キーワード:新規建設
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川内発電所 廃棄物搬出設備の運用を開始
九州電力は6月3日、川内原子力発電所(PWR、89.0万kW×2基)で設置工事を進めてきた「廃棄物搬出設備」の工事が完了し、運用開始したことを発表した。同設備は、原子力発電に伴って発生する低レベル放射性廃棄物のうち、雑固体廃棄物と呼ばれる金属類などを、安全かつ効率的に処理・搬出するためのもの。「圧縮固化処理棟」と「固体廃棄物搬出検査棟」から構成され、廃棄物を圧縮した後、モルタルで固化し、「充填固化体」として搬出する仕組み。年間約1,500本のドラム缶を処理する計画だ。搬出先は、青森県六ケ所村にある日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターで、2027年度以降の搬出開始を予定している。なお、液体の低レベル放射性廃棄物については、川内原子力発電所の運転開始当初から固化設備を導入し、アスファルトで均質・均一に固化した上で搬出を行ってきた。今回の新設備の導入により、固体廃棄物についても、発電所のサイト内で充填固化体として搬出できるようになり、廃棄物の処理体制が強化される。九州電力は運用を開始するにあたり、「地域の皆さまに安心し、信頼していただけるよう、引き続き、低レベル放射性廃棄物の計画的な搬出に取り組んでまいります」とコメントしている。
- 04 Jun 2025
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原産協会・増井理事長 年次大会を総括
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は5月30日、定例の記者会見を行い、4月に開催された「第58回原産年次大会」の総括をはじめ、最近の海外出張の報告や今後の取組みについて説明した。増井理事長はまず、4月8日、9日に開催された原産年次大会の総括が30日に公表されたことを受け、その概要を報告。「原子力利用のさらなる加速―新規建設の実現に向けて」を基調テーマとして掲げた同大会について、「安定したサプライチェーンと人材確保、国による明確なビジョンと戦略が不可欠という認識が改めて共有された」と総括した。さらに、海外登壇者を招いたセッションでは、海外の成功事例や教訓を踏まえた課題と対応策の議論を通じて、「新規建設の重要性を改めて発信する機会となった」と振り返った。記者から、「国内外の若手技術者による講演や、学生パネリストを交えたグループディスカッションに特に大きな盛り上がりを感じたが、この熱気をどのように一般の人に伝えていくか」と問われたのに対し、増井理事長は、「当協会が長年実施している出前授業が果たす役割は大きい。エネルギー問題への関心が高まるような施策を、これからも進めていきたい」と今後に意欲を示した。 また、増井理事長は、4月15日~17日にカナダ・オタワで開催されたカナダ原子力協会(CNA)の年次大会に参加。さらに、4月29日~30日に韓国・ソウルで開催された「第40周年記念韓国原子力産業協会(KAIF)年次大会」にも出席し、それぞれの参加概要を報告した。韓国では、日本の原子力発電の現況を発信するとともに、国際展開を志向する会員企業を海外企業に紹介したことなどを説明した。このほか、中国核能行業協会(CNEA)主催の「中国原子力開発フォーラム―2025年国際サミット春(CNESDS)」や、同時開催された「第16回中国原子力産業国際展示会(CIENPI)」にも参加。JAIFブースの出展に加え、CNEA協力のもと、中国の原子力関係施設への視察を行ったことも明らかにした。
- 02 Jun 2025
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電気事業連合会 新CMを公開
電気事業連合会は、5月20日、俳優の今田美桜さんが出演する新テレビCM「電気とひとの物語・冷蔵庫あけたら」篇、「電気とひとの物語・この撮影も」篇(各30秒)を、全国で放映開始した。また、5月27日から、新Webムービー「伝わるのは今だ-episode1-」の配信をスタートさせている。先行して公開されたテレビ CM では、日常のなかにある電気のありがたさや、そこに込められた人の思いをやさしく伝える内容となっている。新Webムービーでは、今後の電力需要の増加を見据え、CO₂を排出しない原子力や再生可能エネルギーの活用、火力の脱炭素化といった課題への取り組みを、ドラマ仕立てで紹介。日本のエネルギー自給率が約15%と低い現状を背景に、各電源をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」の重要性を訴える内容となっている。今田さんがシリアスな表情を崩さずに、若干強引気味に説明するシーンがコミカルで、SNS上では早くも話題になっているようだ。Webムービーの最後には「エネルギーのこと、知ってほしいのは今だから」というメッセージが添えられており、若い世代をはじめ、多くの人にエネルギー問題を身近に感じてもらいたいという思いが込められている。また、電事連では安全性を最優先に、「安定供給」「経済効率性」「環境への適合」の3要素を同時に満たす「S+3E」の実現を掲げており、新しいテレビCMとWebムービーを通じて、こうした取り組みを伝えている。
- 28 May 2025
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島根2号機 長期施設管理計画を認可
中国電力は5月21日、運転中の島根原子力発電所2号機(BWR、82.0万kWe)に係る「長期施設管理計画」が、原子力規制委員会(NRA)から認可されたと発表した。同機は、2024年4月に、高経年化技術評価制度に基づき長期運転に関する認可を受けた。その後、原子炉等規制法の改正に伴い、運転開始から30年を超えて原子力発電所を運転する場合、経年劣化に関する評価を行い、今後実施すべき具体的な保全活動をとりまとめた長期施設管理計画を申請し、原子力規制委員会から認可を受けることとなった。今回は、原子力規制委員会が2025年5月14日までに行った審査内容に基づく補正を経て、正式に認可されたもの。島根2号機は1989年2月に営業運転を開始。すでに運転開始から36年が経過しており、長期施設管理計画の対象期間は、制度施行日である2025年6月6日から、運転40年目を迎える前日である2029年2月9日までとなっている。
- 22 May 2025
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次世代革新炉の建設を検討 九州電力
九州電力は、5月19日、2035年度までの長期経営計画を説明する記者会見の場で、従来の原子力発電所より安全性を高めた「次世代革新炉」の開発・建設を検討することを発表した。6月に代表取締役社長に就任予定の西山勝取締役常務執行役員は、「原子力を検討していくことは、エネルギー事業者として必須。ただ、具体的に検討していくためには、(資金調達など)さまざまな前提条件が揃わなくてはいけない」と説明し、慎重に判断する姿勢を示した。同社は現在、川内原子力発電所1・2号機(PWR、89.0万kWe×2基)と玄海原子力発電所3・4号機(PWR、118.0万kWe×2基)の計4基を所有、運転している。政府が2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、廃炉を決めた原子力発電所の代替として、同一事業者が発電所のサイト内に新設することを「建て替え」として容認。玄海原子力発電所1・2号機(PWR、55.9万kWe×2基)の廃炉を進める同社にとって、新設への道が開かれた形となっていた。具体的な新規建設サイトへの言及はなかったが、川内原子力発電所3号機(APWR、159.9万kWe)の建設予定サイトが次世代革新炉の設置場所の候補とみる向きも多い。
- 20 May 2025
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【第58回原産年次大会】サプライチェーンの課題と対応 海外事例に学ぶ
