
米国のElementl Power社は6月18日、オハイオ州南東部メイグズ郡で、最大150万kWe規模の先進原子力発電所の開発を進めると発表した。同社はGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(30万kWe)の採用を計画しており、GVH社と先行作業協定(Early Works Agreements: EWA)を締結した。Elementl社は2022年設立の独立系発電事業者で、先進原子力プロジェクトの開発を手掛ける。規制下にある電力会社や独立系発電事業者、技術サプライヤーと協力し、2035年までに米国で合計発電設備容量1,000万kWe以上の原子力発電の実用化を目標としている。2025年5月には、大手IT企業Google社と、サイト候補3地点で先進的原子力プロジェクト開発の準備向けに初期段階の資金提供に関する契約を締結。サイト候補地や契約金は明らかにされていない。各プロジェクトは少なくとも60万kWの発電設備容量を有し、Google社はプロジェクト完了後に、オフテイカーとして電力購入の優先権を持つ。Elementl社は今回のBWRX-300の採用にあたり、オハイオ州の公共電力会社American Municipal Power社から約2.8㎢の建設予定地を取得。まずは60万kW分について系統運用者PJMへ系統接続を申請しており、審査結果は年内に示される見通し。建設費は民間資金で賄い、電気料金への転嫁は行わない方針である。初号機の建設は、最終投資決定と米原子力規制委員会(NRC)やオハイオ州の規制当局の承認を条件に2030年に開始、2034年の運転開始を目指しており、建設から運転開始後まで数千人規模の雇用創出が見込まれている。オハイオ州・地域の行政機関や経済団体、建設業界からも、電力安定供給や地域経済の活性化、雇用拡大に寄与するプロジェクトとして期待を集めている。
01 Jul 2026
408
米国の大手電力会社コンステレーション社は6月23日、小売大手ウォルマート社と長期の電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。契約に基づき、イリノイ州で運転するドレスデン・クリーン・エネルギー・センター(旧・ドレスデン原子力発電所2-3号機、各BWR, 90万kWe級)から電力を供給する。原子力発電の大口需要が、大手IT企業やAIデータセンターにとどまらず、大規模な小売・物流産業へと広がりを見せている。電力供給規模は約17.6万kWeで、設備効率の改善を通じた出力増強分3万kWeを含む。ウォルマート社は、2029年および2030年からそれぞれ開始される2件の15年間の電力購入契約を通じて、電力を調達。これにより、ドレスデン発電所で設備効率の改善に向けた投資が可能となり、発電量の増加が見込まれる。出力増強は、新規建設と比べて短期間かつ低コストで発電容量の追加が可能な手法。ウォルマート社は、よりクリーンで安定した電力を確保し、地域の電力インフラ強化にも貢献したい考えだ。出力増強による追加電力は、イリノイ州ベルビディアで建設中の同社の最新鋭の生鮮食品物流センターに供給される。なお今回の契約は、同社にとって初の原子力PPAであり、米国では大手小売企業と原子力発電所との間で締結される先行事例でもある。ドレスデン発電所は2025年12月、米原子力規制委員会(NRC)から2号機が2049年、3号機が2051年まで、それぞれ80年間の運転認可を取得した。地域に安定した脱炭素電力を供給するとともに、1,100人以上の雇用を支えている。両社はイリノイ州に長年にわたり拠点を置いており、今回の契約を地域社会への長期的な貢献を示す取組みと位置付けている。
30 Jun 2026
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海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は6月17日、米国の原子力機器・燃料サービス企業であるBWXテクノロジー(BWXT)社が開発した小型モジュール炉(SMR)「mPower」を浮揚式原子力発電所(Floating Nuclear Power Plants: FNPP)へ搭載するための実行可能性調査(F/S)を開始したと発表した。mPowerは、電気出力約19.5万kWeの第3世代+(プラス)の一体型加圧水型炉。コアパワー社は同炉を海上に設置するFNPPに統合できるか、技術・規制・事業面から検討する。FNPPは造船所で建造され、完成後に電力需要の高い地域や送電網が未整備の地域へ曳航・配備することを想定。陸上の原子力発電所に比べて、建設リスクの低減や量産化によるコスト削減のほか、迅速な電力供給が期待されている。特に、用地確保が難しい地域やインフラ整備に長期間を要する地域への電力供給手段として注目されている。今回の調査では、両社間の技術情報の共有をはじめ、システム設計、運用コンセプトの策定、製品要件の定義、規制対応の検討、海洋用途への適用、経済性の分析などを実施する。本調査は、コアパワー社のM. ボーCEOが、2025年2月に発表した2030年代半ばまでにFNPPの市場投入をめざす米国主導の海事民生用原子力プログラム「リバティ(Liberty)」の一環。ボーCEOは、世界的な電力需要の急増に対し、従来型インフラの整備速度では対応が難しくなっていると指摘。そのうえで、市場をリードする米国が持つ原子力技術、産業基盤、海事分野の強みを活用し、FNPPの実用化を加速させたいとしている。本調査はコアパワー社の資金で実施され、今後の設計開発、規制当局との協議、事業スキームの構築、そして商業化に向けた次のステップを判断するためのベースとなる見込みである。なおコアパワー社は、デンマークのコンテナ船大手のマースク(Maersk)社、英国のロイド船級協会(LR)、オランダのロッテルダム港と共同で、原子力推進商船(コンテナ船など)の主要なEU港への寄港に関する安全性および規制上の考慮事項について調査。このほど発表された調査結果において、既存の港湾安全管理の枠組みは原子力推進商船の受入れに活用できる一方で、原子力特有の規制、安全・セキュリティ対策、緊急時対応、責任・保険制度の整備や社会的受容性の確保に向けた取組みが必要であると示された。また、国際海事機関(IMO)の現行規則は旧来の原子力船を前提としているため、将来の民間商業用原子力推進船の実用化に向けた近代化を提言している。
30 Jun 2026
454
