
新潟県の花角英世知事は6月9日、経済産業省を訪問し、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策の徹底と実効性ある原子力防災対策の構築などを求める要望書を、赤沢亮正経済産業大臣へ手交した。同要望は、新潟県が国に提出している2026年度の「政府に対する新潟県の要望」の一環。花角知事は冒頭、昨年12月に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働同意の前提として国へ要請した7項目について改めて対応を求めた。要望書では、約14年ぶりに営業運転を再開した柏崎刈羽6号機の安全対策や原子力防災への県民理解は依然十分ではないと指摘。東京電力の信頼性確保や安全対策の徹底、防災対策の実効性の向上に向け、国の責任下で着実に対応するよう求めた。具体的には、原子力発電の必要性や安全性に関する分かりやすい情報発信の継続、安全性向上に向けた不断の取組み、避難計画の実効性向上などを要請。また、避難路の整備促進や除排雪体制の強化、屋内退避施設の整備促進など、原子力災害と自然災害の複合災害を見据えた防災インフラ整備の加速も求めた。そして、使用済み燃料対策や風評被害対策、原子力発電所への武力攻撃対策など県民の関心が高い課題についても、国が責任を持って取り組むよう要望。東京電力に設置された「監視強化チーム」についても、実効性ある運用と活動状況の周知を求めた。また、今年4月に「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」において、立地地域の指定範囲がUPZの市町村(柏崎市、刈羽村、長岡市、小千谷市、十日町市、見附市、燕市、上越市、出雲崎町)に拡大された一方で、財政上の特例措置が適用される特定事業の対象は未だ限定的であると指摘し、対象事業の拡充や財源確保を要請した。さらに、近年の豪雨災害の激甚化や複合災害リスクの高まりを踏まえ、防災・減災対策に加え、地域振興や産業基盤整備に対する支援の強化を求めた。これに対し赤沢大臣は、新潟県から示された7項目の要望を重く受け止め、関係省庁と連携しながら対応を進めていると説明。柏崎刈羽原子力発電所に関しては、政府の監視強化チームを通じて東京電力の取組状況を確認するとともに、地域への丁寧な説明を続ける考えを表明。あわせて、立地地域振興や避難路整備についても、関係省庁と連携しながら着実に進める方針を示した。さらに、自身が4月に柏崎刈羽原子力発電所を視察したことに触れ、「緊張感を持った訓練や高いレベルのセキュリティ対策を確認できた。原子力発電は安全確保と地域理解が大前提だ」と述べ、東京電力に対して継続的な信頼向上の取組みを求めた。
12 Jun 2026
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福井県の石田嵩人知事は6月2日、経済産業省を訪問し、「令和9年度政府予算に対する要望書」を越智俊之経済産業大臣政務官に手交した。要望書では、全8項目のうちエネルギー政策・原子力分野に関する要望を2項目に盛り込み、第7次エネルギー基本計画に基づく原子力政策の着実な実行や将来像の明確化、エネルギー教育の推進、原子力発電所立地地域の振興、使用済み燃料対策や原子燃料サイクルの推進などを求めた。また同要望書には、「もんじゅ」の廃止措置を契機に敦賀エリアを原子力研究・人材育成の拠点として発展させるため、新試験研究炉の早期整備や研究開発・人材育成基盤の維持強化についても言及。新試験研究炉を軸とした同地域の活性化へつなげていく考えを示した。福井県は15基(7基が運転中、7基が廃止措置中、1基が停止中)の原子炉が立地する全国有数の原子力発電所立地地域であり、原子力政策の動向が同県の地域経済や産業基盤に大きく影響することから、これまでも国に対し、継続的な要望を行ってきた。石田知事は4月に赤沢亮正経済産業大臣へ要望書を手交した際も、半世紀以上にわたり国策である原子力政策に積極的に協力してきた県の首長として、現場の声や課題を踏まえたエネルギー政策の推進を要望していた。また石田知事は、会談の公開部分で、政府が進める地域未来戦略の推進に向けた産業人材の育成・確保や産業クラスター形成への支援を要請したほか、中東情勢の影響による燃料費や原材料価格の高騰への継続的な支援を国に求めた。これに対し越智政務官は、地域未来戦略について、関係省庁と連携しながら投資促進策とインフラ整備を一体的に進め、地域全体の発展につながる施策を推進していく考えを示した。また、中東情勢への対応については、燃料価格高騰対策を継続しながら、原材料調達やサプライチェーンへの影響も注視し、引き続き必要な支援に取り組む考えを示した。
11 Jun 2026
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東北電力の女川原子力発電所2号機(BWR、82.5万kW)が6月9日、再稼働後初の定期検査を完了し、営業運転を再開した。同機は2024年11月に再稼働(発電再開)し、同年12月に営業運転に復帰していた。定期検査は今年1月14日から行われ、発電を停止して原子炉本体、原子炉冷却系統施設、原子炉格納施設などの点検に加え、燃料集合体や制御棒の一部取替えを行った。同機は1995年7月に営業運転を開始。2010年10月に定期検査入りし、2011年3月の東日本大震災により起動作業中のところ、自動停止した。2013年12月に新規制基準適合性に係る審査を申請し、2020年2月に原子炉設置変更許可を取得。2024年5月の安全対策工事完了を経て、同年11月に新規制基準施行後初のBWRとして発電を再開し、同年12月から営業運転を再開した。特定重大事故等対処施設(特重施設)などの設置期限が、現行制度では本体施設の「設計及び工事の計画認可(設工認)」取得日から5年以内とされている。同機は期限の2026年12月までに特重施設の設置が間に合わず、東北電力が完成を見込む2028年8月まで再度運転停止を余儀なくされる状況にあった。しかし、原子力規制委員会による規則改正が現在進んでおり、改正されれば、設置期限は2029年12月となるため、次回の定期検査が始まる2027年6月頃まで運転を継続できる見通しだ。
10 Jun 2026
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経済産業省・資源エネルギー庁の原子力小委員会は6月5日、「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案を議論。改定案では、既設炉の運転終了を見据え、2040年代までに大型炉約2~5基分、2050年代までに同約11~14基分の建て替え需要が生じるとの試算を提示した。既存炉の活用だけでは2040年以降に供給力の大幅な低下が見込まれることから、改定案では原子力発電の見通しや将来像を新たに前段に位置づけ、原子力産業界における長期的な投資判断や人材確保、サプライチェーンの維持・強化に向けた事業予見性の向上を図った。同改定案では、原子力発電が2040年代から2050年代にかけて総発電電力量の約20%を担うケースを前提に、必要な設備容量を試算。その場合、2040年代までに約220万~550万kW(約2基~5基)、2050年代までに累計約1,270万~1,600万kW(約11基~14基)分が不足する見込みだという。なお、建て替え基数は大型炉換算で算出しており、SMRの場合はさらに必要な基数が増加する。また、試算には建設中の3基(大間、島根3号機、東京・東通1号機)を含む一方、電気事業法に基づく運転延長認可制度は考慮しておらず、年途中で運転開始から60年を迎えるプラントについては、当該年の設備容量に含めていない。改定案では、行動指針の6本柱という基本構造は維持しながらも、再稼働が一定程度進捗してきたことを受け、原子力の長期利用を前提とした構成へ見直した。