キーワード:使用済燃料
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新潟県 花角知事 柏崎刈羽6号機の安全対策の徹底など要望
新潟県の花角英世知事は6月9日、経済産業省を訪問し、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策の徹底と実効性ある原子力防災対策の構築などを求める要望書を、赤沢亮正経済産業大臣へ手交した。同要望は、新潟県が国に提出している2026年度の「政府に対する新潟県の要望」の一環。花角知事は冒頭、昨年12月に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働同意の前提として国へ要請した7項目について改めて対応を求めた。要望書では、約14年ぶりに営業運転を再開した柏崎刈羽6号機の安全対策や原子力防災への県民理解は依然十分ではないと指摘。東京電力の信頼性確保や安全対策の徹底、防災対策の実効性の向上に向け、国の責任下で着実に対応するよう求めた。具体的には、原子力発電の必要性や安全性に関する分かりやすい情報発信の継続、安全性向上に向けた不断の取組み、避難計画の実効性向上などを要請。また、避難路の整備促進や除排雪体制の強化、屋内退避施設の整備促進など、原子力災害と自然災害の複合災害を見据えた防災インフラ整備の加速も求めた。そして、使用済み燃料対策や風評被害対策、原子力発電所への武力攻撃対策など県民の関心が高い課題についても、国が責任を持って取り組むよう要望。東京電力に設置された「監視強化チーム」についても、実効性ある運用と活動状況の周知を求めた。また、今年4月に「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」において、立地地域の指定範囲がUPZの市町村(柏崎市、刈羽村、長岡市、小千谷市、十日町市、見附市、燕市、上越市、出雲崎町)に拡大された一方で、財政上の特例措置が適用される特定事業の対象は未だ限定的であると指摘し、対象事業の拡充や財源確保を要請した。さらに、近年の豪雨災害の激甚化や複合災害リスクの高まりを踏まえ、防災・減災対策に加え、地域振興や産業基盤整備に対する支援の強化を求めた。これに対し赤沢大臣は、新潟県から示された7項目の要望を重く受け止め、関係省庁と連携しながら対応を進めていると説明。柏崎刈羽原子力発電所に関しては、政府の監視強化チームを通じて東京電力の取組状況を確認するとともに、地域への丁寧な説明を続ける考えを表明。あわせて、立地地域振興や避難路整備についても、関係省庁と連携しながら着実に進める方針を示した。さらに、自身が4月に柏崎刈羽原子力発電所を視察したことに触れ、「緊張感を持った訓練や高いレベルのセキュリティ対策を確認できた。原子力発電は安全確保と地域理解が大前提だ」と述べ、東京電力に対して継続的な信頼向上の取組みを求めた。
- 12 Jun 2026
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大飯1-2号機の廃止措置 放射性廃棄物が大幅減
関西電力は4月20日、大飯発電所1、2号機(PWR、117.5万kWe×2基)の廃止措置計画の変更認可を原子力規制委員会に申請。低レベル廃棄物の推定発生量が大幅減となった。同1、2号機の廃止措置は2019年度に開始され、2048年度までの約30年で完了する計画。現在は廃止措置の第1段階(解体準備)の終盤にあたり、2027年度以降に第2段階の原子炉周辺設備の解体撤去が本格化する見通しだ。今回の変更認可申請は、第1段階の進捗や、これまでに実施した残存放射能調査の結果を踏まえ、今後の工程や廃棄物処理の見直しを行うもの。残存放射能調査とは、原子炉の運転に伴い施設内に残る放射性物質の分布や量を把握するもので、汚染状況の評価や、管理区域内設備の解体撤去工法、放射性廃棄物の処理方法の検討に活用されている。今後、関西電力は2038年度以降に第3段階(原子炉領域の解体)、2045年度以降に第4段階(建屋等の解体撤去)へと移行する計画。また、使用済み燃料については、1、2号機の使用済み燃料ピットに貯蔵されている分を2037年度までに搬出する方針としている。そして、今回の変更認可申請で注目されるのが、廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物の推定発生量の変化だ。前述の残存放射能調査結果等を踏まえた放射性固体廃棄物の推定発生量の見直しを実施したところ、放射性物質として扱う必要のない「クリアランス」の推定発生量が、当初推定の約1.3万トンから約3.9万トンへと大幅に増加し、約3倍に拡大する見通しとなった。それに伴い、低レベル放射性廃棄物についても内訳に変化がみられ、放射能レベルの極めて低い区分(L3)は当初の申請量よりも大幅に減少する見込み。一方で放射能レベルの比較的低い区分(L2)は増加する予想に変更されたが、全体としては、低レベル放射性廃棄物の総量の推定発生量は減少した。今回の変更申請では他にも、使用済み燃料ピット水(使用済み燃料プールの水)の冷却が不要となることに伴い、使用済み燃料貯蔵設備の機能について、従来の冷却・浄化機能から浄化機能のみに変更。また、非常用ディーゼル発電機や燃料取替用水タンクについては、廃止措置計画における性能維持施設から削除するなど、設備の合理化が図られることとなった。
- 21 Apr 2026
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福井県立地自治体 経産省へ要望
福井県原子力発電所所在市町協議会は4月10日、経済産業省の井野俊郎副大臣に、原子力政策等に関する要請書を手渡した。同協議会の西嶋久勝会長(高浜町長)は、井野副大臣に対し、「立地地域として今後も国のエネルギー政策に協力し、国民経済を支える役割を果たしていきたい」との考えを示した上で、燃料サイクルの停滞や高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する具体的な道筋が十分に示されていない現状に言及し、「将来に対する不安を感じている」と懸念を表明した。さらに、原子力発電所の立地地域にとって、将来にわたる確かな安心の確保が原子力との共生に繋がると強調。エネルギー政策を持続可能な形で進めていく観点から、要請書を提出するとともに、国の見解を求めた。同要請書ではまず、政府が掲げる「原子力の最大限活用」について、国民理解の醸成と安全確保の徹底を求めた。また、原子力人材の確保及び育成について、発電所の運転員のみならず、原子力研究に関わる人材の確保と育成を喫緊の課題と位置づけ、運転員に加え研究分野を含めた人材基盤の強化を要請した。さらに、燃料サイクル政策の着実な推進とともに、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップの確実な履行を求め、国と事業者が一体となった対応の必要性を強調した。原子力防災については、避難時に不可欠な道路・橋梁の整備と強靱化を要請。能登半島地震で道路寸断や孤立集落が発生したことを踏まえ、補助制度の拡充や別枠予算の確保など、実効性ある財政措置を求めた。財政面では、電源三法交付金の見直しをはじめ、各種交付金・補助制度の充実を要請。廃炉に伴う交付金の緩和措置の延長や、固定資産税の見直しにも言及した。そして、廃炉の進展に伴う地域経済への影響を踏まえ、中長期的な支援の必要性も強調。企業誘致や産業振興に加え、医療・福祉を含めた総合的な地域支援の充実を求めた。これに対し井野副大臣は、エネルギー安全保障の重要性が高まる中で、原子力を「準国産エネルギーとして安定供給に資する重要な電源」と位置付けた。一方で、燃料サイクルや最終処分の進展の遅れについては「立地地域に心配をかけている」と認め、課題の前進と対話の強化に取り組む方針を示した。
