キーワード:教育
-
フォーラトム:「原子力産業界で適切な能力を維持するため一層の教育・訓練が必要」
欧州の原子力企業約3,000社を代表する欧州原子力産業協会(フォーラトム)は9月29日、欧州の原子力産業界が今後も低炭素なエネルギーや重要な医療診断・治療を提供し続けるには、適切な能力を持った人材を一定数、確保することが重要との見解を表明した。これは同日、フォーラトムが新たに公表した政策方針書の中で述べられたもので、「原子力分野で能力のある人材を十分な数だけ確保するため、欧州連合(EU)が政策面でその教育と訓練を一層充実させねばならない」と強調。原子力関係の高い技能を持った人材が欧州で維持され、その恩恵が末永く欧州社会にもたらされるよう、原子力産業界はEUおよびその加盟各国の政策立案者と協力し合う必要があると訴えている。フォーラトムによると、欧州社会は今、地球温暖化や価格が適正なエネルギーの利用、健康や雇用などの分野で課題に直面しているが、欧州原子力産業界にはこのような課題に対応する準備ができている。ただし、同産業界の総体的な「能力不足」という問題があり、とりわけ、かなりの数の人材が引退年齢に達しつつあることを考えると、今後は短期間で世代交代を行う必要がある。またそれを実行する際、例えばデジタル化への移行に取り組むには人材の技能再教育、能力アップといったものが要求されるとした。フォーラトムのY.デバゼイユ事務局長は、「EUの地球温暖化との闘いに対する支援や救命治療の提供に至るまで、欧州の原子力産業は日々の暮らしに多くの恩恵をもたらしている」と指摘。雇用面においても同産業は欧州の様々なレベルで機会の創出を幅広く支援するなど、欧州社会が直面する難問への対処で多くの恩恵をもたらしていると述べた。こうした背景からフォーラトムは、EUが今後も原子力を活用し続けるために、適切な能力を持った十分な数の人材確保という観点から以下の項目を勧告している。科学・技術・工学・数学(STEM)などの理系教科に若者たちを引き付けるため、これらを魅力的な学科とし、欧州が技術面で確実に世界のリーダーシップを握れるようにする。原子力が社会に貢献している側面を一層積極的に若者たちに伝えるなど、若者たちが原子力分野の学問を学び就職することを奨励する政策を実施・展開する。EU域内の様々な低炭素発電部門の雇用においては、科学的事実を根拠とする政策に基づいて、すべての発電技術を平等に取り扱うとともに正確な情報を提供する。原子力関係の教育・訓練に対するEU基金からの資金援助を増額すべきであり、重要な研究開発や革新的プロジェクトに携わる優秀な人材を支援する。これにより、EUが原子力技術革新においてリーダー的立場を維持する。 原子力教育・訓練の分野でEUが資金援助するプロジェクトについては、長期的なアプローチを取る。期間の限られたプロジェクトでも短期的メリットはあるものの、長期間続けることでより多くの達成が可能になる。人材の世代交代や技術の伝承においては、政策立案者や教育機関、産業界が一丸となって協力し、デジタル化などの新しい技術に人材が適用できるよう支援を行う。(参照資料:フォーラトムの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月29日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 01 Oct 2020
- NEWS
-
文科省が放射線教育で調査結果を発表、副読本の活用状況も
文部科学省は3月24日、全国の小中高校(特別支援学校を含む)計約4,300校を対象として12~1月に実施した放射線教育に関する調査の結果を発表した。2018年に改訂した放射線副読本の活用状況についても把握し、授業の実践例を収集し取りまとめるなど、今後の放射線教育の充実化に資するのがねらい。それによると、授業などで放射線に関する内容を扱ったことや扱う予定のある学校は、小学校で約69%、中学校で95%、高校で80%、実施した教科としてあげられたのは、小学校で社会科、理科、中学校で理科、社会科、高校で理科、公民の順に多かった。また、授業などを準備する際に外部人材を活用していた学校は、小学校が6%、中学校が5%、高校が4%と、いずれも1割に満たなかった。その他、放射線について学ばせる上で工夫した点としては、防災学習での取扱い、修学旅行における広島・長崎訪問や語り部との対話、社会科と理科の学習内容を関連させた教科横断的な取組などがあげられた。放射線副読本の取扱いとしては、「すべての生徒に配布した」と回答した割合が、小学校で66%、中学校で62%、高校で52%といずれも半数を超えた。活用した学校は、小学校で52%、中学校で56%、高校で28%だった。また、活用の場としては、小中高校いずれも、「教師の説明」が最も多く、「調べ学習」、「話し合い・発表」がこれに次いだ。有効だった点としては、「絵や写真があることで子供たちにとってわかりやすい」、「内容がわかりやすく教師が活用しやすい」、「放射線についての基礎的な知識だけでなく、風評被害や差別についても触れられているので、多面的に学習できる」、「教科書よりも内容が詳しいため理解を深めるために有効だった」といった意見があった。一方、「教科の学習内容とどのように結び付いているのかを明確にし、授業内容で活用しやすいようにして欲しい」、「小学校低学年の指導で扱うことは難しい」、「危険性を正しく伝えることと同時に、放射線の有用性などについても大きく取り上げて欲しい」といった改善を求める意見もあった。
- 26 Mar 2020
- NEWS