トルコのアックユ原子力発電所1号機(ロシア製PWR=VVER-1200, 120.0万kWe)が6月22日、完成した。同機では同日より、冷態機能試験が開始された。冷態機能試験を数週間実施し、その後、温態機能試験を経て、原子炉を起動する。同1号機のスタッフは1,930人で、その40%以上がトルコ人。ロシアの国立原子力大学/モスクワ工科物理大学(MEPhI)などの専門工科大学を卒業し、現在、ロシアのシミュレーターや原子力発電所で研修や実習を受けているという。アックユ原子力発電所は、トルコで建設中の初の原子力発電所。ロシア設計の第3世代+(プラス)のVVER-1200×4基から構成される、総工費約200億ドルのプロジェクト。同プロジェクトは「BOO(建設・所有・運転)」方式を採用し、ロスアトム傘下のAKKUYU NÜKLEER社がプロジェクト実施主体である。1号機は2018年に建設許可を取得して、着工。2~4号機もそれぞれ2020、2021、2022年に着工している。全4基の運転により年間発電電力量は350億kWh、原子力シェアは約10%に達すると見込まれている。運転サイクルは18か月。原子炉の耐用年数は60年とされ、さらに20年の運転延長も可能とされている。1号機は今年末までに送電を開始する予定。当初は、トルコ建国100周年となる2023年の稼働開始を見込んでいたが、COVID-19のパンデミックや経済制裁による機器調達への影響などを受けて遅延した。トルコは2050年までに、アックユ発電所を含め、同国北部のシノップとトラキア地域で大型炉12基(計1,500万kWe)を建設し、さらに小型モジュール炉(計500万kWe)を追加導入して、原子力発電設備容量を2,000万kWeに増強することを目指している。
29 Jun 2026
564
米国で先進炉と燃料リサイクルの開発を進めているオクロ社とウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー(旧・米国濃縮公社, USEC)社は6月18日、オハイオ州南部で建設を計画する「オーロラ(Aurora)」発電所向けに、高純度低濃縮ウラン(HALEU)を供給する意向表明書(LOI)を締結した。今回の合意は、HALEU燃料確保を確実なものとし、燃料供給能力の拡大を後押しするものと期待されている。オクロ社は同州南部パイクトンにあるセントラス社の米国遠心分離プラント(ACP)に隣接する120万kWe規模を想定したクリーンエネルギーキャンパスにおいて、最大5基のオーロラ発電所を建設する計画。契約が正式化すれば、セントラス社は2029年から数年間にわたりHALEUを供給する。同発電所は大手IT企業のMeta社のデータセンター向けに電力を供給する計画である。LOIでは、オクロ社が将来供給を受けるHALEU燃料の代金の一部を前払いする仕組みも検討されている。セントラス社による生産能力拡大を資金面で後押しするとともに、オクロ社としても燃料の安定確保につなげる狙いがある。この他、セントラス社は、ACPの大規模拡張を計画しており、数十億規模の民間資本に加え、米エネルギー省(DOE)からの今後10年間にわたる9億ドルの随時受注契約を活用する方針である。オクロ社はまた、米建設大手キウィット(Kiewit)社とも協力し、設計・調達・建設計画を進める方針である。本計画全体で、数十億ドル規模の民間クリーンエネルギー投資と、南オハイオに数百の雇用をもたらすと期待されている。オクロ社は今年3月、セントラス社のパイクトン・サイトでHALEUやその他の燃料サイクル技術のための再転換サービスの共同事業の実施に向けた協議を進めることでも合意している。発電、燃料供給、建設体制の一体的整備により、先進原子力産業の商業展開の加速が期待されている。開発中の「オーロラ」は、高速炉設計を採用し、構造を簡素化することで長期間の安定運転を目指す小型炉で、金属燃料を用いる点が特徴。現在、アイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設準備が進められている。
26 Jun 2026
437
インド原子力発電公社(NPCIL)は6月18日、同社がマハラシュトラ州に所有・運転するタラプール原子力発電所(TAPS)2号機が送電を開始したことを明らかにした。NPCILは2020年7月から同2号機の大規模な改修・近代化プログラムを実施。今年5月に原子力規制委員会(AERB)から10年間の運転期間延長の承認を受けた。同1号機も同様の大規模改修を経て、2026年2月に送電を開始。両機は現役最古の商業用原子炉である。この機を捉え、インド原子力省(DAE)長官兼原子力委員会(AEC)委員長のA. K. モハンティ博士は同発電所を訪問。一次冷却材ポンプ試験施設(PCPTF)の開所式を行った。両機は、1969年10月28日に運転を開始した16万kWeの沸騰水型炉(BWR)で、運転期間は56年と商業炉としては世界最長。インド初の商用原子力発電所であり、同国唯一のBWRでもある。いずれも1963年のインドと米国間の協定に基づき、GE社とベクテル社によって建設された。なお、インドで現在稼働する他の原子炉は主に国産の加圧重水炉(PHWR)。1974年のインドの核実験実施を契機に西側が原子力技術協力を停止し、国際的な輸出規制のために原子力供給国グループ(NSG)が設置され、インドは原子力関係の資機材や技術の輸入ができなくなり、国産で賄わざるを得なくなった。今回の改修プログラムでは、重要なシステムや機器の包括的な点検、改修、交換および更新、原子炉の健全性評価のための先進的な国産技術の導入、電気システムの近代化、長期運転にむけた安全性向上のための対策が実施され、モハンティ長官は、10年間の運転期間延長はインドの規制と技術成熟度と技術的自立を象徴するものだと強調している。なおTAPSには、2005年および2006年に運転を開始したPHWR型の3-4号機(各54万kWe)がある。同サイトには、政府が掲げる「原子力エネルギーミッション」の下、バーバ原子力研究所(BARC)において開発中の実証用SMRのバーラト小型モジュール炉「BSMR-200」(PWR、20万kWe)、「SMR-55」(PWR、5.5万kWe)の先行炉が建設される予定である。
26 Jun 2026
419
仏に拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ(newcleo)社は6月17日、米国の先進原子力技術企業シャイン・テクノロジーズ(SHINE Technologies)社と米国における使用済み燃料の再処理技術の推進を目的とした提携で合意した。今回の提携により、原子力発電で発生する使用済み燃料に含まれる有用な核物質を回収・再利用し、米国でのクローズド・サイクルの構築をめざしている。今回の合意は、両社の技術プラットフォームを相互補完するもの。シャイン社は使用済み燃料からウランやプルトニウムなどの有用物質を抽出する効率的かつ核拡散抵抗性に優れた再処理技術の開発を進めており、オラノUSA社との共同開発により、2030年代初頭に年間100トンの使用済み燃料の再処理能力のある商業パイロット施設の稼動を計画している。一方、ニュークレオ社は回収された核物質を原料とするMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)の製造技術と、その利用による鉛冷却高速炉(LFR)の開発を進めており、米国市場への参入も視野にいれている。今回の提携により、シャイン社が回収した核物質をニュークレオ社の燃料サプライチェーンへ組込み、ニュークレオ社のLFRから発生する使用済み燃料を再びシャイン社が再処理するモデルを評価する。また、米政府による資金支援制度の活用や、使用済み燃料の備蓄が戦略的優先課題となっている米国および欧州連合の双方において協力の機会を共同で検討する方針である。両社は使用済み燃料の有効活用によリ、放射性廃棄物の量と長期的な環境負荷とコストを低減させ、次世代炉向け燃料の安定供給の実現に貢献したい考えだ。
