データによって計算モデルの精度を高め、将来の原子炉設計者や規制当局が抱える技術的不確実性を低減できると説明。一方、サザン・カンパニーは産業界と政府、研究機関の連携によって技術開発を加速させる意義を強調している。また、コアパワー社のM. ボーCEOは、実験結果は、商業展開に向けた炉設計や許認可手続き、新たなサプライチェーンの構築に役立つとし、将来的には大型商用船舶への導入を視野に入れている。MCFRは、産業用熱源や医療用放射性同位体の製造、使用済み燃料から回収したアクチノイドの再利用などへの応用も期待される。燃料は液体塩化物に溶解されるため、将来のシステムでは新しい固体燃料集合体を繰り返し製造することなく、長寿命核種のアクチノイド元素をリサイクルし、最終処分を必要とする廃棄物量の低減や管理期間の短縮が可能となる見込み。燃料のクローズド・サイクルと船舶用原子炉の融合により、持続可能で排出ゼロの動力源が海上における世界貿易の輸送方法を一変させる可能性がある。
23 Oct 2026
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ポーランドのエネルギー省、国営原子力事業者のポーランド原子力発電会社(PEJ)および国営エネルギーグループ(PGE)は10月13日、第2原子力発電所(EJ2)プロジェクトの実施に向けて役割分担と協力原則に合意した。PEJがEJ2プロジェクトの投資家兼コーディネーターとなり、PGEは原子炉ベンダー候補と協力して立地分析や予備的な実現可能性調査を行う。合意書には、エネルギー省のW. ヴロースナ国務長官兼戦略エネルギー・インフラ担当政府全権代表と、PEJ、PGEの代表が合意書に調印した。これを受け、M. モティカ・エネルギー相は、「原子力発電は国の安全保障にとって戦略的に重要であり、自国の危機に対する耐性を強化し、海外依存度を低減させるもの。我が国は第1原子力発電所(EJ1)プロジェクトから継続して、国内企業の育成に重点を置いている」と強調。一方、ヴロースナ長官は、「この合意を機に、PEJとPGEの役割分担が明確になり、両社の専門性の活用が可能になる。今後の立地調査や実現可能性調査、炉型選定にあたり、技術だけでなく資金調達や長期的な戦略的協力も考慮したプロセスを競争的な形で進め、事業の実施に有利な条件を整えていく」と述べた。合意文書には9月29日に閣議決定された、ポーランド原子力発電プログラム(PPEJ)改定版の指針が織り込まれ、EJ2プロジェクトの準備における両社の役割を以下のように示している。PEJ – プロジェクトの調整および投資主体としての準備PGE – 原子炉ベンダー候補と共同で予備的な実現可能性調査を実施するとともに、PEJのために候補地の必要な分析を実施EJ2の建設にあたり、PEJがEJ1プロジェクトを通じて得た知見とPGEのリソースや経験を効果的に活用し、政府・行政レベルでの調整を通じて、投資準備を円滑に進めていく方針である。EJ2プロジェクトは現在、原子炉ベンダーと主契約者の選定に向けて、米国、フランス、カナダの事業者との協議が進行中である。EJ1と同様、実績のある第3世代+(プラス)の大型水冷却炉が検討対象となっており、技術や資金調達、幅広い戦略的協力事項を含む包括的な提案を選定するとしている。PPEJに基づくEJ2プロジェクトの主な段階は、以下の通り。2027年 – 原子炉ベンダーおよび主契約者選定の予定2032年頃 – 着工予定2040年頃 – 初号機の稼働開始予定EJ2の候補地としては、石炭火力発電所のある同国中央部のベウハトフ地区やコニン地区の2か所が検討されており、投資可能性の確認に必要な調査・分析を実施した上で最終決定される。■EJ1建設プロジェクトの進捗PEJは、同国北部のポモージェ県ホチェボ自治体内のルビアトボ-コパリノで、ポーランド初となる原子力発電所(EJ1)プロジェクトを実施している。EJ1発電所は、米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000×3基、合計出力375万kWeで構成される。2028年の着工、初号機の営業運転開始は2036年を予定している。1,200万世帯以上の電力需要を賄い、ポーランドのエネルギー転換を支える柱の一つとなる。PEJは10月8日、WE社に対し、EJ1初号機について長納期品の調達開始を指示した。対象はAP1000の原子炉格納容器や関連構造モジュールなど、原子力部(Nuclear Island)の6主要機器・構造物。製造に長期間を要する機器などを早期に確保し、建設工程の遅延リスクを回避することが目的。10月13日にはWE社は、初号機の安全関連モジュールの製造に向け、ポーランド企業4社と条件付きで購入発注書を発行した。それぞれ格納容器内燃料交換用の水貯蔵タンク関連モジュールや、格納容器建屋内の壁・床を構成するモジュールなどの製造を担当。原子力施設向け品質保証規格NQA-1への適合認証の取得や試作モジュールの製造などで、原子力安全関連の製造に必要な各社の能力が確認され次第、正式な発注に進む方針。ポーランド企業の技術力を育成・活用するとともに、将来的には同国の製造業をAP1000向けの国際的なサプライチェーンに組込みたい考えだ。
22 Oct 2026
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米先端材料企業ASPアイソトープ(ASPI)社は10月15日、傘下のQuantum Leap Energy(QLE)社が南アフリカ原子力公社(Necsa)と、HALEU((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン ))の製造に向けた合弁事業の基本合意書を締結したと発表した。南アフリカのペリンダバ原子力研究施設で、試験設備の整備や商業規模のHALEU製造施設の建設を進める計画。合弁事業の権益比率はQLEが約80%、Necsaが約20%とし、次世代炉向け燃料の供給源の多様化をめざす。 QLEとNecsaは2024年11月、HALEUなど先進原子燃料の研究開発や商業生産に向けた協力覚書(MOU)を締結し、2026年2月には施設整備に必要なインフラやサービスの提供に関する契約を交わしていた。今回の合意では、合弁事業の権益比率や役割分担を具体化。QLEが事業運営と資金調達を主導する一方、Necsaは施設用地の提供や核物質の保障措置、許認可・規制対応を支援する。試験設備はすでに建設されており、ペリンダバでは現在、同設備を収容するための施設の改修が進められている。また、QLEは2026年7月、南アフリカの電力・エネルギー省から、ウラン濃縮活動に必要な原料物質や原子力関連機器・技術の取り扱いに関する承認を取得している。 この計画をめぐっては、2024年10月に米テラパワー社とASPI社が、南アフリカでのウラン濃縮施設の建設と、テラパワー社が開発するナトリウム冷却高速炉「Natrium」向けHALEUの供給に関する基本条件を定めたタームシートを締結していた。今回の発表では、QLEが製造予定のHALEUについて、テラパワー社との供給契約をすでに締結していることも明らかにした。
21 Oct 2026
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米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は10月8日、宇宙探査向け原子力技術開発の加速に向けて覚書「宇宙原子力発電・推進分野における米国の主導的地位の確立(Accelerating American Leadership in Space Nuclear Power and Propulsion)」を締結した。NASAの J. アイザックマン長官とDOEのC. ライト長官が署名し、2026年11月1日に発効する。今回の覚書は安全性を最優先に、先端研究や原子燃料の製造から、厳格な試験、打上げと運用に至るまで、宇宙用原子力技術の開発全般にわたる協力の枠組みを定めたもの。米国が宇宙探査における原子力技術の開発から実用化までを一体的に進め、国内の宇宙原子力産業基盤の強化と宇宙原子力分野での国際的な主導権の確保をめざしている。この協力の背景には、D. トランプ米大統領による2025年12月の大統領令「米国の宇宙における優位性確保」がある。同令ではNASAに対し、2030年までに月面原子炉を運用可能な状態にするよう指示。月面では、約2週間ごとに昼と夜が入れ替わるため、将来の長期滞在型のミッションでは日照条件に左右されない原子力による電力供給が重要になる。宇宙用原子力技術の中核となる計画の一つが、2028年までに打上げを予定する原子力電気推進(NEP)を採用した惑星間宇宙船「スペース・リアクター1(SR-1)フリーダム」。原子力推進技術を実際の深宇宙探査に適用する計画で、実現すれば、原子力推進技術が実験室での研究段階から実運用へと進むことになる。これに続く「ルナー・リアクター1(LR-1)」は、月面で使用する核分裂発電システムで、居住区や通信、機器、ローバー(探査車)など、月面の重要インフラにエネルギーを供給し、将来の火星ミッションを見据え、深宇宙探査で求められる厳しい電力供給条件に対応できる技術の確立を図る考えだ。NASAとDOEは、核分裂炉だけでなく、放射性同位体熱電気転換器(RTG)システムの活用も進める。RTGは放射性同位体の自然崩壊で生じる熱を利用する電源。2028年打ち上げ予定の土星の衛星タイタン探査機「Dragonfly」には、多目的RTGと24基の軽量放射性同位体ヒーターユニットが搭載される。これらは探査機への熱や電気の供給を担い、Dragonflyはタイタンの複数地点を飛行・探査し、生命の存在可能性を調べるという。また、火星で過去および現在の生命の可能性を調査する欧州宇宙機関(ESA)の「Rosalind Franklin」ローバーに対しても、NASAとDOEは同様のヒーターユニット24基を提供する計画である。
