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米国で建設中のボーグル3号機、遮へい建屋に円錐形の屋根を設置
米国のジョージア・パワー社は12月10日、国内で約30年ぶりの新設計画としてジョージア州内で建設中のA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機(各110万kWのPWR)について、3号機のコンクリート製「遮へい建屋」の上部に、重さ約200万ポンド(約907トン)の円錐形の屋根を据え付けたと発表した(=写真)。遮へい建屋は、採用設計であるウェスチングハウス(WH)社製AP1000に特有の構造で、スチール製の格納容器を覆う最外壁として、原子炉を悪天候その他の外部事象から防護するとともに、放射線を遮へいする役割を担う。屋根は直径が135フィート(約41m)、高さ37フィート(約11m)という大型のもので、その据え付け作業は今年初頭、格納容器に天井部を設置したのに続いて行われた。ジョージア社は今の所、3、4号機の完成をそれぞれ2021年11月と2022年11月に予定。3号機の初装荷燃料は今年7月にすでに発注済みであり、2020年夏にもサイトに搬入されるとしている。ジョージア社は今回、3、4号機で最初の緊急時対応訓練を実施したことも明らかにした。緊急時計画では、事故等の事象に遭遇した際の対応措置が明記されており、今回の訓練は近隣住民の確実な防護に向けた包括的検証も含まれている。また、米原子力規制委員会(NRC)が来年、訓練の実施を予定していることから、これに先立ち各チームの準備作業を支援するとともに、原子炉が建設段階から運転段階に移行しつつあることを示すとした。現在、建設サイトでは8,000名以上の作業員が働いているが、運転開始後も800名分を超える雇用が確保されると同社は強調している。ボーグル3、4号機はそれぞれ、2013年3月と11月に本格着工したが、米国内では設計初号機であったため建設上の様々な問題に遭遇した。また、機器の製造からプロジェクト管理まで、建設工事を一括で請け負っていたWH社が、2017年3月に米連邦倒産法に基づく再生手続を申請したこともあり、両炉の完成日程は計画当初から約4年、遅延している。WH社の倒産申請により、米サウスカロライナ州で同様にAP1000設計を採用したV.C.サマー2、3号機の建設計画は中止が決定した。一方、中国の三門と海陽で2009年から2010年にかけて着工した4基のAP1000はすべて、世界初のAP1000として今年1月までに営業運転を開始している。(参照資料:ジョージア・パワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月12日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 16 Dec 2019
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米国とブルガリア、原子燃料供給など原子力分野の協力拡大で合意
米国のD.トランプ大統領と同国を訪問していたブルガリアのB.ボリソフ首相は11月25日に共同声明を発表し、原子力を含む様々なエネルギー分野で両国間の協力を一層拡大する方針を表明した(=写真)。 ブルガリアにおけるエネルギー供給保障を強化するため、米国製原子燃料をブルガリア唯一の原子力発電施設であるコズロドイ発電所5、6号機(各100万kWのロシア型PWR)で使用可能となるよう、許認可手続の迅速な進展を両国政府の協力により支援。その際は、発電所の安全性やエネルギーの多様化に関する欧州連合(EU)の厳しい要件を満たすことになるとしている。 共同声明の中で両国首脳は、「エネルギーの安定供給確保こそ、国家の安全保障そのものである」との認識で一致。エネルギー源の多様化は、その供給保障や自給、国家経済の競争力を保証することになると強調した。ブルガリアはまた、国内のエネルギー源を一層効率的かつクリーンなものに移行させたいと考えていることから、両国は信頼性の高い様々なソースから天然ガスの供給量を拡大するとともに、ブルガリアの原子力部門で(燃料の調達先等の)多様化で協力していく。協力拡大の可能性を模索するために、米国はブルガリアに技術チームを派遣することも計画している。 ブルガリアでは1989年に共産党の独裁政権が崩壊した後、1991年に民主的な新憲法を採択して民主制に移行。2004年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟したほか2007年にはEUにも加盟したが、加盟条件としてこの年までに、西欧式の格納容器を持たない「V230モデル」のロシア型PWR(VVER)であるコズロドイ1~4号機(各44万kW)をすべて、閉鎖させている。 現在のボリソフ政権は同首相による第3次内閣で、2009年に発足した第1次内閣時には、前政権がロシアとの協力で進めていたベレネ原子力発電所建設計画は「コストがかかりすぎる」として2012年に中止を決定。親欧米派として知られる同政権は、ベレネ発電所の代わりにコズロドイ発電所7号機として、ウェスチングハウス(WH)社製「AP1000」を建設する案も、一時期検討していた。 現在は、再びベレネ発電所を建設する案が浮上しており、ブルガリア電力公社は今年3月、建設の再開を目指して戦略的投資家を募集。完成した発電所からの電力購入希望も含めて、8月下旬までに13件の関心表明があったと公表した。採用設計は第3世代の100万kW級VVER「AES-92」に決まっており、2012年に同計画が中止された際、倉庫に保管した1号機用の長納期品や2号機用の一部機器を最大限に活用するとしている。 今回、米国とブルガリアの協力案件に取り上げられた原子燃料に関しては、東欧諸国からのVVER用燃料の需要拡大にともない、米国籍のWH社が2016年にスウェーデンのバステラスにある原子燃料製造加工工場を拡張済み。ウクライナで稼働するVVERには、すでに複数の原子燃料を納入した実績がある。 (参照資料:米ホワイトハウスの発表資料、原産新聞・海外ニュース、WNAの11月26日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 27 Nov 2019
