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都市大が深宇宙探査に向け原子力技術の可能性を考えるシンポ開催、学生からもアイデアが
東京都市大学の理工学部と総合研究所による「宇宙探査の今後を担う新技術」について考えるシンポジウムが7月12日にオンラインで開催された。小惑星探査機「はやぶさ2」(文科省発表資料より引用)「はやぶさ2」による小惑星「リュウグウ」のサンプル採取や、「国際宇宙ステーション(ISS)計画」における補給機「こうのとり」の活躍など、日本の宇宙輸送システムの技術力に注目が集まりつつあるが、シンポジウムの冒頭、理工部原子力安全工学科教授の高木直行氏は、「今後の探査範囲拡大や月の地下観測を行うためには、太陽に依存しない発電方式や新たな推進方式が必要となる」と、将来の宇宙探査に向け原子力技術が貢献する可能性を示唆。また、総合研究所教授の高橋弘毅氏は、同研究所内に昨秋設置された宇宙科学研究センターのメンバーとして、「ロケット、人工衛星、望遠鏡を用いた理工連携の宇宙科学研究、それを活用した文理融合の宇宙教育に力を入れていく」と強調した上で、他大学・研究機関からも関心を持ち集まったオンライン参加者に「大いに楽しく議論して欲しい」と口火を切った。日本は宇宙科学研究で、「はやぶさ2」に先立ち、2010年に「はやぶさ」(初号機)が月以外の天体では世界で初めて小惑星「イトカワ」から微粒子を地球に持ち帰るなど、世界トップレベルの成果をあげている。今回のシンポジウムでは、「はやぶさ」(初号機)の電源管理で様々な困難を克服した経験を持つ宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所准教授の曽根理嗣氏が基調講演を行った。JAXAが取り組むソーラー電力セイル計画(曽根氏発表資料より引用)同氏は日本が打ち上げてきた人工衛星に搭載された電池の変遷を紹介。太陽電池との併用(地球周回の際に太陽の影に入るときの補完が必要)で、地球資源衛星「ふよう1号」(1992~98年運用)、地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(1996~97年運用)には、ニッカド電池や酸化銀・亜鉛電池など、近年まで「古い教科書にも出てくるような電池」が用いられていたという。これらの人工衛星が電池に関わるトラブル発生により運用断念となった経験を述べ、「電源系は正にクリティカルなデバイス」と、将来の宇宙探査における電源技術の重要性を繰り返し強調。最近では、2019年ノーベル化学賞受賞の吉野彰博士らによる研究成果「リチウムイオン電池」が宇宙利用でも信頼性が実証されていることを述べ、「基礎からの研究の積み上げが宇宙探査に寄与しつつある」、「化学的に長期間耐えられるという実証は非常に大事」とした。「宇宙の電池屋」を自称する曽根氏は現在、木星系・土星系の探査を展望し、セイル(帆)膜面上に搭載した薄膜太陽光電池で発電しながらイオンエンジンを駆動して外惑星系を目指す「ソーラー電力セイル探査機」計画に取り組んでいるという。曽根氏の講演を受けて、学生からはJAXAと他機関との原子力分野での協力について尋ねる声もあがったところで、日本原子力研究開発機構OBの植田脩三氏が「宇宙開発と原子力」と題し発表。同氏は、最近の世界の動きとして、米国の有人太陽系探査を見据えた「原子力ロケットエンジン」開発計画、ロシアのメガワット級原子炉を搭載した「スペースプレーン」開発計画、英国の宇宙局とロールス・ロイス社による提携、中国の「2045年に原子力宇宙船を実用化」との報道を紹介。その上で、原子力を宇宙で利用する方法として、(1)原子力電池(放射性同位体の崩壊を利用、ボイジャーに搭載され現在も機能)、(2)電源用原子炉(日本では月面用リチウム冷却高速炉の構想)、(3)核熱推進(原子力ロケットエンジン、火星への有人探査で飛行期間短縮が期待される)――をあげ、これらを通じて若い人たちの原子力に対する関心喚起につながることを期待した。人類の生存圏拡大も視野に入れた宇宙のエネルギーマネジメント構想、月の自転周期や表面温度環境に着目(東芝ESS発表資料より引用)企業からは、東芝エネルギーシステムズ原子力開発部の宮寺晴夫氏とIHI航空・宇宙・防衛事業領域の石津陽平氏が発表。