具体的には、「原子力を長期的に活用していく上での大前提」を新たな柱として設けるとともに、再稼働関連施策を「再稼働の加速・既設炉の最大限活用」に集約。さらに、次世代革新炉の開発・設置や、バックエンドプロセスの加速化、サプライチェーン・人材基盤の維持強化などを明記している。各委員からは、原子力発電の見通し・将来像を具体的に示した点を評価する意見が相次いだ一方、ファイナンス支援の具体化やバックエンド施策、燃料サプライチェーン整備、人材・技術継承等について、さらなる検討を求める意見も出された。バックエンド分野では、竹下委員(東京科学大学)が同改定案を評価した上で、六ヶ所再処理工場やMOX燃料工場の本格稼働を見据えた保障措置体制の強化を要望。併せて、プルトニウム管理や核燃料サイクルの実効性向上、ウラン燃料供給の安定化に向けた国内基盤整備の必要性を指摘した。また、水田専門委員(関西電力/電気事業連合会)は、中長期的な原子力の将来像や見通しが具体化されたことについて、「事業予見性の向上や業界の活性化、技術継承、人材確保の好循環につながる」と評価。その上で、次世代革新炉の開発・建設を着実に進めるための事業環境整備の継続的な見直し、また、バックエンドを含む人材・サプライチェーン基盤の強化を着実に進める必要性を訴えた。そして、日本原子力産業協会の増井理事長(専門委員)は、同改定案について「原子力産業を巡る現状や本委員会での議論を踏まえ、適切に取りまとめられている」と評価。特に、2040年と2050年を見据えた原子力発電の見通し・将来像が示されたことについて、「産業界として未来への希望と長期的な展望を持つことができる」と述べた。あわせて、日米間で検討が進む大型原子力案件は日本企業にとって大きな機会になるとの認識を示す一方、過度な負担が生じないよう政府の適切な対応を求めた。また、同志国との連携やサプライチェーン強化など国際協力の重要性を強調し、原子力国際協力センター(JICC)等と連携し、海外産業界との連携強化に引き続き取り組む考えを示した。
09 Jun 2026
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原子力規制委員会は6月4日、特定重大事故等対処施設(特重施設)および所内常設直流電源設備(3系統目)の設置期限に関する規則改正案を公表。パブリックコメントの募集を開始した。特重施設は、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故後に導入された新規制基準に基づき整備が求められている施設で、航空機衝突やテロ攻撃などによって原子炉の制御機能が失われた場合でも、炉心損傷や放射性物質の大量放出を防ぐためのバックアップ機能を担う。現行制度では、特重施設などの設置期限は、本体施設の「設計及び工事の計画認可(設工認)」取得日から5年以内とされている。しかし、実際には設工認取得から運転開始までに長期間を要するケースが多く、規制委によると5年以内の完成が困難となる事例が相次いでいる。改正案では、この5年間の経過措置期間の起算点を、現行の設工認認可日から「使用前確認日」に変更する。規制委は、5年間という猶予期間そのものは維持しつつ、実際の運転開始時期に合わせた制度へ見直すとしている。安全面について規制委は、使用前確認が行われる時点では原子炉内の使用済み燃料が十分に冷却されており、特重施設が必要となるような事態が発生する可能性は低いと説明。現行制度と比較しても安全上の大きな差異はないとしている。今回の改正案は、現時点で経過措置期間が満了していない実用炉が対象となる。このため、すでに期限を迎えている柏崎刈羽7号機や東海第二は対象外となる。一方、大間、島根3号機、東京・東通1号機など建設中のプラントについては、施設全体の使用前確認日が起算点となる。規制委は4月、現在経過措置期間中にある女川2号機と島根2号機を有する、東北電力と中国電力からヒアリングを行った。両社は、制度改正が行われた場合でも特重施設の早期完成に向けて取り組む方針を示しているという。パブリックコメントはwebか郵送で受け付けており、募集期間は7月3日まで。
08 Jun 2026
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原子力・放射線利用分野で働く女性で構成される「WiN-Japan」の2026年度総会・年次大会が5月29日、都内で開催された。総会には約100名が出席し、最新の会員動向と2025年度の活動・収支報告、そして2026年度の活動計画と予算案、また、役員改選などを行った。総会後に開かれた年次大会では、「原子力とともに拓く、私たちのキャリアと挑戦」をテーマに、女性活躍やジェンダーバランスの向上をテーマとした講演や意見交換が行われ、参加者が今後のキャリア形成について考える場となった。WiN-Japanは、「原子力の価値向上」「原子力専門家としてのネットワーク構築」「原子力分野におけるジェンダーバランスの向上」の3つを柱に活動している団体で、「WiN Global」の日本支部に該当する。WiN Globalは世界各地に約80の支部、約35,000名の会員を擁する団体で、原子力産業界、規制当局、医療機関、大学、研究機関など、原子力や放射線に関わる幅広い分野で専門的に活動する女性によって構成されている。総会の冒頭、WiN-Japanの石橋すおみ会長(電気事業連合会広報部部長)は、3月30日から4月3日の日程で韓国・慶州にて開催された直近のWiN Globalの年次大会への参加を報告。同大会でWiN Globalのメリーナ・ベリンコ会長が「原子力業界の未来はイノベーションだけでなく、社会との信頼を築く能力にかかっている。だからこそWiNが必要とされている」と発言したことを紹介し、石橋会長は「この言葉に深く共感した」と語った。その上で、WiN-Japanとしても原子力分野における女性活躍の推進や社会との対話を通じた信頼醸成に、引き続き取り組んでいく考えを示した。来賓として出席した国民民主党の竹詰仁参議院議員(エネルギー調査会長)は、国民民主党が原子力発電所のリプレースや新増設、次世代革新炉の開発推進を掲げていることに触れ、「原子力に携わる皆さんには誇りを持ってほしい」と激励。「原子力を応援する立場として、今後も皆さんとともに学び、支えていきたい」と述べ、WiN-Japan会員らにエールを送った。続く年次大会の冒頭、原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長が登壇し、原子力分野における女性活躍の重要性に言及。「多様な考え方やバックグラウンドを持つ人々がともに働くことが、より良い技術や組織につながる」と述べ、WiN-Japanの活動にさらなる期待を寄せた。その後の基調講演では、文部科学省原子力課長の有林浩二氏が「文部科学省のリケジョ支援策から考える今後の原子力人材育成」と題して講演し、女子中高生の理系進学支援や原子力人材育成に向けた文部科学省の取り組み等を紹介したほか、産学官が連携した人材育成の重要性を強調した。また、原子力分野における女性人材の確保・育成のあり方について問題提起し、参加者との活発な意見交換を行った。続いて、関西電力執行役常務の野地小百合氏は、「多様な視点が、組織の判断を変える~女性活躍の本当の意味」と題して講演を行い、同業界が抱える女性活躍を阻む構造的な課題にも触れながら、多様な視点を生かした組織変革の必要性を訴えた。
05 Jun 2026