第58回原産年次大会・セッション2「新規建設に向けて:海外事例に学ぶサプライチェーンの課題」では、既設炉の運転再開の遅れや長期に亘る新設の中断により、厳しい状況にある国内サプライチェーンの課題と対応について、海外の良好事例や教訓から、新設プロジェクトを円滑に進めるための方策を探った。モデレーターの伊原一郎氏(電気事業連合会)は冒頭で、日本のサプライチェーン確保と強化に向けた取組みを紹介。第7次エネルギー基本計画で原子力の最大限活用と次世代革新炉へのリプレースの必要性が示されたが、新規建設が長らく途絶え、震災後は定期点検やOJT機会の減少により、電気事業者、メーカー、サプライヤーは、プラントを実際に触りながら学ぶ機会を喪失。有能な技能者が45%減となるなど、技術力の継承・維持の面で影響が顕在化し、取替え部品の供給途絶や、サプライチェーンの劣化に直面していると指摘。一方で、建設には一定のリードタイムが必要であることを考慮すると、今すぐに新設に着手する必要があるため、海外の経験や良好事例を学び、日本の原子力産業界が活力を維持できるような、政策を考えていきたいと語った。続いて、米原子力エネルギー協会(NEI)のジョン・コーテック氏は、米国での原子力への関心の高まりの背景に、原子力が脱炭素電源であることに加え、電化だけでなく、AI関連の需要増により、2029年までの5年間の電力需要成長予測がこの2年で5倍増になったと紹介。この急激な需要増に原子力は対応可能であり、新設には連邦や州政府レベルでの税額控除や融資保証などの各種支援も原子力への追い風になっていると説明した。また、A.W.ボーグル原子力発電所(3、4号機、各AP1000)建設でのオーバーラン(工期遅れ、予算超過)の経験を踏まえ、設備・機器によっては、海外での調達も選択肢にあると述べた。フランス原子力産業協会(GIFEN)のアガット・マルティノティ氏は、同協会CEOのオリビエ・バード氏のビデオ・メッセージによるフランスの原子力開発の最新状況の報告に続けて、人材の訓練、採用、産業支援の取組みとして、フランスの原子力プログラムの復活に関連するニーズを定量化し、原子力プログラムのギャップ分析を行うため、約100社と協力してMATCHプログラムを開発したと紹介。今後10年間で必要となるフルタイムの労働力の定量化評価の結果、年25%の増強が必要であると判り、これを20の分野と約100の主要な専門職に細分化、原子力専門職大学で特に重視されているスキルが優先的に身につくように計画を立てる、と説明した。韓国原子力産業協会(KAIF)のノ・ベクシク氏は、韓国の最新の原子力開発状況や計画を紹介。なお、韓国では原子力発電が始まって以来、約1. 8年に1基のペースで継続的に建設・運転しており、現在、1,100を超える企業が原子力産業全体のサプライチェーンに参加していると言及。サプライチェーンの安定確保には、一貫性と予見可能性のあるエネルギー政策が重要であるとの見解を示した。有能な人材確保や投資環境の整備、許認可プロセスの合理化も不可欠であると同時に、サプライチェーンは一国だけの資産ではなく、原子力産業の促進のための世界共通の資産と捉えるべきであると強調した。日立製作所の稲田康徳氏は、日本電機工業会の原子力政策委員会の前委員長を務めた立場から、撤退・縮小を表明するサプライヤーが顕在化する状況を俯瞰するとともに、日立製作所の取組み事例を紹介。自社内での活動として、一般産業用工業品採用(CGD)、サプライヤーが撤退した製品の内製化、GE日立のSMR建設プロジェクトの機会を活用した国内製造の機会創出の取組みのほか、パートナーサプライヤーとコミュニケーション強化を図り、予備品や製造中止製品のデータの共有、経済産業省の支援事業の活用などを説明した。サプライチェーンの維持には、既設炉のメンテナンスやリプレースが必要であり、その事業予見性を高めるため、政府による支援事業の適用拡大に期待を寄せた。後半のパネル討論は、日本のサプライチェーンの立て直しのため、海外事例から具体的に学ぶ機会となった。打開策を問われたコーテック氏は、米国での多くの建設プロジェクトの機会を活用して、パートナーシップの構築、さらには投資に繋げていくことへの期待を示した。マルティノティ氏は、プロジェクトオーナーと早期段階から対話を開始し、作業量やリソースの計画をたて、リスク軽減と準備の度合いを高めることが重要であると述べた。ノ氏は、韓国の経験上、企業は投資リスクが低く、ビジネス機会を条件にサプライチェーンに参加するため、新規建設や運転再開の計画を明確に示すことが重要であると指摘した。また、韓国内では受注機会が少なく、海外市場を開発したことがサプライチェーンの強化に繋がっていると述べた。海外サプライヤーとの国際協力への対応については、コーテック氏は、米国では、非安全系で量産系の機器については北米だけでなく世界全体を対象にCGDを実施しており、今後それが加速するとの見通しを示した。マルティノティ氏は、フランスでは、サプライヤーの資格認定の標準化を図ろうとしており、専門家同士によるベストプラクティスの共有を提案。ノ氏は、韓国水力・原子力会社(KHNP)にサプライヤー登録制度があり、いったん登録されれば、国内外の原子力発電所に機器を納入でき、国際的に認められた規格基準に則り、海外市場にも参画しやすくなると説明した。人材育成について、コーテック氏は、原子力業界に入ればこの先何十年と良い生活が保障されているとアピールし、人材を惹きつけるNEIの取組みについて紹介した。加えて、大学を含め、徒弟制度のような教育制度を採用する機関に対して、原子力業界に入ってもらえるようなプログラム作りの支援の実施や、コミュニティでデジタルツールを駆使した求人募集活動を行い、実際、原子力業界に応募する人が増えたという実績を紹介した。マルティノティ氏は、現場での必要なトレーニングから逆算して、早い段階からプログラムを作り、適材適所なスキルを持った人材を適切なタイミングで確保することに尽きると強調。ノ氏は、韓国では運転保守は問題ないが、特に中小のメーカーがその採用段階から苦労している現状を踏まえ、政府による支援プログラムのほか、KAIFも中小企業対象向けに、経験者採用にあたって補助金を支給する支援プログラムや、トレーニングプログラムを独自で実施していると紹介した。プロジェクトマネジメントについてコーテック氏は、既設炉の運転コストを2012年比で30%以上下げたNEIの取組みを紹介。平均の定検期間は2000年代初めに44日であったが、現在は31日に短縮化されたという。米国では定検期間中、かなりの人数の応援部隊がサイトを巡回するが、教訓を共有する文化が重要だと語った。マルティノティ氏は、時間が経っても設計が安定していることが重要であり、プロジェクト管理も一貫性を持たせて効率アップを図るとともに、手戻りが生じないように品質管理を重視する必要性を訴えた。ノ氏は、KHNPが国内、海外プロジェクト向けに、プロジェクト管理組織を持ち、建設会社やメーカー、設計会社を含めて、総括的な管理・調整を実施し、うまく機能してきたと紹介した。最後にモデレーターの伊原氏は、日本の原子力産業界にとり非常に多くの有益な助言をいただいたと述べ、これを活かして次の世代に繋げる産業基盤を作っていかなくてはならない、とセッションを締め括った。
- 09 Apr 2025
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【第58回原産年次大会】原子力新設に向けた課題 欧州の事例を踏まえ議論
