キーワード:使用済燃料
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経産相と原子力事業者社長による「使用済燃料対策推進協議会」が開催
経済産業相と原子力事業者の社長らが核燃料サイクルに係る課題について話し合う「使用済燃料対策推進協議会」が5月25日に行われた。梶山弘志経産相他、資源エネルギー庁幹部が庁舎内の会議室に参集し、原子力発電所を有する11電力の社長と日本原燃社長がオンラインにて出席。〈配布資料は こちら〉核燃料サイクル確立に向けた取組の進展状況(2021年3月現在、資源エネルギー庁発表資料より引用)協議会開始に際し、梶山経産相は、「現在エネルギー基本計画の改定に向けた議論を進めているが、原子力を持続的に活用していくためには使用済燃料対策を始め、バックエンドシステムの確立が不可欠」と強調。2020年7月開催の前回協議会以降、六ヶ所再処理工場や使用済燃料乾式貯蔵施設に係る事業変更許可など、核燃料サイクル計画に具体的進展がみられていることを踏まえ、「官民の取組を一層強化していく必要がある」と述べた。これに対し、九州電力社長で電気事業連合会会長を務める池辺和弘氏は、核燃料サイクルの早期確立に向けた事業者による取組状況を説明。使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムをMOX燃料として有効利用する国の基本的方針のもと、「事業者間の連携をより一層強化し、整合的・総合的に進めていく必要がある」とした。現在、国内には貯蔵容量の約8割に相当する約1.9万トンの使用済燃料が存在し貯蔵能力の拡大に向けた取組が進められているが、池辺氏は、電事連として使用済燃料対策推進計画の改定を発表。事業者全体で「2020年代半ば頃に使用済燃料貯蔵容量の4,000トン程度の拡大、2030年頃にさらに2,000トン程度、合わせて6,000トン程度の拡大を目指す」とした。続いて、日本原燃社長の増田尚宏氏が六ヶ所再処理工場とMOX燃料加工工場のしゅん工・操業に向けた取組状況を説明。それぞれ2022年度上期、2024年度上期のしゅん工が予定されており、増田氏は、核燃料サイクル計画の中核となる施設をリードする立場から、「日本のエネルギーの一翼を担えるような将来性のある事業運営を目指す」とした上で、「計画通りのしゅん工を安全かつ確実に成し遂げる」と述べた。事業者による説明を受け、梶山経産相は、「核燃料サイクルの早期確立に向けた決意表明と受け止める。この方向に沿って積極的かつ主体的に取り組んでもらいたい」と期待。その上で、事業者が連携し、(1)再処理・MOX燃料加工工場のしゅん工・安定操業実現、(2)使用済燃料対策の最大限の取組、(3)プルサーマル計画の実現/MOX使用済燃料の再処理技術確立、(4)最終処分に関わる文献調査の地点拡大/廃炉廃棄物の処分・再利用、(5)地域振興の強化――に取り組むよう要望した。
- 26 May 2021
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米エネ省、先進的原子炉から出る使用済燃料の削減プログラムに4,000万ドル
米エネルギー省(DOE)は5月19日、次世代の先進的原子炉から排出される使用済燃料を10分の1に削減することを目指した新たなプログラムに、最大で4,000万ドルを拠出すると発表した。省内のエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)が立ち上げた「放射性廃棄物と先進的原子炉における処分システムの合理化(ONWARDS)」プログラムに対するもので、ここでは放射性廃棄物の量を減らすことによって土地や大気を清浄に保ち、信頼性の高いクリーンエネルギー供給源である原子力の活用を一層拡大する方針。先進的原子炉の研究開発が実際の建設に移行しつつあることから、核燃料サイクルの廃棄物の発生を抑える全く新しい方法を開発・適用し、処分オプションが限られるために引き起こされた現在の様々な課題に取り組むことになる。ARPA-Eは2009年にDOE内で新設された部局で、開発リスクが高すぎてDOEの他の部局や産業界で対応困難な革新的エネルギー技術の開発を専門的に支援。基礎研究よりも応用研究を対象としており、リスクが高くても大きな成果が期待できる技術に対し、通常50万ドルから1,000万ドルほど、最長3年間の資金助成を行っている。DOEのJ.グランホルム長官は、「米国における無炭素エネルギーの半分以上を原子力が供給しているため、(ONWARDSで実施する)画期的な研究を通じて原子力の持つ潜在能力を生かしたい」とコメント。その上で、「米国は技術革新を牽引する世界のリーダーであり、電力を供給しながら環境も防護するという次世代原子力技術への投資を誇りに思う」と述べた。DOEの発表によると、原子力は米国で最も信頼できるエネルギー源の一つであり、2020年には国内最大のクリーンエネルギー源として無炭素電力の52%を供給。発電量全体でも約5分の1を賄っているが、年間約2,000トン排出する使用済燃料については処分するか、安全に保管する必要があるとした。ONWARDSプログラムでARPA-Eは具体的に、革新的技術を用いた先進的原子炉を特定した上で、その使用済燃料とその他の放射性廃棄物を管理・浄化・処分する方策を改善するため、画期的な技術を開発する。これにより、建設される原子力発電所の数も将来的に拡大し、温室効果ガスの排出抑制目標も達成できるとした。使用済燃料等の発生量削減によって効果が期待できる主な技術分野として、ARPA-Eは原子燃料の利用プロセスを挙げた。廃棄物の発生量を大幅に抑えることで、本来備わっている核拡散抵抗性を増強、資源の有効活用と先進的原子炉の商業化を促進する。また、保障措置分野でセンサー技術やデータ融合技術などが改善され、核物質を正確かつタイムリーに計量することができるとしている。(参照資料:DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 24 May 2021