宮寺氏は超小型の月面用原子炉に向けた炉心構造の検討状況や、宇宙空間でのエネルギーシステム構想を披露。石津氏は推進手段としての原子力「核熱ロケット」の原理、開発に必要な要素技術・試験に関する研究成果とともに、海外の開発事例を紹介。同氏によると、米国の原子力ロケット開発は、1950年代に「Rover/NERVA」プロジェクトが立ち上がったが、アポロの月面着陸以降、予算不足で実用エンジンの製造まで至らず中止となり、その後、燃料要素技術の地道な基礎研究が進められ、2020年発表の「DRACO」(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operation:迅速な月地球間活動のための実証ロケット)プロジェクトでは、2025年の地球低軌道上での実証試験目標が掲げられた。高木教授と「追い越せボイジャー計画」のメンバー(都市大原子力安全工学科学生の発表資料より引用)この他、理工学部の機械システム工学科と原子力安全工学科の学生が研究成果を披露。原子力安全工学科の矢口陽樹さんと橋本ゆうきさんは、「追い越せボイジャー計画」と題し発表。小惑星帯でも長期間安定して電力を供給できる「超小型原子力電池(RTG)」、放射性同位体の崩壊を利用した長寿命推進法「アルファ粒子推進エンジン」の検討から、現在地球から最も離れた人工天体とされる「ボイジャー1号」を40年で追い越す深宇宙探査の衛星システムを提案した。学生たちからは、「原子力は世間からバッシングを受け研究のモチベーションが下がっているのでは」といった声もあがったが、学生時代に電池研究への志を周囲に否定されるもスタンリー・ウィッティンガム博士(吉野博士とともにノーベル化学賞受賞)との対面で励まされたという曽根氏は、「誰もやっていないことだからこそ研究といえる」と、若い人たちの独創的なアイデアに期待を寄せた。
- 26 Aug 2021
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近畿大の研究・プロジェクトが「Newton」別冊版に集約、研究炉も紹介
近畿大を紹介した別冊「Newton」(ニュートンプレスホームページより引用)近畿大学が取り組んでいる研究・プロジェクトの最前線の現場がこのほど、科学雑誌「Newton」(ニュートンプレス発行)の別冊版に紹介された。〈近畿大発表資料は こちら〉「Newton」別冊版では2015年にも近畿大学を取り上げているが、今回、「社会に役立つ大学をめざす実学教育のパイオニア 近畿大学大解剖 vol.2」として、同学の理系学部(理工、建築、薬、農、医、生物理工、工、産業理工、情報〈2022年度開設〉)や研究所の60人を超す教員らへのインタビューをもとに編集。近畿大学の「研究力を広く知ってもらう」ため、同学実学教育の象徴として長く実績を積んでいるマグロ養殖の他にも、幅広い分野にわたり研究成果の社会貢献や研究に取り組む学生たちの姿を取り上げており、学外の学生・教員の実習にも供される原子力研究所の研究炉「UTR-KINKI」も紹介されている。近畿大研究炉「UTR-KINKI」(原子力学会発表資料より引用)その中で、原子力研究所所長の山西弘城教授は、「今後、商用の原子炉が老朽化すると、廃炉の問題が出てくる。また、温室効果ガスを抑制するため、既存の原子力発電所の活用も必要となるだろう。そのためには原子力の技術を持つ人材を育成する必要がある」と、原子力教育の重要性を強調した。現在、国内で原子炉を持つ大学は近畿大学と京都大学のみだが、山西教授は、「本物の原子炉での実習は、シミュレーターやオンラインでは味わえない緊張感がある。貴重な教育用の原子炉をできるだけ長く使えるように維持していきたい」とも話している。また、医療における放射線被ばく低減に関するプロジェクトの紹介の中で、医療放射線の国際基準改定に取り組む医学部の細野眞教授も「放射線の研究を行う上で、原子炉がある近畿大学にいる意味は大きい」という。近畿大学では、2022年度より理工学部にエネルギー関連技術の人材育成を図る「エネルギー物質学科」が新設される予定だ。