大会初日の午前中に開催されたFireside Chatでは、午後のセッション1、2で議論する原子力発電所の新設に向けた資金調達やサプライチェーン上の課題について、問題提起と欧州の事例に基づく課題共有が行われた。Fireside Chatとは、暖炉脇での会話を想起させるリラックスした雰囲気で行われる対話形式のトークイベント。原産年次大会では初めての試みであり、その後のセッションへの橋渡しとして実施された。初日の登壇者は、フラマトムジャパン株式会社のピエール・イヴ コルディエ代表取締役社長と日本原子力産業協会の増井秀企理事長。増井理事長は冒頭、日本の原子力産業の現状に触れ、2025年2月18日に策定された「第7次エネルギー基本計画」に関し、特に日本の原子力産業界が注目する重要な変化として、「原子力依存度の低減」から「原子力の最大限の活用」へと表現が改められ、既設炉の活用に加え、「新規建設」にも明確に言及されたことを挙げた。コルディエ氏は、欧州における原子力の現状について解説。欧州では130基以上の原子炉が稼働しており、世界全体の約3分の1に相当する規模を有している。近年では原子力への関心が再び高まり、新規導入や既存炉の運転期間延長が広く検討されていると述べ、欧州全体で原子力活用のモメンタムが拡大していると指摘した。コルディエ氏は、在英フランス大使館勤務時に関わった英国ヒンクリーポイントCやフィンランドのオルキルオト3号機のプロジェクトを例に挙げ、欧州の原子力プロジェクトがEUの政策動向に大きく左右される点を指摘した。特に環境上の持続可能性を備えたグリーン事業への投資基準 である「EUタクソノミー基準」をめぐっては、原子力を推進する国々と、反対する国々の間で激しい議論があったが、最終的に原子力は2023年1月1日付でEUタクソノミーに含まれ、グリーンファイナンスの活用が可能となったことを紹介。休眠中のプロジェクト再活性化への期待を示した。日本における資金調達課題について増井理事長は、⽇本では原子力産業が民間事業であり、電力市場自由化が進んでいることから、新たな長期的投資回収が難しくなり、金融機関からの融資を受けることが困難である現状を説明。かつて存在した「レート・オブ・リターン(総括原価方式)」の仕組みがなくなったことで、原子力プロジェクトの資金調達環境が厳しくなっていると述べた。コルディエ氏は、欧州で採用されている多様な資金調達スキームの事例として、ヒンクリーポイントCで導入された「差金決済取引(CfD)」、英サイズウェルCに適用予定の「規制資産ベース(RAB)モデル」、フランスの改良型欧州加圧水型炉(EPR2)6基の建設プロジェクトにおける低利の政府融資とCfDの組み合わせを紹介した。また、欧州のプロジェクトで課題となった建設遅延やコスト超過についても触れ、その主要因としてサプライチェーンと人材の準備不足を指摘。こうした課題に対応するため、フランス電力(EDF)とフラマトムは2020年から2023年にかけて、プロジェクト管理やサプライチェーン標準化などを推進する「エクセル・プラン」を実施し、これにより改善が見られたと評価した。さらに、原子力産業が若年層に対して魅力あるキャリアとして欧州で再評価されていることを紹介。英国ヒンクリーポイントCでは、約8,000人の若者がスキル訓練を受け、地域の若年人口が大きく増加。また、フランスでは、高度な技能を持つ人材を育成するため、エクセル・プランの一環として、溶接訓練機関や原子力のための大学University for Nuclear Professionsが設立され、着実に成果を上げていると述べた。最後に増井理事長は、原子力の新設プロジェクト成功のカギとして「ファイナンス」「人材」「サプライチェーン」の3点を挙げ、欧州の経験から学ぶべき多くの教訓があると総括。コルディエ氏もこれに同意し、適切な制度設計と体制整備が整えば、日本においても”On Time, On Budget”での原子力新設が実現可能であると展望を語った。
- 09 Apr 2025
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【第58回原産年次大会】新規建設へ向けたファイナンスを議論
第58回原産年次大会・セッション1「新規建設に向けて:資金調達と投資回収」では、新規原子力プロジェクトを推進するための資金調達・投資回収スキームに関する課題や方向性が議論された。モデレーターの樋野智也氏(有限責任監査法人トーマツ)は冒頭で、第7次エネルギー基本計画において原子力発電所の新規建設推進が明記されたことを受け、その実現のためには事業リスクを官民で明確に分担し、事業環境の予見性を高める必要性があると強調した。また、長期脱炭素電源オークション制度の課題として、建設期間中の想定外コスト(設計変更、部品調達問題)や廃炉費用の不確実性、資本コストの上昇リスク、市場収益の約9割を還付するルールに伴う未回収リスク、供給力提供開始期限(17年)超過による収入減少などを具体的に指摘した。ファイナンス面では、東日本大震災以降の電力会社の信用力低下やGX投資負担増大が、資金調達リスクを高めていることを説明し、コスト回収面の施策と合わせて債務保証、低利融資、官民のリスク分担、資金調達多様化、建設期間中の資金回収を可能とする仕組みの整備などの制度措置が必要と提言した。続いて、ハントン・アンドリュース・カースのジョージ・ボロバス氏は、米国の事例を中心に、原子力プロジェクトの資金調達方法を紹介。特にA.W.ボーグル原子力発電所の建設費が320億ドルに達した例を挙げ、プロジェクトマネジメント能力の重要性に触れながら、シリーズ建設を提案。民間の投資を活用し、政府が積極的な支援策を提供することが重要だとした。また、米国政府による政権を超えた原子力支援策や、小型モジュール炉(SMR)に対するGoogle社やAmazon社など大手IT企業からの投資が活発化している現状を紹介し、民間企業の参加は既存発電所の再稼働プロジェクトの成功にも大きく寄与すると指摘した。英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省のマーク・ヘイスティ-オールドランド氏は、英国の原子力政策について説明。英国政府は2050年までに原子力発電容量を2,400万kWに拡大する目標を掲げ、SMRを含めた原子力発電の開発を「Great British Nuclear(GBN)」を通じて推進していることを示した。特に「規制資産ベース(RAB)」モデルを採用するまでの歩みを説明しながら、建設期間中から投資回収を可能にする制度的メリットを強調した。また、核燃料サイクルの安全保障確立や、ロシア・中国依存を低減する取り組みが英国の原子力政策の重要な柱であると述べた。日本経済団体連合会の小野透氏は、産業界の視点から原子力の重要性を指摘。特に地域間の電気料金差(北海道と九州の差が月間10億円規模)が、企業の国内投資判断に大きく影響していると具体的な数字を示した。また、経団連が行ったアンケート結果(再稼働支持率9割、新増設支持率7割)を紹介し、第7次エネルギー基本計画により支持がさらに拡大する可能性を示唆した。さらに、原子力損害賠償における無限責任制度の見直しも提案した。みずほ銀行の田村多恵氏は、銀行や社債市場を通じた電力会社の資金調達について資金供給者の視点を示し、金融機関がファイナンスの対応意義、事業の継続性、キャッシュフローの安定性等を重視していることを説明した。また、継続的に原子力建設プロジェクトを実施することが、コストの上振れリスクの軽減につながると述べ、金融機関が資金供給できる事業環境整備の重要性を主張した。最後に経済産業省資源エネルギー庁の吉瀬周作氏は、国内の電力需要が今後も増加傾向にあり、脱炭素電源(原子力含む)の増強が不可欠だと具体的な数値を示して説明した。そして、2040年における原子力シェアを約2割とする方針を再確認し、海外の事例を参考に、日本の投資回収予見性を高める制度整備が必要だと強調した。後半のパネル討論では、こうした課題を踏まえた具体的な解決策や政策的対応が議論された。樋野氏はまず、米国における原子力プロジェクトの将来展望や、自由化市場における原子力発電の資金調達リスクについてボロバス氏に質問。ボロバス氏は、自由化市場で原子力プロジェクトを成功させるためには、長期的な収益予測可能性を高めることが重要であり、特に政府が支援の仕組みを作ることが必要になると強調した。一方、英国のRABモデルの詳細についてオールドランド氏は、英国では運転終了後の廃炉費用をあらかじめ計画に組み込み、投資回収を安全かつ透明に行う仕組みを導入していると指摘。これが金融機関や投資家のバックエンドに関する懸念を和らげ、安定的な資金調達を可能にしていると述べた。日本の制度設計に関連し、原子力産業におけるサプライチェーン維持の重要性と国のリーダーシップの必要性について問われた小野氏は、明確な原子力政策の提示がサプライチェーンの維持・強化に不可欠であり、特に最終処分場の選定などバックエンド問題に関し、国の積極的な関与を求めた。