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規制委、玄海の使用済燃料乾式貯蔵と福島第二の廃止措置計画を認可
原子力規制委員会は4月28日の定例会合で、九州電力玄海原子力発電所の使用済燃料乾式貯蔵施設(440トン)に係る原子炉設置変更許可を決定した。2019年1月に同社より申請された本件については、2021年3月に新規制基準に「適合している」とする審査書案を取りまとめ、原子力委員会および経済産業相への意見照会に付していた。九州電力玄海原子力発電所では、3、4号機が運転中だが、使用済燃料の貯蔵能力拡大に向け、乾式貯蔵施設の計画と合わせ、3号機ではリラッキング(使用済燃料ラックセルの材質を変更し間隔を縮小することで290トンの増容量)も進められている。使用済燃料乾式貯蔵施設は、再処理工場への搬出を前提に、使用済燃料を一時的に保管するもので、最近では2020年9、11月に、それぞれ四国電力伊方発電所(500トン)、リサイクル燃料貯蔵むつ中間貯蔵施設(3,000トン)について規制委による審査が終了したところだ。また、28日の会合では、東京電力福島第二原子力発電所1~4号機の廃止措置計画認可も決定。福島第二の全4基については、2018年6月に同社小早川智明社長と内堀雅雄福島県知事との会談の中で廃炉の方向性が示され、2019年7月の正式決定後、2020年5月に規制委に対し廃止措置計画の認可が申請された。廃止措置期間は2064年度までの44年間が見込まれており、発電所内に保管されている使用済燃料(約1万体)の貯蔵・搬出については、廃止措置に着手した1、2年後を目途に乾式貯蔵施設の認可を申請、同6年後を目途に着工し、最終的には全工程が終了するまでに再処理事業者へ全量譲渡することとしている。更田豊志委員長は、サイト内全基廃炉の特性も踏まえ、使用済燃料の冷却状況に応じた乾式貯蔵施設への早期移行など、リスク低減の取組が速やかに図られる必要性を指摘した。
- 28 Apr 2021
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規制委、九州電力玄海の使用済燃料乾式貯蔵施設で審査書案を取りまとめ
原子力規制委員会は3月17日の定例会合で、九州電力玄海原子力発電所の使用済燃料乾式貯蔵施設に関し、設置許可基準に「適合している」とする審査書案を取りまとめた。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会を経て正式決定となる運び。九州電力は2019年1月、玄海原子力発電所の使用済燃料貯蔵の増強に向け、リラッキング(使用済燃料プール内のラックの材質改良と稠密化を図ることで、貯蔵容量が約1.5倍に増加)および乾式貯蔵施設設置に係る申請を規制委員会に対し行った。そのうち、リラッキングに関しては、2020年3月までに原子炉設置変更許可取得および工事計画認可に至っている。電気事業連合会が7月に発表した「使用済燃料対策への対応状況」によると、2020年3月時点で、九州電力玄海発電所の使用済燃料は、管理容量1,190トンに対し貯蔵量が1,010トンに上っている。同社では、今回審査書案取りまとめに至った乾式貯蔵施設の2027年度運用開始を目指しており、玄海発電所についてはリラッキングと合わせて730トン分の貯蔵能力増強が図られることとなる。この他、17日の規制委員会会合では、日本原子力研究開発機構の研究炉「JMTR」の廃止措置計画認可などが決定した。
- 17 Mar 2021
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電事連が新たなプルサーマル計画を発表、2030年度までに少なくとも12基
電気事業連合会は12月17日、新たなプルサーマル計画を発表。同日、電事連の池辺和弘会長(九州電力社長)が梶山弘志経済産業相を訪れ報告した。7月に行われた経産相と電気事業者他の経営トップとの意見交換会の中で、経産相より事業者側に対し核燃料サイクルに関する要請事項(使用済燃料対策、六ヶ所再処理工場のしゅん工、プルサーマルの導入、バックエンド対策)が示されていた。今回の新たな計画は、六ヶ所再処理工場やMOX燃料工場の新規制基準適合性に係る審査の進展を踏まえ、要請事項に対し電事連が示した取組状況の一つで、プルサーマル発電について、早期かつ最大限導入することを基本に、「2030年度までに少なくとも12基の原子炉」での実施を目標としている。プルサーマルのしくみ(電事連ホームページより引用、使用済MOX燃料の再処理については今後検討を進めることとなっている)プルサーマル発電は、2009年に九州電力玄海3号機で開始。