24 Jun 2026
490
スウェーデンの新興原子力開発会社のノルディック・ベースロード・パワー(NBP)社は6月16日、政府に対し、マルメ郊外にあるバーセベック原子力発電所サイトに沸騰水型炉BWR-N×2基(合計約250万kWe)の建設にむけて政府承認と国家補助申請を提出した。本申請により、2025年8月に施行された新規原子力発電プロジェクト向けの国家補助制度に基づく補助申請は4件目となった。NBP社によると、BWR-N(Boiling Water Reactor – Nordic)はスウェーデンやフィンランドにおけるBWRの数十年にわたる運転実績を基盤に、実証済みの技術と最新の安全システム、デジタル監視、最新の運用要件を組み合わせた原子炉設計。両機による年間発電電力量は約200億kWhと見込まれ、スウェーデン南部における電力不足に対応する。またBWR-N向けのサイト面積は従来のBWRより大幅に小さいとされる。バーセベック・サイトには、新規建設のためにすでに承認された区画があり、許認可手続きの大幅な短縮と規制上の不確実性の軽減を見込んでいる。バーセベック原子力発電所(BWR×2基, 各60万kWe級)では1号機が1999年、2号機が2005年に閉鎖され、現在、廃止措置中である。同地域では、既存インフラやBWRの専門知識、住民理解もあり、必要な許認可が2029年までに発給されれば、初号機を2035年以前の稼働も可能と予測する。なお、NBP社からの申請を含め、政府がこれまでに受理した国家補助申請は合計4件。本制度を担当するN. ウィクマン金融市場大臣は「スウェーデンには、より安定した電力供給が必要。新規原子力発電への投資に対する関心が引き続き高いことは喜ばしい」と述べた。他の3件の申請は以下のとおり。いずれも小型モジュール炉(SMR)または先進モジュール炉(AMR)を採用している。2025年12月: 新規原子力発電プロジェクト会社ビデバーグ・クラフト社が実施。建設サイトは既存のリングハルス原子力発電所の隣接サイト。今年6月に英ロールス・ロイスSMR×3基、合計出力計約150万kWeの採用を選定。2026年6月: 先進炉開発企業であるブリカラ社が実施。建設サイトはイェヴレ市のノルスンデット。同社製AMRの鉛冷却高速炉(SEALER)×6基、計33万kWeを設置する計画。2026年6月: 原子力技術サービス企業スタズビック社が実施。建設サイトは同国南部のニショーピングおよびヴァルデマルスヴィーク。ニショーピングでは、軽水炉型SMR×2~4基、合計出力約60〜140万kWe、ヴァルデマルスヴィークでは軽水炉型SMR×4~6基、合計出力約120〜160万kWeを設置する計画。スタズビック社は最終的にいずれかを選択予定。スウェーデン国内で新規建設を希望する企業に対する国家補助は、政府融資(国家保証付き融資)と差金決済取引(Contract for Difference, CfD)の2通りで行われ、最低限の収益を保証する代わりに、過大な利益も制限する仕組み。政府融資は、新規炉の設計業務、建設、試運転、その他の準備作業を対象とし、CfDは、運転開始後の発電事業に対して適用される。政府支援には上限があり、合計約500万kWe規模、およそ大型炉4基分に相当する。申請書が政府に提出された後、財務省内の新規原子力発電資金調達事務局が審査。政府と企業が支援条件を交渉後、EUの国家補助規制との整合性が審査され、最終的に支援可否が決定される。
24 Jun 2026
552
エストニア議会(リーギコグ、一院制)は6月17日、原子力エネルギーの平和利用に向けた包括的な法制度となる「原子力エネルギー・安全法」を可決した。原子力発電所の立地選定から建設、試運転、運転、廃止措置、さらには放射性廃棄物の最終処分まで、原子力施設のライフサイクル全体を対象とした法的枠組みを定めている。同法に基づき、独立した国家原子力規制機関が消費者保護・技術監督局の下に設置され、2027年1月1日から業務を開始する予定。原子力発電所の建設にあたり、事前評価、建設許可、試運転許可、運転許可、廃止措置許可から成る段階的な許認可制度が導入される。同法では、原子力発電所の所有者および運転者が施設の安全性とライフサイクル終了時に発生する費用について全面的な責任を負うことが明記され、運転期間中に廃炉や廃棄物処分の費用を積立てる国家廃炉基金の設置も定められた。加えて、核セキュリティ、核物質防護、緊急時対応、国際的な管理措置の実施に関する基本原則も盛り込まれている。法案審議では、原子力発電所の建設には規制当局や政府だけでなく、議会承認も義務付ける修正が加えられ、その修正法案は賛成63、反対10、棄権1で可決された。なお、同法はエストニア国内で直ちに原子力発電所の建設を認めるものではなく、将来的な建設の可否については、個別案件ごとに関係機関や政府、議会による審査・承認を経る必要がある。2024年6月には、リーギコグで原子力導入支援に関する決議が採択されている。エストニアの新興エネルギー企業フェルミ・エネルギア社は2025年1月、経済通信省に対し、原子力発電所のサイト選定プロセスと環境評価の開始を申請。政府はバルト海に面する西ヴィル郡ヴィル・ニグラ自治体、ならびに東ヴィル郡リュガヌセ自治体の2か所でサイト選定プロセスを開始しており、2029年までに候補地を確定する見込みだ。同社はGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製SMRのBWRX-300×2基を導入し、合計出力60万kWeの原子力発電所を建設する計画。2029年に建設許可を申請し、2031年の建設開始、早ければ2035年までの初号機の運転開始を目指している。
23 Jun 2026
554
米エネルギー省(DOE)は6月18日、Valar Atomics社の開発した試験用マイクロ炉「Ward 250」が、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)の一環として、ゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験に成功したと発表した。試験はユタ州エメリー郡のサン・ラファエル・エネルギー研究所(USREL)で実施され、国立研究所の外でDOE認可を受けて建設された原子炉として初めて臨界を達成した事例となった。Ward 250は、2025年5月の大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された7月4日までに少なくとも3基を目標とする臨界を達成した2基目の先進炉。これに先立ち、6月4日、アンタレス・ニュークリア(Antares Nuclear)社が開発した先進マイクロ炉「Mark-0」(ナトリウムヒートパイプ冷却炉)もRPPの下で、アイダホ国立研究所(INL)のサイトでゼロ出力臨界を達成した。Valar Atomics社のI. テイラー創業者兼CEOは、9か月前には何もなかった場所に原子炉を建設し、臨界達成という目標を実現したことを強調し、今後は7月4日(独立記念日および建国250周年)までに出力運転に向けて取組みを進めると述べた。Ward 250は、ヘリウム冷却、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料利用の出力0.5万kWeのマイクロ炉。試験と評価のため、今年2月中旬に米軍機でカリフォルニア州からユタ州の空軍基地に空輸(米国史上初)され、同州USRELへ設置された。ユタ州のS. コックス知事は、Ward 250の臨界達成を受け、ユタ州は次世代の原子力技術の最前線にいることを誇りに思う、とコメントした。DOEのRPPは、革新的な先進炉の設計・実証を迅速に進めることを目的としており、その成功を踏まえてDOEは新たに「Nuclear Energy Launch Pad」を設立し、先進原子力技術の実用化と展開をさらに加速させる方針を示している。