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日立が北米初の重粒子線治療システム受注へ、米メイヨー・クリニックと基本合意
日立製作所は11月20日、米国の大手総合病院メイヨー・クリニックと、北米初となる重粒子線治療システムの納入に関して基本合意書を締結したと発表した。重粒子線治療システムは、メイヨー・クリニックの拠点の一つであるフロリダ州の病院に建設予定。〈日立発表資料は こちら〉これを受け、メイヨー・クリニックのジャンリコ・ファルジアCEOは、「重粒子線治療は、従来治療が難しかった患者を治療する方法として、大きな可能性を秘めている」と期待を述べた。また、日立の小島啓二副社長(ライフセクター担務)は、「日立が持つ重粒子線治療システムの実績やデジタル技術、メイヨー・クリニックとのパートナーシップを通じて、北米だけでなく世界中で、先進的ながん治療の実現と社会価値の向上に貢献できる」と、今後の国際展開に意欲を示した。同社の重粒子線治療システムは、2018年に治療をした大阪重粒子線センター「HyBEAT」への国内納入実績があるほか、海外でも台湾の台北栄民総医院から同年に受注となった。重粒子線がん治療は、量子科学技術研究開発機構の放射線医学総合研究所「HIMAC」が1994年に世界初の専用施設として臨床試験を開始した。これに続いて国内では、前述の大阪重粒子線センターの他、群馬大学、神奈川県立がんセンター、兵庫県立粒子線医療センター、九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀)で治療が行われている。量子科学技術研究開発機構が10月に原子力委員会で報告したところによると、近年重粒子線治療施設は、アジア地域を中心に東芝、日立、中国近代物理学研究所による供給が進んでおり、韓国でも東芝製の治療装置が2022年に運用開始となる見込み。
- 21 Nov 2019
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新型原子炉用HALEUの生産実証で米セントラス社がエネ省と3年契約
米メリーランド州のセントラス・エナジー社(旧米国濃縮会社(USEC))は11月5日、新型原子炉用の燃料として使用が見込まれているHALEU(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)の生産能力を実証するため、遠心分離機カスケードをオハイオ州パイクトンの「米国遠心分離プラント(ACP)」に配備するという3年契約を米エネルギー省(DOE)と締結した。HALEUを国内で確保できなければ、米国が世界の新型原子炉開発市場でリーダー的立場を確立する上で、大きな障害になることは広く知られていると同社は指摘。2017年の調査によると、米国内で新型原子炉を開発している大手企業のうち67%が、「HALEUの供給確保は緊急の課題」あるいは「重要課題」と回答したという。今回の契約の下で、同社は独自に開発した新型遠心分離機「AC100M」、およびHALEU生産用のカスケードを構成するインフラについて、許認可手続と建設・組立および運転を請け負うことになる。HALEUで製造した燃料は、米国の政府と民間の両部門で開発されている数多くの新型原子炉で必要となる一方、国内で商業的に入手することは困難。典型的な既存の原子力発電所ではU235の濃縮度が5%程度のウランを燃料に使用するのに対し、HALEUではこれが最大で20%となるため、セントラス社は「技術面と経済面ともに潜在的な利点がある」とした。一例として、ウラン濃縮度が高まることによって燃料集合体や原子炉を小さくすることが出来、燃料交換の頻度は低下すると同社は指摘。原子炉内では高い燃焼度を達成できるため、燃料の必要量が少なくなり、結果的に放射性廃棄物の排出量も少なくなる。HALEUはまた、米国をはじめ世界中で稼働している既存の原子炉に対し、将来的に次世代燃料を製造する際に用いられる。HALEUをベースとするこれらの新しい燃料であれば、既存の原子炉で発電量を増やしつつ、経済性を改善し固有の安全性も得られると同社は説明している。DOEとセントラス社による今回の連携プログラムは、今年5月末に両者が調印した予備的合意書簡に基づき進められてきた。セントラス社のD.ポネマン社長兼CEOは、「(この連携により)次世代の新型原子炉への移行を米国がリードする一助になる」と指摘。官民の両部門で様々な使命を持つ新型原子炉に、同社が力を与えられると確信していると述べた。また、国産HALEU技術への投資は、新型原子炉や燃料を開発している顧客のニーズに同社が応えることを可能にすると強調した。米国内では現在、HALEUの製造が直ちに可能な商業施設が存在せず、DOEはアイダホ国立研究所(INL)内に保管中のHALEU約10トンを使って、原子燃料を製造加工するパイロット・プログラムを推進中。昨年10月に、同プログラムが周辺環境に大きな影響を及ぼすことはないとする評価結果(案文)を1か月間、パブリック・コメントに付しており、今年1月には、INL設備を使ってのHALEU燃料製造が決定している。(参照資料:セントラス・エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 07 Nov 2019
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【短信】米エネ省のペリー長官、年内に辞任する意向を表明
米エネルギー省(DOE)のR.ペリー長官は10月17日、今年中に長官職から退くとの意向をD.トランプ大統領宛ての書簡で明らかにした。同氏はトランプ政権発足直後の2017年3月からDOE長官を務めていたが、ここ数か月は、同大統領に対する弾劾調査の原因となったウクライナ疑惑への関与が取り沙汰され、下院からは召喚状を出されていた。(参照資料:DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 18 Oct 2019
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