- 13 Apr 2026
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NUMO HLWの地層処分に関する村民説明会を父島 母島で開催
高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、経済産業省が東京都小笠原村の南鳥島を対象とする文献調査の実施を申し入れたことを受け、原子力発電環境整備機構(NUMO)では3月14日に同村の父島、21日に母島にて説明会を開催した。父島では237人、母島では71人が同説明会に参加。両会場とも多くの住民が出席し、関心の高さがうかがえる結果となった。両日ともに、小笠原村の渋谷正昭村長、経済産業省資源エネルギー庁とNUMOの関係者らによる調査概要の説明の後、質疑応答を通じて村民から多くの意見や質問が寄せられた。村民からは、風評被害への懸念や処分地選定方法の疑問等が寄せられ、最終処分場の受け入れに慎重な姿勢を示す意見が複数挙がった一方で、同事業の受け入れに理解を示す声もあったという。南鳥島は、国が公表している科学的特性マップにおいて、地層処分にとって「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とされている。南鳥島で文献調査が実施された場合、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目となる。なお、NUMOはWebサイトを更新し、同村民説明会の開催結果および村民から寄せられたアンケートへの回答を一般公開している。父島・母島とも、処分地選定のあり方に対する疑問が寄せられた。「科学的特性マップの数ある候補地の中から、なぜ南鳥島が国の申し入れ第1号となったのか」など、同地域への負担の偏りを懸念する意見や、南鳥島周辺で検討が進むレアアース開発との関係性や、同島の安全保障上の位置づけとの関連など、地域の将来像全体に関わる問いが寄せられた。これに対し資源エネルギー庁とNUMOは、「南鳥島が地質的条件や土地利用の観点からHLWの最終処分地としての適性の可能性があることを踏まえ、渋谷村長と意見交換を重ねた。これに対し、村長から住民向け説明会の開催要請があり今回の申し入れに至った」と説明。処分地の数や規模については、「国として、ガラス固化体換算4万本以上のHLWを埋設できる施設を、まず全国で1か所整備する想定だ」と説明。現状のHLW量に対して最終処分地は1か所で対応可能としつつも、原子力発電の長期的な利用に伴う将来的なHLWの増加、今後の調査による地質条件の見通しを踏まえ、処分地の数や規模は、総合的に検討していく必要があると回答した。そして、南鳥島周辺で進むレアアース等の開発・国防上の安全保障面との両立については、「文献調査段階では現地調査を伴わないため、直ちに影響が生じるものではない」と説明。今後、調査が進む場合には、資源開発、防衛・港湾整備などの諸活動との両立可能性を段階的に評価していく考えを示した。その他、文献調査段階で交付金が支払われる仕組みに対し、「一度受け入れると後戻りしにくくなるのではないか」といった懸念や、「金額の問題ではなく、将来世代への影響をどう考えるかが重要」との指摘があった。これに対し資源エネルギー庁とNUMOは「文献調査段階の交付金は、過去の関連施設立地の実績を踏まえて設定されている」とし、「交付金を受け入れたからといって最終処分地に決定するものではない」と理解を求めた。また、交付金は国の課題に向き合う地域への謝意と社会全体への利益還元という位置づけであるとした。同説明会では、こうした多様な意見が示され、単なる賛否にとどまらず、村民の間で慎重かつ多角的に同事業について考えようとする姿勢が示された。主催者側(小笠原村・資源エネルギー庁・NUMO)は、こうした意見を真摯に受け止め、引き続き丁寧な説明と対話を重ねていくとしている。
- 30 Mar 2026
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日本原燃が30億円拠出 六ヶ所村 電事連と新法人を共同で設立
青森県六ヶ所村と日本原燃、そして電気事業連合会(電事連)は3月17日、地域共創と原子燃料サイクル施設との共生に寄与することを目的に、「一般社団法人六ヶ所みらい共創プロジェクト」を共同で設立すると発表した。同新法人は、六ヶ所村内の企業の人材確保と育成、産業・経済基盤の整備、防災対策の強化、生活基盤の整備など、地域課題の解決に資する事業を担う。活動資金は六ヶ所村と日本原燃が拠出するが、当面6年間は日本原燃が総額30億円を負担するという。六ヶ所みらい共創プロジェクトは2026年4月中の設立を予定し、同月の事業開始を目指す。法人の所在地は六ヶ所村。設立時の会員は六ヶ所村、日本原燃、電事連の3者で、代表理事は日本原燃の代表者が務める。理事には3者に加え外部有識者が参画する予定となっている。3者(六ケ所村・日本原燃・電事連)はこれまで、再処理工場の竣工・操業を見据え、地域と原子燃料サイクル施設が共生する将来像の実現に向けた協議を重ねてきた。その中で、長期にわたる安全・安定操業を支えるためには、地元企業の人材確保・育成や防災機能の強化など、地域産業やまちづくりを含めた中長期的な取り組みが不可欠との認識を共有している。同法人を通じ、同地域と原子燃料サイクル事業の共生・原子燃料サイクル事業を支える産業の基盤づくりや街づくりに向けた取り組みを一体的に進める狙いだ。
- 27 Mar 2026
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原文財団「原子力に関する世論調査」2025年度版を公表