21 Oct 2026
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米国船級協会(ABS)と米エネルギー省(DOE)原子力局は10月12日、海上での最新の商用原子力技術の活用促進に向けた覚書を締結した。本合意は、浮体式原子力発電所や原子力推進船舶に加え、それらの建造・維持に必要な港湾、造船所、産業基盤の整備を対象としている。優先事項として、浮体式原子力発電および原子力輸送ルートに関する概念・実現可能性調査のほか、原子力推進船を安全に建造・運用できる米国の造船業界の育成支援を掲げている。ABSは、米運輸省海事局(MARAD)傘下の米国海事イノベーションセンター(USCMI)を通じて、関連業務の調整を行う。ABSのJ. マクドナルド会長兼CEOは「先進原子力技術は構想から実用化へと移行しつつあり、海運業界はそれに備える必要がある」と述べ、DOEや業界と協力し、原子力技術を商業海事分野で安全かつ実用的に活用できる選択肢として確立していく意欲を示した。ABSは、原子力技術の海事利用に向けた取組みを先導しており、浮体式原子力発電所に関する業界初の包括的な船級規則を公表したほか、さまざまな原子力プロジェクトに基本設計承認(AiP)を発給している。一方、DOEは、浮体式原子力発電や原子力推進船舶の導入を進めるため、米国内の政府機関と海事産業との調整・連携を促進する。本覚書に基づき、ABSと海事原子力応用グループ(MNAG)を共同運営し、概念検討や実現可能性調査に関して、技術、規制、経済、政策の各面から検討を進める。また、DOE傘下の国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)は海事・原子力分野の専門家を結びつけ、海事分野における先進原子力技術の実証と商業化を促進するため、MNAGを支援している。DOEのT. ガリッシュ原子力担当次官補は「先進原子力技術には、商用海運業界を変革し、新たな市場を切り拓く可能性がある」と述べ、新興産業における米国の主導的な役割に期待を寄せた。
20 Oct 2026
567
スロバキアのモホフチェ原子力発電所4号機(VVER-440, 47.1万kWe)は10月15日、送電を開始した。同機は6月29日に燃料装荷を開始、8月6日に初臨界を達成していた。系統連系は原子炉出力20%の段階で実施され、まず同機の2基あるタービン発電機のうち、最初の1基が送電網に接続された。2基目のタービン発電機も送電網と同期後、出力を段階的に上げていく一連の試験を実施し、定格出力に至るまで、技術、制御、安全各システムの性能を検証する。同機の本格稼働後は年間約35億kWhの発電が見込まれ、スロバキアの電力消費量の77.5%を原子力発電が担うことになる。スロバキアは、世界で最も原子力シェアが高い国の一つとなる。スロバキアでは現在、モホフチェ発電所で3基(1~3号機、VVER-440)、ボフニチェ発電所で2基(3~4号機、VVER-440)の計5基が運転中。両発電所の運転者はスロバキア電力で、同社は2024年3月に石炭火力発電所をすべて閉鎖し、原子力発電、水力発電、太陽光発電による脱炭素電源100%を達成している。また、電力需要の増加を受け、政府はボフニチェ発電所5号機として最大出力120万kWeの新設を計画。米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000の採用が有力視されており、今年4月末、米国、スロバキア、WE社間で基本設計(Front-End Engineering Design, FEED)調査の開始で合意している。スロバキア政府は10月7日、ボフニチェ・サイトでの新規建設準備を目的に2009年12月に設立された合弁企業のスロバキア原子力発電会社(JESS)の株式49%をチェコ電力(ČEZ)から買い取った。残る51%はスロバキア国営原子力・廃止措置会社(JAVYS)が所有しており、今回の取得により、JESSはスロバキア側が全株式を保有する企業となった。同国のR. フィツォ首相は、今回の株式取得により新規建設を大幅に加速できると述べ、欧州委員会が推進する化石燃料からの段階的なエネルギー移行や産業界の電化、AIやデータセンターによる電力需要の拡大に応えるには、新規建設以外に選択肢はないと強調した。
19 Oct 2026
545
米カリフォルニア州のG. ニューサム知事(民主党)は9月30日、州議会で成立した2つの法案に署名した。1つ目は州内に新たに原子力発電所を建設する可能性について、包括的な評価の実施に関するもの、2つ目は核融合の研究開発促進と産業の育成に関する法案である。2045年までに電力の100%をゼロカーボン電源で賄う目標に向けて、従来の原子力モラトリアム(禁止・制限措置)を再検討する動きとして注目される。原子力発電所の新設可能性を包括的に評価することを定めた法案AB 2647(原子力発電所:評価)では、カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)が、州内の重要インフラにおける先進原子力技術の役割や新規建設について、州全体の電力需要に対する費用対効果や2045年までの電力のゼロカーボン目標への貢献度から検討し、2028年1月1日までに包括的な評価を作成することを定めている。法案を提出したL. カルデロン州下院議員は、州内の電力需要が増大する中、電力のゼロカーボン目標の達成には安定したクリーン電力供給が必要と強調。同州の家庭・企業が全米でも高い水準の電気料金を支払っていることから、電力料金の手頃さも重視し、先進的な原子力発電の選択肢を残しておくことは不可欠と指摘した。また、少なくとも他の5州((米エネルギー省によると、原子力モラトリアムを撤廃したのは、イリノイ州、ケンタッキー州、モンタナ州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州、ウェストバージニア州の6州。))は、50年前の技術に基づく時代遅れの制限が現代のクリーンエネルギー目標と両立しないことを認識し、同様の原子力モラトリウムを撤廃または修正していると言及した。新法は、こうした課題を踏まえ、現在の先進原子力技術と電力需要に即して原子力の役割を再評価し、将来の政策判断につなげるための第一歩と位置付けられる。当初提出された法案では、2005年1月1日以降に米原子力規制委員会(NRC)の認可を受けた先進原子炉について、従来の新設制限を適用しない方針を示していたが、審議の過程で法案の内容が変更され、最終的には州内の新規建設と先進原子炉の役割を包括的に評価するものとなった。カリフォルニア州では1976年、新規建設を事実上制限する法律が制定された。同州では唯一、ディアブロキャニオン原子力発電所(DCPP)1-2号機(PWR、各119.7万kWe)がそれぞれ1984年、1985年から運転している。所有者であるパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社は当初の運転期間40年に加えて、20年間の運転継続を計画していたが、電力供給地域における需要の伸び悩みと再生可能エネルギーによる発電コストの低下を理由に、各40年の運転期間満了にともない閉鎖する計画を2016年8月に州公益事業委員会(CPUC)に提出、2018年1月に承認された。しかし、2020年の熱波による州全域の計画停電と2022年に発表された新たな需要予測を受け、カリフォルニア州議会は2022年9月、DCPPの2030年までの稼働を支持する法案を可決。これを受け、PG&E社はNRCにDCPPの運転認可延長を申請し、今年4月、NRCの認可により各機の運転期限はそれぞれ2044年11月、2045年8月となった。NRCはDCPPが今後20年間の運転継続が安全かつ環境的に適合していると判断したが、州法上、2030年以降の運転継続には州議会の承認が必要になる。DCPPによる発電電力量は現在、カリフォルニア州の総発電電力量の約10%、クリーンエネルギーの約20%を占める。一方、核融合については、法案SB 925により、CECが核融合エネルギーの戦略計画を策定する。計画には、研究開発機会の拡大や商業化戦略の策定、核融合関連製造業の育成などが含まれる。州内には、サンディエゴのDIII-D国立核融合施設や、ローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(NIF)があり、研究基盤を産業化につなげるねらいがある。
