キーワード:IAEA
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IAEAへ出張する際の注意喚起
写真がすべてを物語っていますが、原子力業界に身を置くすべての仲間たちへ向けて、注意を喚起しておきたいことがあります。IAEAでの写真撮影を侮ってはいけません。IAEAへの出張者は、地下鉄U1のカイザーミューレン(VIC)という駅で降り、正面ゲート右のゲスト用エントランスをくぐります。次に保安検査を経て、受付で入構するためのパスを作ってもらいます。事前に顔写真提出をIAEAに求められていれば、すでにパスは仕上がっているのですが、そうでない場合、写真撮影コーナーへ行くことになります。たいていの場合、これが長蛇の列になります。月曜日の朝イチにゲストが集中するわけですから当たり前ですよね。でもそこでうんざりした表情で撮影に臨むと、良い写真になりません。運転免許の写真みたいになります。私は長蛇の列を経て、ようやく係官と対面し、にこやかにパスポートを提出致しました。すると何やらPCで確認した係官が「お前はあっちへ行け」的なことを言うのです。指差す方向には「すでに写真を提出している方々」の看板が下がっています。なんだか嫌な予感がしたんですよ。というか嫌な予感しかしない。看板の下ではマダムがニコニコと待機しており、パスポートを提出すると、「はい」と顔写真が貼られた入構パスを寄越しました。その顔写真が上の写真の右のちびくろサンボです。たこ焼きかと思いましたよ。10年以上前に、まだ私がIAEA総会併設展示会で「日本刀の作り方」をやっていた頃の写真です。当時、「日本男児を強調する」と豪語して坊主頭で撮影してしまったシロモノです。若いって嫌ね。もちろん「この写真は大昔のもので今とは顔が違う!」と断固抗議しますが、マダムは受け入れません。こういう時の融通の効かなさは国際機関ならではですね。日本のお役所の方が余程融通が効く。この入構パスを、東京メトロの改札機が感度悪くなっちゃったような機械にスキャンすると、ゲートが開くと同時に警備スタッフのディスプレイにパス掲載顔写真が表示されるようになっています。そして警備スタッフはニコリともせずに「OK」。OKじゃねえだろ!どう見ても別人だろ!とも思うのですが、西洋人から見ると同じに見えるのかしら??みなさんもIAEAでの写真撮影は、真剣に臨んでください。おそらくそれが今後10年、20年と使い回されることになるざんす。
- 09 Dec 2019
- from EDITORS
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IAEAの新事務局長にアルゼンチンのグロッシ大使 就任へ
国際原子力機関(IAEA)の加盟国中35か国で構成される理事会は10月29日、天野之弥事務局長の後任指名のため同日に実施した選挙で、在ウィーン国際機関アルゼンチン政府代表部のラファエル・M・グロッシ大使(58)(=写真)が過半数の24票を獲得し、新たな事務局長に決定したと発表した。今年7月に天野事務局長が任期半ばで死去した後、アルゼンチン、ブルキナファソ、ルーマニア、スロバキアの各国政府は、9月5日までに理事会に対し、それぞれの後任候補者を推薦。10月10日以降、当選に必要な3分の2以上の票数を獲得する候補者が現れるまで、理事会で非公開の投票が重ねられていた。今後は10月30日に、全加盟国の参加も可能な理事会を開催して、グロッシ大使を任期4年の新事務局長に指名。さらに、この決定を臨時総会に提出し、これら171加盟国の代表から承認を得るとしており、同大使は2019年中に6人目のIAEA事務局長に就任する。1957年にIAEAが設立されて以来、米国、スウェーデン、エジプト、日本が歴代事務局長を輩出しており、グロッシ大使は初の南米からの選出となる。グロッシ大使は学生時代、政治学で学士号、国際関係学で修士号を取得したほか、国際史と政治学および国際関係学で博士号を取得。IAEAでは2010年~2011年まで事務局長室のトップ、その後2013年までは政策関係の幹部職(Assistant Director General for Policy)も勤めた。アルゼンチン国内では、連邦計画・公的投資省の戦略計画委員会で原子力問題の特別顧問、外務省の政策調整官、アルゼンチン宇宙活動委員会(CONAE)の特別顧問などを歴任。国際機関関連では、化学兵器禁止機関(OPCW)の事務局長室や北大西洋条約機構(NATO)のアルゼンチン政府代表部で外交活動を担った。また、IAEAに加えて包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)、国連薬物犯罪事務局(UNODC)、国連工業開発機関(UNIDO)でも、アルゼンチン大使を務めている。2015年に国連安全保障理事国+ドイツが結んだイランとの核合意(「包括的共同行動計画(JCPOA)」)は、米国の離脱により、ますます危機的状態に陥っているが、現地の報道によると同大使は、この問題も含めてIAEAの役割を確実に、しかし「公平に」扱っていきたいとしている。(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 30 Oct 2019
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IAEAの低濃縮ウラン備蓄バンクに初荷がオラノ社から到着
国際原子力機関(IAEA)は10月17日、加盟国の民生用原子力発電所で濃縮ウランの供給を保証するため、カザフスタンに設置した「低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンク」に、仏国のオラノ・サイクル社から最初のLEUが到着したと発表した。これにより、IAEAが保有しカザフスタンが管理する同バンクは正式に運営を開始。IAEAは1957年の創立以来、最も意欲的かつ挑戦的なプロジェクトが本格的に始動したとしている。IAEAは昨年11月、一般競争入札で選定したオラノ・サイクル社、およびカザフの国営原子力企業カザトムプロムと、原子力発電所用燃料の原料となるLEUの購入契約を締結した。今回、オラノ・サイクル社から出荷されたシリンダー32本分のLEUは、まず仏国の港までトラックで輸送され、その後海路でロシアに到着。そこから列車により、カザフスタン北東部オスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)の特設貯蔵施設(=写真)に運ばれた。到着までに4週間以上を費やしたが、今回のLEUは典型的な100万kW級軽水炉に装荷される1回分の取替用燃料に十分な量。今年末までには、カザトムプロムから2回目の積荷が到着することになる。核燃料の供給を保証しつつ、核物質の拡散リスク軽減も目指すという多国間管理システムの構築は2003年にIAEAのM.エルバラダイ事務局長(当時)が初めて提唱。2010年12月にIAEA理事会は、これを設置することを決定した。IAEAのLEU備蓄バンクは、商業市場その他の既存ルートからLEU供給が途絶した場合の最終手段として、IAEA理事会の適格性基準を満たした加盟国のみが利用できる。100万kW級の軽水炉を3年間運転するのに十分な最大90トンを備蓄する方針で、施設の安全・セキュリティはカザフ政府が責任を負い、同国の法制と規制要件に準じて運営される。また、LEUはIAEAの保障措置管理下に置かれ、利用国にはIAEAの包括的保障措置協定の締結と遵守が義務付けられる。IAEAは2015年8月、同バンクのホスト国となることを希望したカザフとバンクの設立協定を締結しており、2017年8月にはUMPで同バンク用のLEU貯蔵施設が完成した。設立経費とその後20年間の運営費については、米国と同国の民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」、欧州連合(EU)、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ノルウェー、カザフスタンから合計約1億5,000万ドルが拠出されている。(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月18日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 21 Oct 2019
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