田村氏はファイナンス支援の必要性について問われ、公的信用補完に触れながら、個別プロジェクトの投資回収予見性だけではなく、事業者が継続的に投資できる環境が必要であり、それを支えるファイナンス側も継続的に資金提供できるような制度支援が必要だと強調した。リスク分担や投資回収の予見性をどのように制度設計に反映させるか問われた吉瀬氏は、初号機だけでなくシリーズ建設していくという考え方が参考になったとし、モラルハザードを防ぎ、コストダウンのインセンティブを取り入れながら、社会全体でリスクとコストをどう分担するか、これらのバランスを慎重に検討していることを明らかにした。セッション1では質疑応答を通じ、海外の先進事例を参照しつつも、日本固有の事情を踏まえた制度設計が求められることが明確となった。また、原子力への国民理解促進に向けた情報発信の重要性についても意見が交わされ、「情報を取りに来る層への情報発信は充実しているが、情報を取りに来ない層に対する発信が課題」とし、産業界、政府、金融機関の連携が強調された。最後にモデレーターの樋野氏は、原子力発電が安定供給とエネルギー安全保障、脱炭素社会の実現に不可欠であることを再確認した上で、制度設計の遅れは産業界に大きな損失をもたらすため、迅速な対応が必要だと指摘した。また、米英の先進事例を日本の実状に適切に修正・適用しつつ、単発のプロジェクトに終わるのではなく、継続性をもった長期的な取り組みの重要性を強調した。さらに、国民理解を促進するためには丁寧なコミュニケーションが必要であり、産業界、政府、金融機関が一体となって取り組みを進めていくことが求められると結論付けた。
- 08 Apr 2025
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原文財団「原子力に関する世論調査」の最新版を発表
日本原子力文化財団はこのほど、2024年の10月に実施した「原子力に関する世論調査」の調査結果を発表した。18回目となるこの調査は、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握することを目的として実施している。なお、同財団のウェブサイトでは、2010年度以降の報告書データを全て公開している。今回の調査で、「原子力発電を増やしていくべきだ」または「東日本大震災以前の原子力発電の状況を維持していくべきだ」と回答した割合は合わせて18.3%となった。一方、「しばらく利用するが、徐々に廃止していくべきだ」との回答が39.8%となり、両者を合わせると原子力の利用に肯定的な意見は過半数(58.1%)を超えた。このことから、現状においては、原子力発電が利用すべき発電方法と認識されていることが確認できる。一方、「わからない」と回答した割合が過去最大の33.1%に達し、10年前から12.5ポイントも増加していることが明らかになった。「わからない」と回答した理由を問うたところ、「どの情報を信じてよいかわからない」が33.5%、「情報が多すぎるので決められない」が27.0%、「情報が足りないので決められない」が25.9%、「考えるのが難しい、面倒くさい、考えたくない」が20.9%となっている。この「わからない」と回答した割合はすべての年代で増加しているが、特に若年世代(24歳以下)の間で増加傾向が高かった。また、同調査は、「原子力やエネルギー、放射線に関する情報源」についても分析を行っている。その結果、若年世代(24歳以下)は、「小・中・高等学校の教員」(27.2%)を主な情報源として挙げており、また、SNSを通じて情報を得る割合が、他の年代と比較して高いことがわかった。原文財団では、若年世代には、学校での情報提供とともに、SNS・インターネット経由で情報を得るための情報体系の整備が重要だと分析している。また、テレビニュースは年代を問わず、日頃の情報源として定着しているが、高齢世代(65歳以上)においても、ここ数年でインターネット関連の回答が増加している。「原子力という言葉を聞いたときに、どのようなイメージを思い浮かべるか」との問いには、「必要」(26.8%)、「役に立つ」(24.8%)との回答が2018年度から安定的に推移している。「今後利用すべきエネルギー」については、2011年以降、再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱)が上位を占めているものの、原子力発電利用の意見は高水準だった2022年の割合を今も維持していることがわかった。再稼働については、「電力の安定供給」「地球温暖化対策」「日本経済への影響」「新規制基準への適合」などの観点から、肯定的な意見が優勢だった。しかし、再稼働推進への国民理解という観点では否定的な意見が多く、再稼働を進めるためには理解促進に向けた取り組みが必要であることが浮き彫りとなった。また、高レベル放射性廃棄物の処分についての認知は全体的に低く、「どの項目も聞いたことがない」と回答した割合が51.9%に上った。4年前と比較しても、多くの項目で認知が低下傾向にあり、原文財団では、国民全体でこの問題を考えていくためにも、同情報をいかに全国へ届けるかが重要だと分析している。
- 28 Mar 2025
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NEAマグウッド事務局長が来日 都市大で講演
OECD/NEA(原子力機関)のマグウッド事務局長がこのほど来日し、東京都市大学で講演した。講演会は同大とNEAが人材交流を目的にMOUを締結したのにあわせて開催された。マグウッド事務局長は、「次代を担う原子力:新たなチャンスと取り組むべき課題」と題し、次世代炉や小型モジュール炉(SMR)導入の展望に加え、原子力利用の加速に向けた資金調達や、規制の在り方、政策支援、市場環境、インフラ整備における課題と対策について、1時間ほど講演した。事務局長は、「2050年のカーボンニュートラル、世界の原子力発電設備容量を現在の3倍にするために、既存炉の長期運転、SMRの建設拡大、原子力の非電化用途の拡充など、同時並行で実施する必要がある。そのためには大きく4つの課題(サプライチェーン、法規制、政策と市場、インフラ整備)をクリアしなければならない」と述べた。特に今日の電力市場は、「長期的な環境対策とエネルギー安全保障が十分に考慮されておらず、出力調整可能なエネルギーに大きな価値がある」と指摘した。また、「各国政府がFOAK(初号機)リスクに対処するための政策の立案、新規原子力建設の資金調達を支援するための政府保証が重要であり、世界銀行のような国際金融機関が大きな役割を果たさねばならない」と語った。そして、「NEAでは、学生を対象としたさまざまなワークショップを各国で開催し、関係省庁や機関、そして産業界の専門家と科学技術について議論する機会を提供している。この講演に参加されている東京都市大学の学生の中にも、良いアイデアをお持ちの方がいるかもしれない」と述べ、学生の参画を促した。事務局長は、「長年にわたり原子力の仕事をしてきたが、原子力の評価は時代とともに変化してきた。私がこの世界に踏み入れた頃は、原子力は経済的に成り立たず廃れていく産業だと考える人が多くいたが、のちに原子力ルネサンスと呼ばれる時代が訪れた。しかし、福島第一原子力発電所の事故のような、業界内に大きな影響を与える出来事があり、そこから多くの教訓を学び、今に至っている。近年では多くの国が、原子力をエネルギーミックスの一部として取り入れるようになっており、今こそ原子力が本領を発揮する好機だ」と強く訴えた。
- 26 Feb 2025
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インド初の民間原子力会社が誕生へ