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6月5日に開催された総合資源エネルギー調査会・原子力小委員会において、朝野賢司委員(電力中央研究所 社会経済研究所 副研究参事)は、経済産業省が示した「今後の原子力政策の方向性と行動指針」改定案について、事業環境整備の具体化を歓迎する一方、「なお不十分」と指摘。自由化された電力市場では、原子力発電は「発電事業者にとって我が国における最大級のリスク資産」であり、民間企業の投資判断を後押しするためには、国によるリスク分担の明確化が必要との考えを示した。朝野委員はまず、行動指針案について、原子力投資に伴うリスク要因を明確に整理したことや、事業環境整備を政策の柱として位置付けたことを評価した。具体的には、初期投資負担の大きさやリードタイムの長期化、市場価格変動による収入見通しの不確実性、バックエンドや許認可に関するリスクなどが明記されたことを評価。また、長期脱炭素電源オークションの改善に加え、英国サイズウェルC建設プロジェクト(SZC)で導入された規制資産ベース(RAB)モデルの教訓、原子力損害賠償制度の見直し、地元合意形成や許認可手続きの円滑化などが盛り込まれたことについても、「これまでの小委員会での議論を受け止めた内容」と述べた。一方で、将来像として示された原子力利用の見通しを実現するための事業環境整備としては、なお不十分との認識を示した。朝野委員は、政府の信用力を活用した融資制度の検討は重要としながらも、「借入を増やすだけでは原子力への投資判断には足りない」と指摘。その理由として、自由化された電力市場において原子力発電は「発電事業者にとって我が国における最大級のリスク資産」であると説明した。具体的には、1兆円を超える初期投資、10年以上に及ぶ建設期間、運転開始まで収益を生まない事業構造に加え、規制変更に伴う追加投資、バックエンド対策、原子力損害賠償制度、地域合意形成など、多様なリスクが重層的に存在すると指摘。「他産業を見渡しても、これほど巨大かつ長期にわたり、政治・社会・技術のリスクが一体となった資産はほとんどない」と述べた。さらに、こうしたリスクに見合う収益を市場で確保することが難しい点も問題視した。電力市場では電気は電源を問わずすべて同質の商品として取引されるため、原子力特有のリスクを、販売価格へ反映させることが困難であると説明。脱炭素の価値や容量としての価値の評価制度は存在するものの、「原子力特有の巨大なリスクを十分に価格化できているわけではない」と指摘した。その結果として、「発電事業者が競争環境の中で自社のバランスシートにこうしたリスクを抱え込む動機は極めて乏しい」ことから、むしろ投資を見送る方が、取締役会や株式市場に対して合理的に説明しやすい状況にあるとの見方を示した。また朝野委員は、エネルギー安全保障や脱炭素、電力システムの強靱化、経済安全保障といった公益的価値が原子力に期待されている一方で、それらの価値を事業者の収益として十分に評価されていないことが問題の本質であると指摘。「公益的には必要だが、民間企業の投資対象としては合理的な投資判断を行いにくい。このギャップを埋めることこそ事業環境整備の核心だ」と強調した。その上で、必要なのは旧来の総括原価方式への回帰ではなく、「民間の事業者にとって原子力を、巨大なリスク資産として放置するのではなく、エネルギー安全保障や脱炭素、レジリエンス、経済安全保障に資する国家インフラ資産として位置付け直す制度設計」であると提言。建設期間中の費用回収や規制変更リスク、バックエンド対策、原子力損害賠償法など、民間では負いきれないリスクについては、一定の範囲を超えた部分を、国が引き受ける仕組みを明確化すべきとの考えを示した。そして、「原子力を含む大規模かつ安定的な電源については、民間企業に使命感で投資を求めるのではなく、投資することが合理的だと説明できる制度を整えることが重要だ」と述べた。 ※同小委会合については、後日詳報
05 Jun 2026
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日本原燃の増田尚宏社長は5月28日の定例会見で、再処理工場の設工認審査について、次回審査会合で全項目の説明完了を目指す考えを示した。また、MOX燃料工場では第3回設工認の認可を受けて設備据付工事に着手したほか、低レベル放射性廃棄物埋設センターでは覆土作業を開始するなど、核燃料サイクル施設の整備が進展していることを説明した。再処理工場の設工認審査について増田社長は、全体約700項目のうち未説明となっている26項目について原子力規制庁とのヒアリングを進めており、次回審査会合で全項目の説明を終える考えを示した。説明完了後は、審査で示した設計方針を現場設備へ反映するとともに、補正申請に向けた準備を進める。また、高レベル放射性廃液をガラス固化体に加工するガラス溶融炉の検査について、使用前事業者検査で「模擬廃液」を用いて安全機能を確認する新たな日本原燃の方針に対し、直近の原子力規制委員会において、委員から特段の異論は示されなかったと報告した。日本原燃が、2024年8月に示した工程では実廃液を用いた検査を前提としていたが、今回新たに、使用前事業者検査では「模擬廃液」を、操業までに「実廃液」を用いて、生産機能を含む確認運転を実施する方針。増田社長は、「模擬廃液による検査が可能となれば、工程上の裕度が高まる」との認識を示した。一方で、規制委からは、高レベル放射性廃液の保有リスク低減や操業後の安全管理について指摘があった。それを踏まえ日本原燃では、安全に管理するための手段や方法、保安規定への反映を含め検討していく考えを示した。次に、MOX燃料工場について増田社長は、第3回設工認が5月26日に認可され、MOX粉末を焼き固めてペレットに加工する設備の据付工事着手を報告。今後は、重大事故等対処設備や溢水防護対策設備などを対象とする第4回設工認申請に向け、再処理工場での審査結果を反映しながら準備を進めるという。増田社長は、設工認審査は2024年8月時点の工程と比べてやや遅れているものの、第3回までで主要設備の設計方針は認可されており、第4回認可後の工事を効率的に進めることで、竣工目標(2027年度中)への影響はないとの見通しを示した。また、低レベル放射性廃棄物埋設センター1号埋設施設では、5月25日に覆土を開始。青森県産の砂やベントナイトを活用し、2035年度までに施設全体の覆土完了を目指すという。同施設はモルタルやコンクリート構造、難透水性覆土などによる多重バリア機能を備えており、覆土完了後も放射線量や地下水中の放射性物質濃度の監視を継続しながら、長期にわたり安全管理を行う方針だ。
04 Jun 2026
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青森県下北半島のむつ市・六ケ所村・大間町・東通村の首長らは5月27日、経済産業省の井野俊郎副大臣と会談し、原子力災害時の住民避難に必要な道路整備を国の責任で推進するよう求める要請書を手交した。2024年の能登半島地震を踏まえ、原子力災害と自然災害が同時に発生する複合災害への備えが重要だとして、避難道路や接続道路の整備促進に向けた財源確保を要望した。下北半島には、東通原子力発電所や建設中の大間原子力発電所、六ヶ所村の燃料サイクル施設など、国内有数の原子力関連施設が集積している。4市町村は、原子力防災の実効性を高めるためには、住民避難を支える道路網の整備が不可欠だとして、地方負担を伴わない形で国が責任を持って財源を確保し、整備を推進するよう求めた。要請では、①下北半島縦貫道路の全線早期整備、②三沢空港や東北縦貫自動車道と接続する上北沿岸高規格道路の整備促進、③国道338号バイパスや国道279号バイパスなど主要避難道路の整備促進、④各地域集落から主要避難道路へ接続する避難道路の整備――の4項目を重点事項として掲げた。4市町村は要請の中で、能登半島地震によって半島地域における防災インフラの重要性が改めて浮き彫りになったと指摘。下北半島では避難道路の整備が進められているものの、依然として代替ルートが十分とは言えず、災害時の交通確保に課題が残るとしている。