昨今課題となっている新型コロナウイルス感染症対策に関しては、近畿大学の全学部・学科、附属・併設校も参加する学園横断的プロジェクト「オール近大」の取組を紹介。一例として、農学部の松田克礼教授と薬学部の角谷晃司教授が、花粉を吸着する「静電ブラインド」の応用について説明している。花粉症でつらい人がいても窓を開けて換気ができるようにする「静電ブラインド」でウイルスを吸着する可能性を見出すもので、学生時代から30年にわたり共同研究に取り組んでいる両氏に関し、「近畿大学の強みともいえる学部を横断した共同研究がコロナ禍で新たな展開を見せている」と評している。表情が見える「近大マスク」、大阪府下の支援学校や飲食店などに7,000個以上が寄贈された(近畿大ホームページより引用)「オール近大」プロジェクトに関し、2016~19年に経済産業相を務めていた近畿大学の世耕弘成理事長はインタビューの中で、「偏差値や受験ランキングは大学の本質的な価値を示すものではない。われわれが目指すのは本当の意味で社会に役立つ大学だ」と強調。「オール近大」の始まりとなった「福島県川俣町復興支援プロジェクト」(2012年)を振り返りながら、「未曾有のパンデミックに際して、近畿大学の総合力を活かして何かできることがあるのではないか」などと、新型コロナウイルス感染症対策に関するプロジェクト立上げの経緯を話している。研究成果として、感染症対策と意思疎通を両立する透明なプラスチック製の飛沫防止マウスシールド「近大マスク」を紹介。理工学部の西藪和明教授らが開発したもので、デザインは文芸学部の柳橋肇准教授、製作は同学が立地するモノづくりの町・東大阪市の企業が担当。世耕理事長は、「幼児教育の現場では、子供たちは大人の顔を見ながら感情を育んでいる。口が見えることはとても重要だ。聴覚障がいのある方は唇の動きや表情からも情報を得ている」と、「近大マスク」開発の意義を述べている。「Newton」は、地球物理学の権威として知られた東京大学名誉教授の竹内均・初代編集長のもと、1981年に創刊されたカラー版の科学雑誌で、月刊誌の他、最新の科学技術動向や数学・物理の入門的内容をわかりやすく説明するいわゆる「大人の学び直し」などを特集した別冊版が随時刊行されている。
- 19 Aug 2021
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原子力学会が中学教科書で調査報告、新学習指導要領施行踏まえ
日本原子力学会は7月7日、2021年度から施行されている新学習指導要領(2017年告示)に基づく中学校教科書のエネルギー・環境・原子力・放射線教育関連の記述について行った調査報告書を発表。同学会の教育委員会による継続的取組で、これまでも改正学習指導要領施行の機に小中高校の教科書を調査し、エネルギー・環境・原子力・放射線教育の充実化に向け、本文、コラム、図表に対するコメント・修文案を示してきたが、今回、理科、社会、保健体育、技術・家庭の計13社・35点の中学校教科書を対象に実施した。報告書では、全般として、「出版社独自の工夫が凝らされ優れた教科書となっている」と評価する一方、最新のデータ・図表の使用と本文との整合性に気配りした編集、原子力・放射線に関する用語の正しい使用を求め、発展的学習に関しては、生徒自らの多角的な意見を引き出す工夫が欲しいなどと要望。その上で、教科書の記述・編集に関し、(1)福島第一原子力発電所事故、(2)わが国および世界各国の原子力エネルギー利用の状況、(3)放射線および放射線利用、(4)放射性廃棄物、(5)地球環境問題、(6)原子力エネルギー利用についての多様な学習方法の拡充――の6項目の観点から提言を示した。福島第一原子力発電所事故に関連した事項に関しては、理科2年と技術・家庭を除くほぼすべての教科書で取り上げられていた。概ね正確・公平な記述となっていたが、「福島原発」、「福島の原子力発電所」、「福島県の原子力発電所」などの表記は、「県全体が被害を受けたような風評被害・差別につながる恐れがある」として、「東京電力福島第一原子力発電所」や「福島第一原子力発電所」とするよう要望。