電事連では「16~18基の原子炉でプルサーマルの導入を目指す」との方針を掲げているが、現在、再稼働済のプルサーマル発電炉は計4基(関西電力高浜3、4号機、四国電力伊方3号機、九州電力玄海3号機)に留まっている。新規制基準をクリアし再稼働した原子力発電プラントは現在9基。電事連が発表した新たなプルサーマル計画では、「稼働するすべての原子炉を対象に1基でも多くプルサーマルが導入できるよう検討し、プルトニウムの需給バランスの確保に最大限取り組んでいく」としている。また、電事連は、新たなプルサーマル計画の策定に際し、使用済燃料対策の拡充に向け、東京電力と日本原子力発電が設立したリサイクル燃料貯蔵(株)が建設を進めるむつ中間貯蔵施設の共同利用の検討に着手するとした。これに関し、梶山経産相は、18日の閣議後記者会見で、「新たな選択肢を検討することは、核燃料サイクルを推進する上で大きな意義がある」と述べた上で、「青森県、むつ市に対し丁寧に説明し理解してもらうことが重要」と、事業者と連携し地元の理解促進に主体的な姿勢で取り組んでいく考えを示した。
- 18 Dec 2020
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福島第一、1号機使用済燃料プールで天井クレーンなどの落下防止対策が完了
東京電力は11月26日、福島第一原子力発電所廃炉作業の進捗状況を発表した。1号機使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けては、原子炉建屋内既設の天井クレーンや燃料取扱機の落下を回避するため、これらを下部から支える支保の設置(動画リンクは燃料取扱機に関わる作業の模様)が11月24日に完了した。これにより、今後のガレキ(崩落した屋根など)撤去に際し、変形した天井クレーンや燃料取扱機の落下によるダスト飛散や燃料損傷などのリスクを低減する「ガレキ落下防止・緩和対策」が完了したこととなる。1号機の「ガレキ落下防止・緩和対策」は、2019年12月の燃料取り出しプラン選定を踏まえ、2020年3月より使用済燃料プール上の養生バッグ(エアモルタルを注入しビーチマットのように膨らませる)設置などが進められてきた。今後は、ガレキ撤去に先行し2021年度上期より原子炉建屋を覆う大型カバーの設置工事に着手。2023年度頃までに大型カバーの設置を完了し、ガレキ撤去・除染・遮蔽後、燃料取扱設備を設置した上で燃料取り出しとなる。1号機使用済燃料プールからの燃料取り出し開始は2027~28年度の予定。また、2号機の燃料デブリ取り出しに向けては、原子炉格納容器内部調査および試験的取り出しで用いるアーム型装置の導入のため、X-6ペネ(貫通孔)内堆積物の接触調査、3Dスキャン調査が10月に実施されている。今回の調査では、堆積物が固着しておらず形状が変化することなどを確認しており、これらの成果を踏まえ、今後X-6ペネ内の堆積物除去を検討していく。一方、アーム型装置は現在、英国で開発が進められているが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、モックアップ試験に入れない状況となっている。福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は、11月26日の記者会見で、今後の対応について国際廃炉研究開発機構(IRID)とも協力しながら早急に詰めていく考えを示した。
- 27 Nov 2020
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スウェーデンの自治体、使用済燃料処分場の受け入れを改めて表明
スウェーデンの原子力発電所から出る使用済燃料について、最終処分場の建設が予定されているエストハンマルの自治体は10月13日、議会で実施した票決により同処分場の立地と建設を受け入れると改めて表明した。同処分システムの一部となる集中中間貯蔵施設とその中の使用済燃料をキャニスターに封入する施設(CLINK)の建設についても、サイトとなるオスカーシャムの自治体が2018年6月に同様の票決を実施。建設承認を表明済みであり、後はスウェーデン政府による建設許可発給の最終判断を待つのみとなった。スウェーデンでは地下500mの結晶質岩盤に使用済燃料を直接処分することになっており、放射性廃棄物処分事業の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)は2009年6月、最終処分場の建設でフィージビリティ調査を実施した自治体の中から、エストハンマルにあるフォルスマルク原子力発電所の近接エリアを建設サイト候補に決定。2011年3月には、同処分場を立地・建設するための許可申請書を放射線安全庁(SSM)等に提出した。SSMが原子力法に照らしてこの申請の安全面や放射線防護面を審査する一方、国土環境裁判所は環境法に照らして環境影響面の審査を実施。SSMは2018年1月、処分場の建設許可を発給するようスウェーデン政府に勧告する最終見解を表明していた。エストハンマル自治体の今回の票決は環境法に規定された拒否権の行使に関するもので、政府がこの種の施設の建設で許可を発給する前に、自治体は拒否権を行使する可能性について確認することになっている。