さらに、日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震の発生が懸念される中、下北半島内の多くの道路が津波浸水想定区域に位置していることから、原子力災害と自然災害が複合的に発生した場合の住民避難に強い危機感を示した。むつ市の山本知也市長は、「下北半島には原子力関連施設が集中している。避難道路整備について国として前向きに支援してほしい」と述べ、原子力防災の実効性向上のため、下北半島全体の避難ネットワークの多重化を求めた。六ケ所村の橋本隆春村長は、再処理工場など燃料サイクル施設が立地する地域として、住民の安心・安全の確保が重要だと指摘。国道338号沿線の道路整備など、同村周辺の道路網の強化を要望した。また、大間町の野﨑尚文町長は、2021年の豪雨災害で実際に国道279号沿線の地域が孤立した経験に触れ、早急な道路整備の必要性を強調。東通村の畑中稔朗村長は、村人口の約半数が東通原子力発電所から5km圏内に居住し、村全体が30km圏内にあると指摘した上で、実効性ある避難計画の前提として避難道路や接続避難路の整備が不可欠との認識を示した。これに対し井野副大臣は、能登半島地震の教訓を踏まえ避難道路整備の重要性に理解を示した上で、地元住民らの要望にしっかり応え、国の原子力政策を着実に進めていくとの考えを示した。なお、同要請書は、内閣総理大臣、国土交通省、財務省にも提出されている。
03 Jun 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は5月29日の定例記者会見で、世界各地で計画が進む小型モジュール炉(SMR)について、日本企業が部品・機器供給や設計面で重要な役割を担っているとの認識を示した。その上で、海外SMRプロジェクトへの参画は日本の原子力サプライチェーン維持につながると評価する一方、技術基盤を将来にわたって維持するためには国内での原子力発電所建設も重要との考えを強調した。増井理事長は最初に、4月に行われた原産年次大会の総括を行った。今回のテーマ、「原子力の最大限活用を支える人材戦略」を踏まえ、人材の課題に対して、産官学が一体となって取り組むべきものであるという理解を示し、人口減少の局面における省人化技術の必要性について言及した。また、初の取り組みである会員企業による学生支援キャンペーンによって100人を超える学生が年次大会に参加し、これまで以上に活気ある会場であったと語った。次に、原産年次大会の約1週間後に行われた第41回韓国原子力産業協会年次大会(KAP2026)および国際原子力産業展示会(INEX2026)への参加を報告。原産年次大会と比較して、企業が数多く出展する国際展示会の役割が強く、ロボットやVRを取り扱う企業が多かったと述べた。その後、「世界の原子力発電開発の動向」に関連して、世界各国におけるSMR開発・導入の動向について説明した。各国のSMRを取り巻く状況や日本企業が関わっているBWRX-300 やVOYGR などが各地で採用されていることに触れ、原子力利用国が約30か国なのに対し、約20か国がSMRについて何らかの検討を進めていることに触れ、その注目度の高さを評価した。会見後半、記者との質疑応答ではSMRと日本の関わりについての質問が相次いだ。その中で増井理事長は、日本企業が関与している海外のSMR について、短期的な視点と中期的な視点があると言及。短期的な視点としては、日本から部品や機器を供給する機会が増えることで、日本の原子力サプライチェーンの持続可能性向上につながるのではないかと述べた。例としてGE ベルノバ日立製のSMRについて挙げ、計画されている数百億ドル以上の投資額が実現すれば、日本の産業界に大きく貢献する可能性を指摘した。中期的には、海外で運転実績を積んだSMRが日本に逆輸入される可能性に言及した。また、日本企業のSMRの関わりについては、主要な案件としてBWRX-300(GVH)、VOYGR(NuScale Power)、SMR-300(Holtec International)を挙げ、設計の一部と、部品・機器のサプライヤーとして関わっている現状を説明。一方でその影響について、日本の技術基盤を維持するためには海外案件への参画だけでなく、国内での原子力発電所建設も重要であると訴えた。国が将来の原子力発電の見通しを示す意義についても触れ、国民に分かりやすい形で、いつまでにどの程度必要なのかを示すことは、国民への強いメッセージになるとともに、原子力産業にとっても将来への展望を示すことにつながるとの考えを示した。
02 Jun 2026
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経済同友会は5月29日、「エネルギー自立を国策の根幹へ~S+3Eの高度化に向けた意見~」を公表し、原子力利用の拡大に向けた「原子力規制のアップグレード」を提言した。AIの普及にともなうデータセンター需要の増加や、地政学リスクの高まりを背景に、原子力を「現実的な主力電源オプション」と位置付けた上で、審査の効率化・合理化や予見性向上、革新炉への対応、人材・体制強化などを求めている。提言では、エネルギー安全保障の観点から、自立性の高いエネルギー供給体制の構築が不可欠と指摘。AIの急速な普及にともなうデータセンター需要の増加や国際情勢の不安定化を踏まえ、「安全性・安定供給・経済性・環境適合」(S+3E)の同時達成を、日本の国力の基盤と位置付けた。「S+3E」の実現に向けて同友会は、原子力、再生可能エネルギー、移行期における化石燃料を適切に組み合わせたエネルギーミックスの構築が必要と提言。原子力については、「長期にわたる自立性の向上や安定供給、脱炭素を支えるとともに、電力系統の安定運用に不可欠な機能を提供する現実的な主力電源オプションの一つ」と評価した。そして原子力利用拡大には、安全性向上と社会的理解の確保が前提とした上で、現行の規制体系について、福島第一原子力発電所事故後の高い安全水準の実現に貢献してきた反面、審査の長期化や判断プロセスの見通しにくさが、再稼働や新増設、関連投資の制約要因になっていると指摘した。このため、同友会は「原子力規制のアップグレーディング」として、案件の重要度に応じた審査資源の重点配分による審査の効率化・合理化を提案。加えて、審査期間や評価の考え方に関する予見性向上、小型モジュール炉(SMR)など革新炉の、従来の大型軽水炉とは異なる特性を踏まえた規制運用の検討、規制当局の人材・体制強化などを求めた。また同友会は、原子力や再生可能エネルギー、蓄電池、送電網などを一体的に捉えた「電力システム最適計画」の制度化も提言。原子力発電所の立地地点には一定の社会的制約があるとの認識の下、楽観的な新増設シナリオに依存しない電力システムの構築を求めた。再生可能エネルギーについても用地制約などを踏まえた現実的な導入計画を求めた。さらに、原子力を系統安定性を支える「アンカー電源」と位置付けた上で、再生可能エネルギーや蓄電池、高効率火力などを組み合わせた現実的な電源ポートフォリオの構築を提言した。一方、エネルギー政策の持続性を確保するためには国民理解と信頼の再構築が不可欠とし、原子力などエネルギー問題について、立地地域と電力消費地の相互理解を促進する必要性を強調。学校教育や社会人教育を通じ、エネルギーの選択肢やトレードオフを整理し、比較・判断するための基礎的なリテラシーを高めていくことが重要と指摘した。経済同友会は、今後も関係省庁や地方自治体、研究機関、教育界、産業界などとの議論を通じ、長期的な視点からエネルギー自立の実現に向けた提言を継続していくとしている。
01 Jun 2026