日本原子力文化財団(原文財団)は3月23日、2025年10月に実施した「原子力に関する世論調査」の結果を公表。原子力に対する肯定的評価は2018年度以降おおむね横ばいで推移している一方で、否定的イメージは2017年度以降、低下傾向が続いていることが分かった。また「信頼できない」との回答も減少し、福島第一原子力発電所事故前と同水準(12.0%)まで回復した。同調査は、全国の15〜79歳の男女1200人を対象に実施。2006年度から同一手法で継続している全国規模の調査で、今回で19回目。世論調査を経年的・定点的に実施し、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握し、原子力に関する知識普及活動のあり方などを検討するのが目的だ。エネルギー政策や社会動向の変化に対応するため、適宜新たな設問の追加や内容の見直しを行い、継続性と時勢の変化への対応の両立を図っている。なお、原文財団のウェブサイトでは、2010年度以降の報告書データを全て公開している。例年通り同調査は、原子力や放射線に対するイメージ、関心、情報保有量、信頼、再稼働や利用に対する考え方など多岐にわたる項目で構成されているが、今年度はいくつかの新設項目が追加された。具体的には、「今後の原子力発電の利用に対する考え」といった将来のエネルギー選択に関する設問や、「核燃料サイクル・バックエンドに関する情報保有量」など、より専門的な領域に踏み込んだ設問がその例で、最新の世論動向を的確に把握できる設計となった。同調査によると2025年度に、最も関心が高かった原子力/エネルギー関連ニュースは「地球温暖化」で、70.3%に上った。これに「電気料金の値上げ」(56.4%)、「自然災害による停電」(53.9%)、「電力不足」(48.3%)が続いた。さらに「巨大地震・津波と原子力」(37.8%)、「ロシア情勢などとエネルギー安定供給」(33.8%)、「再生可能エネルギー拡大の影響」(33.1%)といった項目が上位に並び、「暮らしに直接的に影響する可能性」が高いテーマとなった。一方、原子力業界に関する個別テーマへの関心は相対的に低く、「女川原子力発電所の再稼働」が13.9%、「AI普及に伴う電力需要増加」が11.4%、「原子力発電所のリプレース」が10.8%、「第7次エネルギー基本計画」が4.5%にとどまった。経年で見た場合、「暮らしに影響を与える身近なニュース」に対する関心は低下傾向にあるものの、生活に密接に関わるテーマへの関心の高さと、業界個別テーマとの間に乖離がある実態が浮き彫りとなった。また、今後の原子力発電の利用に関する意識では、「使っていく」「どちらかといえば使っていく」を合わせた肯定的意見が42.0%、「やめていく」「どちらかといえばやめていく」を合わせた否定的意見が35.0%となり、肯定的意見がやや上回った。また、「わからない」は22.6%だった。属性別では、男性で肯定的意見が多く、女性では否定的意見が多い傾向が見られた。年齢別では25〜44歳で肯定的意見が比較的高い一方、24歳以下では「わからない」とする回答が目立った。また、原子力に関する情報保有量が多い層ほど肯定的意見が多く、保有量が少ない層では「わからない」とする割合が高い傾向が確認されるなど、情報量の差が意識形成に影響を与えている実態が浮き彫りとなった。また、経年変化では、再稼働に対する不安を背景とした否定的選択肢は減少傾向にあり、必要性や規制基準への適合といった観点から再稼働を評価する動きが増加しているが、「原子力発電をやめていく」とする層ほど、「災害対策」や「防災体制」、「大事故への不安」、「高レベル放射性廃棄物」、「福島第一原子力発電所の廃炉」といった項目に強い関心を示している。特に、高レベル放射性廃棄物への懸念が顕著となっていることがわかった。これらの結果から、再稼働に対する理解を得るためには、不安や否定的認識に関わる項目に対する情報提供の充実が重要であることが示唆された。原文財団では継続的な調査を通じて原子力を巡る社会認識の変化を把握し、今後の情報発信の在り方の検討に生かす考えだ。
- 25 Mar 2026
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千葉大学でHLWに関するディベート授業 NUMOら支援
千葉大学教育学部で開講されている「ディベート教育論」の講義が1月15日、マスメディア向けに公開された。同講義では、高レベル放射性廃棄物の処分という社会的に難度の高いテーマを題材に、学生による本格的なディベートが行われた。同講義を担当するのは、教育学部長の藤川大祐教授。ディベート教育論は、現代的な課題を扱ったディベート実践の経験を通じて、生徒らの論理的思考力等の育成を図ることを目的とし、2012年度から継続して実施されている。今回は「日本は高レベル放射性廃棄物の地層処分計画を撤廃し、地上で管理を義務づけるべきである。是か非か。」を論題に、学生約50人を、1チーム4〜5人の12チームに分け、計6試合(ディベート)を実施。当日はその5試合目が公開された。公平性確保のため、試合順や賛否の立場はくじ引きなどで決定。学生らは事前に、原子力発電環境整備機構(NUMO)や日本原子力産業協会(JAIF)、日本原子力研究開発機構(JAEA)らによる講義を受け、バックエンド事業や高レベル放射性廃棄物に関する基礎知識を習得した上で議論に臨んだ。当日のディベートは、「HLWの地上管理」を主張する肯定側の立論からスタート。その後、否定側の質疑、立論、それに対する肯定側の質疑を経て、それぞれ否定側と肯定側が2回ずつ反駁の機会が設けられた。肯定側からは、地上管理方法の技術改善が進むことで、将来世代が廃棄物の管理・処分方法を選択できる可能性に言及。また、地上管理施設の保守作業等を通じ、地域雇用の創出や産業形成、関連企業の集積につながり、地方創生にも寄与するのではないかと訴えた。それに対し否定側は、地上管理における安全性への懸念や、有事の際の責任の所在について言及。地層処分による管理面や費用面での優位性を主張した。ディベート終了後、聴講していた学生らによる投票が行われ、議論がより優れていたサイドが選定された。同日は肯定・否定側それぞれ18対18の同数となり、藤川教授は「均衡した結果となり、非常に優れた議論であったことの証左となった」とコメントした。また、全体講評として「チームとして十分な準備を感じられ、初めて本格的にディベートに取り組む参加者が多い中でも、難しいテーマに真剣に向き合った点は評価できる」と述べ、両チームの健闘をねぎらった。藤川教授はディベートを振り返り、「肯定側の、将来世代の選択肢の増加や地域の発展の可能性という立案自体は悪くなかったが、最終的に問題になると予想される安全性を上回るほどのメリットを主張できていなかったと感じた。ここが勝敗を分けた要因になった」と総括し、総合的には否定側が優勢だったとの見解を示した。一方で否定側の課題として、将来世代の負担に関するコスト比較については、十分な数値が示されなかった点を挙げた。その上で立論について、「見出しが長く、何の話をしているのか分かりづらい場面があった」と指摘。後の反駁や引用を見据え論点を明確に示すためにも、見出しは簡潔に整理すべきだと強調。特に肯定側のメリットとして掲げていた「地域の発展」という論点が途中で曖昧になった点を課題として挙げ、「相手の議論がずれた場合でも、自ら軌道修正し、一貫した主張を続けることが重要だ」と述べ、論点整理と一貫性の重要性を強調した。藤川教授によると、近年、同授業において生成AIを活用するようになったことで、大きな変化がもたらされたという。以前は準備が不十分なグループも見られたが、現在はAIを活用することで、調査やディベートの構成まで、初期段階から完成度の高い原稿を準備するチームが増えたと指摘し、授業全体の底上げが進んでいると語った。
- 26 Jan 2026
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日本原子力学会 SMRに関する記者向け勉強会を開催