13日の票決では、エストハンマルの自治体議員のうち38名が建設を支持する一方、7名が反対、3名が棄権していた。同自治体は1995年にフィージビリティ調査を受け入れて以降、25年以上にわたって建設サイトの選定プロセスに積極的に参加しており、処分場の立地にともなう社会的影響や処分技術の開発動向など幅広い分野の学習を続けている。同自治体が処分場建設に同意したことについてSKBは、「歴史的な決定であり、政府からは出来るだけ早急に回答を受け取りたい」と表明。処分場建設に向けた政府の判断は、スウェーデンの環境保全上最も重要かつ最大規模のプロジェクトの出発点となり、約190億クローナ(約2,250億円)の投資をもたらすとともに約1,500名分の雇用機会が創出されるとしている。(参照資料:エストハンマル自治体(スウェーデン語)、SKBの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 16 Oct 2020
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スウェーデン規制当局、使用済燃料中間貯蔵施設と低中レベル廃棄物処分場の安全な操業継続を保証
スウェーデン放射線安全庁(SSM)は9月21日、使用済燃料の集中中間貯蔵施設(CLAB)と低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)を操業するスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)について、「2028年までこれらの施設を安全に操業することが可能である」との見解を表明した。オスカーシャムにあるCLABとフォルスマルクにあるSFRの安全・放射線防護に関する包括的評価は、スウェーデン国内の他の原子力施設と同様、少なくとも10年に一度の実施が事業者に義務付けられている。SSMは、両施設についてSKBが2018年9月に提出した最新の包括的評価報告書を審査した結果、原子力活動法の要件を概ね満たしていると評価。報告書の書類手続上いくつか不十分な点も見受けられたが、放射線安全上の重要度は低いとした。SKBにはこれらの点を改善し、両施設の安全性を維持・向上させる能力があるので、SSMは次回の評価が行われる2028年までに同社はそれを実施すべきであると指摘。SSMによれば、同社は現時点でもそのための合理的かつ適切な対策を「アクション計画」として日々の操業に盛り込んでおり、報告書も体系的かつ自己批判的にまとめられている。これらのことからSSMは、今後も同社が関連要件を満たし続けられると判断したもの。スウェーデンでは、稼働中の原子力発電所から出る使用済燃料を地下500mの結晶質岩盤に直接、最終処分することになっている。このため処分事業者のSKBは2006年11月、CLABの隣接区域で使用済燃料をキャニスターに封入するプラントの建設許可申請書を、2011年3月にはエストハンマルにあるフォルスマルク原子力発電所の近接エリアで、使用済燃料最終処分場を立地・建設するための許可申請書をSSM等に提出した。1985年から操業中のCLABは、最終処分場が完成するまでの間、最大で8,000トンの使用済燃料を貯蔵することが可能。この容量のうち約7,300トン分がすでに埋まっており、SKBは2015年に貯蔵容量を11,000トンに引き上げるための申請を行っている。なおSSMは2018年1月、使用済燃料の封入プラントと最終処分場、2つの施設の建設許可申請について、許可の発給を促す最終勧告をスウェーデン政府に対して行ったが、政府としての結論はまだ出ていない。(参照資料:SSM(スウェーデン語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 23 Sep 2020
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規制委、四国電力伊方発電所の乾式貯蔵施設で設置変更許可を決定
原子力規制委員会は、9月16日の定例会合で、四国電力伊方発電所の使用済燃料貯蔵対策となる乾式貯蔵施設(=図、四国電力発表資料より引用)の敷地内設置に関し、原子炉等規制法に基づき設置変更許可を発出することを決定した。伊方発電所で発生した使用済燃料を六ヶ所再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に貯蔵するもの。同施設の審査は2018年5月に規制委員会に申請された。2020年6月に、乾式貯蔵施設の設置では初のケースとして原子炉等規制法に定める基準に「適合している」とする審査書案の了承となり、原子力委員会および経済産業相への意見照会、パブリックコメントが行われていた。伊方発電所では3号機が稼働中だが、使用済燃料貯蔵容量1,080トンに対し乾式貯蔵施設により貯蔵容量が500トン増強(審査申請時)。使用済燃料を収納する乾式キャスクは、4つの安全機能(閉じ込め、臨界防止、遮蔽、除熱)を有し、使用済燃料を輸送容器に詰め替えることなく発電所外へ搬出できる。2024年度の運用開始を目指す。電力各社では、使用済燃料の貯蔵対策に取り組んでおり、九州電力玄海原子力発電所については、2020年3月にリラッキング(プール内の使用済燃料ラックセルの間隔を狭めることにより貯蔵能力を増強)の工事計画が規制委員会より認可された。乾式貯蔵施設の敷地内設置も、玄海原子力発電所(440トン)、中部電力浜岡原子力発電所(400トン)の審査が進められている。9月2日には、東京電力と日本原子力発電によるリサイクル燃料貯蔵「むつ中間貯蔵施設」(3,000トン)について、新規制基準適合性に係る審査書案が取りまとめられたところだ。