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独立行政法人都市再生機構(UR)は8月より、学生向け福島県浜通り地域のスタディツアー「キモチ、あつまるプロジェクト2026」を開催する。参加者は8月19~22日に福島県大熊町、双葉町、浪江町を訪問し、福島第一原子力発電所の事故と復興の現状について学び、現地の方々との交流会やワークショップに参加する。原子力災害伝承館、復興祈念公園、中間貯蔵情報センターなどを訪れる予定。その後、現地の方と協働し、実施する企画内容を検討。12月に現地で企画発表会を行い、2027年2月には実際に企画を実施する予定。URがスタディツアーを行うのは4回目だが、再訪や企画実施は今回が初めての試み。参加費用は無料。交通費、食費、宿泊費などをURが負担する。申込時点で18歳以上の学生で、6月18日開催のプレイベントに参加、もしくはプレイベントのアーカイブ動画を視聴可能で、条件を満たせば応募可能。定員は15人で、申込は6月30日まで。URは2011年の東日本大震災発生直後から、復旧・復興活動に取り組んできた。大熊町、双葉町、浪江町についても、ハード・ソフトの両面から支援を行っており、今回のツアーはその一環。
01 Jun 2026
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東京電力は5月20日、昨年度の実績と今年度の計画をまとめた「福島第二原子力発電所廃止措置実行計画2026」を公開した。東京電力はこの廃止措置実行計画を毎年更新し、計画の進捗や今後の予定を明らかにしている。2021年6月23日から始まった福島第二の廃止措置は、44年間で完了する計画となっており、四段階に分けられた工程のうち、現在は第一段階、10年かけて行う解体工事準備が進行中。第一段階の工程は、①汚染状況の調査、②核燃料物質による汚染の除去、③管理区域外設備の解体撤去、④核燃料物質の搬出、⑤廃棄物の処理処分から構成されている。昨年度は①汚染染状況の調査、③管理区域外設備の解体撤去、⑤廃棄物の処理処分で進展があった。汚染状況の調査に関して、4号機の放射化汚染の現場調査が行われ、格納容器の鋼材とコンクリート材13か所から計37試料を採取。今年度に外部の分析機関で分析が行われる予定。そのほか、2~4号機の炉内試料採取なども今年度予定されている。管理区域外設備については、3-4号機の薬液タンクが解体・撤去された。そのほか2号機軽油タンク・4号機主変圧器の解体撤去準備も行われた。今年度は2・4号機軽油タンクの解体撤去およびその準備作業、2~4号機ボンベ建屋の解体撤去が計画されている。廃棄物の処理処分では、ドラム缶に入れた固体廃棄物をモルタルで固型化するためのモルタル供給装置と、埋設される固体廃棄物ドラム缶が埋設基準を満たしているかの確認に使用する、低レベル放射性廃棄物搬出検査装置が昨年度竣工した。今年度以降、濃縮廃液や使用済樹脂の処分計画が進められる見込み。同社によると、一部工程の見直し等はあるものの、概ね計画通りに作業は進行しているという。
29 May 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は5月20日、東京都小笠原村の南鳥島での文献調査実施に伴う事業計画の変更が経済産業省に認可されたと発表した。NUMOの2026事業年度事業計画に正式に盛り込まれ、全国で4例目となる文献調査が正式に開始された。NUMOは今後、文献調査計画書(5月12日付で公開)に基づき、南鳥島および周辺海域を対象に、地質図や学術論文など既存の文献・データを収集。地震や活断層、火山活動、鉱物資源の有無などについて評価を実施するほか、地震や活断層など地質環境に関する技術的評価に加え、土地利用規制など社会的・制度的な条件についても検討を行う。第三者として各分野の専門家(地層・地質、地層処分技術、船舶運航、南鳥島の自然環境の専門家)を招聘し、調査内容や進め方の妥当性を確認しながら、客観性・透明性の確保を図るとしている。また、中立性を重視した「対話を行う場」を設置し、地層処分の仕組みや文献調査の進捗などについて説明を行うほか、小笠原村の将来像等も含めた意見交換を進める方針。NUMOの山口彰理事長は同日、「特定放射性廃棄物の最終処分は日本社会全体で解決しなければならない重要課題」とコメント。小笠原村が示した要請事項についても国と連携して対応する考えを示した。
27 May 2026
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電気事業連合会は5月22日、六ヶ所再処理工場に対しの今年度の竣工に向け、日本原燃への支援を拡充していることを明らかにした。国からの協力要請も踏まえ、新たに約30人を派遣。これまでの90人超と合わせ、派遣人員は約120人となった。電事連の森望会長は会見で、同工場の設計及び工事計画の認可に関する原子力規制委員会の審査会合が順調に進んでおり、あと1回の審査会合で説明が完了する見込みと述べた。その上で、日本の原子燃料サイクル政策を進めるにあたり、同工場の竣工と本格的な操業は重要な課題と強調し、今年度中の同工場竣工を目指して、マネジメント・技術の両面から日本原燃を引き続き支援する考えを示した。電事連は2022年に、竣工に向けた課題の把握と解決策の検討を目的として、「サイクル推進タスクフォース」を設置し、日本原燃を支援してきた。また、今年3月には地域共創と燃料サイクル施設との共生に寄与することを目的として、青森県六ヶ所村、日本原燃とともに、「一般社団法人六ヶ所みらい共創プロジェクト」の設立を明らかにしている。
26 May 2026
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「原発事故による帰還困難区域を抱える町村の協議会」は5月20日、経済産業省の山田賢司副大臣(原子力災害現地対策本部長)と会談し、当該地域の復興政策の着実な推進に向けた要望書を手交した。要望書では、帰還困難区域が抱える課題の解決に向け、大きく2項目について国の対応を求めた。同協議会の会長を務める双葉町の伊澤史朗町長は、山田副大臣に対し、経済産業省の職員らによる継続的な福島訪問に謝意を示した上で、「今なお長期避難を余儀なくされている住民がいる」と指摘。帰還を望む住民が一日も早く故郷へ戻ることができるよう、国の責任のもと全域の避難指示解除と地域の復興を前進させるよう求めた。帰還困難区域は現在、7市町村(南相馬市、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村)の一部に区域が設定されている。2017年の法改正に基づく「特定復興再生拠点区域」に加え、2023年には拠点区域外でも住民帰還を目指す「特定帰還居住区域」制度が創設。各市町村が策定する復興再生計画に基づき、除染やインフラ整備などが進められているが、同協議会は、全域の避難指示解除には今なお課題が残ると指摘。住民同士の分断や、帰還の見通しを示せない地域における土地・家屋の扱いなどを例に挙げ、「生活環境の整備、産業の再生、営農再開、企業立地の促進など、さらなる復興を進めるためには、引き続き国の力強い関与が必要だ」と訴え、要請書を提出するとともに、国の考えをただした。要望書が定めた2項目は以下の通り。 ①将来的な避難指示解除の工程明示等(特定復興再生拠点区域以外の帰還困難区域について)②復興財源やインフラ支援の継続(原発事故による帰還困難区域を抱える町村の復興・再生について) ①について要望書では、特定帰還居住区域の避難指示解除や帰還困難区域全域の避難指示解除に向けた将来的なビジョンの明示を求めた。また、帰還困難区域内に残る土地・家屋の取り扱い方針の提示に加え、拠点区域外への立入規制緩和に伴う防犯対策の強化や住民への生活支援の継続を要請。さらに、帰還困難区域における森林の再生と活動自由化、除染土壌等の県外最終処分に向けた取組みの推進などを求めた。②に関する要望では、物価高騰や人件費上昇に伴う事業費増加を踏まえ、復興事業の停滞を招かないよう、柔軟かつ中長期的な財源確保を求めた。