日本原子力学会は1月9日、報道関係者を対象とした交流会を開催した。交流会は、同学会の社会・環境部会が毎年実施しているもので、今年は、近年注目が高まる小型モジュール炉(SMR)をテーマに設定。エネルギー総合工学研究所・原子力技術センター原子力チームの都筑和泰氏を講師に招き、世界のSMRの開発動向や技術的特徴、導入を巡る課題に関する解説が行われた。SMRについて都築氏はまず、現地で一から組み立てるのではなく、工場で製造し、現地で据え付ける方式を採ることで、建設コストの低減や工期短縮が期待できる点を強調した。モジュール化の程度は設計によって異なるものの、近年では原子炉本体も工場で製造する設計が登場していることや、ロシアの浮体式原子炉のように、船舶に搭載して運用する方式などが紹介された。また、軽水炉の小型化自体に特段の技術的な革新性はないとしつつも、安全性と経済性を両立させる工夫がSMR普及の鍵になると指摘。「既存技術の活用や設計改善、量産効果などを通じたコスト低減が重要になる」とコメントした。さらに、開発の方向性については、「安全性を前面に打ち出す設計」と「構造を簡素化してコスト低減を狙う設計」という2つの流れがあると説明した。SMRの開発計画は2025年時点で100件超に増加しているものの、現在、多くは初期検討段階にとどまっていることを踏まえ、新たな産業としてはまだ立ち上がり段階にあるとも指摘する一方、中国やロシアでは実証段階に近い案件が多く、米国では設計の検討が活発化しているなど、各国の開発状況に違いがある現状を説明した。将来展望については、日本のように既に送電網が整備された国の大型原子力サイトにおいては、SMRの優位性が限定的になる可能性があるとも指摘した。その一方で、大型炉では電力供給が過剰となる地域や途上国、工場における熱・電力・水素の複合利用、データセンター用途などではSMRの適性が高いと述べた。特にAI向けデータセンターについては、都市近郊に立地する必要がなく、送電制約も踏まえれば、SMRを設置して直接電力を供給する形は合理的だとの見方を示した。その一方で、原子力安全に対する社会的な懸念や核セキュリティ対策が大きな課題であるとも指摘。そのうえで、成功事例が生まれれば、そこから普及が広がる可能性は十分にあるとの見通しを示した。さらに、SMRや原子力への社会的理解を広げるためには、「安全性の強調だけでは不十分だ」と述べ、エネルギー安全保障や脱炭素、コストといった観点を総合的に示し、日本にとって原子力が果たす役割を丁寧に説明する必要があるとした。原子力によって一定の電力供給を確保できれば、エネルギー自給率の低さに起因する非常時においても、医療や決済インフラなど社会の基盤機能を維持できる可能性があるとして、こうした現実的な視点に基づく議論の重要性を強調した。
- 20 Jan 2026
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関西電力 樹脂処理設備設置と高燃焼度燃料使用へ前進
関西電力は1月9日、大飯発電所3、4号機(PWR、118万kWe×2基)における樹脂処理設備の設置と、高浜発電所3、4号機(PWR、87万kWe×2基)での高燃焼度燃料の使用計画について、原子力規制委員会に原子炉設置変更の許可申請を行ったと発表した。本計画をめぐり同社は2025年11月18日、福井県、おおい町および高浜町に対し、「原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書」に基づく事前了解願いを提出。その後、原子炉設置変更許可申請の手続きについて、関係自治体から了承を得ていた。樹脂処理設備は、一次冷却材などの浄化に使用されたイオン交換樹脂を処理する装置で、樹脂に吸着した放射性物質を適切に処理・管理することを目的としている。一次冷却材系統などの脱塩塔で使用されるイオン交換樹脂は、使用に伴い性能が低下するため定期的に取り替えられ、取り替え後は使用済み樹脂貯蔵タンクで保管されている。今回の計画では、タンク内に保管されている使用済み樹脂を計画的に処理することで、発電所構内に保管する放射性廃棄物の量を低減し、管理の安定化を図る。設備は3、4号機共用とし、放水口付近に樹脂処理建屋を新設し、その内部に処理設備を設置する。建屋は鉄筋コンクリート造で、主要寸法は縦約33メートル、横約34メートル、高さ約19メートル。設置工事は2027年度から2035年度にかけて実施し、2036年度の運用開始を予定している。設備構成は、美浜発電所や高浜発電所、大飯1、2号機に設置済みの廃樹脂処理設備と同様の方式とする。一方、同社は高浜発電所3、4号機において、燃料利用の高度化を目的に高燃焼度燃料の使用を計画している。高燃焼度燃料は、核分裂を起こしやすいウランの割合を高めることで、燃料をより長期間使用できるようにした燃料で、燃料の使用期間が延びることで燃料交換頻度が低下し、使用済み燃料の発生量抑制が期待される(事業者および申請書上の表記は「使用済燃料」)。具体的には、これまで使用してきた最高燃焼度4万8,000MWd/tの燃料(高燃焼度化ステップ1)から、最高燃焼度5万5,000MWd/tまで使用可能な高燃焼度燃料(高燃焼度化ステップ2)へと切り替える。高浜発電所では、現行燃料を1990年から使用してきた。同社によると、高燃焼度燃料の装荷時期は、3号機が2030年度ごろの定期検査以降、4号機が2031年度ごろの定期検査以降を予定しており、取替燃料として順次使用を開始する。
- 15 Jan 2026
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柏崎刈羽6号機 来月にも再稼働
東京電力は12月24日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子炉起動予定日を2026年1月20日、営業運転開始予定日を2026年2月26日とした使用前確認変更申請書を原子力規制委員会へ提出した。あわせて、6号機の運転開始に伴い共用設備を使用する必要があるため、7号機(ABWR、135.6万kWe)も使用前確認変更申請を提出したことを公表した。同社では、両機について、原子力規制委員会による使用前確認を受けるため、2024年9月に使用前確認申請書を提出し、同年11月には燃料装荷までの工事工程を反映した変更申請を行った。その後、2025年6月21日に燃料装荷を実施し、燃料装荷後の健全性確認(水とガスの漏洩・制御棒の動作・非常用冷却設備の動作確認)および使用前事業者検査(国の定めた安全基準等を満たしているかを事業者自身が確認する検査)を同年10月28日までに完了。起動に向けた技術的な準備は整っていた。その後12月22日に、新潟県議会が柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の再稼働容認を表明した花角英世知事を信任する決議案を可決。翌23日、花角知事が赤澤経済産業大臣に再稼働の地元同意を正式に伝達し、再稼働に向けた議論は最終段階に入った。今後、原子力規制委員会から試験使用の承認が得られ次第、同社では、原子炉起動後の使用前事業者検査を含む設備の健全性確認を進めるという。原子炉起動から営業運転開始までの主な工程は以下の通り。まず、2026年1月20日を予定日として原子炉を起動。制御棒を引き抜き、原子炉内で核分裂反応を開始した後、原子炉の出力を徐々に上昇させる。この過程で、原子炉冷却系や制御系などが設計どおり機能しているかを確認する。次に、原子炉で発生した熱を用いてタービンを起動し、その後、発電機出力をおよそ50%まで段階的に引き上げる。この時点で一度中間停止を行い、主要機器の設備状態を詳細に点検する。中間停止後は、再び原子炉を起動し、同様に出力を上昇させ、タービンを再起動したうえで発電機出力を高め、最終的に原子炉の定格熱出力を約100%まで到達させる。定格出力に達した後は、総合負荷性能検査を実施。これらの工程を経て、2026年2月26日に営業運転を開始する予定としている。同社は、「引き続き安全を最優先に、原子力規制委員会の検査に真摯に対応しながら、各工程を着実に進めていく」とコメントしている。
