原子力産業新聞

メディアへの提言

  • 2025年11月19日

    発行部数の減少に歯止めかからず いよいよ新聞の危機到来か?
    二〇二五年十一月十九日 大手新聞の発行部数の減少が止まらない。いくら紙媒体に人気がないとはいえ、一定数の固定読者層は存在するのではと考えていたが、どうやらそれは幻想だったと言えそうだ。以前に「読売新聞の一強時代の到来か?」と書いたが、それも雲行きが怪しくなってきた。日本ABC協会 新聞の発行部数は「一般社団法人 日本ABC協会」の調査で分かるが、その数字は有料の会員向けには発表されているが、ネットでは見られない。新聞社がこの発行部数の調査結果をニュースにしてくれればよいが、残念ながら、ニュースを見たことはない。 このため、私のような非会員は、会員情報を基にネットで公表している個人のブログやサイ
  • 2025年11月07日

    支持率の高い高市首相の人気が持続すれば リベラル系新聞の衰退は必至
    二〇二五年十一月七日 自民党の高市早苗氏が憲政史上初の女性首相(第一〇四代)として、着々と独自の経済・外交政治を展開し始めた。高市氏が保守派だけに、今後、大手新聞の二極化(朝日・毎日と読売・産経陣営)が急激に進むことが予想される。エネルギー政策でもリベラル系新聞は高市氏に批判的だが、高市政治の人気が続けば、リベラル系新聞はますます衰退していくのではないか。驚異的な支持率71% 高市内閣が発足したのは10月21日。その二日後の10月23日付け読売新聞の朝刊一面(読売新聞社の緊急全国世論調査の記事)を見て驚いた人が多いのではないか。「高市内閣支持率 71%」という大きな見出しの数字が目に飛び込んで
  • 2025年09月29日

    「専門家の話を信じて投稿しても、賠償責任が発生する」画期的な判決をご存じですか?
    二〇二五年九月二十九日 除草剤「ラウンドアップ」(製品名)に関して、事実とは異なる誤情報をたびたび投稿した一般人に対して、東京地裁が「企業への名誉・信用棄損にあたる」として賠償金の支払いを命じた判決が7月にあった。この判決は、インターネットで飛び交う玉石混交の投稿に対して注意を呼びかける画期的な判決だが、実は、大手メディアの記者たちも、これと似た過ちを犯していた。この判決の教訓を改めて体得しておきたい。製品に関する誹謗中傷で賠償を認める判決 どんな裁判だったかを簡単に記す。化学メーカーの日産化学(東京)は除草剤「ラウンドアップ」を製造・販売しているが、この除草剤に対して、以前から「がんを起こす
  • 2025年09月05日

    新聞社の世論調査記事 どこまで信頼できるのか?
    二〇二五年九月五日 「石破茂首相は辞める必要はない」。八月下旬、こんな見出しの記事が大手新聞を中心に目立ったが、これは本当に世論の反映なのだろうか?大手新聞社は定期的に政党の支持率調査結果を記事にしているが、媒体によって大きな差が出ることが多い。なぜ、媒体ごとに差が出るのか。新聞社の世論調査には「ゆがみ」(バイアス)があることを知っておきたい。朝日新聞が一面トップで石破首相推し! ご存じのように自由民主党は、衆議院選挙(二四年秋)、東京都議選(二五年六月)、参議院選挙(二五年七月)の三つの選挙で大敗した。企業が三期連続で赤字を出せば、トップが経営責任を問われるように、自民党のトップである石破首
  • 2025年08月12日

    自民大敗 国民民主・参政党の躍進で原子力・エネルギーはどうなるか?
    二〇二五年八月十二日 七月の参議院議員選挙で自民党が大敗し、国民民主党と参政党が大きく躍進した。この結果は原子力や太陽光など再生可能エネルギー問題にどう影響するのだろうか。「原子力を最大限活用する」としていた自民党が負けたことで原子力に逆風が吹くかと思いきや、意外にも原子力には追い風が吹いたといえる。その理由は?原発賛成の政党が約七割の票を獲得 参院選で最も躍進したのは、一議席から十四議席(選挙区七人、比例区七人)に急伸した参政党だろう。その急伸ぶりを見せつけたのが比例区での得票数だ。自民党(約一二八一万票)、国民民主党(約七六二万票)に次ぎ、第三位の約七四三万票を獲得した。前回(二〇二二年の
  • 2025年07月11日

    参議院選挙の「バラマキ」合戦 エネルギーや原子力問題はどこへやら
    二〇二五年七月十一日 参議院選挙が華やかに繰り広げられている。ただ、三年前の参議院選挙ではエネルギー問題や原子力が大きな争点になっていたが、今回はその様相は全く見られない。各党とも国民の生活向上を訴えているが、そのためには電気、エネルギー、半導体、車など主要産業の確立・強化が不可欠だ。バラマキでは産業は育たない。どの党もバラマキ政策合戦 参議院選挙(七月二十日投開票)が始まってから、大手新聞やテレビをできるだけ見るようにしているが、どの党も手法は異なるものの、長引く物価高で打撃を受けている家計への支援を強調している。自民党と公明党は一人あたり二万円の給付(ただし住民税非課税世帯は一人四万円)、
  • 2025年06月27日