また、福島イノベーション・コースト構想の推進に加え、JR常磐線や常磐自動車道、主幹一般道などの基幹インフラについて、地域の実情やニーズを踏まえた機能強化への支援を要望した。このほか、地域間で偏りのない支援の実施や風評対策の強化、放射線量の測定および線量低減対策の継続なども求めた。これに対し山田副大臣は、事故から15年にわたり住民に負担をかけていることについて改めて陳謝した上で、「福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉と福島の復興は経済産業省の最重要課題だ」と強調。「将来的に帰還困難区域全域の避難指示解除を実現し、復興・再生に責任を持って取り組む決意に揺らぎはない」と述べた。その上で、「2020年代を通じて、帰還意向のある住民が皆、帰還できるよう全力で取り組む」と表明。「第3期復興・創生期間は福島復興に向けた正念場だ」との認識を示し、国として総力を挙げて復興施策を推進していく考えを示した。なお、政府は2026年度からの5年間を「第3期復興・創生期間」と位置付けており、同期間における復興事業費として約1.9兆円を見込んでいる。また同協議会は同日、経済産業省のほか、復興庁、農林水産省、国土交通省、環境省などの関係省庁を訪問し、要望活動を実施。各省庁の担当者らと意見交換を行い、復興・再生に向けた課題認識を共有した。
25 May 2026
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理系学生を対象とした業界研究セミナー「理系Career Design Forum」が4月19日、新宿NSビルにて開催された(主催:学情)。当日は、理系学生を積極採用する企業約60社が出展し、来場者数は600名を超えるなど、会場は賑わいを見せた。会場内には「エネルギー・インフラ業界エリア」が設けられ、日本原子力産業協会が同エリア全体を企画・運営。同協会の会員企業へ参加を呼びかけ、14社が出展した。日本原子力産業協会では例年、秋ごろに就職活動イベント「原子力産業セミナー」を開催している。一方で近年、会員企業から「より早い時期に学生と接点を持ちたい」との声が多く寄せられ、特に、夏のインターンシップが本格化する前に業界認知を進めたいというニーズが高まっていたことから、今回のブース出展につながったという。エネルギー・インフラ業界エリアに出展した日本原燃の金原裕己氏(人事部人財開発グループ課長)は、同イベントについて「原子燃料サイクルを初めて知ったという学生も多く、原子力産業界の魅力を知ってもらう良い機会になった」と振り返った。金原氏は、原子力産業界へ関心の薄い学生に対して、「国内で当社だけが担っている仕事があること」を伝えていると話し、同社が日本のエネルギー安定供給やバックエンド事業といった社会的課題に向き合っている点を強調。「使命感を持って取り組んでいる仕事だということを知ってほしい」と力強く語った。また、「当社はさまざまな専攻が活躍できる」としたうえ上で、「勤務地が青森県であるため、仕事面だけでなく、地域の魅力も含めて伝えていきたい」と話した。そして、採用活動では、「『事業への共感』を最も重視している」とし、「社会的意義をやりがいとして感じてくれる学生に来てほしい」と語り、今後、さらに学生との接点を増やしていきたいとの考えを示した。また、会場内の別ブースでは企業講演や就活支援講座が開かれ、中でも、アイリスオーヤマ、東日本旅客鉄道、日立製作所の3社による【3社が語る仕事のホンネセミナー】が注目を集めた。異業種の人事担当が、仕事内容や働き方、就職活動時の考え方などについて率直に語り合う形式で進行し、日立製作所の担当者は、原子力産業の魅力や社会的意義について語った。同企画に登壇した日立製作所の宮武明穂氏(人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部)は、今回の【3社が語る仕事のホンネセミナー】について、「原子力業界を知らない学生層に、興味を持ってもらう入口として非常に意義がある」と語った。特に「普段出会えない学生層と接点を持つことができ、学生が共通して抱えている不安や疑問を再確認できた」と振り返った。そして宮武氏は、原子力産業界の人材確保に向けて、早い段階から接点を持つ必要があるとし、「大学1、2年生の段階から知ってもらうための活動をしていくことが重要だ」と強調。同社では現在、中高生向けの取組みも行っているという。また、「どの専攻でも活躍できるフィールドがあること、原子力事業における最新の取組みをお伝えすること、を重視して情報発信を行っている」と語った。具体的には、脱炭素化社会の実現やエネルギー安全保障の観点から世界的に原子力活用の機運が高まっている現状をデータとともに示し、社会に必要とされる仕事であり、大規模な社会貢献につながる産業であることを伝えているという。さらに、原子力分野では原子力専攻学生の減少や労働人口の縮小も課題になっているとし、「業界全体として継続的な情報発信と裾野拡大が必要」と強調。日本原子力産業協会等の業界団体とも連携しながら、原子力産業の理解促進と人材確保に取り組んでいく考えを示した。また日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、【3社が語る仕事のホンネセミナー】について、「限られた時間の中でも、各社が自分たちの特長を出そうとしていた点が印象的だった」と振り返った。各登壇者が、用意された回答を読み上げるのではなく、自らの言葉で学生に語りかけていた点に触れ、「企業ごとの個性や、担当者自身の人柄、物事の捉え方まで伝わる内容になっていた」と評価した。特に、匿名で質問できるオープンチャット形式が採られたことにも言及し、「学生が手を挙げづらい中で、本音を引き出しやすい仕組みだった」と評価した。また、今回のようなエネルギー・インフラ業界全体を対象にしたブースについて、「当協会が主催している原子力産業セミナーとは異なる役割を持っている」と分析。「こうした場を入り口に、原子力分野へ関心を持った学生が、さらに同セミナーなどの専門性の高い場へ流れてくる可能性もある」との認識を示した。そのうえで、原子力業界の人材確保に向けて、幅広い層との接点を増やしていくことが重要だとの考えを示し、「こうした業界横断型イベントとの連携や補完関係は、今後さらに重要になっていく」との見方を示した。
22 May 2026
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総務省は5月15日、宮城県女川町から協議のあった、使用済み燃料税の新設に同意した。使用済み燃料の保管を課税の対象とし、税率は1kgあたり620円。年間で約2.9億円の税収を見込んでいる。課税期間は2026年度から2030年度までの5年間。東北電力の同意のもと、女川町議会では昨年12月25日に使用済み燃料に課税する条例案が賛成多数で可決されていた。条例の施行は5月20日に行われた。東北電力によると、昨年10月末時点で、女川2号機原子炉建屋内の使用済み燃料プールは、貯蔵率が約79%を超えており、女川発電所の敷地内に乾式貯蔵施設の新設を進めている。使用済み燃料税を既に導入している市町村は、新潟県柏崎市、愛媛県伊方町、佐賀県玄海町、鹿児島県薩摩川内市、青森県むつ市で、女川町は6例目にあたる。なお、茨城県も使用済み燃料の保管に課税を行っている。柏崎市では2020年度の使用済み燃料税の税収は6億6,084万円となり、柏崎市全体の事業費24億846万円のうち、約27%がまかなわれた。このほか、3月5日の静岡県御前崎市議会の一般質問で、使用済み燃料税に対する考えを問われた下村勝市長は、使用済み燃料税の調査研究を進め、方向性を定めていきたいと答えた。
22 May 2026