- 24 Dec 2025
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東京電力 「原子力災害対策充実に向けた考え方」に基づく取り組みを公表
東京電力は12月19日、「原子力災害対策充実に向けた考え方」に係る同社の取り組みについて、最新の進捗を反映した内容を公表した。これは、2016年に経済産業大臣から要請を受けた「原子力安全対策および原子力災害対策に関する取り組み」を整理したもので、前回公表(2024年12月20日)以降の進捗を反映し、現在の状況を取りまとめたものである。今回は、福島第一原子力発電所の廃炉や福島第二原子力発電所の廃止措置の進展、柏崎刈羽地域における緊急時対応の見直し、福島県内のヘリポート設定の追加など、原子力災害対策の実効性の向上に向けた内容が盛り込まれた。第1章では、事故収束活動の体制や各原子力発電所の現状、安全対策の状況を整理し、第2章では、原子力災害発生時における事業者の役割や支援体制に加え、福島第一原子力発電所事故の責任を踏まえた賠償、復興推進に関する取り組みを示した。主な変更点は以下の通り(一部抜粋)①福島県内ヘリポートの設定を追加②福島第一の廃炉作業の進捗を踏まえ更新③福島第二の廃止措置計画の進捗を踏まえ更新④協力企業と連携した輸送訓練を追加⑤柏崎刈羽地域の緊急時対応取りまとめを踏まえ更新⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化を追加⑦2025年度新潟県および福島県の原子力防災訓練の反映変更点の概要は以下の通り①福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の2か所をヘリポートの拠点として設定。さらに、協力企業と連携し、楢葉ヘリポートおよび平ヘリポートの計2か所の運用を始めている。②2024年度には、汚染水対策で発生量を1日約80~90㎥まで抑制し、2025年目標を前倒しで達成。燃料デブリについては、2024年の9月に2号機で試験的取り出しを開始し、11月には採取に成功した。今回公表された資料には、改訂のポイントとして、これら2号機における燃料デブリの試験的取り出し作業の内容の反映のほか、原子炉格納容器内部の調査作業の具体的化が盛り込まれた。③44年にわたる廃止措置計画のうち、現在は第1段階(解体工事準備期間)にあり、管理区域外設備の解体や管理区域内の調査を進めている。今後は、これらの成果を踏まえ、第2段階への移行を目指す。④協力企業と連携し、事故収束活動に必要な資機材の輸送訓練を継続的に実施。従来のトラックによる陸上輸送に加え、資機材をより迅速に現地へ搬送するため、ヘリコプターを活用した航空輸送訓練も実施し、対応力の強化を図る。⑤柏崎刈羽地域では、要配慮者の避難を支援するため、同社から福祉車両や要員を提供する。具体的には、要配慮者を搬送可能な福祉車両31台を配備するとともに、各車両に運転手と補助員を配置し、計62名を派遣する体制を整備。また、空間放射線量率が高い区域から住民が避難する際には、検査・除染要員を派遣し、車両や住民への放射性物質の付着の有無を確認する。付着が認められた場合には除染を実施し、その際に発生する汚染水や汚染付着物についても、同社が責任を持って処理する。⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化に向けて、同社が除排雪体制の強化や屋内退避施設の環境整備に協力。具体的には、除雪車両の増強、消融雪施設の設置、監視カメラの設置、指定避難所の空調設置や断熱性向上を図るという。⑦2025年10月・11月に、新潟県にて災害対策本部の運営訓練をはじめ、福祉車両を用いた要配慮者の搬送、PAZ内住民の避難訓練やUPZ内住民の一時移転訓練などを実施した。また、柏崎市、燕市、見附市では、放射線に関する講座や避難退域時検査のデモンストレーション体験など、自治体ごとの個別訓練にも参加。2025年11月、福島県にて災害対策本部運営訓練や避難退域時検査訓練に加え、医療中継拠点の設置・運営訓練、甲状腺被ばく線量モニタリング、安定ヨウ素剤の配布訓練などに参加したことが追記された。
- 24 Dec 2025
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ムロオシステムズ カザフ国立原子力センターと協力枠組み
ムロオシステムズ(東京都中央区)は12月19日、カザフスタン国立原子力センター(NNC)と、使用済み燃料および放射性廃棄物管理分野での協力枠組みに関する覚書(MOU)を締結した。MOUは、12月19日から2日間にわたって開催された「中央アジア+日本」対話・首脳会合に合わせ締結された。NNCは、カザフスタンにおける原子力利用に関する研究や人材育成を担っており、今回のMOUでは、廃棄物の管理手法や関連施設の運用などに関する情報交換や技術協力を盛り込んだ。主に放射性廃棄物処理センターの運営や廃止措置に関するノウハウ提供などを想定している。技術的な実施や専門的支援については、ムロオシステムズの完全子会社であるNUKEM社が担う。ムロオシステムズは昨年10月、NUKEM社を買収。NUKEM社は、放射性廃棄物管理や使用済み燃料対策、廃止措置などを手がけ、ドイツで初めて商業用原子力発電所の廃止措置を成功させた実績を有する。ムロオシステムズがデータセンター事業などを展開する中で、安定かつ安価な電力供給が可能な原子力に関心を持ち、原子力分野への進出を決断したという。カザフスタンでは将来的な原子力利用をめぐる検討が進んでおり、旧ソ連からの独立後初となる原子力発電所の建設計画も進められている。ムロオシステムズの潘忠信社長は、「カザフスタンは世界最大級のウラン産出国であり、日本も多くのウラン資源を輸入している。同国に原子力発電やバックエンド分野が整えば、一国で完結した燃料サイクルを構築できる可能性があり、周辺国を含めた原子力エネルギーのハブとしての役割も期待できる」との認識を示した。このほかムロオシステムズは同日、ウズベキスタン原子力規制庁(Uzatom)および同国デジタル技術省ともMOUを締結した。原子力安全や規制対応などに対する技術的助言やエンジニアリング、コンサルティングを協力内容とし、小型モジュール炉(SMR)の電力を活用したデータセンター構想についても検討対象としている。原子力分野とITを組み合わせた国際展開を通じ、同社は中央アジア地域での存在感を強めたい考えだ。