19 Oct 2026
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米原子力新興企業のディプロイアブル・エナジー(Deployable Energy)社は10月7日、アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)が運営する「マイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor Experiments: DOME)」テストベッドで、2027年に同社が開発するマイクロ炉のフルパワー試験を行う事業者に選定されたことを明らかにした。今回の選定を受け、同社はマイクロ炉「ユニティ・ニュークリア・バッテリー(Unity Nuclear Battery)」の商業展開に向けた取組みを推進していく。「ユニティ」は今年6月30日、INLでゼロ出力臨界試験を成功裏に完了した。2025年5月に発令された大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された7月4日(独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の先進炉の臨界到達という目標を達成した4基のうちの3基目である。ユニティはプロジェクト開始から約150日後に臨界を達成。ディプロイアブル社はNRICの「Nuclear Energy Launch Pad」イニシアチブの下で臨界を達成した初企業である。DOMEでの試験は、2026年7月の申請を経て選定され、試験に係るコストは自己負担となる。「ユニティ」は、0.1万kWeの軽水減速・ヘリウム冷却式のマイクロ炉。コンパクトなモジュール式、かつ運搬可能な原子力発電システムで、遠隔地のコミュニティ、緊急対応活動、防衛任務、重要インフラのレジリエンス強化、産業用エネルギー需要など、幅広い用途への活用が想定されている。DOMEは、先進原子力への需要拡大を背景に、産業界向けの実証用に開発され、2026年4月に稼働を開始した。こうしたニーズに対応できる専用の試験環境は、米エネルギー省(DOE)の国立研究所のみが提供可能とされている。2025年5月に発令された先進原子力の開発加速に関する大統領令を受け、テストベッドの建設は当初計画より約1年前倒しで進められた。DOMEは、高さ約30m、直径約24m、高速増殖実験炉II(EBR-II)の格納容器構造を再利用して建設された。同施設で、実験用原子炉の概念試験や将来の商業用ライセンス申請に活用可能な性能データを収集する。原子炉の開発時間やコストの削減、プロジェクトリスクの低減につなげるのが目的。最大2万kWtの熱出力をもつマイクロ炉の実験用に特別に設計され、初臨界時には安全性を重視した閉じ込め機能を持つなど、世界で唯一の試験施設だという。ディプロイアブル社のB. ギャラガー共同創業者兼CEOは「DOMEにより、実験のために特注の原子力施設を建設することなく、フルパワー試験運転へ持ち込むことができる。原子炉を建設し、迅速に学び、製造段階へ移行する――これこそが、先進原子力産業に必要なモデル。INLでの2027年の実証実験により、『ユニティ』は実用化に一歩近づく」と述べた。同社はユニティの開発において、1. 工場での燃料装荷、2. 燃料装荷済み原子炉の輸送、3. DOMEへの原子炉の設置・展開および定格出力運転の実施、4. DOMEでの運転終了後、INL内での原子炉の再配置、5. 燃料の処分完了、の一連の取組みを実施し、原子炉システムのライフサイクル全体を実証する計画である。これにより、原子炉とその支援システム全体にわたる統合的な性能データを得て、再現性のある製造、輸送、運転の基盤を築きたい考え。臨界試験と同様に、DOMEでのフルパワー試験を米原子力規制委員会(NRC)は注視しており、ディプロイアブル社は、商用展開の実現に必要な許認可取得への取組みにおいて重要な一歩になるとしている。ディプロイアブル社は今後数か月にわたり、NRICおよびINLと協力し、2027年の試験に向けた設計、実験計画、燃料、安全性、および運用準備に取組む。なお、同社はDOMEで自社技術をテストする2社目の企業。これに先だち、ラディアント(Radiant Industries)社が開発する電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉「カレイドス」(Kaleidos)が試験を実施している。同炉は、2025年8月にDOEの先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉。
16 Oct 2026
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米BWXテクノロジーズ(BWXT)社は10月5日、カナダのプロディジー・クリーン・エナジー社、先住民族のパビノー・ファースト・ネーションおよびイール・リバー・バー・ファースト・ネーションがカナダ東部ニューブランズウィック州のベルデューンに設置を計画する、洋上の可搬型原子力発電所(Transportable Nuclear Power Plant, TNPP)の商用パイロット事業に、自社のマイクロ炉「BANR」が採用されたことを明らかにした。同事業では、ベルデューンに最大5万kWeの発電能力を持つTNPPを建設し、2030年代初めの運転開始をめざす。TNPPは先住民族が所有する計画で、ニューブランズウィック州政府はTNPPの電力を購入する意向をプロディジー社と先住民族側に示している。本事業を通じて、TNPPの輸送・設置や運転に必要な要件を実証するほか、カナダ北部や海外市場で可搬型原子力発電所を大規模展開するための商業モデルの確立をめざす。同国の北部地域や僻地では、鉱山、港湾、空港などに安定した電熱供給が必要とされており、ディーゼル発電に代わる、より低炭素で経済性に優れたエネルギー源が求められている。今回採用されたマイクロ炉BANR(BWXT Advanced Nuclear Reactor)は、熱出力7.5万kWt、電気出力2.2万kWeの高温ガス炉。高純度低濃縮ウラン(HALEU)を用いたTRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料を採用し、受動的冷却機能を備えるほか、需要に応じて柔軟な発電で対応する設計となっている。BWXT社は従来、CO2を排出するエネルギー源に依存してきた産業用の熱・電力需要などに応える技術として、BANRの開発を進めている。プロディジー社のTNPPは、単一または複数のBANRを組込んだ輸送可能な発電設備で、工場で製造・組立てた後、現地へ輸送・設置する。製造から現地への輸送・設置までを約18か月で完了することをめざし、設置後には燃料装荷を経て運転を開始できるという。工場での製造・組立てにより、現地工事の負担を抑え、複数地域への展開を容易にするねらいがある。本事業には、BWXTカナダ社とBWXT社傘下のカナダのキネクトリックス(Kinectrics)社が参加し、設計・エンジニアリング、規制対応、製造、サプライチェーンの整備などを支援する。ベルデューン向けのBANR×2基と関連設備は、主にカナダ・オンタリオ州にあるBWXT社の施設で製造予定。カナダ国内のCANDU炉の改修や新設計画を通じて拡大している原子力産業の人材・製造基盤も活用する。カナダの原子力技術と国内製造能力を活用し、輸送可能なマイクロ炉の商用化を実証する先行事業の位置づけである。プロディジー社は9月下旬、採用する炉型選定の方針として、安全性や環境保護の観点に加え、早期商用化に向けた準備状況、特に2030年代初めまでに運転を開始できる見通しや、カナダ国内のサプライチェーンの活用、先住民族や地域住民への長期的な利益を重視すると示していた。当初はTNPPへの搭載炉として、米ニュースケール社の小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」(PWR, 7.7万kWe)および米ウェスチングハウス社のマイクロ炉「eVinci」(ヒートパイプ冷却炉, 0.5万kWe)が検討されていた。プロディジー社は現在、共同開発、設計、許認可、サプライチェーン、資金調達、建設・展開に関する正式契約の締結に向けて、BWXT社と協議している。今後は商業・産業分野に加え、防衛分野も対象として、世界市場への展開をめざす考え。
15 Oct 2026