インドのN. シタラマン財務大臣は2月1日、2025年度(2025年4月~2026年3月)連邦予算を発表した。原子力発電設備容量を2047年までに少なくとも1億kWに引き上げるとともに、2,000億ルピー(約3,500億円)を投じて小型モジュール炉(SMR)の研究開発を推進する「原子力エネルギーミッション」を開始、2033年までに少なくとも国産SMR5基の運転開始をめざす方針を表明した。さらに、原子力法および原子力損害賠償法の改正を進め、民間部門との連携強化を図る考えだ。政府報道情報局(PIB)は2月3日、N. モディ首相名で同連邦予算における原子力発電に関する声明を発表した。声明では、原子力開発がエネルギーの安定供給確保や、化石燃料依存の低減に寄与すると述べ、自身が掲げる「先進インド構想(ヴィクシット・バーラト((バーラトは、ヒンディー語で「インド」の意味。)))」の目標に合致すると強調。長期的なエネルギー移行戦略の一環として、原子力を大幅に推進し、エネルギーミックスの主要な柱とする方針を示した。同声明のなかで、政府は今後、ヴィクシット・バーラトに向けた原子力エネルギーミッションを推進し、民間部門と連携して、以下の目標の達成をめざすとしている。- バーラト小型原子炉(BSR)の設置- バーラト小型モジュール炉(BSMR)の研究開発- 原子力エネルギーに関する新技術の研究開発このうち、BSRは22.0万kWの加圧重水炉(PHWR)で、従来のPHWRを民間向けに改良したものとされる。鉄鋼、アルミニウムなどのエネルギー集約型産業の拠点近傍に設置し、脱炭素化を支援する狙いがある。計画では、民間事業者が土地や資本等を提供し、インド原子力発電公社(NPCIL)が現行の法的枠組みのもとで設計や運転、保守等を担う。民間によるBSRの建設に向け、NPCILは2024年12月31日付けで提案依頼書(RFP)の募集を既に開始している。さらに新たな動きとして、インドのコングロマリットの「ナヴィーン・ジンダル・グループ(Naveen Jindal Group)」がこのほど、原子力企業のジンダル・ニュークリア・パワー(Jindal Nuclear Power)社を設立し、原子力分野への参入を発表したことが、複数のメディアで報じられている。それによると、ジンダル・ニュークリア社は、今後20年間で1.8兆ルピー(約3.2兆円)を投じて、BSRを含む先進技術を活用し、1,800万kWの原子力発電所を建設・所有・運転する計画だ。同社は、インドで初めて原子力発電分野に投資する民間企業となる。1962年原子力法は、民間部門による原子力発電参入を禁止しており、原子力省(DAE)傘下のNPCILとバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム社(BHAVINI、高速炉の建設と運転の事業者)の2つの国営企業に限定されていた。しかし、2015年の法改正により、インド国営火力発電会社(NTPC)のような政府系公社がNPCILと提携が可能となっていた。今回のジンダル・ニュークリア社の設立は、インドにおける原子力発電の新たな時代の幕開けを示している。
- 14 Feb 2025
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IEA 原子力投資の増加を予測 SMRに注目
国際エネルギー機関(IEA)は1月16日、報告書「原子力エネルギーの新時代への道(The Path to a New Era for Nuclear Energy)」を発表した。報告書は、世界的な電力需要の急増を背景に、政策支援や投資、小型モジュール炉(SMR)の技術開発などが原子力発電の成長を後押しする一方、コスト超過、プロジェクトの遅延リスク、資金調達などの課題に対処する必要があると指摘している。IEAは原子力について、24時間供給可能で大規模展開できる、クリーンで実証済みの電源・熱源であると評価、再生可能エネルギーを補完するとともに、エネルギー・セキュリティや排出量削減に寄与するエネルギー源であるとしている。<原子力発電の現況>2023年現在、原子力発電は世界の総発電電力量の約9%を占め、30か国以上で410基以上が運転中。水力発電に次ぐ第2位のシェアを誇る低排出電源である。IEAによると、現在、原子力3倍化に向けた取組みなど、40か国以上で原子力発電の利用拡大に向けた支援が行われており、原子力への関心は、1970年代の石油危機以来最高水準に達している。現在建設中の原子炉は63基、発電設備容量は7,000万kWを超え、1990年以降で最高水準の一つとなっている。また、ここ数年では、新規建設や既存発電所の運転期間延長の取組みも活発化しており、2025年には原子力発電量が過去最高を記録する見通しである。さらに、新規建設と既存発電所の運転期間延長の両方を合わせた、原子力への投資額は、2023年には約650億ドル(約10兆1,000億円)に上昇し、10年前のほぼ2倍の水準となった。一方で、IEAは、現在運転中の原子力発電所の70%以上が先進国に集中しているものの、平均運転年数が36年以上と比較的古く、原子力シェアも減少傾向にあると指摘。世界の原子力市場の勢力図が、中国をはじめとする新興国へと変化しつつあり、2017年以降に建設が開始された原子炉52基のうち、48基が中国(25基)またはロシア(23基)の設計であると分析した。また、現在建設中のプロジェクトの大半が中国で行われており、中国が2030年までに原子力発電設備容量で米国とEU(欧州連合)を上回るとの見通しを示している。IEAはまた、燃料供給に関するリスクにも言及しており、特にウラン濃縮については、世界の濃縮能力の40%をロシアが占めている現状を問題視。将来へのリスク要因であるとし、燃料分野におけるサプライチェーンの多様性を高める必要性を強調した。また、近年の米国やフランスなどでの大型炉建設における大幅な遅延やコスト超過などの課題も克服すべきとした。<原子力投資の見通し>IEAは、世界の原子力投資は今後増加すると予測しており、大型炉が主要な投資対象となる一方で、SMRが急成長する可能性に言及している。現行のエネルギー政策に基づく「公表政策シナリオ」(STEPS)では、SMRの発電設備容量が、2050年に4,000万kWに拡大すると予測。また、各国政府による誓約目標が期限内に完全に達成されることを想定した「発表誓約シナリオ」(APS)では、政府の支援強化により、2050年までに1,000基以上のSMRが導入され、総発電設備容量は1億2,000万kWに達するとの見通しを示した。これに伴い、SMRへの投資額も大幅な伸びが予想され、現在の50億ドル(約7,800億円)から2030年には250億ドル(約3兆9,000億円)を超え、2050年までに累計投資額は6,700億ドル(約104兆円)に達する見通し。IEAは、データセンター(DC)の拡大等を背景に、安定的で低排出な電源としてのSMRへの関心が高まっていると分析している。現在、DC向け電力供給として合計最大2,500万kWのSMR建設計画が進行中であるという。また、近年では10%未満にとどまっていた先進国の設計を採用する大型原子力プロジェクトの割合が、欧州や米国、日本での新規着工により、APSでは2030年までに40%に増加、その後は半数を超えると予測した。さらに、SMRの広範な導入により、2050年までに新規建設の60%以上が、米国または欧州の設計が採用されるとの見方を示した。但し、IEAは、SMRの成功と導入のスピードは、2040年までにコストを大規模水力や洋上風力と同水準にまで引き下げられるかどうかにかかっているとも指摘している。<原子力プロジェクトへのファイナンス>IEAは、APSでは、2030年までに原子力への年間投資額が1,200億ドル(約18兆7,000億円)にのぼると見ており、この投資の規模を考えると、公的資金に依存するだけでは不十分であり、民間投資の促進が不可欠であるとの見方を示している。一方で、原子力プロジェクトは、その規模の大きさや資本集約性、長い建設期間、技術的複雑さから資金調達が難しく、コスト超過や工期遅延が頻発しており、投資家にとって大きなリスク要因となっている。こうしたなか、IEAは、政府の支援が商業銀行による資金提供を後押しするカギと強調。予測可能なキャッシュフローの保証や建設リスクの政府負担が、プロジェクトの資金調達を容易にするとした。また、長期の電力購入契約や差金決済取引(CfD)、規制資産ベース(RAB)モデルといったリスク軽減策が、安定した資金調達を支える仕組みとして重要性が増しているとした。