キーワード:フランス
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仏経済相、フラマンビル3号機建設計画の遅れとコスト超過で解決計画 要請
仏国のB.ル・メール経済・財務相は10月28日、北西部にあるフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)の建設プロジェクトが大幅に遅延し、建設コストも超過していることについて、事業者であるフランス電力(EDF)のJ.-B.レビィ会長に対し「(問題解決に向けた)アクション計画を1か月以内に提示すること」を要請した(=写真)。これは、この件に関してPSA(プジョーシトロエン)グループのJ.-M.フォルツ元会長が独自に取りまとめた監査報告書が25日に公表され、「度重なる計画の遅れとコストの超過はEDFの失策」と指摘したことを受けたもの。ル・メール経済・財務相は記者会見で、「これは仏国の原子力産業界全体で挽回しなければならない問題だ」と述べ、仏国におけるエネルギー産業の存立に関わる重要問題と訴えている。フラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)設計を採用したFL3の建設は2007年12月に開始されたが、原子炉容器鋼材の品質問題など様々なトラブルにより、2012年に予定されていた完成は2023年にずれ込む見通しである。EDFは2018年3月に2次系配管で事前点検を行った際、溶接部で複数の欠陥を検知。同年7月に修理を行ったものの、格納容器の2重壁を貫通する溶接部8か所については同年12月、仏原子力安全規制当局(ASN)に「十分な品質があり破断の心配はない」と保証した上で、修理対象から外していた。しかしASNは、諮問機関らの協力によりEDFの提案内容を引き続き検証。今年6月にはEDFに対して、「FL3の運転を開始する前に8か所の修理を終えること」を命じていた。今回の監査報告書は今年7月、EDFのレビィ会長がフォルツ氏に宛てた書簡の中で、10月末までに取りまとめることを依頼していた。この中でレビィ会長は、ASNが6月にEDF提案を却下した点に触れ、「プロジェクトにEPR設計を採用した理由や、スケジュールがたびたび遅延した原因、コストの初期見通しと完成までの差額、建設に関わる様々な企業の責任等について、株主である国に対し正確かつ完全な分析結果を示したい」と説明。同型設計ですでに営業運転を開始した中国の台山原子力発電所、およびフィンランドで完成に近づいているオルキルオト3号機と比較することも求めていた。フォルツ氏はEDFの内部資料や幹部職員へのインタビュー等を通じて検証を行い、2006年5月当時に33億ユーロ(約4,000億円)と見積もられていた建設コストが、今年10月までに7回改定され、現時点で124億ユーロ(約1兆5,000億円)に増加した事実に言及。完成の遅れと合わせて、これらはEDFの失策と考えられるが、台山発電所の2基が世界初のEPRとして営業運転を開始したことにより、EPRのコンセプトと設計が妥当であることが実証されたとフォルツ氏は見ている。当然のことながらEPRのシリーズ建設再開に向けて、これまでに得られた経験を保持しつつ、EPRのコスト削減と「建設可能性」について一層の改善を図るべきだとフォルツ氏は勧告。FL3計画の遅れは、必ずしも現行のプロジェクト管理チームが原因というわけでは無いが、最新のプロジェクト管理技術を持った常勤スタッフ、および潤沢な自己資金を備えた、強力なプロジェクト・チームに立て直すべきだとした。フォルツ氏はまた、EDFに対しても、安全規制当局やサプライヤーと更なる調整を図ることを進言。産業界に対しても、より一層協調していくことで作業員の訓練、とりわけ溶接作業員の能力が改善される。要求の高い分野で質の高い専門家を多数蓄えるためには、初期の訓練と能力の維持で多大な努力を積み重ねることが必要だと強調している。(参照資料:仏経済・財務省(仏語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月29日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 31 Oct 2019
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仏アレバ社のP.バラン会長、11月にY.デスカタ氏と交代
仏国のアレバ社(Areva SA)は10月25日、P.バラン会長の後任人事として、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)の長官経験者であるヤニック・デスカタ氏(=写真)を、前日の理事会で全会一致で指名したと発表した。デスカタ氏は、11月13日に開催される総会で正式に会長職に就任する。アレバ・グループは2014年に48億ユーロ(約5,800億円)という巨額の損失を計上した後、仏国大統領の決定に従い2015年から大規模な再編計画が開始された。その結果、2017年に原子炉機器と燃料の設計・製造、関連サービス部門がフランス電力(EDF)に売却されて「フラマトム社」となったほか、ウランの採掘・濃縮・転換および使用済燃料の再処理を中核とする燃料サイクル部門は「オラノ社」として再出発した。残ったアレバ社(Areva SA)は100%仏国政府の所有となり、フィンランドで長期化しているフラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)のオルキルオト3号機(OL3)建設プロジェクト等にあたっている。発表によると、同グループの再編が完了しOL3も完成に近づいていることから、バラン会長は今後、同社の非常勤理事に退くほか、オラノ社の会長職などその他の職務に集中する方針である。デスカタ氏は仏原子力産業界で30年以上の経験を積んでおり、エリート養成機関の1つである国立理工科大学卒業後、産業省の原子力発電所建設検査事務局長などを経て、1995年のCEA長官就任をはじめ、CEAが9割出資するテクニカトム社、EDFなどで要職を歴任。2003年から2013年までは、仏国立宇宙研究センター(CNES)の理事長を務めていた。(参照資料:アレバ社(仏語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 28 Oct 2019