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2026年8月2~9日にサウジアラビアで開催予定の、第3回国際原子力科学オリンピック(INSO:International Nuclear Science Olympiad)に出場する日本代表選手が、4月21日に発表された。選ばれたのは、本田弘徽さん(私立麻布高等学校3年)、入山哉太さん(私立攻玉社高等学校2年)、長田知樹さん(私立灘高等学校3年)、霜崎洸我さん(広島大学附属高等学校2年)の4名。15歳から20歳未満を対象に、大学入学前で、高校または高専の在学生または卒業生という条件の元、出場者が一般公募され、44名の応募があった。その後、日本語と英語を使用した2回の筆記試験と日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)での選手育成合宿を経て、代表選手が決定した。本番の大会で出題される問題は、5時間の理論部門と3.5時間の実験部門で分かれており、原子と原子核の構造、放射線、核分裂と核融合などの基礎のほか、環境、歴史や安全などの応用も含む幅広い分野が出題される。実験部門の多くは模擬実験形式で提示され、実験の実施そのもののほか、データ解析に関する理解も試される。設問は高等学校で学ぶ数学や物理を軸としつつ、「到達可能だが高難度」というバランスが重要視されている。INSOは国際原子力機関(IAEA)が企画し、2024年から始まった試み。単なる競技の場を超えた、アジア太平洋地域の原子力科学技術分野の人材育成に重要なものと位置付けられている。今大会には25か国から約100名が参加する見込み。昨年7月に行われた第2回大会では、日本代表4名全員がメダルを獲得した。
21 May 2026
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国際原子力機関(IAEA)は16日、ALPS処理水の海洋放出について、国際安全基準に沿って実施されていることを確認したと発表した。安全性レビューは5月11日から15日にかけて実施され、今回で6回目。過去5回の報告と同様、今回も問題は指摘されなかった。レビュー期間中、日本政府や福島県、東京電力は、発電所構内および周辺海域で実施しているモニタリングの概要や実績について説明した。IAEAタスクフォースは、これらが国際安全基準と整合しているかを中心に議論を行った。また、5月13日には、IAEAタスクフォースが福島第一原子力発電所を訪問し、発電所構内の「ブルーデッキ」から廃炉作業の進捗状況を確認したほか、ALPS処理水移送建屋や放水立坑など、ALPS処理水の海洋放出に関連するモニタリング設備を視察。さらに、タンク解体が進むエリアの現場確認も行ったという。安全性レビューは、2021年に日本政府とIAEAの間で署名された「ALPS処理水の取扱いの安全面のレビューに関する付託事項(TOR)」に基づき実施されている。IAEAは、自ら定める「IAEA安全基準」に則り、人と環境の保護の観点から、ALPS処理水の放出計画やモニタリング体制などについて確認・評価を実施している。こうしたレビューを通じ、IAEAタスクフォースは、海洋放出の安全性や透明性に関する国際社会の理解醸成に向けた役割を担っている。日本政府は、ALPS処理水の海洋放出について国際社会の理解を得る上で、IAEAによる独立したレビューが重要との認識を改めて示した。その上で、今後も中立性を重視するIAEAと緊密に連携しながら、ALPS処理水の海洋放出に関する理解醸成に取り組んでいく考えを強調した。
20 May 2026
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原子力規制委員会は5月13日、今年1月26日から2月6日に行われた、IAEAによる総合規制評価サービス(IRRS)ミッションの報告書を公開した。日本では2016年にIRRSミッション、2020年にそのフォローアップ・ミッションが実施され、今回はおよそ10年ぶりの実施となる。報告書で日本の規制の枠組みは、包括的で堅固と評され、IAEAの安全基準との高い整合性が確認された。規制委が実施する緊急事態への準備及び対応訓練の評価が良好事例として挙げられた。その一方、改善のための24件の勧告、19件の提言が示された。原子力規制委員会の、独立性、人材計画および戦略、内部監査、マネジメントシステムなどが勧告の対象となった。更に、グレーデッドアプローチ(リスクや重要度に応じて規制の厳しさを調整する)を規制プロセス全体に適用することで、規制システムの全体、特に許認可プロセスの実効性を高められると指摘した。また、5月14日に行われた、全国原子力発電所所在市町村協議会の年次総会に原子力規制庁の児嶋洋平次長が登壇。今回のIRRSミッションでの勧告に触れ、提言を踏まえて、規制委は安全のレベルを下げることなく、グレーデッドアプローチに基づく規制制度の改善に取り組むと述べた。IRRSは、IAEAが加盟国の要請に基づき原子力利用の安全確保に向け実施しているレビューサービスの一つ。専門家で構成されるレビューチームにより、対象国の原子力規制に関し、その許認可・検査に係る法制度、関係組織も含む幅広い課題について、規制当局や被規制者へのインタビュー、原子力施設への訪問などを通じた総合的レビューを実施し助言・勧告を行う。今回のチームは18名の専門家と5名のIAEAスタッフからなり、日本の原子力及び放射線安全に関する政府、法的、及び規制の枠組みをレビューした。レビュー範囲は、政府の責任と機能、規制機関の責任と機能、許認可など多岐に渡り、11の項目にまとめられた。なお報告書は、ミッション期間中に実施された政策に関する議論を含む12項目で構成されている。
19 May 2026
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原子力委員会は5月13日、日本原電執行役員の神谷昌伸氏より、「敦賀発電所2号機の再稼働審査に係るこれまでの経緯と追加調査について」の報告を受けた。同2号機は、1987年2月に営業運転を開始し、2011年5月まで約24年間稼働していたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて運転を停止している。同機は2024年11月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査において、敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の後期更新世以降の活動性を否定できない(約12~13万年前)こと、また、K断層が原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性を否定できないことが指摘され、「新規制基準に適合しない」との判断がなされた。しかし日本原電は、安全性を確認した上で同機の再稼働を目指す意向を示している。神谷氏によると、同社では社外専門家の意見も参考にしながら、昨年10月より「K断層の分布と性状」、「K断層の活動性と連続性」、「その他破砕帯等の地質データ取得」に関する調査を実施している。そのために、発電所敷地内でのボーリング調査、立坑・横坑の掘削によって岩盤を直接観察する調査等を進めており、すでに立坑工事は工期終盤に入り、来月には横坑掘削が始まる予定だという。同社では、調査を通じてK断層等の性状をより詳細に調査し、再稼働に向けた再申請のためのデータを収集する方針だ。同委員会の後半、審査における当該断層の評価や追加調査の在り方について意見が交わされた。原子力委員らから、K断層の活動性や連続性をめぐる評価について、「どの範囲まで調査し、どのようなデータを示せば、当該断層の活動性や連続性を否定できるのか」「どういったデータを示せば再稼働に向けて必要なデータを揃えることが達成できたと言えるのか」との指摘があった。これに対し神谷氏は、追加調査やデータを着実に積み重ねながら、総合的に評価していく考えを示した。また、調査地点についても、「限られた調査地点から総合的に評価する必要があり、どこの地点を選定するのかが重要になる」と述べた。また、2年程度を見込んでいる追加調査の進捗について神谷氏は、「おおむね順調に進んでいる」とコメントした。さらに、長期の運転停止が続く原子力発電所の再稼働をめぐる地元の反応について、神谷氏は日本原電と地元自治体が築いてきた関係性に言及し、「当該地域にはさまざまな意見がある」と述べた。これに対し原子力委員からは、「規制側・事業者側の双方が、透明性をもって再稼働に向けたプロセスを進めていくことが重要」との意見があり、地域住民の理解醸成と信頼確保を進めていくことの重要性が共有された。また他の委員は、福島第一原子力発電所事故以降、原子力を巡るリスク評価が多角的に進められているとの認識を示したうえで、原子力発電所の再稼働を実現するためには、社会的なコンセンサス形成に向けた不断の努力が重要であり、引き続き丁寧な対話の継続を日本原電に求めた。