新学習指導要領では、前回の改正(2008年告示)に引き続き理科第1分野(物質とエネルギー)で放射線を取り扱うこととされたが、今回調査した理科の教科書では、対象5社のすべてに放射線・放射性物質の基礎事項、関係する単位、低線量被ばくを含む健康影響などに関する記述があった。放射線に関する記述の充実化に関しては、「限られた紙面の中で幅広く基礎的な事項が取り上げられている」と評価。特に、大日本図書と教育出版が発行した中学3年の教科書中、「原子を野球場とすると、原子核はごま粒(米粒)ほどの大きさである」との記述については、ミクロレベルの物理現象の理解を助けるものとして推奨している。放射性廃棄物に関連する記述は、一部の教科書に留まっているほか、使用済燃料について、「核のゴミ」といった放射性廃棄物そのものと誤解されるような表現があった。高レベル放射性廃棄物の処分地選定に向けて、北海道の寿都町・神恵内村で昨秋文献調査が始まったところだが、「将来に向けたこの課題の解決を図ることの重要性」から極力取り上げるとともに、エネルギー確保や環境保全に係る課題を学ぶ上で、より正確な記述となるよう表現を見直すことを要望。福島第一原子力発電所事故以降の世界の原子力を巡る動きに関しては、一部の社会の教科書にみられた「ドイツやオーストリア、イタリア、ベルギー、スイスでは、国内すべての原発が廃止されることになった」との記述について、元々原子力発電を行っていないオーストリア(建設されたが運転せず閉鎖)、事故前に原子力発電の廃止を決定したイタリア(1990年閉鎖)が含まれていることから、「世界が脱原子力発電に向かっているかのような表現は適切ではない」と指摘した。さらに、学習方法に関し、「考えるべき視点は様々で、一教科の学びで完結することはなく、教科横断の学びが必要」と強調。エネルギー問題に係る教科書の記述で、「タンカー満載の原油でもわずか半日で消費してしまう」、「原油の中東依存度は約9割」、「再生可能エネルギーはまだまだ主力の電源にはなり得ていない」を例示し、これらを互いに関連付けて考えさせる、ディベートなどの学習方法を活用できるような編集を要望している。
- 09 Jul 2021
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小中生にオンラインで放射線講義、京大・角山氏
京都大学環境安全保健機構放射性同位元素総合センター助教の角山雄一氏がこのほど、小中学生を対象にオンラインで講義を行った。同氏は、放射線が種類によって透過力が異なることを攻撃カード(透過)と防御カード(遮蔽)の対戦を通じて学ばせるゲーム「ラドラボ」(タンサン(株) 2015年発売)の監修に当たるなど、放射線知識の普及・啓発に努めている。今回のオンライン講義は、「実践的な学び」を掲げ市民講座・ワークショップなどを開催するナレッジキャピタル(株)(大阪)のシリーズ講座「SpringX 超学校」の一つで、科学技術振興機構のジュニアドクター育成事業「めばえ適塾」とも連携。「放射線って? 基礎知識から先端研究事例まで」と題し、6月19、26日の2回にわたる連続構成で、近畿圏を中心とする小学3年生から中学3年生までの生徒たちが参加した。霧箱製作の模様角山氏は、クイズを交えながら、20世紀初頭のレントゲン博士によるX線の発見に始まり、放射線の種類と性質、食品中の放射性物質、宇宙放射線、原爆の惨禍など、基礎知識を説明。放射線測定器の操作、霧箱実験も披露した。霧箱実験では、金属缶、スポンジ、ろ紙、食品用ラップ、消毒用アルコール、ドライアイスなど、家庭で用意できる材料を用いて器具の組立から着手し、放射線が飛ぶ様子を見せ、生徒たちに「失敗しながら学んで欲しい」と、自身でも工夫し製作・実験してもらうことを期待。同氏は一人で研究室を駆け回り汗をかきながら実演し、オンラインではあったが臨場感あふれる内容だった。この他、角山氏は、がん治療、美術品鑑定、タイヤゴムなどの材料加工の他、密入国者や爆発物の検知にも用いられる放射線の多方面にわたる応用例を原理から紹介。宇宙開発分野での利用に関し、同氏は、生徒たちの親の世代が幼少の頃、地球を飛び立った宇宙探査機「ボイジャー」搭載の原子力電池が太陽系を離れた現在も機能し40年以上データが送られ続けていることを感慨深く語った。
- 02 Jul 2021