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トルコの視点
本稿は、東京のMathyos社のトム・オサリバン氏によるゲスト投稿である。2015年4月2日、日本外国特派員協会(FCCJ)の記者会見でアフメット・ビュレント・メリチ駐日トルコ大使が「中東における最近の動向とトルコの視点」という演題で講演を行った。以下は同会見に出席したオサリバン氏による内容の紹介である。トルコの原子力計画トルコの新規原子力発電プロジェクトでは外国企業が発電所を建設・所有・運転(BOO)することとなっている。そうした計画を促進するに際してはトルコ政府が果たす役割が重要なものとなる。トルコの原子力発電計画におけるBOOは、英国において自由化市場の中で新規原子力を開発する際に採用された方式(例えば、ヒンクリー・ポイントC発電所の方式)と類似している。トルコ方式では、原子力発電所が運転開始した以降の一定の期間、その発電電力量の一定割合については電力売買契約で原子力発電所の所有者からの買電を保証した上で、さらに残りの電力量は所有者がトルコ電力市場で売電し追加で収入を得ることができる。トム・オサリバン氏は、トルコの原子力発電の必要性について説明した駐日トルコ大使による先週の東京での講演内容について以下の通り報告している。トム・オサリバン氏の報告昨日、筆者は記者仲間と共に、FCCJで駐日トルコ大使のアフメット・ビュレント・メリチ氏と過ごす機会に恵まれた。世界のエネルギー供給を考える場合、トルコはエネルギー輸送上、最も重要な経由国の1つであり、この機会はとても喜ばしく時宜を得たものであった。メリチ大使は、中東における地政学的最新状況について講演し、幸いにも、トルコのエネルギー事情、ならびに地中海や欧州への石油・ガス供給の経由国としてトルコが果たす重要な役割について長い時間を割いて話された。大使は駐日大使に就任される前、イスラエル、イラン、およびウクライナで勤務されていた。また駐日バーレーン大使も昨日の会見に出席し議論に参加された。トルコの名目GDPは、日本の5分の1であり、1人当たり名目GDPは、1万1,000ドル(日本の約3分の1)である。日本とトルコ間の年間貿易額は、約40億ドルと、それほど多くない。トルコは、NATOのメンバーである。日本は、トルコに対してこれまで累計約40億ドルの融資・無償資金援助を提供している。トルコの資源別エネルギー消費量は、石油は日量約80万バレル((これは、以前の数字から訂正された))(日本の石油消費量の約4分の1)、天然ガスは年間450億m3(日本の天然ガス消費量の約40%)、また、石炭は年間約1億トン(日本の石炭消費量の約50%)である。以下はトルコのエネルギー開発に関して筆者(トム・オサリバン)が要約したものであり、大使の見解を必ずしも反映していないかもしれない。今週は、以下の3つの理由からトルコにとって極めて重要な週だった。まさに前夜、国連安全保障理事会常任理事国5か国とドイツはイランとの間で原子力・制裁協定を締結した。トルコはイランと500 kmにわたり国境を接しており、イランはトルコの主要な石油・ガス供給国の1つである。この協定によって、イランに対するEU、米国および国連の金融・エネルギー制裁が段階的に撤廃される可能性がある。ブレント原油価格は、今朝すでに2ドル/バレル下がった。トルコは今週、過去数十年で最悪の停電を経験し、イランとの隣接県を除くすべての県が影響を受けた。トルコ議会は今週、黒海沿岸に日仏企業連合の原子炉4基を総額約200億ドルで建設することを承認した。一方ロシアは地中海沿岸に4基の原子炉を総額200億ドルで建設する予定である。これにより新規原子炉建設に関してトルコは中国に次ぐ世界2番目の地位を占めることになる。トルコ東部国境はシリア、イラク、イラン、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジアと接しており、西部国境はブルガリア、ギリシャと接している。トルコは地政学的に見て、今最も課題が多く難しい地域に位置している。中東(マグレブを除く)の人口は、3億7,100万人で、1990年から2010年にかけ61%増加しており、人口増加率が世界で最も高い地域の1つである。トルコは現在、170万人のシリア難民を受け入れており、これまでの受け入れ費用は53億ドルに達している。推定ではさらに1,100万のシリア人が大規模な人道的支援を必要としている。トルコは、エネルギー資源に乏しく、国内産の石油・ガスの供給量はわずかであり、石炭資源のほとんどは、無煙炭である。トルコへの主要なエネルギー供給国は、ロシアとイランの2か国であるが、両国とも現在、制裁措置を受けている。トルコは、石油とガスの供給国数を増加させ、民生用原子力発電所を建設し、再生可能エネルギー・ポートフォリオを拡大させることで、エネルギー安全保障を確保向上させ多様化させることを政策目標としている。日本と同様、トルコは地震国であり、原子力施設の建設には様々な課題がある。国内消費用の石油とガスの全量は、ロシア、イラン、およびカスピ海沿岸地域からパイプラインを通して輸入されている。トルコのボスポラス海峡経由で、ロシアとカスピ海沿岸地域から欧州向けに1日当たり約350万バレルの石油がタンカー輸送されている。ボスポラス海峡は、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、スエズ運河に次いで世界で4番目に過密な輸送通路である。トルコの地中海港湾都市ジェイハンは引き続き、欧州に輸出される中東の石油とガスの主要な通過地点となっている。クルド人情勢は引き続き、トルコにとって重大な外交上の難題である。EU加盟に関する交渉は続いているが、トルコとEUの双方の関心が薄れてきており、交渉は現在、ウクライナ/クリミア危機によってさらに複雑化している。トルコは引き続き、ロシアによるクリミア侵入に反対している。石油価格の低下はトルコにとって好ましく、これにより中東輸出国は、経済の多角化を促される可能性がある。イラクとシリアの国境は、この地域の歴史的な民族・宗教構成を反映させて今後はもっと柔軟性を持って風通しの良いものにする必要があるかもしれない。お問い合わせ先:Tom O’Sullivan : +1 (202) 370-7713 tomosullivan@mathyos.com PDF版
- 06 Apr 2015
- STUDY