18 May 2026
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全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の令和8年度総会が5月14日、都内で開催された。全原協の総会は、原子力発電所などが立地する会員・準会員の首長ら(28市町村)が出席し、前年度の事業・収支決算報告や新年度の事業計画案などを審議するとともに、国に対する原子力・エネルギー政策に関する提言について議論する場となっている。第1部では、全原協会長を務める敦賀市の米澤光治市長は冒頭挨拶にて、中東情勢不安定化等によるエネルギー安全保障上の課題に言及した上で、「脱炭素効果の高い原子力を活用していくことが重要だ」と強調。一方、中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動をめぐる不適切事案について、「国民の信頼を裏切る行為であり誠に遺憾」と述べ、事業者による原因究明と再発防止、国による厳格な指導・審査徹底を求めた。また総会では、2026年度の活動方針として、①被災地の復興、②安全規制・防災対策、③原子力政策、④立地地域対策、の4項目が重点項目に掲げられ、具体的要望事項を国や関係機関に対して要請していくことで了承された。そして、全原協が昨年度立ち上げた「バックエンド問題に関する検討委員会」(委員長:女川町の須田義明町長)が取り纏めた「高レベル放射性廃棄物最終処分に係る提言書」の提出が了承された。同提言書では、文献調査・概要調査に進む際、都道府県知事や市町村長の反対があれば次段階へ進めない現行プロセスについて、「自治体負担が過大」と問題提起。国が主体的に候補地選定を進めること、また、制度・運用そのものの見直しを求めることで一致。これらを「原子力政策の最前線に立つ地元からの切実な声」として、国に対し真摯な対応を求めた。総会後半では、井野俊郎経済産業副大臣、清水真人文部科学大臣政務官が出席したほか、多数の国会議員、内閣府、原子力規制庁、国土交通省などの関係者らが出席し、立地地域との意見交換に臨んだ。今回の意見交換では、9市町村が発言。それぞれの発言後、関連機関の担当職員から回答があった。燃料サイクル政策に関しては、むつ市の齋藤友彦副市長が発言。同市に立地する中間貯蔵施設について、「原子燃料サイクル政策を支える国家的インフラ」と強調。一方で、「バックエンド施設の重要性に対する理解は十分とは言い難い」と述べ、国に対し、「燃料サイクルを支える全ての施設が公平に扱われるよう」求め、制度的支援の在り方について見解を示した。また、立地地域の産業振興策を巡っては、女川町の須田善明町長が発言。企業誘致向けに運用されている「F補助金」(原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業)について、地勢的制約から用地確保が難しい地域では「活用したくても活用できない自治体が少なくない」と指摘。「既存企業支援を後押しするF補助金と同等の制度が存在しない」点に言及し、新たな制度構築の必要性を訴えた。原子力防災を巡っては、石巻市の渡邉伸彦副市長が発言。既存の建物を改修した放射線防護対策施設について、雨漏りなど経年劣化が進行している現状を説明し、「放射線防護機能そのものに影響を及ぼしかねない」と指摘。その上で、既存施設の修繕にも交付金を適用できるよう、制度要件の緩和を要望した。発電所の廃止措置を巡っては、東海村の山田修村長が発言。東海発電所の廃止措置に触れながら、国に対し、廃炉技術や知見共有の必要性とその情報共有の仕組みづくりに関する考えを示した。そして、原子力発電所の再稼働と法の解釈を巡って、刈羽村議会の廣嶋一俊議長と柏崎市の櫻井雅浩市長が踏み込んだ提言を行った。廣嶋議長は、特重施設の設置期限延長方針について、「合理的な判断だ」と評価した一方、既に期限を迎えていたことを理由に対象外となった柏崎刈羽原子力発電所7号機について、「そのロジックを理解できない」と疑問を呈した。その上で、「柏崎刈羽7号機が再稼働できないことは宝の持ち腐れに等しい」と訴えた。また櫻井市長は、同発電所の再稼働の議論を振り返り、第7次エネルギー基本計画に盛り込まれた「立地地域の理解」について、「どの範囲を立地地域とするのか整理されていない」と述べた。同発電所の再稼働を巡っては、新潟県全域で公聴会や意見聴取が実施された一方、「県内には発電所から150km離れた自治体もある」と指摘。福井県や北海道など他地域の原子力発電所に当該距離を当てはめた場合の距離感にも言及し、「都道府県単位で一律に地元合意を求めることが合理的なのか疑問だ」と述べた。その上で、「原子力規制委員会が法に基づき安全性を認めたプラントが長期間稼働できないのは異常だ」と指摘し、これらが長引けば「国家的損失に等しい」との認識を示した。総会の終盤、原子力政策の推進と立地地域支援をめぐって、美浜町の戸嶋秀樹町長が発言。同じく福井県のおおい町の中塚寛町長が、F補助金や電源三法交付金の使途柔軟化など、意見を述べた。また、原子力防災インフラを巡って、同県の高浜町から西嶋久勝町長が発言。能登半島地震で道路寸断や孤立集落が発生した事例に触れ、「避難道路の多重化・強靭化は喫緊の課題だ」と訴えた。その上で、国道27号の青葉トンネル改良事業や、舞鶴若狭自動車道の4車線化について早期整備を要望。また、高浜発電所へ通じる県道の老朽化対策や、通信インフラ強化への支援も求めた。
15 May 2026
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関西電力は4月30日、2029年3月期まで3年間の中期経営計画を発表し、原子力分野では、美浜発電所のサイト内でのリプレースに向けた自主調査の実施、次世代革新炉の技術開発、原子燃料サイクルの推進を進めるとした。経営計画の中で、ゼロカーボン電源を強みの一つと位置付け、原子力事業を今後も最大限活用したい考えだ。そして、2040年に向け、需要増加や脱炭素化に対応する電源基盤の構築を進める方針を示した。更に原子力事業において、DXやAIの活用による業務効率化も進める。その中で、安全確保、効率化、人材育成を実現することを目標とする。今後3年間の具体的な施策としては、現場ネットワーク・発電設備の3Dマップの全プラント順次導入と活用、許認可データ基盤の整備・活用推進、AIの利活用による現場業務改善の定着を挙げた。美浜発電所について、昨年11月にはリプレースを見据えた地質調査が再開されており、2段階に分けられた調査は2030年ごろまで段階的に実施される予定。
14 May 2026
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