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原産協会、原子力発電の理解促進に向けボードゲームを作成
原産協会はこのほど、プレイしながら原子力発電に係る知識を深めポジティブなイメージを持ってもらえるよう、原子力発電所に必要なものを題材としたボードゲーム(2~6人用)を作成した。「原子力発電 THE ボードゲーム」と題するこのゲームの手順は、原子力発電所に必要な10種類の「対策」のいずれかが記載・説明されたカードを切り混ぜ、各プレーヤーに分配(残りは山札としてストック)。トランプゲームに似た要領で、各プレーヤーは順にルールに従って、各々の原子力発電所を模したゲームシートに、カードを置きながら完成形に近づけていく。以下の10種類の「対策」、地震に対する対策原子炉を止める原子炉を冷やす放射性物質を閉じ込める非常用電源の設置津波に対する対策発電設備の設置多様な電源と注水設備の準備操作・訓練の充実意図的な航空機衝突などに対応――をゲームシート上に揃え、「プラント起動!」のカードを最初にゲットした者が「勝者」になる。一番最初にすべての「対策」カードをゲームシート上に置き終えたプレイヤーが、「プラント起動!」カード(頂点)をゲットしできるのだ各プレーヤーが持つカードには、原子力発電所に必要な「対策」の他、ゲームを進める上で自分に有利となる「効果」も書かれており、ゲームに勝つには、これらの「効果」を上手く活用する戦略が必要となる。例えば、他のプレーヤーに対し、「提携」のカードを行使すると相手の手札1枚を選び抜いて自身の持ち札に加えることができ、「働き方改革」のカードでは対戦相手を「1回休み」にすることができるといった具合だ。ゲームを行う上で、原子力に関する予備知識は特段必要ないため、幅広い年代(中学生~大人)が一緒に遊ぶことができる。また、説明書ではカードに書かれた「対策」について詳しく解説している。コンピューターゲームが席巻する中、ボードゲームはコミュニケーションツールの一つとして見直されつつあり、百貨店の特設売場・専門店でも根強い人気を集め、家族や友人との娯楽・コミュニケーションアイテムとして活用される以外に、近年では企業研修にも供されているほどだ。今回、ゲームの制作に当たった原産協会地域交流部では、「学校教育でも使用しやすいものであり、関係各所にボードゲームを頒布することで場所や人を問わず遊んでもらうことができる」と、期待を寄せている。「原子力発電 THE ボードゲーム」(非売品)の問合せは、原産協会地域交流部(電話03-6256-9320、9377)まで。
- 29 Mar 2021
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原子力人材育成の高度化に向け高専が連携、簡単な放射線教材製作から難病解明まで
原子力人材育成の高度化に向けた高専連携の取組について話し合うフォーラムがこのほどオンラインで開催された。PINフォトダイオードを利用した放射線検出器(福井高専発表資料より引用)「基盤的な知識を身につけた高専卒業生は産業界から高く評価されている」との観点から、全国の国立高専を設置・運営する高等専門学校機構では、原子力産業を支える人材育成を担う立場として、大学や産業界とも連携した原子力教育・研究のネットワーク化を図る事業(文部科学省の「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」として採択)を2020年度より開始。今回のフォーラムでは、同事業を取りまとめている富山高専教授の高田英治氏が、これまでの取組状況を報告し、原子力の基礎を学ぶ“eラーニング”など、遠隔教育ツールの整備について紹介したほか、各高専が大学や産業界とも連携し実施しているバーチャル研究室や電力会社でのオンライン実習の成果が披露された。その中で、富山高専・福井高専は、市販の電子部品(PINフォトダイオード)を利用した放射線検出器製作を「学生実験にも使用可能」などと、簡単な回路図とともに紹介し、機械・電気分野と原子力工学の知識を兼ね備えた人材の育成を図る教材となることを示唆。