- 24 Dec 2025
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新潟県 柏崎刈羽6、7号機の再稼働を容認へ
新潟県の花角英世知事は11月21日の記者会見で、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働に同意する意向を表明した。判断は12月の新潟県議会に諮った上で、国へ正式に報告する。知事は同意の前提として、国に対して次の7項目を確実に対応し、責任を持って確約するよう求めた。国へ求めた7項目①県民への丁寧な説明の徹底原子力の必要性・安全性について、取り組み内容が県民に十分伝わっていないとの意識調査結果を踏まえ、国と東京電力に対し改めて丁寧な説明を要請。②新たな知見に基づく安全性の再確認最新知見が得られた場合、迅速に安全性を再確認するよう要請。③緊急時対応での国の関与強化避難・屋内退避で民間事業者では対応困難なケースに備え、国の実動組織が確実に行動できるよう、平時から関係機関の連携強化を要請。④避難道路・退避施設、豪雪対応の集中的整備原子力関係閣僚会議が示したインフラ整備を、新潟の豪雪事情も踏まえ早期かつ集中的に実施するよう要請。⑤使用済み燃料処分、武力攻撃対策、損害賠償の確保県民の大きな懸念である課題へ、国が責任を持って対応するよう要請。⑥東京電力の信頼性回復依然として十分に信頼が回復していないと指摘。国が設置する「監視強化チーム」の実効性と、活動成果の確実なフィードバックを要請。⑦UPZ拡大と交付金制度の見直しUPZ(緊急防護措置準備区域)が30km圏に拡大したにもかかわらず、電源立地対策交付金制度が見直されていない点を問題視し、公平な制度運用のため早期の見直しを要請。花角知事は容認判断の理由として、同6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格し安全性が確認されたこと、原子力発電が優れた安定供給力と国産化率を有し、国が原子力の最大限活用を推進する方針を示していること、同発電所の再稼働が東日本の電力供給構造の脆弱性や電気料金の東西格差を是正し、脱炭素電源を活用した経済成長にも寄与するとの見通しを示し、「国民生活と国内産業の競争力を維持・向上させるためには、柏崎刈羽原子力発電所が一定の役割を担う必要があるとの国の判断は、現時点において理解できる」と述べた。このタイミングで容認となった背景について花角知事は、「昨年3月に経済産業省から理解要請を受けて以来、長い時間をかけて関係各所と議論した。リスクを完全にゼロにはできないが、ただ漠然とした不安や合理性のない理由で再稼働を止めることはできないと考えていた」と説明。また、県民意識調査では、安全・防災対策の認知度が高いほど再稼働を肯定する意見が増加する傾向や、20~30代の若年層で賛成する傾向が強いことが示された一方、依然として原子力に不安を抱えている県民が多いことも明らかになった。その上で知事自身が、今月半ばに福島第一原子力発電所を視察し、事故の影響や復旧作業の現状を直接確認した事を踏まえ、「原子力規制委員会が新規制基準を策定し、その知見と教訓が柏崎刈羽原子力発電所にも適用されている」と強調。19日の定例知事会見では発電所内の新しい技術や設備の改善にも触れ、「災害発生時の柔軟な対応を可能にする可搬型(モバイル型)設備の充実は、多重防護の観点からも教訓が反映されている」と評価。また、現場で働く東京電力社員の努力についても言及し、「約5,000人の職員や協力企業の方々がチームで動く意識を持ち、コミュニケーションを重視していた。『ワンチーム』という言葉が繰り返され、意識の高さを感じた」と語っていた。また、花角知事は、自身の判断が県政全体の信頼の上に成り立つべきだとの姿勢を示し、県議会に対し、知事職継続への信任を求める意向を示した。
- 25 Nov 2025
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関西電力 高浜発電所でMOX利用継続へ
MOX燃料を搭載した輸送船「パシフィック・ヘロン号」が11月17日、フランスから福井県の高浜発電所に到着した。輸送船は、9月7日にフランス北西部シェルブール港を出発し、喜望峰・南西太平洋ルートを経由し約2か月かけて到着した。関西電力によると、MOX燃料32体を積載した輸送船は17日早朝に接岸し、午前10時すぎに荷下ろしを開始。同日18時半ごろまでに、全作業工程を完了したという。同発電所へのMOX燃料輸送は、2022年11月以来で、累計7回目となる。燃料は仏オラノ社が加工したもの。使用された輸送容器は、長さ約6.2m、外径約2.5m、重量約108トンの炭素鋼製円筒容器。輸送船には自動衝突予防装置や二重船殻構造の採用、緊急時の通報体制整備など、多重的な安全対策が施されている。また、同社が実施した輸送容器の放射線量測定では、表面線量は0.03mSv/h、表面から1m地点でも0.008mSv/h以下と、いずれも国の基準値を大幅に下回った。表面汚染密度についても基準値の半分以下で、同社は「法令の基準値を満足していることを確認した」としている。MOX燃料とは、使用済み燃料から再処理で取り出したプルトニウムをウランと混合して製造する燃料。関西電力では、使用済みのMOX燃料の再処理実証に向け、2027〜29年度に使用済み燃料約200トンをフランスへ搬出する計画も進めている(既報)。
- 18 Nov 2025
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原子力と地域経済の関係を考える
上関で講演会開催山口県上関町の上関町総合文化センターで10月26日、上関町青壮年連絡協議会主催による「エネルギー講演会」が開催された。後援は日本原子力産業協会。講師にはユニバーサルエネルギー研究所の金田武司代表取締役社長が招かれ、「エネルギーから見た世界情勢と日本の歴史~改めて原子力を考える~」をテーマに約2時間の講演を行った。冒頭、同協議会の守友誠会長が登壇し、第7次エネルギー基本計画で原子力を最大限活用する方針が示されたことに加え、中国電力が上関町で使用済み燃料の中間貯蔵施設の立地が可能であると報告したことについて触れ、「中間貯蔵施設の建設は上関町や周辺の市町村が抱える人口減少・高齢化・厳しい財政状況といった現実を打開し、地域活性化に繋げることができる」と述べ、原子力がもたらす経済的メリットをまちづくりに生かす意義を強調した。続いて登壇した金田氏は、世界各地の経済・社会問題の背後にエネルギー問題が存在することを指摘。国家の破綻、通貨価値の暴落、停電、戦争などを例に挙げ、「ニュースで報道される出来事の多くは、エネルギーの視点から見るとその構造が理解できる」と語った。同氏は、ベネズエラで発生したハイパーインフレを取り上げ、「米国企業による石油独占に反発した国有化政策が、米国の経済制裁を招き、結果的に通貨の暴落につながった」と説明。