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米ホルテック・インターナショナル社は9月30日、ミシガン州のパリセード原子力発電所(PWR, 85.7万kW)サイトに同社製小型モジュール炉SMR-300(PWR, 34.0万kWe)2基で構成するパイオニア発電所の建設計画について、米原子力規制委員会(NRC)に予備安全解析報告書(Preliminary Safety Analysis Report, PSAR)を提出、建設許可申請(CPA)の第2部を完了した。運転再開を目指す既設のパリセード発電所とともに、同社が「パリセード・エネルギー・キャンパス」と名付ける拠点を形成する。今回のPSAR提出は、段階的な建設許可申請の一環であり、同発電所の詳細な技術と安全情報を提供するもの。ホルテック社は2025年12月末、原子炉の安全上重要な設備に関係する基礎や地中部分の工事などを対象とする限定的作業許可(Limited Work Authorization, LWA)をCPAの第一部で申請している。NRCは今年8月末、LWAが発給される前に特定の敷地工事を認める「適用除外(exemption)」を発給しており、掘削を支える壁や遮水壁の設置などの先行工事が可能になった。ホルテック社は今後、最終安全解析報告書(FSAR)の作成に向けて、建設費の詳細な見積りや建設工程を時系列で示す4Dシミュレーションなどを進める。一方、ホルテック社によると、既設のパリセード発電所では運転再開に向けた燃料装荷作業中にトラブルが発生している。燃料装荷は8月30日に開始されたが、燃料集合体1体が炉内の所定位置に設置され、燃料交換機から切り離された際に傾いた。この集合体は炉心支持板に対して下側のタイプレートが約30度傾き、上側のタイプレートが炉心の反対側にある炉心シュラウドに寄りかかった状態にある。燃料棒の健全性は保たれ、ほかの燃料集合体への影響も確認されていないが、集合体のそれ以上の動きを防ぐための措置を施し、燃料取扱チームが継続監視しているという。ホルテック社は傾いた燃料集合体を取り出すため、専用の回収設備と回収した集合体を収納して使用済み燃料プールまで移送するための燃料移送キャニスターを製作したが、これらの使用には、既存の最終安全解析報告書の更新版(Updated FSAR)に記載された燃料取扱手順や移送経路を変更する必要がある。このため、同社は9月30日、今回の燃料集合体の取出し作業に限って別の設備と手順を使用できるよう、ライセンス変更申請(License Amendment Request, LAR)をNRCに提出し、10月2日までの承認を求めた。NRCは申請を審査し、10月8日を期限とする一般からの意見募集を実施。NRCは予備的判断として、提案された変更により想定済みの事故の発生確率や影響は大幅に増加することはなく、新たな種類の事故を引き起こす可能性もなく、安全裕度を大幅に低下させないと指摘していたが、10月13日には「重大な危険性なし」とする最終判断の下、LARを承認した。これにより、ホルテック社は傾斜した燃料集合体を回収し、燃料の装荷を再開、原子炉の起動に向けた準備を進めることとなる。
15 Oct 2026
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米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing, EDF)は10月5日、米電力大手のビストラ(Vistra)社に対し、同社がペンシルベニア州とオハイオ州で運転する3つの原子力発電所の出力増強や改造工事を資金面で支援するため、最大42億ドルの条件付き融資を行うと発表した。融資の実行には、ビストラ社が技術面、法務面、環境面、財務面で一定の条件を満たす必要がある。本融資は、13州にまたがる系統運用者PJMの管轄地域で増大する電力需要への対応や電力の安定供給、送電網の強化、エネルギーコスト削減が目的。対象となるのは、ペンシルベニア州にあるビーバーバレー(PWR, 95万kW級×2基)、オハイオ州のデービスベッセ(PWR単機, 92.5万kW)、ペリー(BWR単機, 130.3万kW)の各発電所。300万世帯以上に電力供給が可能な約400万kWの設備容量が維持されるとともに、43.3万kWの設備容量が追加され、ペンシルベニア州やオハイオ州、およびPJM地域全体での電力需要増に対応する。発電所の改造工事に伴い、エンジニアリング、建設、停止期間中の保守作業など、プロジェクトに関連して約3,000人の雇用が創出されるほか、数千人分の高賃金の常勤雇用も維持されると見込まれている。米IT大手のメタ・プラットフォームズ(Meta)社は2026年1月、データセンターやAIインフラの稼働に必要な電力の安定確保を目的に、これら3つの発電所から計217.6万kWの電力を2026年後半から20年間購入する電力購入契約(PPA)を締結し、これら発電所で2034年までに計43.3万kWの出力増強を行う計画を支援することでも合意している。ビストラ社によるこれらの発電所への投資は、同等規模の新規建設をすることなく既存発電所の発電能力を増強するとともに、運転認可の20年間延長に向けた取組みを支える。なおDOEによる本融資には、同社がテキサス州で運転するコマンチェピーク発電所(PWR, 125万kW級×2基)における将来的な出力増強への資金提供オプションも含まれている。コマンチェピーク発電所については、ビストラ社は2025年9月、Amazon Web Services(AWS)社と同発電所から最大120万kWの電力を20年間供給するPPA(最大20年間の延長オプション付き)を締結している。電力供給は2027年第4四半期に開始され、2032年までに最大量に達する見込み。
14 Oct 2026
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バングラデシュのルプール原子力発電所1号機(PWR=VVER-1200、120.0万kWe)が10月11日、初臨界を達成した。今年4月28日に燃料装荷が開始され、10月8日にバングラデシュ原子力規制庁(BAERA)が初臨界に向けた最終承認を与えていた。同発電所はロシア国営原子力企業ロスアトムの協力を得て建設された、同国初の原子力発電所。同機は2017年11月、同型の2号機は2018年7月に着工。1号機は今後、各出力段階で原子炉設備の試験を行い、11月末までに送電網に接続される予定。両機の稼働により、同国の電力需要の約10%をまかなう見込みである。ルプール原子力発電所は、首都ダッカから160kmにあるパブナ地区のガンジス川東岸に位置する。バングラデシュ原子力委員会(BAEC)が所有し、運転者は原子力発電法に基づき設置されたバングラデシュ原子力発電会社(NPCBL)。BAECとロスアトムは2011年11月、ルプール発電所建設に関する政府間協定を締結。2015年12月、BAECとロシアのエンジニアリング企業のアトムストロイエクスポルト(ASE)社間で、建設契約(総額126.5億ドル)が締結された。ロシアが総建設費の約90%を融資している。VVER-1200は第三世代+(プラス)設計のロシアの原子力輸出の旗艦炉。ロシア(4基)、ベラルーシ(2基)で運転中。また、ロシア(2基)、エジプト(4基)、ハンガリー(2基)、トルコ(4基)、中国(4基)で建設中である。カザフスタンでは、2基建設に向けてエンジニアリング調査が進行中である。
13 Oct 2026
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米ウェスチングハウス(WE)社は9月29日、サウスカロライナ大学(USC)と米国におけるWE社製AP1000の大規模展開を支える人材育成で提携する覚書(MOU)を締結した。USCが計画している「原子力イノベーションセンター(Nuclear Innovation Center)」で、原子力発電所の運転だけでなく、設計、建設、保守など、幅広い職種の人材育成をめざす。同センターを計画するUSC工学・コンピューティング学部のH. ハジ=ハリリ学部長は、「教育・研究における当大学の強みをWE社の産業ノウハウと融合させ、州内の教育機関、産業界、政府機関のパートナーとも協力し、実践的な学習と人材育成の機会を拡大、学生や専門家が原子力分野でのキャリアに備えられるようにする」と述べた。両者は今後、原子力発電所の大規模な新規建設に必要な幅広い職種の人材を育成する、業界初となる原子力研修センターの設立を進める。具体的には、①運転員や学生が実際のAP1000に近い環境で訓練できるデジタルシミュレーターや模擬制御室、②技能・建設・保守作業を実践的に学び、デジタル作業手順、ウェアラブル機器、AR・VR(拡張現実・仮想現実)、AIなどを建設現場で活用するための技術開発を行う訓練施設、③機械、電気、産業、土木工学の学生を対象に、原子力分野での就業に必要な知識・技能を習得するための認定プログラム――を共同で検討していく。米エネルギー省(DOE)も、今後の大規模な新規建設を支える産学連携による人材基盤と国内サプライチェーンの強化を重要視し、今回の提携をその一環と位置付けている。WE社はサウスカロライナ州内で50年以上活動し、コロンビア燃料製造工場や新規プラントの導入、エンジニアリング、定期点検・保守サービスなどで、2,200人以上を雇用している。USCはこれら既存の産業基盤に大学の教育・研究機能を組合わせ、州内の人材、技術、サプライチェーン、イノベーションを一体化した「原子力エコシステム」を形成し、サウスカロライナ州の原子力および技術主導型の競争力を強化していきたい考え。