川崎病罹患数は近年急増している(岐阜高専発表資料より引用)また、全国9高専が参画する核融合・プラズマ分野のバーチャル研究室を率いる岐阜高専講師の柴田欣秀氏は、「核融合分野で培ったデータ解析技術を医療分野に活用できないか」と、医工連携による研究活動の取組として、機械学習を用いた川崎病発症に関する調査について披露。乳幼児特有の重篤疾患として知られる川崎病は未だ原因が解明されておらず、発見した川崎富作博士も昨夏に亡くなったところだ。柴田氏は、川崎病罹患率(0~4歳)が2000年以降急増しているデータや、細菌説・ウイルス説など、発症原因の推察をあげた上で、自治医科大学他と共同で昨今の感染症拡大に鑑みた三密回避と川崎病発症との関係を調査しているとした。この他、バーチャル研究室の取組として、福島高専・久留米高専によるエネルギープラント用構造材料の経年劣化の考え方・評価方法の習得を目的とした「鉄鋼材料の高温酸化挙動」の材料実習計画などが紹介された。
- 17 Mar 2021
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原子力文化財団、地層処分特設サイト「知爽の人」に市民対話に取り組む声など順次公開
日本原子力文化財団は、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業への関心を全国に広めるべく様々な活動を行う人たちの声を紹介した特設サイト「知爽(ちそう)の人」を設け、順次動画コンテンツを公開している。その中で、2月10、11日に開催された「クリアランス制度」に関するシンポジウム(文部科学省主催)にも市民の立場から登壇した鈴木早苗氏(=写真上、福井県鯖江市在住、原発のごみ処分を考える会)は、「対立ではなく対話でお話ししていきたい。何かを生産すれば必ず『ごみ』は出る」と、2017年より有志で継続している地域対話活動の取組姿勢を示し、使用済燃料の問題について考える必要性を強調。さらに同氏は、北海道寿都町・神恵内村で処分地選定に向けた文献調査が開始したことに関し、「そこに決まればよい。うちに来なければよい」というのではなく、電気の恩恵を享受した日本全体が放射性廃棄物の問題に向き合うべきとした上で、次世代層に対し「頭の柔らかい若年層の方々なら純粋にこの問題を考えていってくれるだろう」と期待を述べている。また、高レベル放射性廃棄物に関する資源エネルギー庁主催の学生フォーラムなどに参画してきた平澤拓海氏(東北大学工学部)は、「地層処分を次世代に知ってもらうために学校教育ははずせないポイント」とした上で、現地の声や施設を見聞きし「自分の意見を持てる環境」を作っていくことを主張。幌延深地層研究センターの見学をきっかけに高レベル放射性廃棄物の処分問題に関心をもったという渡邊恭也氏(=写真下、北海道大学工学部)は、地層処分事業が進展するフィンランドとスウェーデンの視察経験から「専門家や国の機関に対する信頼の高さ」を強く感じたとしている。「知爽(ちそう)の人」では、この他、地層処分の理解に向け、中学生サミットを毎年開催している澤田哲生氏(東京工業大学先導原子力研究所助教)、松江市で学生を中心とした学習会を行う石原孝子氏(環境とエネルギーを考える消費者の会)のインタビュー動画が紹介されている。※写真は、いずれも原子力文化財団ホームページより引用。
- 24 Feb 2021
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エネ庁、小学生「かべ新聞コンテスト」の優秀作品を発表
資源エネルギー庁は2月10日、小学校高学年を対象とした「わたしたちのくらしとエネルギー」をテーマとする「かべ新聞コンテスト」の2020年度優秀作品を発表した。小学生のエネルギー問題に対する当事者意識を喚起し学校や家庭・地域での実践行動を促すことを目指した取組で、子供たち自らがかべ新聞形式に研究成果をまとめた553点の応募作品のうち、35点が入賞。経済産業大臣賞を、北海道大学附属札幌小学校(札幌市)の「どさえこ新聞」(=図、エネルギー教育情報ステーションホームページより引用)が受賞した。「どさえこ新聞」では、2018年9月の北海道胆振東部地震で発生した道内全域停電(約295万戸)を振り返り、電力需給における防災対策に着目。