- 16 Sep 2020
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規制委、むつ中間貯蔵施設の審査書案了承
原子力規制委員会は9月2日の定例会合で、リサイクル燃料備蓄センターが新規制基準に「適合している」とする審査書案を了承した。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会、パブリックコメントを経て正式決定となる運び。同施設は、東京電力と日本原子力発電の原子力発電所から発生する使用済燃料を、再処理工場へ運び出すまでの間、専用の鋼鉄製容器(金属キャスク)で安全に貯蔵・管理するもの。いわゆる中間貯蔵施設で、両社が青森県むつ市に設立したリサイクル燃料貯蔵(株)により、2010年に工事が開始され、2013年に燃料貯蔵建屋3,000トン分(最大貯蔵能力:金属キャスク288基)が完成。その後、新規制基準への適合性確認のため、2014年1月に審査の申請がなされ、およそ6年半を経て審査書案の取りまとめに至った。審査では、外部事象に関して、事業者が施設近傍の活断層「横浜断層」(15.4km)を震源とする地震動や、敷地付近の最大津波高さで青森県想定の11.5mに対し大きく保守性を持たせた23mの「仮想的大規模津波」を設定・評価しており、これらを踏まえた設計方針についても妥当性を確認したとしている。また、金属キャスクの臨界防止、遮蔽、閉じ込め、除熱などの機能が基準に適合するものと判断。会合終了後の記者会見で、更田豊志委員長は、「ずいぶん時間がかかった」と、審査の所感を語った。また、同施設の運用開始後に関し「出ていく先がないままキャスクの許容年数が近付く」ことに不安を示し、バックエンド対策全般について長期的視点でとらえておく必要性を強調した。核燃料サイクル施設では、7月29日に日本原燃の六ヶ所再処理工場が、8月26日に同高レベル放射性廃棄物管理施設が、それぞれ新規制基準適合性審査を経て、原子炉等規制法に基づき同社に変更許可が発出されている。同MOX燃料加工工場の審査についても、更田委員長は、「大きな論点はもうない」と述べ、審査書案取りまとめの段階に入りつつあることを示唆した。
- 03 Sep 2020
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ロスアトム社、シベリア化学コンビナートでレミックス燃料集合体の製造へ
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は8月26日、トムスク州セベルスクにあるシベリア化学コンビナート(SCC)で、100万kW級のロシア型PWR「VVER-1000」に装荷するレミックス(REMIX)燃料集合体の製造ラインを2023年に完成させる計画を明らかにした。レミックス燃料(=写真)は、使用済燃料からウランとプルトニウムの混合物を分離せずに回収し、最大17%の濃縮ウランを加えて製造する軽水炉用の原子燃料。ロスアトム社によると、同燃料は高速炉用のウラン・プルトニウムの混合窒化物(MNUP)燃料や混合酸化物(MOX)燃料と異なり、プルトニウムの含有量が最大で1.5%と小さい。一方、中性子スペクトルが一般的な軽水炉燃料とあまり変わらず、燃料集合体の炉内挙動が似ていることから、軽水炉への導入にあたって設計変更や追加の安全対策が不要である。このため同燃料は、軽水炉でのプルトニウム・リサイクルにより、使用済燃料の貯蔵量削減やウラン燃料の節約に寄与すると期待されている。ロスアトム社はこれを、ロシア国内で稼働する主力設計炉「VVER-1000」の全炉心に装荷することを検討している。今回、同社の投資委員会がSCCで試験用燃料製造の現場を近代化するプロジェクトを承認したことから、レミックス燃料棒が組み込まれた「TVS-2M」モデルの燃料バンドルとVVER-1000用燃料棒を組み合わせる新しい燃料集合体製造ラインの設置が可能になったもの。同ラインが設置されるSCCはロスアトム社の燃料製造部門であるTVEL社の子会社で、プルトニウム取扱専門技術をもつ中心的機関。MNUP燃料の試験集合体をベロヤルスク原子力発電所の3号機(60万kW級FBRの「BN-600」)用に製造しているが、レミックス燃料の製造ではクラスノヤルスク州ゼレズノゴルスクにある鉱山化学コンビナート(MCC)が燃料ペレットの生産等で協力する。ロスアトム社は2016年以降、6本のレミックス燃料棒を含む「TVS-2M」燃料集合体を3体、バラコボ原子力発電所3号機に装荷して、パイロット運転プログラムを実行中。今年は同炉で3回目の18か月サイクル運転が始まっているが、少量の試験用レミックス燃料棒による2サイクルの運転が成功裏に完了したことから、同社は次のステップとして、レミックス燃料集合体を原子炉にフル装荷することを検討している。こうしたことからSCCの燃料集合体製造ラインは、パイロット運転プログラムの燃料バンドル(束)に必要な量の製造規模になる模様。今のところ同燃料技術は試験の第一段階にあるが、ロスアトム社はパイロット運転の結果次第では、将来的にレミックス燃料を連続生産する産業規模の施設建設も可能になるとしている。(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 27 Aug 2020