13 Oct 2026
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世界原子力協会(WNA)はこのほど、金融機関、投資家、政府向けの「世界原子力投資ガイド」(World Nuclear Investment Guide)の全5モジュールを公開した。 先行公開していた2モジュールに、投資判断に必要な原子力の価値と経済性、資金調達の準備、事業の枠組みの設計を扱う3モジュールを追加した。 9月9〜11日にロンドンで開催された世界原子力シンポジウム初日のファイナンス・サミットに合わせて公開した。同ガイドは、原子力関係者が蓄積してきた建設・運転の経験を、金融が用いる費用、リスク、価値の枠組みに置き換え、投資判断に役立てることを目的とする。 作成には金融機関や専門サービス会社も参加した[1]。WNAは、各国政府が掲げる2050年の原子力発電設備容量14.46億kWe(グロス、WNA「世界原子力発電見通し」初版の値)が実現した場合、2025〜50年にバリューチェーン全体で約6兆ドル[2]の資金需要が生じると試算。 年平均では約2,500億ドルと、2025年の推計投資額約800億ドルの約3倍に上る。 目標達成には、2030年代半ばに新設と投資を加速させる必要があるという。資金需要の90.5%は大型炉、小型モジュール炉(SMR: small modular reactor)、既設炉の長期運転が占め、フロントエンドとバックエンドは合計で1割未満にとどまる。 試算は2025年ドルのオーバーナイト費用で、建設期間中の利息や資金調達費用、地層処分に必要な5,140億ドルは含まない。 WNAは、地域別の試算を加えた完全版を2026年中に公開する予定。またWNAは、原子力の資金調達上の課題は、主として技術ではなく「価値評価」にあると指摘する。 電力系統の信頼性やエネルギー安全保障などの価値が、個別プロジェクトの採算に反映されにくいためだ。 原子力の発電コストに占める燃料費は15〜20%にとどまり、加重平均資本コストが1%ポイント低下すれば、均等化発電原価は1MWh当たり約10〜20ドル下がり得るという。さらに、プロジェクトの資金調達コストは、技術、財務、プロジェクト全体の準備状況という3側面の平均ではなく、弱い側面に左右されると指摘。 法務・契約・規制面が資金調達の障壁となりやすいとしている。原子力・金融・政策・エネルギー分野の諮問委員会と、WNAの経済・法務・資金調達ワーキンググループ下に設けられたタスクフォースが助言した。BNPパリバ、欧州投資銀行、KPMG、ロスチャイルド・アンド・コー、EY、ホワイト&ケースなどが参加している。WNAは、結論と提言は自身の見解であり、両者への参加は内容の是認を意味しないと断っている。 ↩︎本報告書中に記載のドル額は2025年ドルによって計算されています。↩︎
13 Oct 2026
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中国の江蘇省連雲港市で10月8日、中国核工業集団(CNNC)の田湾(Tianwan)発電所7号機(ロシア製PWR=VVER-1200, 127.4万kWe)が送電を開始した。同機は9月28日に初臨界を達成していた。同機は今後、計画に従って一連の試験を実施し、性能をさらに検証後、年内に営業運転を開始予定。同型の8号機は2022年2月に着工しており、2027年に営業運転開始を予定している。田湾発電所では、100万kW級VVER(VVER-1000)を採用した1-2号機が2007年から稼働中。Ⅱ期工事として建設した3-4号機(各110万kWのVVER-1000)も、2018年に営業運転を開始した。III期工事の5-6号機については、CNNCはフランスのPWR技術をベースに独自開発した第3世代の110万kW級PWR=CNP-1000を採用。両炉はそれぞれ、2020年9月と2021年6月に営業運転を開始している。同1~6号機の累積発電電力量は5,000億kWhを超えており、全基が稼働すれば、年間発電電力量700億kWh超が見込まれている。
09 Oct 2026
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ポーランド閣僚会議は9月29日、同国における原子力発電の今後の発展を定める戦略文書「ポーランド原子力発電プログラム(PPEJ)」の改定版を承認した。エネルギー安全保障の強化や脱炭素化、石炭火力の代替を推進し、原子力を国内産業の成長につなげることが柱となっている。前回の2020年に閣議決定されたPPEJの戦略的目標である「原子力発電所を2サイトで建設し、最大900万kWeの新規発電設備容量を確保するとともに、国のエネルギー安全保障とエネルギー部門の転換を支え、さらなる経済発展の基盤を築くこと」に変更はないものの、エネルギー危機やロシアのウクライナ侵攻に加え、安定供給が可能な低炭素電源への需要の高まりなど、近年の欧州のエネルギー市場に影響を与えた変化を反映。人材・インフラ整備、国内産業の参画拡大、原子力規制体制の構築がより具体的な実施課題として盛り込まれている。また、第1発電所(EJ1)、第2発電所(EJ2)の建設に関するスケジュールやEJ2建設の主要な実施方針が定められた。原子力発電の導入に向けた課題に対応する予算が増額され、原子力分野における能力構築の支援、ポーランド産業界の原子力プロジェクトへの参加支援、ならびに原子力規制機関である国家原子力機関(PAA)の強化などに充てられる。中でも、PAAへの支援は、許認可プロセスの効率化・円滑化や、原子力安全と国民の放射線防護の適切な水準の確保に資するものであり、予算の最大部分を占めている。EJ1では、国営企業「Polskie Elektrownie Jądrowe, PEJ」が、米ウェスチングハウス社製AP1000×3基を採用し、総出力約375万kWeの原子力発電所を建設する計画だ。2025年12月には欧州委員会がこの投資プロジェクトの国家補助を承認し、2026年3月にはPEJがPAAに建設許可を申請した。現在、建設現場での準備作業および付帯インフラの整備や契約締結の準備が継続されている。2025年から2030年にかけてのEJ1プロジェクトへの資本注入として、602億ズロチ(約2.4兆円)を計上。資金調達モデルは、自己資本に加え、国内外の借入資金から構成されている。建設スケジュールについては、EJ1は初号機が2036年、2、3号機が2037~2038年、EJ2は3基が2040~2042年に営業運転を開始する計画に変更されている。前回のPPEJではEJ1の営業運転開始を2033年としていたが、今回の改定でより現実的な工程に見直した。EJ2については、EJ1と同様に実績のある第3世代+(プラス)の大型水冷却炉の採用を予定。サイト候補地としては、適切なエネルギーインフラと長年の発電実績を有する同国中央部のベウハトフ地区やコニン地区が引き続き有望視されている。最終的なサイト選定は、詳細な分析と現地調査を経て事業者が決定するとしている。現在、原子炉ベンダーや主契約者選定に向け、米国、フランス、カナダと協議を進めている。原子炉技術とプロジェクトの資金調達を網羅した包括的な提案を比較し、2027年にはベンダーと主契約者を選定、2032年頃に着工、2040年頃に初号機の営業運転を開始する計画を示している。2サイトでの原子力発電所の建設は、ここ数十年でポーランドにおける最大規模の産業・技術プログラムの一つ。PPEJでは優先課題に強力な国内サプライチェーンの構築を掲げており、特に建設や鉄鋼、電気機械、運輸、物流、産業オートメーション、エンジニアリングサービスなどの国内企業の原子力プロジェクトへの参画比率を体系的に高めていく方針を示している。EJ1初号機の建設では、国内企業の参画比率は約40%に達すると推定。後続炉では能力や経験の向上、および認定企業の増加に伴い、この比率が最大約70%に達する可能性を指摘している。企業の認証プロセスを支援するとともに、施工能力の向上を図り、国内の原子力プロジェクトだけでなく、海外市場への参画も視野に入れている。さらに、PPEJの最重要な課題として、人材育成、科学研究基盤、教育システムの整備を掲げる。今後数年間で、エンジニアや設計者、オペレーターのほか、技術監督、産業オートメーション、サイバーセキュリティ、大規模インフラプロジェクト管理などの分野で数千人の専門人材が必要となる。また、建設現場ではピーク時に1万人の作業員が必要になる見込みだ。大学、研究機関、技術学校、関連企業が連携する人材育成体制の構築を進め、国際市場においてもポーランド企業や専門家のポテンシャル向上につなげる方針である。原子力プロジェクトでは、数千件の契約締結や新たな能力開発、先端技術の移転、高度な技能を要する雇用などが見込まれ、ポーランドの産業発展の原動力となる。PPEJは、建設段階やその後の発電所の運営段階の両方で、同国企業の参画を最大化し、原子力発電の持続的な基盤を築くとともに、将来的な原子力プロジェクトの実施に向けて準備を整えていく考えを示している。