22 Jun 2026
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韓国水力・原子力(KHNP)は6月17日、新規に建設する大型炉2基と、小型モジュール炉(SMR)1基の建設候補地として、それぞれ慶尚北道(慶北)の盈徳(ヨンドク)郡、釜山広域市の機張(キジャン)郡が選定されたことを明らかにした。外部の専門家で構成される立地選定評価委員会が同日開催した会議で決定した。今回の新規建設は、2025年2月に確定した「第11次電力需給基本計画」に基づいており、立地選定にあたり、客観的かつ公正な評価を行うため、政策・人文、環境、原子力、地質・地震などの分野の外部専門家による立地選定評価委員会が設立された。その後のすべての過程において、評価委員会が独立して基準の策定と審査を実施した。今年1月には、全国の地方自治体を対象に新規原子力発電所建設候補地の誘致公募手続きを開始。2か月間の申請期間を経て、大型炉の誘致申請をしたのは、蔚山の蔚州(ウルジュ)郡、慶北の盈徳郡の2地域、SMRは慶北の慶州(キョンジュ)市、釜山広域市の機張郡の2地域であった。誘致公募の締め切り後、評価委員会は申請地に対する用地・環境基礎調査(4~5月)、現地実地調査(5月)、住民世論調査(6月)を実施し、評価委員会が総合的に評価を行った。評価委員会は、KHNPに対し、世論調査の過程で確認された新規建設への賛成・反対の理由や改善点などの住民の意見を、今後の地域との協力策を構想する際に十分な活用するように要請した。KHNPは、2030年代初めに建設許可を取得し、2035年~2036年までに70万kWe規模のSMR×1基、2037~38年までに合計出力280万kWeの大型炉×2基の完成をめざしている。
22 Jun 2026
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ロシア国営原子力企業ロスアトムの電力部門であるロスエネルゴアトム社のA. シュティコフ社長は6月9日、2027年末までに、ベロヤルスク原子力発電所5号機(高速炉BN-1200M、122.0万kWe)を着工する計画を明らかにした。2025年4月にロシア連邦環境・技術・原子力監督庁(ロステフナゾル)が、BN-1200Mを採用した同5号機の設置許可を発給後、サイト準備作業が進行中。2026年末までに本体工事のための詳細設計文書を完成させ、2027年春には建設許可を取得したい考え。BN-1200Mは、第4世代のナトリウム冷却高速炉。同サイトでは、BN-600(60万kWe)とBN-800(88万kWe)がそれぞれ1981年、2016年から運転中である。1-2号機(軽水冷却黒鉛減速炉)は閉鎖済み。2034年にBN-1200Mの完成を予定する。運転期間は少なくとも60年で、80年まで延長される可能性がある。使用済み燃料の再処理にって派生するプルトニウムおよびウラン濃縮の副産物(劣化ウラン)から製造されるMOX燃料を使用、放射性廃棄物を減容させ、産業規模でのクローズド・サイクルの実現を目指している。
19 Jun 2026
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韓国水力・原子力(KHNP)は6月8日、チェコのドコバニ原子力発電所における増設事業に関連し、欧州委員会(EC)から6月5日にEUの外国補助金規則(Foreign Subsidies Regulation, FSR)に基づく詳細調査をしない旨の公式通知を受領したことを明らかにした。EUの外国補助金規制は、EU域外国の政府が企業に提供した財政的支援によって市場価格を下回る低価格入札を可能にするなど、EU域内市場の競争を歪めていないかどうかを審査するための制度。2024年7月、KHNPはドコバニとテメリン両原子力発電所における最大4基の増設プロジェクトの主契約者をめぐる入札で優先交渉権を獲得したが、競合先のフランス電力(EDF)は外国補助金規制の観点からECに異議申し立てを行い、ECは2025年2月から職権による予備審査を開始した。KHNPは、政府からの補助金を受けておらず、チェコの原子力プロジェクトはEUの外国補助金規則が制定される前に入札が始まっているため規制の対象外であると主張。ECの要請に応じて関連資料の提出や必要事項の説明など、予備審査手続きに協力した。その結果、ECは予備審査を完了し、詳細調査を開始しないことを決定した旨、KHNPに通知したというなお、KHNPは2025年6月、チェコのドコバニII原子力発電所(EDU II)と同発電所5-6号機としてAPR1000×2基を増設するためのエンジニアリング・調達・建設(EPC)契約を締結。6月18日、今年2月に設立され2度目となるチェコ・韓国閣僚級の共同運営委員会が開催された。同委員会では、サイトで広範な地盤工学調査が行われ、ドコバニ増設プロジェクトが予定どおり進められていることを確認。チェコの産業界の関与を含むさらなる措置や活動について議論され、チェコのエンジニアリング企業エネルゴプロジェクト・プラハ社とKHNPのパートナー企業である韓国電力技術(KEPCO E&C)社間で、発電設備の設計文書作成に向けた技術支援に関する契約が締結された。同5-6号機の着工は2029 年の予定。
19 Jun 2026