電気自動車「日産リーフ」について調べるため、北海道日産自動車へのインタビューを行い、発災時、「日産リーフ」からの給電で道内のコンビニチェーン「セイコーマート」が営業を続け市民の生活を支えた経緯を記事化し、「エネルギーのおすそわけ」と題し称賛している。また、道内に北海道電力泊発電所が立地することをとらえ、「原発と私たちの選択」と題するコラムも掲載。高レベル放射性廃棄物処分地選定に向けた寿都町と神恵内村での文献調査の動きにも触れ、「原発を持つ日本には核のゴミをどこかが受け入れなければならないのも事実」とした上で、風評被害に対する不安などから「北海道の未来に害がないことを約束してほしいと願う」と述べている。入賞作品には水素や太陽光など、個々のエネルギー供給源を特集的に取り上げた作品も多かったが、今回6点の作品が入賞し優秀学校賞を受賞した常葉大学教育学部附属橘小学校(静岡市)の「未来に届け!!エネルギー新聞」と「今までとこれからのエネルギー新聞」(いずれも優秀賞)では、日本のエネルギー資源・需給の全体像を整理し、将来の電力構成や地球温暖化問題について、データを織り交ぜながらまとめていた。
- 15 Feb 2021
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消費者庁、放射性物質と食品安全について親子で学ぶコンテンツ公開
消費者庁は12月21日、主に小学生とその保護者を対象に、親子で学べるウェブコンテンツ「知ろう!考えよう!食べものと放射性物質」を公開した。食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省との協力により制作されたもの。動画とクイズで食品中の放射性物質について説明している。同コンテンツでは、アニメキャラクターが動画の中で、福島を訪れ、「福島第一原子力発電所事故により、食べものの中の放射性物質を気にする人がいる」と問題提起。「放射性物質」、「放射能」、「放射線」の意味を電球の光に例えて説明した上で、霧箱実験を見せる。食品中の放射性物質に関して、福島のリンゴ農園へのインタビューを通じ、生産者の努力で安全な食品が消費者に届けられていることを述べるという内容。霧箱は家庭でも用意できる材料・器具で作り方を紹介。放射線が身の回りにあることを知ってもらい、「放射線は『ある、ない』ではなく、安全かどうかを判断するには『多い、少ない』という量で考えることが重要」と教えている。
- 23 Dec 2020
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フォーラトム:「原子力産業界で適切な能力を維持するため一層の教育・訓練が必要」
欧州の原子力企業約3,000社を代表する欧州原子力産業協会(フォーラトム)は9月29日、欧州の原子力産業界が今後も低炭素なエネルギーや重要な医療診断・治療を提供し続けるには、適切な能力を持った人材を一定数、確保することが重要との見解を表明した。これは同日、フォーラトムが新たに公表した政策方針書の中で述べられたもので、「原子力分野で能力のある人材を十分な数だけ確保するため、欧州連合(EU)が政策面でその教育と訓練を一層充実させねばならない」と強調。原子力関係の高い技能を持った人材が欧州で維持され、その恩恵が末永く欧州社会にもたらされるよう、原子力産業界はEUおよびその加盟各国の政策立案者と協力し合う必要があると訴えている。フォーラトムによると、欧州社会は今、地球温暖化や価格が適正なエネルギーの利用、健康や雇用などの分野で課題に直面しているが、欧州原子力産業界にはこのような課題に対応する準備ができている。ただし、同産業界の総体的な「能力不足」という問題があり、とりわけ、かなりの数の人材が引退年齢に達しつつあることを考えると、今後は短期間で世代交代を行う必要がある。またそれを実行する際、例えばデジタル化への移行に取り組むには人材の技能再教育、能力アップといったものが要求されるとした。フォーラトムのY.デバゼイユ事務局長は、「EUの地球温暖化との闘いに対する支援や救命治療の提供に至るまで、欧州の原子力産業は日々の暮らしに多くの恩恵をもたらしている」と指摘。