また、ロシアとウクライナの戦争の背景にもエネルギー資源の争奪があると述べた。さらに、米国テキサス州で2021年に発生した大寒波による大停電を例に挙げ、「同州は風力発電に依存していたが、マイナス18度の寒波で風車が凍結し停止、大規模な停電が発生した。その結果、電気代が高騰し、一般家庭に180万円の電気料金の請求書が届くなど大混乱となった」と紹介。同氏はこの事例を通じて、電力自由化の落とし穴を指摘し、自由化の影響や再エネ依存のリスクについて再考を促した。また、ドイツのエネルギー政策についても「環境重視のあまり石炭火力や原子力を廃止した結果、隣国からの電力供給に頼らざるを得なくなり、ロシア産天然ガス依存が経済を直撃した」と分析した。日本については「エネルギー資源を持たず、他国との電力連系線もない特殊な環境にある」とし、「こうした現実を踏まえたうえで、安定供給と経済成長の両立を考えるべきだ」と述べ、現実的なエネルギー政策への転換を呼びかけた。講演の後半では、原子燃料サイクルの重要性にも触れ、「再処理を前提とするサイクルを維持するには中間貯蔵施設が不可欠である」と強調。国全体での一貫した政策推進の必要性を訴えた。質疑応答では、参加者から「原子力発電所敷地内にも中間貯蔵施設があるが、六ケ所再処理工場が稼働しても処理しきれない使用済み燃料があるのではないか」「上関町に施設を建てても、再処理の順番が回ってこないのでは」といった質問が寄せられた。金田氏は、「再処理工場の稼働準備は国策として進められており、長期にわたり再処理工場が動かないということは基本的にない」と説明。また、「施設は十分な容量を確保しており、満杯になっても増設で対応できる設計になっている」と述べ、燃料サイクルへの理解を求めた。
- 11 Nov 2025
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九州電力 乾式貯蔵施設を新設へ
九州電力は10月24日、川内原子力発電所(PWR、89.0万kWe×2基)のサイト内に使用済み燃料乾式貯蔵施設を新設することを発表し、同日、原子力規制委員会へ原子炉設置変更許可を申請した。また、安全協定に基づく事前協議書を鹿児島県及び薩摩川内市に提出した。同社は総工費約350億円を投じ、2029年度を目途に運用開始を目指す。同社は今年の5月、玄海原子力発電所での乾式貯蔵施設の設置工事を開始。こちらは2027年度の運用開始を目指している。乾式貯蔵施設は、プールで十分に冷却された使用済み燃料を金属製のキャスクに入れ、空気の自然対流によって建物内で冷却する。水や電源を必要としない点が特長だ。いずれの貯蔵施設も、2026年度に運用開始予定の青森県の六ヶ所再処理工場への搬出を前提としている。川内原子力発電所では、使用済み燃料のプールでの貯蔵率が、1号機が約75%、2号機が約80%(今年9月時点)に達しており、それぞれ2034年、2028年以降に上限に達する見込みとなっていたため、解決策が急務となっていた。同社の計画によると、貯蔵施設は最大560体の燃料集合体を貯蔵可能で、高さ約15メートル、幅約40メートル、奥行き約40メートルの規模となる。遮へい機能を持った鉄筋コンクリート構造の建屋内に乾式貯蔵容器を貯蔵することで、乾式貯蔵施設を設置しても、既設建屋を含めた敷地境界における線量が目標値である年間 50μSv を十分下回る設計になっているという。また、乾式貯蔵容器は、発熱を外気で冷却する除熱機能や、二重の蓋構造で内部を密閉し放射性物質の漏えいを防ぐ閉じ込め機能、金属胴体や中性子遮へい材による遮へい機能、さらに燃料の配置を工夫して臨界を防止する臨界防止機能を備えている。
- 27 Oct 2025
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柏崎刈羽6号 今月中に技術的な準備が整う見込み
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の稲垣武之所長は10月23日の定例会見で、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)で実施されている健全性確認が、早ければ今月中に完了する見通しだと発表した。健全性確認とは、燃料装荷を行った後、主に「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能に問題がないか、また、正しい位置に配置されているか等を確認するもの。今後実施される原子炉建屋気密性能検査を経て、同6号機は技術的に再稼働ができる状態が整う。6号機は今年6月に燃料装荷を開始。同月中に、使用済み燃料プールにあった872体の燃料を、すべて装荷した。今月17日には、全ての制御棒についての「制御棒駆動機構の機能確認」を実施した。一方、同23日、新潟県の花角英世知事は定例記者会見で、同発電所の再稼働に関する県民意識調査について、インターネットで追加調査を実施する方針を示した。再稼働を巡って新潟県は、今年6月から8月末にかけて、県内5か所で県民公聴会を実施しているほか、9月には1万2千人を対象に意識調査を実施している。花角知事は「UPZ(緊急防護措置を準備する区域)全体の意見傾向をより丁寧に見るべきだ」という議会での意見を受け、「UPZ全体の傾向を把握するためには、サンプルの取り方を変更し、人口に比例した調査を行う必要があるため、現在、実務的に調査の設計準備を進めている。インターネット調査のためそれほど時間はかからないだろう」と述べた。
- 24 Oct 2025
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第9回日英原子力産業フォーラムが開催
英国ビジネス・通商省および駐日英国大使館は10月7日、第9回日英原子力産業フォーラムを駐日英国大使館大使公邸にて開催した。後援は英国市場協議会(BMC)、英国原子力産業協会(NIA)、日本原子力産業協会。9回目となった今年の同フォーラムには、英国と日本の関係機関および企業の関係者を合わせて約100名、レセプションには約150名が参加した。開会挨拶に際しジュリア・ロングボトム駐日英国大使は、「日本初の商業用原子炉は英国の設計によるもので、以来、両国の原子力産業は密接な繋がりを築いてきた」と述べ、日英の原子力分野における関係性に長い歴史と深い絆があることを強調。また、日本の使用済み燃料の再処理を英国で長年行ってきたことについて言及し、両国が共通して抱える廃止措置課題の解決に向けて、引き続き、相互に利益をもたらすパートナーシップに期待を寄せた。続いて英国原子力廃止措置機関(NDA)のデイビッド・ピーティCEOが登壇し、設立20周年を迎えたNDAの活動や今後の戦略に関する説明があった。NDAでは、最優先課題であった同国セラフィールド社(NDAの傘下企業)の貯蔵施設から、燃料デブリと廃棄物の取り出しに初めて成功するなど大きな進展があったほか、スコットランドのハンターストンB原子力発電所2号機(改良型ガス冷却炉:AGR・64.4万kW)を皮切りに、EDFが運営するAGRが来年4月以降に順次NDAに移管され、NDAの廃炉活動が大幅に拡大されるという。