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米国船級協会(ABS)は6月5日、米マサチューセッツ工科大学(MIT)、韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)社、およびギリシャの船舶運航会社Capital Maritimeグループが共同開発した貨物船向け原子力推進システムについて、船舶への原子炉統合設計に対する基本設計承認(AiP)((認証機関が基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満足すると承認されたことを示すもの。))を発給したことを明らかにした。同システムでは、炉心で発生した熱を運ぶ媒体として特殊な合成流体を採用し、熱出力1万~2万kWのマイクロ炉の搭載を想定。炉内圧力を大気圧に近い水準に抑えることで、原子炉容器の薄肉化、軽量化を可能とし、モジュール化による製造や輸送の効率化が期待されている。今回のAiPは、MIT海事コンソーシアム(MIT Maritime Consortium)を通じて承認された初の事例。同コンソーシアムにはABS、HD KSOE、Capital Maritimeグループが創設メンバーとして参加しており、ABSは船級規則に基づき、原子炉と機械システムとのインターフェースについて評価した。MIT海事コンソーシアムは、学術界と産業界が連携し、代替燃料、新型原子力技術、データ駆動型の運航戦略、サイバーセキュリティなど、海事産業の将来を大きく左右する技術の研究開発を推進する組織。共同代表兼MIT海洋技術担当教授のT. サプシス氏は、「商船隊の近代化に向けた課題解決のため、学術界と産業界の主要プレーヤーが連携して革新技術、業界標準、政策立案を目指す独自の組織であり、今回の原子炉設計は商船への原子力推進導入に向けた協力体制から生まれた最初の具体的成果である」と指摘した。ABSのP. ライアン上級副社長兼最高技術責任者(CTO)は、「海運業界が将来に向けた新たな選択肢を模索する中、MITが開発した原子炉設計は、モジュール化製造や船舶への統合に適した特徴を備えており、安全かつ実用的な次世代商船の実現に向けた有力なアプローチの一つとなり得る技術」と評価した。ABSはこのほど、現在はディーゼルやバッテリー電気推進など従来の動力システムで運航する船舶についても、将来的な原子力推進への転換を前提とした設計であることを証明する業界初の新たな船級認証制度(Nuclear-Ready Notation)を導入した。評価項目には、原子炉設置のためのスペース確保、船体構造、機器との接続インターフェース、安全設備などが含まれる。2023年7月、国際海事機構(IMO)加盟国は、2050年頃までに国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出をネットゼロとする新たな削減目標に合意。脱炭素化を背景に原子力への関心が海運業界で高まる中、同制度により原子力という将来的な選択肢を残しつつ、今後の大規模な設計変更や改造に伴うリスクやコストの低減が期待されている。
18 Jun 2026
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スウェーデンの新規原子力発電プロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」は6月15日、ヴェーロー半島にあるリングハルス原子力発電所3-4号機(PWR、各110万kWe級)に隣接して進める新規原子力発電計画のベンダーに、英国のロールス・ロイスSMR社を選定したことを明らかにした。今後、同サイトに3基のSMR建設に向けた詳細な計画策定が進められる。ビデバーグ・クラフト社は、スウェーデン国営電力会社バッテンフォールが、ヴェーロー半島における新規建設に向けて2025年4月に設立したプロジェクト会社。同国の産業コンソーシアムであるインダストリクラフト(Industrikraft)も株主である。バッテンフォールは過去4年にわたり、当初70社以上を対象とした評価・選定プロセスを実施。最終候補は、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と英ロールス・ロイスSMR社の2社に絞り込まれ、ビデバーグ・クラフト社はGVH社製SMR「BWRX-300」であれば5基、ロールス・ロイスSMRであれば3基、合計出力約150万kWeを建設する予定としていた。そして今回、独立した第三者評価を経て、ロールス・ロイスSMRがプロジェクト成功に向けて最も優れた条件を備えているとして正式に選定された。ロールス・ロイスSMRは、リングハルス発電所で採用されているPWR技術を基盤とし、主要部品を工場でモジュール化して製造・組立てる方式を採用、現地工事の遅延リスク低減を目指している。バッテンフォールは、新規建設がスウェーデンのエネルギー供給と産業の脱炭素化を支える重要な基盤であり、40年以上ぶりとなる新規建設に向けた大きな前進であると位置付けている。計画では、出力47万kWeのSMR×3基の建設により、60年以上にわたり年間約120億kWhの電力供給が見込まれ、同国南部の電力の安定供給に貢献すると期待されている。ロールス・ロイスSMRは、英国・北ウェールズのウィルヴァ(Wylfa)で3基の建設が計画されており、英国で初めて導入される炉型を対象とした設計認証審査である包括的設計審査(GDA)の最終段階となるステップ3(詳細評価)に進んでいる。スウェーデンにおける初号機は2030年代半ばに稼働開始予定。なお、ビデバーグ・クラフト社は2025年12月、同国で同年8月に施行された新制度に基づく初の国家補助申請を行っており、政府との契約締結に向けた準備が進められている。
17 Jun 2026
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イタリア議会下院は6月4日、持続可能な原子力発電再開に向けた法令整備に関する権限を政府に委任する法案を賛成155票、反対86票、棄権8票で可決した。法案成立後12か月以内に、政府に一連の施行令を発令する権限を付与するもの。これにより法的枠組みが確立され、政府は原子力発電の段階的廃止を開始してから約40年ぶりに原子力発電再開に向けた計画策定ができるようになる。法案はすでに上院での審議に送られ、政府は早ければ夏季休会前の7月末までに法案の成立、年内の施行令の公布を見込んでいる。施行令では、持続可能な原子力発電のライフサイクル全体を網羅する包括的な制度が整備される。モジュール炉の新設計画、サイト選定、建設、運転に加え、循環型経済(circular economy)の考え方をベースに燃料製造や再処理などを盛り込んだ国家プログラムの策定のほか、既存設備の廃止措置や放射性廃棄物および使用済み燃料管理、核融合に関する研究開発やその利用も制度設計の対象。独立した原子力安全規制機関の設置など、行政体制の再編も想定している。2025年10月、イタリア閣僚評議会は、持続可能な次世代原子力技術の導入支援に向けて政府に立法措置を策定するための権限を委任する法案を最終審査で承認した。この法案は、G. メローニ首相およびG. ピケット=フラティン環境・エネルギー安全保障相の提出によるもの。持続可能な原子力発電および核融合を組み込んだ、「イタリアのエネルギーミックス」を実現することを目的としている。2050年を視野に入れた欧州の脱炭素化政策の枠組みの中で、小型モジュール炉(SMR)や先進モジュール炉(AMR)、核融合のような先進技術を再生可能エネルギー源の補完とする戦略的手段として位置付け、エネルギー供給の継続性の保証とエネルギー自立の促進、脱炭素化目標の達成、エネルギーコストの削減と国内産業の競争力の確保を目指している。イタリアでは1960年初頭から4サイトで合計4基の原子力発電所が稼働していたが、チョルノービリ原子力発電所事故後の1987年、国民投票によって既存の全発電所の閉鎖と新規建設の凍結を決定。最後に稼働していたカオルソ(BWR、88.2万kWe)とトリノ・ベルチェレッセ(PWR、27万kWe)の両発電所が1990年に閉鎖し、脱原子力を完了した。2009年になると、EU内で3番目に高い電気料金や世界最大規模の化石燃料輸入率に対処するため、原子力復活法案が議会で可決された。しかし、2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて、同じ年の世論調査では国民の9割以上が脱原子力を支持。当時のS. ベルルスコーニ首相は、政権期間内に原子力復活への道を拓くという公約の実行を断念した。