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経産相と電力会社社長らが意見交換、コンプライアンス徹底や使用済燃料対策など
梶山弘志経済産業相と電気事業連合会加盟各社社長らとの意見交換会が7月2日に行われ、電事連からは、関西電力の金品受領問題を受けた業界全体でのコンプライアンス徹底や、昨秋の大型台風襲来に伴う長期停電を踏まえた電力インフラのレジリエンス強化の取組について報告があった。今回の意見交換会は、使用済燃料対策推進協議会との併催となり、日本原子力発電、電源開発、日本原燃の各社社長も出席。同協議会は、現行のエネルギー基本計画が策定された2018年以来の開催で、電事連は引き続き、各事業者の連携を一層強化し、使用済燃料対策推進計画(2030年頃までに使用済燃料貯蔵容量の6,000トン程度の拡大)の実現、六ヶ所再処理工場とMOX燃料加工工場の早期竣工、プルサーマルの推進、高レベル放射性廃棄物最終処分や廃炉に伴う解体廃棄物への対応、地元の理解・地域振興に努めていくとした。その中で、プルサーマルに関しては、事業者間の連携・協力による、国内外のプルトニウム利用の推進と保有量の管理について検討を進めるとしている。原子力委員会は2018年に「プルトニウムを減少させる」ことを明記した「わが国におけるプルトニウム利用の基本的考え方」を策定。日本のプルトニウム保有量は国内保管分より海外保管分が多く、「事業者間の連携・協力を促すこと等により、海外保有分のプルトニウムの着実な削減に取り組む」としている。一方、電事連によると、現在までにプルサーマル発電で再稼働した四国電力伊方3号機、九州電力玄海3号機、関西電力高浜3、4号機のうち、伊方3号機で1月に商業炉として初めて使用済MOX燃料の取り出しが行われた。使用済MOX燃料の処理・処分の方策については、エネルギー基本計画で、その発生状況や保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向を踏まえながら研究開発に取り組むとしており、経済産業省は今回、事業者に示した要望事項の中で、技術開発面での協力、具体的な貯蔵・運搬方法の検討を求めた。今回の意見交換会に先立ち、梶山経済産業相は6月30日と7月1日、青森県を訪れ、三村申吾知事ら、地元首長との会談に臨んだほか、日本原燃六ヶ所再処理工場、リサイクル燃料貯蔵(使用済燃料中間貯蔵施設)、東北電力東通原子力発電所を視察した。
- 03 Jul 2020
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規制委、伊方発電所の使用済燃料乾式貯蔵で審査書案を了承
原子力規制委員会は6月24日の定例会で、四国電力伊方発電所における使用済燃料乾式貯蔵施設の設置について、原子炉等規制法で定める許可基準に「適合している」とする審査書案を了承した。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会、パブリックコメントを経て正式決定となる運び。乾式貯蔵施設の設置に係る審査書案了承は同委として初のケース。同施設は、伊方発電所で発生した使用済燃料を再処理工場へ搬出するまでの間一時的に貯蔵するもので、輸送・貯蔵兼用の使用済燃料貯蔵容器(乾式キャスク、高さ5.2m、直径2.6m)45基分の貯蔵容量を持つ。輸送・貯蔵兼用の乾式キャスクは、4つの安全機能(閉じ込め機能、臨界防止機能、遮蔽機能、除熱機能)を有し、使用済燃料を別の輸送容器に詰め替えることなく発電所外へと搬出できる。四国電力では乾式貯蔵施設を2023年度より運用開始する予定。原子力発電所を有する電力各社では、使用済燃料の貯蔵能力拡大に取り組んでおり、その一つとなる発電所敷地内の乾式貯蔵の審査は、2018年5月に申請された伊方発電所の他、九州電力玄海原子力発電所、中部電力浜岡原子力発電所について進行中。資源エネルギー庁が同年12月に発表した資料によると、乾式貯蔵施設を設置することで、使用済燃料貯蔵の余裕年数(同一サイト内で廃炉を除く全プラントの一斉稼働を仮定)が、伊方では11年から36年、玄海では3年から10年、浜岡では2年から8年へとそれぞれ延長すると試算されている。規制委員会の更田豊志委員長は、定例会終了後の記者会見で、東日本大震災に見舞われた福島第一原子力発電所内の乾式貯蔵施設について触れ、「あれだけの地震・津波にもかかわらず燃料に対する影響はまったくなかった」ことから、一定の冷却が進んだ使用済燃料は再処理までの間乾式貯蔵されることを改めて推奨した。
- 24 Jun 2020
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ウクライナ、3発電所の使用済燃料の集中中間貯蔵施設を9月末までに完成へ