さらに、IEAは、新規の大型原子炉建設プロジェクトは、建設段階での資金調達が難しいとされる一方、既存発電所の運転期間延長プロジェクトは、運転中の資産を対象とするため、銀行からの資金提供を受けやすいと指摘。また、SMRについては、その規模の小ささから建設期間が短く、投資回収期間が従来型プロジェクトの半分程度に短縮される可能性があることから、投資コスト全体の大幅削減につながる可能性があるとした。また、昨今のグリーンボンドなどの環境金融商品が、新たな資金源として注目を集めており、原子力への資金調達の幅を広げる可能性も併せて指摘している。また、IEAは、原子力事故のリスクに関して、影響を十分に補償する体制を確保するとともに、原子力事業が持続可能に運営できる仕組みの重要性を強調。日本の原子力損害賠償法に言及し、例外的な事象による原子力事故を除き、原子力事業者に損害賠償責任を無制限に課す現行制度について、「大きな財務的テールリスク((統計的な分布における「尾(テール)」に該当するリスクを指す。発生確率は非常に低いが、発生した場合には甚大な影響を及ぼす可能性があるリスクを指す。))を伴う」と指摘した。 ※図表の入った詳細版を、こちらで公開しています
- 22 Jan 2025
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チェコ 2040年までに原子力シェア68%へ
チェコ政府は2024年12月20日、欧州委員会(EC)に「国家エネルギー・気候計画」(NECP)の最終文書を提出した。2033年までに電力や熱生産における石炭利用を全廃し、再生可能エネルギーとともに、原子力発電を拡大する方針を明示。原子力を、対外エネルギー依存の低減や脱炭素化戦略の重要な柱と位置付けた。NECPは、EU加盟国が脱炭素化やエネルギー効率、再エネなどの実施計画を含む、気候変動目標と行動を詳述した文書。今回チェコ政府は、再エネの総発電電力量に占める割合を現在の約12%から2030年には31%、2050年には52%まで引き上げるとともに、原子力は、現在の約40%から2040年には68%にまでシェアを拡大させる方針を表明した。原子力の増分は、大型炉と中小型炉(SMR)の導入により賄うとしているが、まずは、既存原子力サイトのドコバニ(VVER-440、51.0万kWe×4基)とテメリン(VVER-1000、108.6万kW×2基)での増設を優先させる。チェコ電力(ČEZ)は2024年7月、最大4基の増設プロジェクトの優先交渉者として、韓国水力・原子力(KHNP)を選定、今年3月末にも正式契約が調印されると見られている。現在、同プロジェクトの入札手続きについては、WE社が、韓国のAPR1000やAPR1400は同社の技術を組み込んでいると主張し、知的財産権と輸出管理をめぐってKHNPと係争中だ。こうしたなか、2025年1月9日、米エネルギー省(DOE)と韓国の産業通商資源部(MOTIE)は、昨年11月に仮調印していた、原子力輸出及び協力の原則に関する覚書(MOU)に正式調印した。今回、両国政府が、原子力輸出協力の意向を明確に示したことにより、両企業間の交渉が今後円滑に進む可能性を指摘する向きもある。NECPはまた、石炭火力全廃後の、特に2035年以降のSMRの役割を強調、石炭火力をSMRに順次リプレースすることにより、地域暖房を含めたSMRの活用方針を打ち出した。既にČEZは、SMR初号機の建設サイトとして、テメリン・サイト南西部を選定済みで、地質調査など建設準備作業が進められている。2024年9月には、チェコ政府とČEZがSMR供給者7社の中から入札によって、英ロールス・ロイスSMR社をSMRの建設プロジェクトの優先サプライヤーに選定。SMR初号機の運転開始は2030年代半ばを予定しているが、大型原子炉の建設状況次第では、最大300万kW導入する可能性もあるという。そのほか、ČEZは、国内2基目、3基目のSMR建設候補サイトとして、チェコ北東部のポーランド国境に近いジェトマロヴィツェ(Dětmarovice)と北西部のドイツ国境付近のトゥシミツェ(Tušimice)を暫定的に指定している。両地点とも、ČEZの石炭火力サイトである。
- 15 Jan 2025
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米政府 2050年原子力3倍化に向けたロードマップを発表
ホワイトハウスは、アゼルバイジャンのバクーにおける第29回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP29、11月11日~24日)会期中の11月12日、今後の同国の原子力発電拡大に向けた目標と行動を示した「米国の原子力を安全かつ責任を持って拡大する:展開目標と行動に向けた枠組み(Safely and Responsibly Expanding U.S. Nuclear Energy: Deployment Targets and a Framework for Action)」を発表した。同資料によると、米国が2050年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにするためには、出力規模でおよそ15億~20億kWのカーボンフリー電力が必要であり、このうちの約30~50%は原子力発電などのクリーンで安定した電源が必要、と分析。現在約1億kWが運転中の原子力発電については、2050年までにさらに2億kWを新規導入する目標を掲げ、これらを大型炉や小型モジュール炉(SMR)、マイクロ原子炉のさまざまなカテゴリーの、第三世代+(プラス)および第四世代原子炉の新規建設や既存炉の運転期間延長、出力増強、経済性を理由に閉鎖された原子炉の再稼働などでまかなうとしている。米政府はまた、より近い将来の目標として以下の、導入に向けた「時間軸」と「規模感」も併せて明記した。2035年までに3,500万kWの新規設備容量を稼働または着工し、原子力導入を活発化させる。2040年までに導入のペースを年間1,500万kWに拡大し、原子力導入能力を加速、国内外のプロジェクト展開を支援する。これらをふまえ米政府は、野心的な導入目標の達成に向け、国内の原子力導入を加速、拡大するための「9つの分野((①新規大型炉の建設、②SMRの建設、③マイクロ原子炉の建設、④許認可の改善、⑤既存炉の延長/拡大/再稼働、⑥労働力の育成、⑦コンポーネントサプライチェーンの開発、⑧燃料サイクルサプライチェーンの開発、⑨使用済み燃料管理))」を特定、個々の分野における「具体的な行動」を詳述した。具体的には、「新規大型炉の建設」や「SMRの建設」の分野では、①発電事業者に対する技術中立的クリーン電力生産税額控除とクリーン電力投資税額控除など、税額控除による原子力納入コストの削減、②エネルギー省(DOE)融資プログラム局(LPO)による、革新原子力プロジェクトや、閉鎖された化石燃料発電所を原子力発電所に転換するような、資産・インフラ転換への融資や融資保証の促進、③新規プロジェクトに対して電力会社とリスク分担が可能な電力需要顧客との連携――などを挙げた。そのほか、「既存炉の延長/拡大/再稼働」の分野では、2回目の運転認可更新(80年運転)申請に係る審査の効率化や、構造材料の継続的な健全性確保のための研究など、100年運転に向けた長期運転への備えを挙げている。さらに、経済性を理由に閉鎖した原子炉の再稼働の可能性を追求するなどとしている。
- 25 Nov 2024
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韓 新ハヌル3、4号機の建設許可発給