16 Jun 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は6月9日、同国東部ペンシルベニア州にあるクレーン・クリーン・エネルギー・センター(CCEC: 旧スリーマイル・アイランド(TMI)原子力発電所1号機 PWR, 88.0万kWe)の運転再開について、周辺環境に「重大な影響なし(FONSI)」とする環境アセスメント(EA)案を発表した。NRCは運転再開に関する最終決定を2027年に行う見込みであり、CCECの2027年中の運転再開が現実味を帯びてきた。同機は安価なガス火力に押されて経済性が悪化し、2034年までの運転認可を残したまま2019年に閉鎖された。所有者であるコンステレーション社は2024年9月、米マイクロソフト社とデータセンター向けの20年間の売電契約を締結。当初は2028年の運転再開を目指していたが、ペンシルベニア州を含む地域を管轄する系統運用者PJMが早期接続を承認したため、最短で2027年までに前倒しする方針を示していた。NRCは実施中のパブコメ(7月8日締切)を経て、EAを決定する。並行して、安全審査および現地検査が実施されている。TMI2号機は1979年に炉心溶融事故を起こし、現在、別所有者による廃止措置が進められている。なお、PJMの管轄地域では、データセンターの増加や電化の進展により電力需要が高まり、送電網の容量不足が顕著になっている。コンステレーション社は2027年後半にはCCECの発電は可能とする一方で、PJMは送電容量確保に必要な送電線工事の完了を待ち、CCECがフル出力で送電網接続が可能となるのは早くて2031年の可能性が高いとする調査結果を発表した。これを受け、コンステレーション社は3月31日、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)に対し、同社がペンシルベニア州フィラデルフィア郊外で同社が所有・運転するエディストーン(Eddystone)天然ガス火力発電所(76万kWe)の系統連系容量権(Capacity Interconnection Rights: CIR)をCCECへの移転を要請。6月1日、FERCが移転を承認している。
15 Jun 2026
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米X-エナジー社は6月2日、開発中の高温ガス炉「Xe-100」について、英国の包括的設計審査(GDA)を申請した。GDAは、英国で初めて導入される炉型を対象とした設計認証審査で、審査は2029年末までに完了する見込み。今回の申請は、X-エナジー社と英エネルギー企業セントリカ(Centrica)社が英国で最大600万kWe規模の導入を目指す計画の一環で、最初のプロジェクトとして同国北部のハートルプールへ12基、総出力96万kWeのXe-100発電所の建設を計画している。Xe-100は出力8万kWeの高温ガス炉。発電だけでなく産業向けに高温の熱や蒸気の利用も可能。X-エナジー社は2024年から英規制当局と事前協議を続けている。米国ではダウ・ケミカル社とともに2025年3月、テキサス州メキシコ湾沿いにあるシードリフト・サイトにおいてXe-100を採用したロング・モット(Long Mott)発電所の建設許可を申請。米原子力規制委員会(NRC)が審査中である。両国規制当局間による2025年9月の先進炉審査の迅速化に向けた合意に基づく協力体制の活用により、英国での審査効率向上が期待されている。さらに、X-エナジー社は英政府の「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund: FNEF)」による支援下で、国内製造やサプライチェーン整備などの検討を進めており、関連プロジェクトが最終的に少なくとも400億ポンドの経済効果をもたらし、そのうち最初のプロジェクトだけでも約120億ポンドに達する可能性があると想定されている。今回のGDA申請を、英国のエネルギー安全保障の強化や脱炭素化、雇用創出に向けた取組みを前進させる重要な一歩として位置づけている。
15 Jun 2026
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ウラン濃縮会社のウレンコUSA社は6月2日、米国ニューメキシコ州ユーニスにある同国唯一の商業用ウラン濃縮施設の生産能力を約50%拡張する計画を明らかにした。数十億ドルを投資し、新たに遠心分離式の濃縮プラント施設を建設、カスケード最大24基、2,100 tSWU/年の生産能力を追加する。2032年から順次稼働し、2036年までの完成をめざす。既存の濃縮プラントの生産能力は4,300tSWU/年で、米国の濃縮ウラン需要の約1/3を占める。現在、700 tSWU/年の拡張プロジェクトも進行中で、2027年に完了予定。今回の拡張計画と併せると、2030年代には生産能力が7,000 tSWU/年以上となる見込みである。米国での拡張計画は、ウレンコ社がオランダ、ドイツで所有・操業する濃縮プラントの拡張計画と併せ、合計4,600 tSWU/年を拡張するプログラムの一環。今回の計画は、米国で原子力発電の利用拡大が進む中、原子燃料の安定供給体制を強化し、海外、とりわけロシアへの依存低減を目的としている。また、既存の軽水炉向け低濃縮ウラン(LEU)だけでなく、将来の先進炉向け燃料需要にも対応できる体制を整えたい考えだ。米国では、今後拡大する原子力発電向け燃料需要やエネルギー安全保障への対応を目的に、低濃縮ウラン(LEU)の供給能力の増強など、国内燃料サプライチェーンの再構築をめざす動きが本格化している。一例として、仏オラノUSA社は50億ドルを投資し、米国テネシー州オークリッジに遠心分離方式によるウラン濃縮工場「Project IKE」の建設を計画中で、初期の生産能力は4,000 tSWU/年を見込んでいる。同社は2026年3月に米原子力規制委員会(NRC)に建設・操業認可を申請し、NRCは5月21日、これを受理。NRCは、2025年5月の「NRC改革に関する大統領令」に従い、通常より短い12か月で審査する方針を示している。なお、オラノUSA社は2025年1月、米エネルギー省(DOE)より、国内のウラン濃縮能力強化を目的とする9億ドルの助成の対象に選定されているほか、テネシー州の原子力基金からも支援を受けている。