    原子力は「賛成か反対か」ではなく「必要かどうか」
    二〇二五年六月二十七日 スマートフォンやパソコンの利用がますます深化していくAI(人工知能)社会は、裏からみれば、ものすごい量の電力を必要とする社会だ。では、その大量の電力をどうやってまかなうか。それを考えるうえでとても分かりやすい特集解説記事を見つけた。それを読むと「原子力に反対か賛成か」ではなく、「必要かどうか」を問うことの重要性がよく分かる。須藤氏は「現実的な対応から原発は必要」 前回のコラムで、今夏の参議院議員選挙で国民民主党から立候補することになった須藤元気氏の転向(転身)を取りあげた。そこで書いたように、須藤氏は反ワクチンや反原子力を掲げていたが、今回の立候補にあたり、「自ら多くの
  • 2025年06月06日

    政治家の『失言』から備蓄米、処理水、原子力を考える
    二〇二五年六月六日 政治家の愚かな失言で政治の大転換が起こり、ガラッと政治の世界が好転する瞬間がある。今回の備蓄米失言騒動のようなケースを見ると、政治家の失言は、結果的に見れば、必ずしも悪いわけではない。大事なことは、その失言を好転させる機会を逃さないことだ。今夏、国民民主党から出馬する総合格闘家の須藤元気氏の例もそれにあたる。どういうことか解説しよう。大臣の失言が二千円の備蓄米を生んだ まずは、みなさんもご存じのように、現在、進行中の備蓄米の例が分かりやすい。江藤拓農林水産大臣(当時)は五月十八日に佐賀市で行われた講演で「私はコメを買ったことはありません。支援者の方々がたくさんコメをくださる
  • 2025年05月27日

    新聞記事の影響力は「拡散不可」でますます縮小か
    二〇二五年五月二十七日 新築戸建て住宅への太陽光パネルの設置を義務付ける東京都の改正条例が今年四月から施行された。「太陽光は環境にやさしく、電気代が節約できる」といったミスリード記事が多い中、産経新聞(四月六日付)に「再エネ賦課金 家計にずしり」と題したおもしろい記事が載った。こういう記事こそ拡散を期待したいが、大手新聞の記事はほとんど拡散しない。そこがSNSと比べた場合の最大の弱点かもしれない。再エネ賦課金の累計は二十五兆円 原子力発電への風当たりが依然として強い背景には、太陽光発電を全国くまなく拡大すれば、原子力がなくても電気エネルギーがまかなえるという幻想があるからだと、私は常々考えてい
  • 2025年05月07日

    「正しいことはすごくつまらない」にメディアは迫れるか
    二〇二五年五月七日 気候危機を煽るニュースが毎日のように流れているが、今回は「それって本当にエビデンス(科学的根拠)があるのですか」と真摯に問いかける書籍を紹介したい。世の中が熱くなっているときこそ、世間の「空気」に抗う冷静な思考が必要だ。メディア関係者や気象関係者にとっては必読のテキストといってもよいだろう。大規模停電でも地球温暖化が関係? 四月二十九日朝に放映されたテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」を見ていて、びっくり仰天した。スペインで起きた大規模停電の原因について、アナウンサーの羽鳥慎一氏が「これも地球温暖化の影響かな」と言ったのだ。そして、ゲストコメンテーターも「サイバー攻撃か
  • 2025年04月21日

    カドミウムの基準超え事件 一石四鳥の「あきたこまちR」が救世主へ!
    二〇二五年四月二十一日 四月上旬、秋田県内の農事組合法人が出荷したコメから基準値を超えるカドミウムが検出された。コメは首都圏の広範囲の店で販売され、自主回収が進む。こうした悲劇的事件を避ける救世主が、カドミウムをほとんど含まない画期的な新品種「あきたこまちR」だということを重ねて強調したい。これを大きく報じないのは、メディアの怠慢だろう。基準超えは重大な失態 秋田県が四月四日に公表したリリースによると、農事組合法人・熊谷農進(秋田県小坂町)が出荷した約八六トンのコメの一部から食品衛生法で定められた基準値〇・四ppm(ppmは百万分の一の単位。一ppm=〇・〇〇〇一%)を超える〇・四七~〇・八七
  • 2025年04月03日

    迷走する除染土問題 今こそ「課題解決型報道」の出番だ!
    二〇二五年四月三日  東京電力・福島第一原子力発電所事故で発生した除染土の再利用をめぐるニュースが目立ってきた。その中で中間貯蔵施設を抱える双葉町の伊沢史朗町長が町内で再利用を検討する考えを表明、停滞打破へ向けて大きな一石を投じた。いまこそ伊沢町長の勇気ある行動を結実させる「課題解決型報道」が必要ではないだろうか。 除染土の四分の三は放射線量が低い  福島第一原子力発電所の事故では、放射性物質が周囲の住宅地や農地などに降り積もった。その除染作業で削り取られた土と草木がいま大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設に保管されている。その総量は東京ドーム約十一杯分の約一四〇〇万立方メートル。国は二

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