韓国の原子力規制機関である韓国原子力安全委員会(NSSC)は9月12日、新ハヌル3、4号機(PWR=APR1400、140.0万kW×2基)の建設許可を発給した。韓国における原子力発電所の新規建設は、2018年9月に着工したセウル4号機(PWR=APR1400、140.0万kW)以来。今後、新ハヌル3号機は2032年、同4号機は2033年までの完成をめざす。 新ハヌル3、4号機をめぐっては、韓国水力・原子力会社(KHNP)が2016年1月、NSSCに両機の建設許可申請を行ったが、当時のムン・ジェイン(文在寅)前大統領による脱原子力政策下で、2017年の「エネルギー転換(脱原子力)ロードマップ」と「第8次電力需給基本計画」に基づき、建設計画が一時白紙化されていた。2022年5月に就任したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の現政権下で両機の新設計画が復活した。今回の建設許可発給について、NSSCは約5年間の事業中断を加味し、建設許可に必要な書類の技術基準の適用日を最新の基準に変更して安全性を確認。NSSCは、原子炉設計の安全性のほか、建設サイト内の安全性についても審査し、その結果、安全性に影響を与えるような地震、陥没などの地質学的問題が発見されておらず、地震による津波が発生した場合でも想定される津波の高さに対し、安全を確保できる状況にあるとし、サイト内の安全は確保されていると結論付けた。 新ハヌル3、4号機は韓国製の第3世代の140万kW級PWR設計「改良型加圧水型炉(APR1400)」を採用し、すでに運転中のセウル1、2号機(旧名称:新古里3、4号機)、新ハヌル1、2号機(旧名称:新蔚珍1、2号機)および建設中のセウル3、4号機(旧名称:新古里5、6号機)を含めると、韓国国内における7、8基目のAPR1400となる。 海外では、韓国が初めて海外に輸出したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所で同設計(計4基)が採用されており、至近では4号機が9月5日に営業運転を開始し、全基が運転中となった。韓国では、国内外で原子力推進の動きが活発化しており、国内では、2024年5月、産業通商資源部(MOTIE)の諮問委員会が「第11次電力需給基本計画」の草案を発表し、そのなかで2038年までに大型原子炉3基と小型モジュール炉(SMR)1基の建設計画が盛り込まれたほか、同年6月にはユン大統領が、慶州市でのSMR産業ハブ創設計画を発表している。一方、海外では、KHNPが7月にチェコの増設プロジェクトの主契約者をめぐる優先交渉権を獲得、9月19日からユン大統領がチェコを訪問し、原子力分野の協力強化などについて協議が行われるとみられている。
- 20 Sep 2024
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既存サイトで6,000万kW以上の新設が可能 米DOE報告書
米エネルギー省(DOE)は9月9日、米国内で運転中または最近閉鎖された原子力発電所サイトで、6,000万kW~9,500万kWの新規建設が可能とする報告書「原子力発電所および石炭火力発電所サイトにおける新規原子力立地評価(Evaluation of Nuclear Power Plant and Coal Power Plant Sites for New Nuclear Capacity)」を公表した。この報告書は、DOE傘下のオークリッジ、アルゴンヌ両国立研究所の協力を得て、DOEの原子力局(NE)がとりまとめたもので、54の運転中および11の閉鎖済み原子力発電所サイトを評価。サイトの敷地面積や空中写真などの情報を用いて分析したことに加え、冷却水の利用可能性、人口密集地や危険施設からの距離、地震、洪水の可能性などの観点からも分析を行った。その結果、運転中および閉鎖済みの41サイトで新規原子力発電所の立地が可能であることが判明。AP1000のような大型軽水炉の場合、6,000万kW、60万kWの小型先進炉の場合では、9,500万kWの原子力発電設備容量が設置可能と評価した。報告書は、既存サイトへの新規建設の優位性として、地元コミュニティが、①既に原子力を支持している、②安全文化に精通している、③厳格な環境モニタリングが継続的に実施されていることを認識している――ことを挙げたほか、地元への環境面、雇用面、地域経済面での恩恵を強調した。そのほか、米国原子力規制委員会(NRC)に建設・運転一体認可(COL)を申請済みだが、実際の建設には至っていない17の原子炉についても評価を実施。その結果、2,400万kWの原子力発電設備容量の追加導入が可能と結論し、このようなサイトの活用は、許認可プロセスの迅速化や新設に必要な時間とコストの節約につながるとした。また、報告書は、閉鎖済みまたは今後閉鎖予定の石炭火力発電所サイトへの原子力新設の可能性も検討。その結果、1億2,800万kW~1億7,400万kWの新規原子力発電設備容量の設置が可能と評価した。米国では、クリーンエネルギーへの移行に伴い、2035年までに国内の石炭火力発電所の30%近くが閉鎖されると予測されるなか、DOEは、「石炭から原子力への移行(coal-to nuclear (C2N) transitions」を通じて石炭火力の地元コミュニティでは、既存の労働力とインフラを活用することにより、地元経済と環境に多大な利益がもたらされる、とそのメリットを強調している。なお、DOEは、今回の報告書について、既存の原子力発電所を活用した、新たな原子力発電所の建設可能性について知見を提供するものとしつつも、あくまで予備的な分析であり、最終的には、電力会社と地域社会が協力して、建設の判断を下す必要があるとしている。DOEは2023年3月に発表した報告書のなかで、米国が2050年ネットゼロを達成するためには、米国内で2050年までに約2億kWの追加の原子力発電設備容量が必要との見方を示している。
- 13 Sep 2024
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スイス 原子力発電所新設禁止を撤廃へ
スイス連邦政府は8月28日、国内のエネルギー安全保障強化に向け、原子力発電所の新規建設禁止を撤廃する考えを表明。A. レスティ環境・交通・エネルギー・通信大臣は、長期的な視点から増大する電力需要に対応するため、原子力発電を含む、あらゆる選択肢を堅持する必要性を強調した。スイスでは、2011年の福島第一原子力発電所事故後、50年の運転期間を終了した原子炉を2034年までに段階的に閉鎖する方針を政府決定。その後、2018年1月1日に施行した改正エネルギー法では、安全である限り、既存の原子力発電所の運転継続が認められた一方、原子炉廃止後のリプレース(新規建設)や使用済み燃料の再処理は禁止された。スイスでは昨今、2050年ネットゼロ目標の達成、人口増加に伴う電力需要の増加、地政学的な不確実性などにより、エネルギー事情は一変。今年2月には、原子力発電所の新規建設禁止に異議を唱える中道右派政党が中心となり、約13万もの署名を集め、「いつでも誰でも電気を(停電を阻止せよ)(Electricity For Everyone At All Times[Stop Blackouts])」イニシアチブ(国民発案)を発議した。同イニシアチブは主に、気候変動に配慮したあらゆる電源を認め、化石燃料に依存しないすべての技術によるエネルギー生産の権利を連邦憲法に明記するほか、原子力発電所の新規建設禁止の撤廃などを求めている。しかし、連邦政府はこのイニシアチブに対して反対を表明。その理由として、①連邦憲法は、すでに幅広いエネルギー供給を規定しており、原子力発電所の新規建設禁止の撤廃のために憲法改正は必要なく、立法レベルでの調整で十分、②連邦が電力供給の安全保障に責任を持つよう、連邦憲法への明記を求めているが、憲法は既に、連邦と州がそれぞれの権限の範囲内でエネルギー供給に尽力しなければならないと規定済み、③電力不足の場合の予備電源の稼働可能性が不透明で、電力供給に新たな不確実性をもたらす可能性――を挙げた。今後、連邦政府は同イニシアチブの対案として、原子力法の改正案を策定し、来春以降、連邦議会でそれらを審議する予定だ。今回の連邦政府の発表について、スイス原子力協会(SVA)は、新規建設の禁止撤廃は、安全面かつ気候面に配慮した電力供給に向けた重要な一歩となると歓迎。その一方で、同協会は、国内での新規建設プロジェクトを可能にするためには、許認可手続きの簡素化や計画・建設段階でのファイナンスなど、事業環境整備の必要性などを強調した。スイスでは現在、ベツナウ1、2号機(PWR、38.0万kW×2基)、ゲスゲン(PWR、106.0万kW)、ライプシュタット(BWR、128.5万kW)の計4基・310.5万kWが運転中。2023年の原子力発電電力量は234億kWh、原子力シェアは32.4%だった。