ピーティCEOは「私たちの仕事は『過去を解体する』だけではなく『未来を築く』ことだ」と述べた上で、「廃棄物や負の遺産に対して誠実に対応できるという信頼があってこそ、原子力開発の社会受容につながり、英国をクリーンエネルギー超大国にするという政府計画を支えることができる」と訴えた。開会セッションの最後に登壇した原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の更田豊志上席技監は、「廃止措置には倫理的課題や知識管理、ステークホルダーの参加といった克服しきれていない問題が深く関わり、日英両国の理解と経験を結集する重要な挑戦となる」と語り、今後も日英両国の協力が人材育成や知識管理、環境社会ガバナンスにおける価値の統合といった分野でより一層深まり、国際社会への貢献に繋がることへの期待を示した。続くセッションでは、廃止措置と廃棄物管理をテーマに、日英の最新の原子力政策の動向や、メーカー・研究機関による研究開発の最新情報、原子力関連施設の廃止措置状況、NDAや使用済燃料再処理・廃炉推進機構(NuRO)による廃止措置事業のマネジメントの事例などの発表があった。その他、日英の原子力関連企業の連携を促進するため、会場内において、英国企業によるパネル展示などが行われたほか、セッションの合間にケーススタディとして各社の廃止措置における取組みや日英連携プログラムの進捗が紹介され、活発な情報・意見交換が行われた。閉会セッションで、英国原子力産業協会(NIA)のトム・グレートレックスCEOは、「近年の英国の原子力産業界の目覚ましい進展は、社会受容の基盤となる確実な廃炉と廃棄物管理を実現する取り組みがあったからだ」と語り、廃止措置が原子力産業の中核にあり、地域社会や国民全体から信頼を得るための基盤となることを改めて強調した。続けて「廃炉は新設ほど注目を集めることはないが、英国の原子力産業界で働くおよそ10万人のうち相当数が廃止措置関連業務に従事し、わが国の技術革新を促進し、関連産業にも広く波及効果をもたらしている」と述べた。続けて閉会セッションにて日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、「福島第一原子力発電所事故の教訓を常に念頭に置き、その知見を既存炉や新規建設炉に適切に反映させることは日本の原子力開発の基盤だ。今後も、日英両国が相互に学び、支え合い、成長し、長年にわたるパートナーシップをさらに深めていくことを願っている」と述べ、エネルギー安全保障、カーボンニュートラル、廃止措置といった共通課題に直面している日英両国が互いに学び、協力し合う重要性が再確認され有意義なフォーラムになったと評価した。
- 22 Oct 2025
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東電 柏崎刈羽1、2号機の廃炉計画を具体化 新潟県へ1,000億円規模の資金拠出も
東京電力は10月16日、柏崎刈羽原子力発電所1、2号機(BWR、110.0万kWe×2基)の廃炉に向けた検討を具体化する方針を表明した。同社は今後、原子力規制委員会の承認を経て、今年6月にすでに燃料装荷を開始、完了した同6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向けた準備を進めながら、廃炉の計画も前に進めていく。廃炉の最終的な判断は6号機の再稼働後、1年半を目途に行うとした。理由については、以前より新潟県の一部自治体から1~5号機の一部廃炉を求める声が挙がっていたことや、同社経営への影響などを総合的に判断したという。再稼働を巡って新潟県は、今年6月から8月末にかけて、県内5か所で県民公聴会を実施済み。同県の花角英世知事は同公聴会を再稼働の是非を県民に問う場として掲げ、開催終了後に、再稼働の是非の判断を下す意思を示していた(既報)。また、同社は同日、新潟県議会連合委員会へ小早川智明社長らが参考人として出席し、「柏崎刈羽原子力発電所における安全・安心の向上と地域経済の活性化に向けた取組について」と題した資料を用いて、同発電所の基本方針と安全性の向上に向けた改善の状況を説明。その後、報道陣に応じた小早川社長は、新潟県向けの支援策として1,000億円規模の資金を拠出する計画を併せて示した。資金の適用先は今後新潟県との協議で決定される。同社は防災施設や道路整備、地域活性化や雇用増につながる分野の企業進出の後押し等に活用してもらう考えを示している。
- 21 Oct 2025
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「原子力産業セミナー2027」福岡で初開催
原子力産業界の人材確保支援と理解促進を目的とした「原子力産業セミナー2027」(主催:日本原子力産業協会・関西原子力懇談会)が10月18日、福岡市のエルガーラホールにて開催された。同セミナーは、原子力関連企業や関係機関が一堂に集う企業説明会で、これまで東京や大阪などで実施(東京9/20・大阪9/27開催済み)しているが、今回、初めて福岡でも開催された。同セミナーには九州電力をはじめ、九州を拠点とする企業を中心に全国から26社が出展。当初の想定を上回る140名の学生が来場し、各ブースではスライドや展示資料を用いて熱心に自社紹介をする様子が見られた。今年、初めて福岡市で同セミナーを開催した狙いについて、主催者である日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、「首都圏や関西だけでの開催では九州の学生が参加しにくかった。多くの学生に原子力産業界の仕事を知ってもらいたいと考え、福岡市での開催に至った」と語った。国内では原子力発電所の再稼働やリプレースの具体化が進められ、原子力産業界全体で人材確保が課題となっているが、人口減少に伴ない人材獲得競争が激化している。こうした現状について増井理事長は、「人口減少に対応するためには、AIや先進的なデジタル技術の活用など、原子力産業界全体の省人・省力化が必要になる」と指摘。また、「原子力関連企業や関係機関それぞれの個々の努力に頼るのではなく、産業界として共通化できる部分を整理し、連携を強化することで、より効果的な仕組みを作れると考えている」と展望を語った。また、同セミナー初の福岡開催について増井理事長は、「多くの学生が熱心に話を聞いており、企業側も具体的なキャリアモデルを提示しながら、各企業の魅力を伝えていた。報酬や福利厚生など現実的な話題も含め、バランスの取れた説明が行われており、非常に良い雰囲気だった」と手応えを語った。そして、「原子力産業界への就職と聞くと、専門的な学問を学んだ人しか関われないと思われがちだが、実際には土木・機械・電気・化学などの幅広い専門分野の知識が活かせる職種が多い。経理や事務など、工学系以外の分野でも多くの人が活躍している」と語り、原子力産業は、多様な専門性が結集する総合的な産業であり、各分野の連携によって安全な発電所の運転が支えられていることを強調し、今後も同産業界の魅力を最大限伝えていく意欲を示した。
- 20 Oct 2025
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