ウクライナの民生用原子力発電公社であるエネルゴアトム社は5月18日、国内で稼働する3つの原子力発電所の使用済燃料を集中的に中間貯蔵する施設(CSFSF)について、すべての建設工事と機器の設置作業を9月末までに完了すると発表した。当初計画より約半年遅れと見られているが、同社はこれにより、年内にもCSFSFで最初の使用済燃料の受入れを目指す方針である。同国では、閉鎖済みのチェルノブイリ原子力発電所と稼働中のザポロジエ原子力発電所でそれぞれ、専用の使用済燃料中間貯蔵施設を建設中あるいは使用中。残りのロブノ、南ウクライナ、フメルニツキの3原子力発電所については、チェルノブイリ発電所の南東に位置する「立ち入り禁止区域」内で使用済燃料を乾式貯蔵することになっている。エネルゴアトム社は2005年に米国のホルテック・インターナショナル社とCSFSFの建設契約を交わしたが、 政治情勢の変化などを含むいくつか理由により、作業は長期にわたって凍結された。両社は2014年6月に改めて修正契約に調印しており、現地で実際の建設工事が始まったのは2017年11月のことである。CSFSFではホルテック社製のHI-STORMキャニスター458台に使用済核燃料集合体を16,529体貯蔵することが可能であり、2重のバリア・システムによってこれを100年間、周辺環境から安全に隔離。3つの原子力発電所の使用済燃料はこれまで、年間最大2億ドルを支払ってロシアに移送・再処理していたが、CSFSFが操業開始することでエネルゴアトム社はその年に最大1億ドル、その後は年間で最大1億4,000万ドルを節約できるとしている。同社の今回の方針は、今月15日に「立ち入り禁止区域」で現場会合を開催した後、P.コティン総裁代理が同社の関係部門や契約企業に対して表明したもの。作業ペースを上げるため、同総裁代理は機器や重要システムの設置作業を引き続き監督するシステムの導入を決めた。また、現場会合では使用済燃料の輸送に使う現地の廃線鉄道区間の早急な復旧を求める意見が出されたが、政府のロードマップどおりに復旧を進めるには樹木の伐採経費等を調達する必要があり、使用済燃料がCSFSFに到達するまでの輸送関係経費をウクライナの契約企業の一つがすべて負担することになった。さらに現地では、4月に発生した火災や3月に新型コロナウイルス対策で都市封鎖が行われたことにより作業ペースが鈍化。エネルゴアトム社が建設工事の完了とCSFSFの操業開始を目指して作業員の数を徐々に増強する一方、3つの原子力発電所ではすでに、使用済燃料をCSFSFに移送する準備を開始している。(参照資料:エネルゴアトム社の発表資料(ロシア語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 22 May 2020
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米規制委、使用済燃料の中間貯蔵施設建設計画について環境影響声明書案を発行
米原子力規制委員会(NRC)は5月6日、中間貯蔵パートナーズ(ISP: Interim Storage Partners)社がテキサス州アンドリュース郡で建設・操業を提案している使用済燃料の集中中間貯蔵施設(CISF)について、「サイト周辺の自然環境などに悪影響が及ぶ可能性は認められない」と結論づけた環境影響声明書(EIS)の案文を4日付けで発行、120日間のパブリック・コメントに付したと発表した。NRCスタッフは今後、提出されたコメントを十分考慮した上でEIS最終版を2021年5月にとりまとめる予定。また、同時並行的に実施している安全・セキュリティ面の分析評価に関しても、同じ時期に結果報告書(SER)を公表するとしており、NRCの委員はこれらの文書に基づいてCISFの建設と操業について最終的な可否を判断することになる。ISP社は、米国のウェイスト・コントロール・スペシャリスツ(WCS)社と仏国オラノ社の米国法人が2018年3月に立ち上げた合弁事業体(JV)。同社のCISFは、米エネルギー省(DOE)が2010年にネバダ州ユッカマウンテンで使用済燃料最終処分場の建設プロジェクトを中止した後、中間貯蔵対策として民間で計画されている2つの集中中間貯蔵施設構想の1つである。CISFでは差し当たり第1フェーズで約5,000トンの使用済燃料を貯蔵するが、最後の第8フェーズで合計4万トンまで貯蔵可能となるよう設備を拡張していく。完成すれば、米国全土の商業用原子力発電所から使用済燃料入りのキャニスターを鉄道で同施設まで輸送するとしており、WCS社は2016年4月に同施設を建設・操業するためのライセンス審査申請書をNRCに提出。その後オラノ社とのJV設立を経て、2018年6月に同JVが改めて申請書を提出していた。EIS案文を作成するにあたり、NRCはCISFの建設・操業から使用済燃料の輸送、最終的な廃止措置に至る全段階の環境影響を評価。対象分野はサイトの土壌や地層、表層水と地下水、動植物や史跡/文化財、マイノリティへの配慮など多岐にわたった。また、新型コロナウイルス感染にともなう緊急事態を考慮し、NRCはEIS案文に対するコメントの提出期間を当初計画よりも延長した。この期間中に、アンドリュース郡周辺で複数回の公聴会やWEB上のセミナーも開催する予定で、その際、予備的調査の結果や提出されたコメント等を紹介する。ただし、新型コロナウイルスによる緊急事態の状況に応じて、国民が関わるプランについては今後も継続的に再評価を行うとしている。(参照資料:NRCとISP社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 11 May 2020