09 Oct 2026
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国際原子力青年会議「International Youth Nuclear Congress(IYNC)2026」が10月5日、フランス南部アヴィニョンで開幕した。49の国と地域から約450人が参加。大会テーマに「変革の連鎖(Chain of Change)」を掲げ、若手原子力関係者が技術、人材、政策など幅広いテーマについて議論した。IYNCは2年に1度、世界各国で開催される若手原子力関係者の国際会議。欧州での開催は12年ぶりとなる。開会セッションでは、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長がビデオメッセージを寄せ、IAEAの高予測ケースでは2060年までに世界の原子力発電設備容量が2025年末の規模から3倍を超える可能性があると指摘。SMRを含む先進炉や核融合の開発も進展しているとして、「原子力のモメンタムは否定できない」と強調した。また、原子力拡大を支える熟練人材の確保の重要性にも言及した。基調講演では、フランス電力(EDF)のシルヴィ・リシャール プログラム・戦略部門長が、原子力をめぐる問いが「なぜ原子力が必要なのか」から、「どうすればより速く建設できるか」「必要な技能や産業能力をどう確保するか」へ変化していると指摘した。また、経験豊富な人材から若手への知識・技能の継承だけでなく、若手が持つデジタル技術への理解や新しい視点をベテラン世代が学ぶことも重要だとし、世代間の双方向の知識継承を訴えた。続いて、ウレンコ社(Urenco)のアネリース・ナス=デッカー 戦略・事業開発部門 グループ戦略マネージャーは「原子力の長期的責任」をテーマに、原子力分野では現在の判断が数十年、100年先にも影響すると説明。参加者には「好奇心を持って」と呼びかけ、技術や異なる意見、人との交流を通じて学び続けることの重要性を強調した。大会3日目のテクニカルセッションでは、日本原子力産業協会の藤原尊徳・人材育成部課長補佐が日本の原子力人材育成について発表。知識継承、次世代人材の確保、サプライチェーンの能力維持、国際対応力の強化を主要課題として挙げ、合同企業説明会である「原子力産業セミナー」や出前講座などの取組みに加え、産学官の連携基盤である原子力人材育成ネットワークを紹介した。さらに、連携から具体的な実行へ踏み出す新たな枠組みとして、10月7日に発足した「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」を説明した。質疑では、学生へのアウトリーチ方法に関心が寄せられた。藤原課長補佐からは、原子力産業セミナーを東京、大阪から福岡、仙台へと広げ、学生との接点拡大を図っていると説明。会場からは、原子力専攻者だけでなく、他分野の学生にも対象を広げてはどうかとの意見も寄せられた。 大会を通じ、世界的な原子力回帰をめぐる議論が「原子力が必要か」から「いかに実現するか」へと移るなか、人材確保や技能維持、知識継承の重要性が一層高まっていることがうかがえた。大会は8日に閉幕し、次回2028年は英国マンチェスターでの開催が決定している。
09 Oct 2026
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AIやデータセンター、デジタルインフラの拡大は低炭素で信頼性の高い電力に前例のない需要を生み出しており、IT大手各社は原子力発電の価値に注目している。9月末~10月初めにかけて、IT大手各社が原子力発電所の出力増強や運転期間延長を支援する長期の電力購入契約(PPA)の締結が相次いだ。大口電力需要者が信頼性の高い、クリーンエネルギーの原子力発電に投資することで、電力システムを強化、地域全体のエネルギーコストを安定化するとともに、出力増強や設備投資に伴うコストを一般の電力利用者に負担させないことを重視している。■AmazonAmazon社は9月30日、米国最大手の電力会社コンステレーション社と、同社がメリーランド州で1970年代後半から運転する、カルバートクリフス・エネルギー・センター(PWR×2基、各90万kW級)の19万kWeの出力増強を支援する20年間のPPAを締結した。増強分は2030年~2032年に運用を開始する見込み。同契約に基づくAmazon社の投資額は30億ドルに上り、増強分を含む69万kWの電力供給を確保する。両社はまた、系統運用者PJMの市場全体でAmazon社の事業に電力を供給するため小売電力供給契約も締結。PJMは13州とコロンビア特別区の電力網を管理している。Amazon社との長期契約により、コンステレーション社は安定した収益を見込めるようになり、さらに20年間の運転期間延長認可の取得や、同サイト内での新たなクリーンエネルギー源の開発を進める考えだ。現在の1-2号機の運転認可期間は、それぞれ2034年7月と2036年8月までとなっている。■GoogleGoogle社は10月6日、コンステレーション社と、同社が運転する既設炉11基の出力増強を支援する長期PPAを締結した。原子力発電所6サイトでタービン、蒸気発生器、デジタル制御システムなどを改修し、2032年末までに原子炉の1基の新設に相当する計89万kWeの出力増強を図る。対象となるのは、PJM管内のイリノイ、ペンシルベニア、ニュージャージー各州で運転中の発電所。また、管内のコンステレーション社の既存発電設備から270万kWeを調達する15年間のPPAも締結。Google社は今回の契約により、約4,400の既存雇用の維持と、建設期間中の約7,200の新規雇用創出につながるほか、設備投資やサプライチェーンの強化を促進し、43億ドル超の新規投資につながると試算している。出力増強に伴うコストを他の電力利用者に転嫁しないことも強調している。さらに契約には、Google CloudのAI「Gemini Enterprise」をコンステレーション社の発電所に導入する取組みも含まれ、AI活用により、出力増強の計画や建設作業、運転を効率化し、電力供給の早期実現をめざしている。Google社はこれまでにも原子力発電所の運転再開や出力増強を支援しており、今回を含め、米国内で新たに確保した原子力発電設備容量は計150万kWe超える。ジョージア州ではジョージア・パワー社のボーグル1-2号機(PWR, 各120万kW級)、ハッチ1-2号機(BWR, 90万kW級)の4基への計9.6万kWeの出力増強を支援し、運転期間を通じて一般の電力利用者に約9億ドルの便益をもたらすほか、アイオワ州ではネクストエラ・エナジー社とデュアン・アーノルド発電所(BWR, 62.4万kWe)の運転再開を進めている。また、テネシー峡谷開発公社(TVA)は、2030年にテネシー州オークリッジで運転開始予定のケイロス・パワー社のフッ化物塩冷却高温実証炉ヘルメス2発電所(出力5万kWe)から電力を調達するPPAを締結。TVAを通じて地域のGoogle社のデータセンターに電力が供給される計画である。米エネルギー省(DOE)は2030年までに既設炉の出力増強・運転再開によって500万kWeの原子力発電設備容量の拡大を目標としており、Google社は自社の取組みでその約25%を実現できると指摘する。データセンターによる電力需要の増大を見据え、既設炉を活用して大型炉の新設よりも短期間で安定した電源を確保したい考えだ。■OracleOracle社は10月2日、ネクストエラ・エナジー社がウィスコンシン州で1970年代初めから運転するポイントビーチ原子力発電所1-2号機(PWR, 各64.0万kWe)の電力の一部を購入する方針を発表した。これにより、発電コストの上昇分約3億ドルをOracle社が負担し、ウィスコンシン州の100万人超の電力利用者への電気料金負担を抑えるとしている。今回の取組みは、Oracle社がウィスコンシン州ポートワシントンで進めるAIデータセンター「Project Lighthouse」への投資の一環。Oracle社は同データセンターが建設期間中に4,000人超の雇用を創出し、稼働後には約1,000人の雇用を生み出すほか、地域経済に110億ドル超の効果をもたらすと見込んでいる。また、データセンターに必要なエネルギー費用をOracle社が全面的に負担し、一般の電力利用者に追加負担を求めることなく、送電網の信頼性を維持し、カーボンフリー電力の活用を進めるとしている。Oracle社の発表では具体的な購入電力量や契約期間などは明らかにされていない。計画はウィスコンシン州公共サービス委員会(PSC)の承認が必要で、現時点では確定した契約ではない。