- 05 Sep 2024
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オランダ 原子力人材育成を強化へ
オランダ政府の原子力利用拡大の意向を受け、オランダの原子力および教育セクターの関係者は1月12日、原子力の理工系分野における職業教育の強化を目的とした共同声明に署名した。原子力分野でのキャリアに対する学生の関心を高めるために、新しい原子力教育カリキュラムの共同開発などを視野にいれている。現在、オランダの原子力シェアは小さく、国内唯一の原子力発電所であるボルセラ発電所(PWR、51.2万kW)が国内の総発電電力量の約3%を供給するのみ。同発電所は1973年の運転開始後40年目の2013年に運転期間が20年間延長され、運転認可は2033年末まで有効である。2021年3月に発足した連立政権の4党は、2040年までにCO2排出量の実質ゼロ化を目指しており、同年12月に4党が合意した2025年までの政策方針の中で、ボルセラ発電所の運転を長期に継続するとともに、政府の財政支援により新たに2サイトで原子力発電所を建設する方針を明記。2022年12月、政府は第3世代+(プラス)の原子炉(各100万~165万kW)2基の新設を計画し、建設サイトとして、ボルセラ発電所の立地エリアを指定している。いずれも2035年に運転開始させ、2基で国内の総発電電力量の9~13%を賄うと試算する。また、ボルセラ発電所では、政府の資金提供を受け、2034年以降の運転継続に向けた実行可能性調査が進行中である。オランダでは、クリーンエネルギーへの移行に寄与するとして小型モジュール(SMR)の建設計画も進められている。オランダのULCエナジー社は英ロールス・ロイス社製のSMRを複数基導入する考えで、2023年11月、英ロールス・ロイスSMR社とオランダの建設企業BAMインフラ・ネーデルランド社と長期的に協力することで基本合意している。また、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的な変動で、原子燃料の需要の高まりを受け、英国に本拠地を置く濃縮事業者のウレンコ社は、オランダにあるアルメロ工場の濃縮能力を拡大する計画だ。核医学分野では、医療用アイソトープ製造のため、新しい研究炉PALLAS(熱出力5.5万kW)が北ホラント州のペッテンで建設中である。原子力研究コンサルタント・グループ(NRG)が1960年から運転する高中性子束炉(HFR、熱出力4.5万kW)の後継機となる。HFRは、医療用アイソトープの欧州の需要の約60%、世界の需要の約30%を生産する。政府は、PALLAS建設への資金拠出を通じて世界市場における地位の向上と北ホラント州の高い知見と雇用の維持を目指している。「これらの野心的な目標を実現するには、原子力分野の十分な知識を持つスタッフを増やす必要がある」「そのためには、職業教育が重要な役割を果たすため、原子力産業界と教育機関との連携を強化する必要がある」と共同声明は指摘している。共同声明の署名式には、産業界からはCOVRA(放射性廃棄物の処理・貯蔵)、EPZ社(原子力発電)、NRG-Pallas(医療用アイソトープ製造)およびUrenco社(ウラン濃縮事業)が参加した。教育機関からは中等職業教育(MBO)機関のScalda、Horizon College/Regio College、Vonk、ROC van Twenteおよびデルフト工科大学(TU Delft)が参加している。
- 23 Jan 2024
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COP28:SMR導入に向け官民協力を NEA
COP6日目となる12月5日、OECD原子力機関(NEA)はネットゼロへむけ小型モジュール炉(SMR)導入を加速させるイニシアチブ「Accelerating SMRs for Net Zero」を発表。SMRを最大限活用するため、産官学および規制当局の英知を結集し、研究開発から建設、運転までの流れを加速させる方針を示した。イニシアチブはNEAのほか、仏エネルギー移行省、米エネルギー省が設立メンバーとして参加。マグウッド事務局長は「クリーンエネルギーである原子力の中で、SMRは筆頭のニューウェーブ」との認識を示し、「SMRの導入の成否を握るカギは、官民が協力して課題に立ち向かうかどうか」と強調した。具体的には、NEAの持つ各国政府/研究機関/各種専門家のネットワークを活用して、協働作業を可能にするようなプラットフォームを構築する。そしてNEAが第三者機関として、SMR各炉型の商業化および導入に向けた進捗状況を包括的に評価。評価項目は許認可、立地、資金調達、サプライチェーンの確保、燃料の手配など多岐にわたり、各SMRプロジェクトの進捗状況の把握を容易にすることで、金融機関らの投資決定に寄与する情報を提供するという。
- 07 Dec 2023
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「原子力拡大へ向け今こそ行動を」原産協会らが共同声明
日本原子力産業協会は9月28日、フランスで開催された「新しい原子力へのロードマップ」会合に参加。各国の原子力産業団体が連名で、気候変動の緩和およびエネルギー・セキュリティの強化へ向け、原子力発電の迅速かつ大規模な導入を強く訴える共同ステートメントを発表した。同会合は、OECD原子力機関(NEA)と仏エネルギー移行省の共催で、パリのOECD本部で開催された官民のハイレベル会合。今回が初開催となる。OECD加盟各国政府並びに各国の原子力関連団体が参加。共同ステートメントに署名したのは、日本原子力産業協会の他、米原子力エネルギー協会(NEI)、世界原子力協会(WNA)、カナダ原子力協会(CNA)、英原子力産業協会(NIA)、欧州原子力産業協会(nucleareurope)、仏原子力産業協会(Gifen)、韓国原子力産業協会(KAIF)、CANDUオーナーズグループ(COG)の計9団体。同ステートメントは、今年の4月に札幌で「G7気候・エネルギー・環境相会合」に併せ、原産協会らが採択した同種のステートメントをベースとしている。今回のステートメントは参加団体が増えただけでなく、対象をG7からOECD加盟国へ拡大。OECD加盟国の原子力産業界の決意を表明するとともに、各国政府や、11月から始まる国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に参加する世界のリーダーたちへ向けた要望を、とりまとめた。具体的には、官民が連携して取り組む重要事項として既存炉の最大限活用新規炉導入の加速国際協力によるサプライチェーンの構築原子燃料分野のロシア依存低減原子力部門におけるジェンダーバランスの改善などを指摘。そして、2050年までの炭素排出量実質ゼロ目標を達成するには、原子力発電設備容量を現在の2~3倍に拡大する必要があるとの認識の下、原子力への投資を促進するよう市場環境を整備規制基準の標準化および効率化原子力を他のクリーンエネルギー源と同等に、気候変動緩和策として認めることなどを要望している。近年、世界の原子力産業界の間では、エネルギー・セキュリティの確保と、CO2排出量の実質ゼロ化の両立に、原子力が果たす役割を世間に周知しようと、個別ではなく国際間で連携して活動する風潮が主流となっている。先月ロンドンで立ち上げられた「ネットゼロ原子力(Net Zero Nuclear=NZN)」イニシアチブも同様の流れだ。11月のCOP28では、国際原子力機関(IAEA)だけでなく、世界の原子力産業界も共同でブースを立ち上げる計画であり、原子力が果たす多大な貢献を世界中に周知し、原子力開発の世界規模での拡大を目指している。
- 02 Oct 2023
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