12 Jun 2026
707
米ニューヨーク州のK. ホークル知事は6月1日、同州北部で少なくとも100万kWe規模の先進原子力発電開発計画の具体化に向け、州営ニューヨーク電力公社(NYPA)が二つの公募を開始したと発表した。一つは原子力発電所の開発・建設・運営に実績を持つ原子力発電開発事業者を対象とした資格審査(RFQ)であり、もう一つは州内の教育機関や労働組合などを対象とした原子力人材育成を目的とした助成事業への公募(RFA)である。今回の取組みは、州内での新規原子力発電の開発規模を500万kWeに拡大することをめざし、ホークル知事が2026年施政方針演説で掲げたイニシアチブ「原子力信頼性基盤」(Nuclear Reliability Backbone)の一環。現在、ニューヨーク州で稼働する約340万kWeの原子力発電設備容量と併せて将来的に合計約840万kWe規模を確保することで、電力系統の安定化や電気料金の抑制、クリーンエネルギーへの移行を実現したい考え。同州では現在、米大手電力会社コンステレーション社が3サイトで計4基の原子炉を運転している。NYPAは、2025年10月に先進原子力プロジェクトの開発事業者と潜在的なホストコミュニティを対象とした情報提供要請(RFI)を実施しており、今年1月、開発事業者候補から23件、同州北部のコミュニティから8件の回答を得たことを明らかにしている。開発事業者向けのRFQでは第3世代+(プラス)または第4世代の大型炉または小型モジュール炉(SMR)、あるいはその組合わせによって100万kWe以上の発電能力を実現できる事業者を対象としており、2033年までに建設開始できる実現可能性を重視。SMRについては、初号機(FOAK)段階は原則除外で、マイクロ炉も対象外としている。その他、技術成熟度、立地・許認可戦略、建設スケジュール、コスト見積もり、所有形態や提携モデルなどについて具体的な計画が求められている。RFQは将来的な提案依頼(RFP)に向けた事前選定の位置づけで、応募締切は6月26日。一方、人材育成向けRFAでは、今後4年間で最大4,000万ドルの資金を投入し、原子力産業を支える人材基盤の強化を図る。州内の技術系高校、コミュニティカレッジ、大学、業界団体、労働組合、地域団体などを対象に、訓練プログラム、実習、インターンシップ、就職支援など、人材育成を促進する事業への支援を行う。この取組みは、「ニューヨーク州の次世代原子力(NextGen Nuclear New York)」プログラムの一環として、将来の原子力産業を支える人材を州内で育成することを目指している。応募締切は7月31日。NYPAは2025年12月にカナダ・オンタリオ州のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)との協力を発表しており、技術革新や資金調達、人材育成などの分野で連携を進めている。今回の公募はこうした取組みを補完するものであり、ニューヨーク州における次世代原子力発電の推進に必要な専門知識と準備を強化するものと位置づけている。
11 Jun 2026
904
米エネルギー省(DOE)は6月4日、DOEの先進炉設計の開発・試験・認証の迅速化を目指した「原子炉パイロットプログラム」の一環として、原子力新興企業アンタレス・ニュークリア(Antares Nuclear)社が開発した先進マイクロ炉「Mark-0」(ナトリウムヒートパイプ冷却炉)が、アイダホ国立研究所(INL)においてゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験に成功したと発表した。今回の実証試験にはDOE、INL、BWXテクノロジー(BWXT)社に加え、将来的な利用者となる米陸軍も協力。「Mark-0」は、商用モデル「R1」マイクロ炉(電気出力100kW~1,000kW)の性能検証を目的とするもので、DOEの原子炉パイロットプログラムで進められている複数の先進炉の中で、最初に臨界達成に成功した。またMark-0は、1951年以来、INLで臨界を達成した53基目の原子炉となった。DOEは2025年8月、同年5月発令の大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」を受け、先進炉の設計試験を迅速に進めるため、DOEの管理権限の下で「原子炉パイロットプログラム」を開始した。大統領令で示された期限(2026年7月4日、独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の試験炉で臨界達成を目指す目標が示され、同プログラムには10社11件の先進炉プロジェクトが選定されており、アンタレス社はその一つである。アンタレス社は、「2026年に臨界達成、2027年に『Mark-1』でのフル出力発電実証、2028年に軍事施設への実用配備を目指す」との目標を掲げている。同社のJ. ブランブルCEOは、構想開始からわずか12か月で臨界状態の原子炉を実現したとして、先進炉の迅速な認可・実証を可能にする新たなライセンスモデルを示したと強調している。Mark-0には、軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉「プロジェクト・ペレ」向けにBWXT社が開発したTRISO燃料が使用されており、今回得られたデータはプロジェクト・ペレにも還元され、将来の軍用マイクロ炉開発に活用される予定。また、炉心物理特性や計装・制御システムの挙動などを検証し、商用炉の設計高度化に必要なデータも収集。同社によると、この経験を通じて設計・認可・建設・試験までを短期間で実施できる体制を構築し、原子炉技術だけでなく、規制対応やサプライチェーン構築の知見も大きく向上したという。C. ライトDOE長官は今回の成果について、「40年以上ぶりに米国で民間開発の非軽水炉が臨界に到達した歴史的な出来事」であり、「米国の原子力産業復活の象徴となる瞬間だ」と評価。T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「1年足らずで臨界達成は不可能だと考えられていたが、それを実現したことは原子力の未来を切り開く成果である」と述べた。DOEは今回の臨界試験について、原子炉設計の安全性と運転性能を実証するだけでなく、将来の商用炉の設計や米原子力規制委員会(NRC)の認可手続きにも役立つ重要なデータを提供すると説明している。実用化されたマイクロ炉は、地上での分散型電源だけでなく、宇宙開発や軍事施設など安定した電力供給が求められる分野での活用も期待されている。
10 Jun 2026
1063