雇用面においても同産業は欧州の様々なレベルで機会の創出を幅広く支援するなど、欧州社会が直面する難問への対処で多くの恩恵をもたらしていると述べた。こうした背景からフォーラトムは、EUが今後も原子力を活用し続けるために、適切な能力を持った十分な数の人材確保という観点から以下の項目を勧告している。科学・技術・工学・数学(STEM)などの理系教科に若者たちを引き付けるため、これらを魅力的な学科とし、欧州が技術面で確実に世界のリーダーシップを握れるようにする。原子力が社会に貢献している側面を一層積極的に若者たちに伝えるなど、若者たちが原子力分野の学問を学び就職することを奨励する政策を実施・展開する。EU域内の様々な低炭素発電部門の雇用においては、科学的事実を根拠とする政策に基づいて、すべての発電技術を平等に取り扱うとともに正確な情報を提供する。原子力関係の教育・訓練に対するEU基金からの資金援助を増額すべきであり、重要な研究開発や革新的プロジェクトに携わる優秀な人材を支援する。これにより、EUが原子力技術革新においてリーダー的立場を維持する。 原子力教育・訓練の分野でEUが資金援助するプロジェクトについては、長期的なアプローチを取る。期間の限られたプロジェクトでも短期的メリットはあるものの、長期間続けることでより多くの達成が可能になる。人材の世代交代や技術の伝承においては、政策立案者や教育機関、産業界が一丸となって協力し、デジタル化などの新しい技術に人材が適用できるよう支援を行う。(参照資料:フォーラトムの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月29日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 01 Oct 2020
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文科省が放射線教育で調査結果を発表、副読本の活用状況も
文部科学省は3月24日、全国の小中高校(特別支援学校を含む)計約4,300校を対象として12~1月に実施した放射線教育に関する調査の結果を発表した。2018年に改訂した放射線副読本の活用状況についても把握し、授業の実践例を収集し取りまとめるなど、今後の放射線教育の充実化に資するのがねらい。それによると、授業などで放射線に関する内容を扱ったことや扱う予定のある学校は、小学校で約69%、中学校で95%、高校で80%、実施した教科としてあげられたのは、小学校で社会科、理科、中学校で理科、社会科、高校で理科、公民の順に多かった。また、授業などを準備する際に外部人材を活用していた学校は、小学校が6%、中学校が5%、高校が4%と、いずれも1割に満たなかった。その他、放射線について学ばせる上で工夫した点としては、防災学習での取扱い、修学旅行における広島・長崎訪問や語り部との対話、社会科と理科の学習内容を関連させた教科横断的な取組などがあげられた。放射線副読本の取扱いとしては、「すべての生徒に配布した」と回答した割合が、小学校で66%、中学校で62%、高校で52%といずれも半数を超えた。活用した学校は、小学校で52%、中学校で56%、高校で28%だった。また、活用の場としては、小中高校いずれも、「教師の説明」が最も多く、「調べ学習」、「話し合い・発表」がこれに次いだ。有効だった点としては、「絵や写真があることで子供たちにとってわかりやすい」、「内容がわかりやすく教師が活用しやすい」、「放射線についての基礎的な知識だけでなく、風評被害や差別についても触れられているので、多面的に学習できる」、「教科書よりも内容が詳しいため理解を深めるために有効だった」といった意見があった。一方、「教科の学習内容とどのように結び付いているのかを明確にし、授業内容で活用しやすいようにして欲しい」、「小学校低学年の指導で扱うことは難しい」、「危険性を正しく伝えることと同時に、放射線の有用性などについても大きく取り上げて欲しい」といった改善を求める意見もあった。
- 26 Mar 2020
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