08 Oct 2026
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アルメニアのN. パシニャン首相は9月29日、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁と会談。現在稼動中のアルメニア原子力発電所2号機(ロシア製PWR=VVER-440, 44.8万kWe)の運転期間延長およびアルメニアの新規建設について協議した。同2号機は1980年5月に営業運転を開始。1988年のスピタク地震後に一時停止したが、深刻な電力不足を背景に1995年に再稼働した。2021年にはロスアトムの技術協力による大規模な改修工事が完了し、同年10月に運転認可が更新された。その後も定期的に必要な安全評価と技術的な安全性向上策を実施しており、現在は2031年4月まで有効。アルメニア側は、技術的・規制上の条件が満たされれば2036年までの延長や、さらに10年間の延長も検討している。なお、同国の原子力シェアは28.5%(2025年)である。これに対し、リハチョフ総裁は、アルメニア側との契約に基づき進めている同機の安全システムのさらなるアップグレードにより、2036年までの運転延長は可能との見方を示した。一方、2046年までの延長については、技術的には可能であるが、安全・自動化システムのアップグレード、原子炉容器の再焼きなまし処理(金属の熱処理のひとつ)、使用済み燃料貯蔵施設の拡張や改修に数億ドル規模の投資が必要になると指摘した。新規建設についてパシニャン首相は、政府は各国のパートナーから寄せられた提案について引き続き協議しており、最終決定は価格、品質、安全性、工程、保証などを考慮し、経済性をふまえて判断すると強調。リハチョフ総裁によると、アルメニアは今後数か月以内に技術的仕様やパートナーを決定する予定で、ロシア側はVVER技術に基づく100万kWe級の原子炉の建設を提案しているという。
07 Oct 2026
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米スタートアップ企業ゼネラル・マター(General Matter)社は9月28日、米原子力規制委員会(NRC)にケンタッキー州パデューカに商業用濃縮プラントの建設・操業の許認可を申請した。2027年には、高純度低濃縮ウラン(HALEU)生産に向けて修正申請を提出する予定。ウラン濃縮ライセンスに関する標準的な連邦手続きである10 CFR Part 70に基づく今回の申請に続き、HALEU生産に向けた修正申請を行う。この2段階アプローチにより、許認可手続きを効率化するとともに、建設の早期着手を図り、2030年までにLEU、LEU+、およびHALEUの生産を開始したい考え。ゼネラル・マター社は2025年8月、米エネルギー省(DOE)と2013年に閉鎖されたパデューカ旧ガス拡散濃縮プラントの跡地の連邦土地100エーカーのリース契約を締結した。パデューカ・サイトに貯蔵されている劣化六フッ化ウラン(DUF6)のうち、最低7,600シリンダー分を再濃縮する。これにより、再濃縮に適した米国産原料を安定的に確保するとともに、DUF6の廃棄回避により約8億ドルのコスト削減につながると見込まれている。また、15億ドルを投じる本プロジェクトにより、約140の常勤雇用創出と地域経済に年間7,000万ドル以上の貢献が期待されている。同社は現在、NRCおよびDOEの認可を得て、整地、地盤改良などの建設準備作業に着手している。なお同社は、2024年10月、DOEがHALEUの国内供給体制の確立に向けてDOEに濃縮サービスを提供する企業に選定した4社のうちの1社。2026年1月には9億ドルの随時発注契約を付与する企業に選定されている。かつての2つのガス拡散プラント(パデューカ・サイトとオハイオ州にあるポーツマス・サイト)には数十年にわたるウラン濃縮作業により67,000本以上のDUF6シリンダーが貯蔵されている。パデューカ・サイトにはおよそ40,000本のシリンダーが残っており、そのうち約25,000本のシリンダーは、パデューカ・サイトに隣接して建設予定のGLE社のレーザー濃縮施設(PLEF)向けに供給される計画である。
07 Oct 2026
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国際原子力機関(IAEA)と米州開発銀行(IDB)は9月24日、ラテンアメリカおよびカリブ海地域における原子力の安全かつ確実で持続可能な利用に関する協力覚書に署名した。IDBは、中南米・カリブ海地域の経済・社会発展を支援する国際開発金融機関。米ニューヨークで開催された国連総会への出席を機に、IAEAのR. グロッシー事務局長とIDBグループのI. ゴールドファイン総裁が署名。今回の提携により、信頼性が高く低炭素なエネルギーの導入を検討する各国への支援を強化する。本覚書は、対話、知識の共有、技術支援、能力構築、エネルギーシステム計画、インフラなどを含む、原子力開発協力の枠組みを提供するもの。同覚書に基づき、IAEAとIDBは、大型炉やSMRなどを含む原子力技術の技術面、制度面、経済面での協力を推進していく。なお同覚書は、保健、食料安全保障、水管理などの分野におけるIAEAとIDBの既存の共同の取組みを基盤としており、がん治療・管理を含む医療サービスへのアクセス、農業生産性、持続可能で気候変動に強い農業手法、土壌・養分・水資源管理に関する協力への拡大も想定している。グロッシー事務局長は、「IAEAの技術的専門知識と、IDBの開発経験および地域のネットワークを組合わせ、ラテンアメリカおよびカリブ海諸国が将来のエネルギー選択肢を検討する際、十分な情報に基づいた意思決定をできるよう支援していく」と述べた。過去2年間、IAEAは世界銀行グループ、アジア開発銀行、CAF(ラテンアメリカ・カリブ開発銀行)、OPEC国際開発基金などの国際金融機関との協力を拡大してきた。こうしたパートナーシップは、エネルギー安全保障と気候目標の推進を図りながら、増大する電力需要を満たす上で、各国が原子力の価値を認識、評価することへの支援を目的としている。現在、ラテンアメリカ・カリブ海地域で原子力発電を利用しているのはアルゼンチン、ブラジル、メキシコの3か国のみで、2025年の同地域の総発電電力量に占める原子力発電の割合は1.8%であったのに対し、世界全体では8.4%を占めている。IAEAの2026年予測によると、同地域の原子力発電総発電設備容量は2050年までに2倍以上となり、2060年までに約2.5倍に増加する可能性がある。ラテンアメリカ・カリブ海地域における増分の約40%は、小型モジュール炉(SMR)によるものと見込まれている。ブラジルは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されたCOP28で採択された、2050年までに原子力発電設備容量を3倍に拡大するという世界的な宣言に2026年3月に加わった。
06 Oct 2026
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英原子力規制庁(ONR)は9月13日、原子力規制を抜本的に改革する「ONR Together」戦略を発表した。高度な安全・セキュリティ・保障措置の水準を維持したまま、規制上の重複や不要な手続きを減らし、規制の予見性を高め、英国全土における原子力プロジェクトをより迅速に進めることが目的。英国では、エネルギー供給と安全保障への対応が急務である一方、原子力プロジェクトでは大きなコスト超過やスケジュール遅延が発生している。こうした状況を踏まえ、2025年11月、K. スターマー首相(当時)の委託を受けた独立した専門家パネル「原子力規制タスクフォース」が「Nuclear Regulatory Review 2025」を公表。同レビューでは、原子力規制システムが「過度に複雑」かつ「官僚的」であり、安全面よりプロセスの遵守を優先していると結論づけ、英国の原子力産業を抜本的に改革するため、規制の複雑化を招いている根本的な要因への対処を勧告した。これを受け、2026年3月には英エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)が「Building our nuclear nation: government response to the Nuclear Regulatory Review 2025」を発表。原子力部門の刷新と新規プロジェクトの迅速な実施に向け、規制枠組みの再構築や計画・環境評価の効率化を打ち出した。また同日、R. リーブス財務相(当時)がONRに今後の規制対応方針について質問状を送付している。こうした動きに応えたものが今回の「ONR Together」戦略である。ONRのM. フィナーティCEO兼首席原子力検査官は、「抜本的な規制改革が必要との結論を全面的に支持する。