米中西部ユタ州を拠点とするエネルギーインフラ開発会社のブルーキャッスル(Blue Castle)社とフルクラムポイント(Fulcrum Point)社は5月28日、同州東部のエメリー郡グリーンリバー市で計画されているブルーキャッスル原子力プロジェクトを合弁事業化して推進することを発表した。ブルーキャッスル社が過去19年にわたり準備を進めてきた同プロジェクトについて、今後は共同でサイト開発、米原子力規制委員会(NRC)の認可取得、建設・運転開始に向けた開発を進める計画である。今回の提携は、ユタ州が今後10年間でエネルギー生産倍増に向けて推進する、先進エネルギー政策「オペレーション・ギガワット」の一環。フルクラムポイント社の創設者C. ヘイター氏は、「ブルーキャッスル・プロジェクトを長年の基礎作業から次の実行段階へと進めるために、当社の技術、運営、プロジェクト開発能力を活用する。このプロジェクトはユタ州のエネルギー供給を強化、農村経済の成長を支援し、今後数十年にわたる電力供給が可能になる」と述べた。2007年、ブルーキャッスル社(当時はトランジション・パワー・デベロップメント社)はグリーンリバー市に原子力発電所の建設計画を提案。2014年8月には、ウェスチングハウス(WE)社製AP1000×2基の建設に向けた協力覚書(MOU)をWE社と締結し、NRCへの事前サイト許可(ESP)申請に向けた準備作業を進めていたが、計画は事実上、中止となった。グリーンリバー・サイトでは、これまでに気象および地震データの収集、地質調査、地下水モニタリング、生態学調査など、広範な技術的および環境分析が実施され、既存の水利権、鉄道や高速道路へのアクセス、送電網との接続性など、発電所立地に有利な条件を備えている。ブルーキャッスル社のA. ティルトンCEOは、「過去19年間、原子力発電導入に向けたリスク軽減の基盤を築いてきた。ユタ州および周辺地域のエネルギー需要に応え、ユタ州農村部で高レベルの雇用と経済効果を生み出していく」と抱負を述べた。同サイトでは、米ホルテック・インターナショナルが開発する小型モジュール炉(SMR)「SMR-300」(PWR, 30万kWe)の導入が想定されている。ホルテック社によると、同炉は独自の空冷式復水器(ACC)を採用できるため、水資源が乏しいユタ州のような乾燥地帯での運用が可能になるという。ホルテック社は、ユタ州北部にあるブリガムシティを基盤とした先進原子力イニシアチブにおいても、フルクラムポイント社の関連会社であるハイテクソリューションズ(Hi Tech Solutions)社と提携してSMR-300の導入を計画しており、ユタ州で拡大しつつある原子力エコシステムの構築を支援している。ユタ州には現在、原子力発電所はないが、S. コックス知事は同州のエネルギーポートフォリオの大幅な拡大を推進し、特に原子力発電に重点を置いている。5月22日には、同知事主催による「オペレーション・ギガワット・サミット」が開催され、連邦および州、エネルギー関係事業者の幹部が出席。人工知能(AI)インフラ、製造業、先端産業による米国の電力需要増に原子力が果たす役割について議論された。
10 Jun 2026
761
英ロールス・ロイスSMR社は5月27日、小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクト向けの原子炉設備(Nuclear Island)の主要機器のサプライヤーとして、チェコのシュコダ(Škoda)社と韓国の斗山エナビリティ(Doosan Enerbility)社と契約したと発表した。原子炉圧力容器などの長納期機器の供給体制を早期に構築し、欧州におけるSMR事業の展開を加速する考えだ。ロールス・ロイスSMR社は、両社について、原子炉圧力容器をはじめとする原子炉設備の主要機器を世界各地の原子力発電所に供給してきた豊富な実績を有すると評価。重要機器の製造をスムーズに始められるよう、両社が設計から製造準備までを事前に進めることで、建設スケジュールの短縮につなげる方針である。同社はまた、これまでの原子力技術に加え、モジュール化や工場製造方式(ファクトリービルト)の活用により、原子力プロジェクトの進め方そのものを革新できると強調している。同社はまず、英国・北ウェールズのウィルヴァ(Wylfa)とチェコのテメリン原子力発電所サイトの隣接地へのSMR配備を計画。これらの事業を支える大規模なサプライチェーンの構築に向け、鍛造品メーカーなど幅広いサプライヤーの確保を進め、現地調達率の最大化を目指す方針だ。さらに将来的なグローバル展開も視野に、サプライチェーンの長期的なビジネス機会の拡大につなげたい考えである。同社のR. トッド・サプライチェーン担当ディレクターは、「原子力発電所建設において最重要となる長納期品目について、戦略的パートナーシップにより製造準備を前倒しできる。これにより、プロジェクトリスクを低減し、予定どおりの納入が可能になる」と述べ、今回の契約の意義を強調した。ロールス・ロイス社は2025年6月、英国初のSMR導入を目指す英政府から優先権者に選定され、同社製SMR(PWR, 47万kWe)×3基の建設を北ウェールズのウィルヴァで計画している。また、英政府系機関Great British Energy – Nuclear(GBE-N)と今年4月、SMR導入に向けた技術設計契約を締結している。さらに同月には、チェコ電力(ČEZ)とテメリン・サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの先行作業契約(Early Works Contract: EWC)を締結。サイト固有設計や許認可準備など、初期エンジニアリング作業を進めている。
09 Jun 2026
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ウズベキスタン東部のジザク州ファリシュ地区で6月4日、ロシア国営原子力企業ロスアトムの協力により建設予定のロシア製小型モジュール炉(SMR)初号機が着工した。記念式典はウズベキスタンの建設現場とロシア・サンクトペテルブルク会場をオンラインで結んで開催。ロシアのサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに参加中の両国大統領の立会いの下、ウズベキスタン初となる原子力プラントの基礎工事となる初コンクリートが打設された。初打設では、133㎥のコンクリート混合土が流し込まれた。必要なコンクリート量の総体積は10,000㎥にのぼる。同国の産業・放射線・原子力安全委員会は6月4日、原子力庁(ウザトム, Uzatom)傘下の「原子力発電所建設総局」に対し、ロシア製SMR「RITM-200N」(PWR, 5.5万kWe)を採用した発電ユニットの建設許可を発給。それに先立ち、3月下旬にサイト許可が発給されている。当初、2024年5月の建設契約に基づき、RITM-200N×6基の建設を予定していたが、2025年9月、RITM-200N×2基ならびに大型炉VVER-1000×2基を建設する原子力発電所プロジェクトとし、同プロジェクトへの燃料供給も含めて合意された。低出力の先進炉と実績ある高出力の原子炉の両方が同サイトで稼働する。建設プロジェクトでは、資材供給、輸送などで地元の請負業者が施工に関与し、建設現場では15,000人の雇用が期待されている。全基稼働後には年間172億kWhを発電し、国内の電力需要の最大14%を賄う見込み。
08 Jun 2026
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