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米規制委、ホルテック社の集中中間貯蔵施設の建設計画審査で「環境影響面の問題なし」と報告
米国のホルテック・インターナショナル社がニューメキシコ(NM)州南東部で進めている使用済燃料集中中間貯蔵(CIS)施設の建設・操業計画について、米原子力規制委員会(NRC)は3月10日、同施設が周辺住民や環境に及ぼす影響に問題なしと同委スタッフが結論付けた「環境影響表明書(EIS)」の案文を公表し、パブリック・コメントに付した。NRCは同社が2017年3月末に提出した建設許可申請書を約1年後に正式に受理し、技術的な評価審査を実施中。同審査は安全・セキュリティ面と環境影響面の両方について詳細に行われており、EIS案に関しては連邦官報に掲載後、60日にわたって一般からコメントを募集する。NRCはこの間、同案について複数回の公聴会を同州内で開催予定で、収集したコメントを検討した上でEISの最終版を作成、2021年3月に公表することになっている。これと並行して、安全・セキュリティ面の技術評価結果をまとめた「安全性評価報告書(SER)」最終版も同じく2021年3月の公表が予定されており、最終的に実施許可を発給するか否かの判断がこれらに続いて下される。米国では1982年放射性廃棄物政策法に従って、エネルギー省(DOE)が1998年1月から全米の原子力発電所の使用済燃料の引き取りを開始し、深地層処分することになっていた。しかし、2009年にB.オバマ政権がネバダ州ユッカマウンテンにおける最終処分場建設計画を打ち切った後、2012年に政府の有識者(ブルーリボン)委員会は「地元の合意ベースで最終処分場の立地を進めつつ、複数のCIS施設の建設」を政府に勧告。DOEは翌2013年、(1)中間貯蔵パイロット施設の操業を2021年までに開始し、(2)規模の大きい中間貯蔵施設を2025年までに利用可能にする、これらに続いて(3)最終処分場を2048年までに利用可能にする――などの管理処分戦略を公表していた。ホルテック社の計画は、NM州エディ郡と同郡内のカールズバッド市、およびその東側に隣接するリー郡と同郡内のホッブス市が設立した有限責任会社「エディ・リー・エネルギー同盟(ELEA)」と結んだ協力覚書に基づき、ELEAがリー郡で共同保有する敷地内でホルテック社が同社製の乾式貯蔵システム「HI-STORM UMAX」を建設・操業するというもの。操業は当初、約8,680トンの使用済燃料を封入した専用の銅製キャニスター500個を地下施設に貯蔵するが、最終的にこの数は1万個に達する見通し。これらのキャニスターは、全米の閉鎖済みないしは廃止措置中の原子力発電所から鉄道で輸送することになる。NRCのEISでは、対象施設の建設から廃止措置までプロジェクト全体の環境影響を評価。具体的には、土地の利用や使用済燃料の輸送、地層と土壌、地表水、湿地帯、地下水、生態学的資源、歴史的文化的資源、環境正義等の側面について評価を行ったとしている。NRCはこのほか、米国のウェイスト・コントロール・スペシャリスツ(WCS)社が仏オラノ社との合弁企業「中間貯蔵パートナー(ISP)社」を通じてテキサス州アンドリュース郡で進めているCISの建設計画についても、2018年8月に改定版の建設許可申請書を受理。ホルテック社のCIS計画と同様に申請書審査を実施中である。(参照資料:NRCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 16 Mar 2020
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更田規制委員長、六ヶ所再処理工場他の「審査書案」取りまとめ見通しを述べる
原子力規制委員会の更田豊志委員長は、2月19日の定例記者会見で、大詰めを迎えている日本原燃の六ヶ所再処理工場などの新規制基準適合性審査の状況について質疑に応じた。六ヶ所再処理工場については、記者より18日に行われたプラントに関する審査会合で「概ね議論が終了した」として、「審査書案」取りまとめの見通しを問われると、更田委員長は、現状で示すことは「時期尚早」と述べた。六ヶ所再処理工場の審査は2014年1月の申請から6年が経過。日本原燃の増田尚宏社長は、同31日の記者会見で、最終の申請書類について「これまでの審査会合における指摘事項を反映し、早期に提出できるよう作業を進めている」としている。2月21日には地震・津波関連の審査会合が行われる予定。また、更田委員長は、同じく申請から6年が経過した使用済み燃料貯蔵施設の審査に関し、記者から「17日の審査会合でプラントに関する議論が実質終了した」として、「審査書案」の取りまとめ時期を問われたが見通しは示さなかった。審査が長期化した理由について、耐津波設計に関する論点で、「駄目出しは早めに出すべきだった」と、規制側としての反省点も明言。11月に「審査書案」が取りまとめられた東北電力女川2号機については、「パブリックコメントの取りまとめ結果を見せてもらってはいる。それほど長くかからない時期に委員会に報告されるだろう」と述べ、年度内にも同案件に関わる原子炉設置変更許可の発出となる見込みを示唆した。
- 20 Feb 2020
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