人々と環境を守るという使命を損なうことなく、より成果重視の規制システムに注力していく。ONRが実施する抜本的な規制改革は、不必要な官僚主義を削減するとともに専門的判断を強化し、産業界が事業を加速できるように規制の確実性を高めるものだ」と述べ、以下の3分野を優先課題に掲げている。①より統合された原子力規制システムの構築:複数の規制機関の調整・協力強化を目的とする「主要原子力規制当局グループ(LNRG)」を設置する。また、政府が検討している、民生用および防衛用規制を統合し、英国の原子力規制を一体的な仕組みにする「原子力規制委員会」の創設を支持。②より強いリーダーシップと文化:「遅延は中立的な結果ではなく、それ自体がリスクを伴う」との認識の下、ONR全体で現代的で機動的、生産性の高い規制機関への転換を図る。また、政府・産業界・規制当局の幹部による「業界CEOフォーラム」を創設し、業界全体の文化改善、リーダーシップの強化、不必要な遅延を招く慣行の見直し、集団的責任意識の醸成に取り組む。③よりスマートで、デジタル化され、リスク情報に基づく規制へのシフト:安全評価原則(SAP)の見直しや安全性を示すセーフティケースの指針の改定・簡素化、デジタル技術やデータ分析の活用を通じて、より迅速で一貫性のある決定を可能にし、重大なリスクへの取組みにリソースを集中する。複雑で膨大な文書作成から、重要なリスクとその管理策を明確に示す、簡潔で根拠に基づいたセーフティケースへの転換も進める。新型炉の設計評価方法についても見直しを進めており、英国で初めて導入される炉型を対象に審査する包括的設計審査(GDA)では、より柔軟なアプローチを採用するとともに、多様な炉型の複数基の展開を前提とした規制に取組んでいる。実際、規制プロセスの改善や規制当局間の国際協力により、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー社製のBWRX-300と米ホルテック・インターナショナル社製SMR-300の直近のGDAでは、従来の同等の審査と比べ、審査範囲や規制上の厳格さを維持しながら、リソースの投入量を35%以上削減。双方とも当初予算を数百万ポンド下回る費用で審査を完了したという。ONRは、「今回の改革は安全基準を下げるものではない」と強調。規制を緩和するのではなく、リスクの高い部分に重点を置き、重複や不要な負担を減らすことで、安全性を維持しながら英国の原子力プロジェクトの迅速かつ効率的な遂行を後押ししていく方針だ。こうした改革と並行して、DESNZは9月15日、米X-エナジー社が開発するSMR「Xe-100」(高温ガス炉, 8.0万kWe)について、3段階のGDAの開始を正式に規制当局に要請した。X-エナジー社と英エネルギー企業セントリカ社は、同国北部のハートルプールに12基、総出力96.0万kWeのXe-100発電所の建設を計画している。GDAでは、ONRが設計の安全性とセキュリティ面を、環境庁(EA)およびウェールズ自然保護機関(NRW)が環境面をそれぞれ審査し、立地サイト特定後の建設申請とは別に、規制プロセスの早い段階で炉型の設計を評価する。X-エナジー社は、Xe-100のGDA完了までに約3年間を想定。将来的には英国全体で最大600万kWe規模の展開を計画している。
06 Oct 2026
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米国貿易開発庁(USTDA)は9月22日、トルコ原子力公社(TÜNAŞ)と、トルコの民間企業による小型モジュール炉(SMR)の導入に必要な規制、制度、資金面のロードマップ策定を支援するプログラムの実施に向けて、200万ドルを助成することで合意した。この取組みを通じて、トルコのエネルギー安全保障を強化するとともに、米国の原子力技術の国際競争力向上につなげる方針。トルコは2053年のネットゼロ達成とエネルギー自立を目的にエネルギーミックスの多様化とエネルギー安全保障の強化を進めており、2025年11月、2050年までに500万kWeのSMRを導入する目標を掲げた。今回の支援合意に基づき、TÜNAŞに対し、SMRをトルコ市場に導入するために必要な政策や投資のステップについて提案を行うほか、同国のエネルギー・天然資源省および原子力規制庁による原子力規制や許認可手続きの整備を支援、SMR導入のための明確かつ実行可能な枠組みの確立を図る。また、USTDAの公募によって今後選定される米企業が少なくとも1年間、米企業が開発するSMR×4炉型と第4世代炉×5炉型を対象に、技術、経済性、規制・許認可、サプライチェーン、資金調達などの観点から技術調査を実施する。USTDAはこうした支援を通じて、米企業によるトルコの原子力市場への早期参入につなげたい考えだ。トルコのA. バイラクタル・エネルギー・天然資源相は、「SMRおよび第4世代炉の導入に向けたトルコの取組みは、エネルギー安全保障、産業開発、低炭素エネルギー源の多様化という長期的な目標の一環」と説明。USTDAのプログラムを通じて、米国のノウハウとイノベーションを活用し、トルコにSMRおよび先進炉プロジェクトに向けた技術的・制度的基盤の強化、長期的な投資および産業間協力の機会をもたらすとの期待を示した。USTDAは、2027年にトルコの原子力政策決定者からなる代表団を米国に招き、技術設計や製造現場、原子力発電所を視察するほか、規制制度について理解を深める機会を提供する予定。
05 Oct 2026
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米韓両政府は9月30日、2025年7月の「貿易合意(関税合意)」および同年11月に締結した「戦略的投資覚書」に基づくフォローアップ措置として、エネルギー分野でテキサス州のガス複合火力発電プロジェクト、原子力発電プロジェクト、アラスカLNGプロジェクトの3案件を計画し、韓国が総額2,000億ドル規模の対米投資を行うと発表した。このうち、原子力発電プロジェクトでは、最大1,200億ドルを投じ、米国のベースロード電源の拡大とエネルギー安全保障の強化に向けて、大型炉8基を建設する包括的な協力枠組みに合意した。今回の投資計画は、エネルギーを含む戦略的産業分野における両国の協力を強化し、安定的で強靭なサプライチェーンを構築することが目的。原子力発電プロジェクトについては、2025年5月に発令された米大統領令が掲げる2030年までに大型炉10基の新設に着手する目標をふまえ、米国の原子力技術・市場と、韓国の原子力発電所の建設能力やサプライチェーンを組合わせ、両国企業の協力拡大を図る。原子力分野への投資額は最大1,200億ドルで、このうち約1,000億ドルを建設費、200億ドルを予備費に充てる。2基あたり最大300億ドル(建設費250億ドルと予備費50億ドル)を想定。対象となるのは、米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000×6基と韓国製APR1400×2基。両国政府に加え、WE社、韓国電力公社(KEPCO)、韓国水力原子力(KHNP)が協力枠組みに参加する。韓国政府は今回の枠組み合意について、APR1400の米国市場への進出に道を拓く重要な成果として位置付けている。WE社と韓国企業が2025年1月に締結した和解合意によりAPR1400の米国市場への進出は困難とされていたが、韓国政府によると米国側との厳しい交渉の結果、APR1400×2基を建設する枠組みが盛り込まれた。韓国企業は、米国におけるAP1000の建設やサプライチェーンへの参画機会の拡大に加え、将来的には欧州などの第三国市場への共同進出の可能性や、韓国製炉への信頼度向上および受注可能性にも期待を寄せている。建設は段階的に進める構想で、まずAP1000を2基、その後APR1400とAP1000を各2基、最後にAP1000を2基建設する計画である。なお原子炉圧力容器、蒸気発生器、原子炉冷却材ポンプなど、製造に時間を要する長納期機器を確保するため、関連する米国内法の要件を満たすことを前提に、韓国側が2026年末までに最大100億ドルを先行払いする案についても協議。また両政府・企業は、原子力プラントの建設による利益を両国で共有するため、韓国企業によるWE社の少数株式取得についても検討されており、詳細な条件については、今後の企業間交渉で決定する。今回の合意は大枠での協力を定めたものであり、具体的に原子力事業が決定されているわけではない。両国政府はこの枠組みに基づき、建設サイトや事業体制、建設スケジュールなど事業毎に具体化し、採算性の評価や必要な国会手続きなどを経て、最終的に各プロジェクトの実施を判断する。H. ラトニック米商務長官は9月30日、ホワイトハウスで記者団に対し、大型炉8基の建設予定地として、オハイオ州、テネシー州、サウスカロライナ州、ケンタッキー州の4州を挙げている。
02 Oct 2026
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