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エネ庁 「もしエネルギーがこうなったら模試」実施中
資源エネルギー庁は、アンケート形式のウェブコンテンツ「もしエネルギーがこうなったら模試」(もし模試)を1月30日まで公開している。「東大クイズ王」としてテレビ番組に出演している伊沢拓司さんらが中心となって運営されるメディア「Quiz Knock」(クイズノック)とのコラボレーション。「もし模試」では、日本のエネルギーにまつわる様々な「もしもの可能性」をテーマに7問を「出題」。「受験者」は、「もし1週間エネルギー(電気、ガス、石油など)が使えなくなったとしたら、何が一番困るだろう?」、「もし日本のエネルギーを自分たちで供給するとしたら、どんな方法があるだろう?」、「もしあなたがカーボンニュートラルを推進する立場にあるとしたら、まずどんなことから取りかかる?」などの問いに対し、与えられた選択肢の中から自身の考えに最も近いものを回答。回答後は、「受験者」の回答傾向と各選択肢に関する解説を見ることができる。同コンテンツは1月13日から公開されているが、例えば、「もし日本社会が再生可能エネルギーだけをつかうようになったら、どんなことが起きるのだろう?」との問いに対しては、「温室効果ガス削減に寄与するが、安定供給と経済効率性が悪くなる」との回答が71.0%で最も多かった(1月18日16時時点)。これに対し、解説では、「完璧なエネルギーがない中で、再生可能エネルギー比率を上げながら、『安全性』、『安定供給』、『経済効率性』、『環境適合』の4つのバランスを見ながら多様なエネルギー源を組み合わせる必要がある」と、エネルギー需給における「S+3E」の重要性を説いている。「もし模試」では、大学生・大学院生の「受験者」に対し、抽選でJERA姉崎発電所の見学と伊沢拓司さんとともに未来のエネルギー問題を考えるワークショップへの招待も予定している。
- 18 Jan 2023
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エネ庁 リニューアル情報サイト「エネこれ」開始
資源エネルギー庁は11月7日、ウェブ上の情報サイト「スペシャルコンテンツ」を、「エネこれ」と命名しリニューアルするとともに、エネルギーについてわかりやすく学べる特設サイト「みんなで考えよう、エネルギーのこれから。」を新設した。〈資源エネルギー庁発表資料は こちら〉「スペシャルコンテンツ」は、エネルギー広報の取組として、2017年6月にスタート。以降、同サイトを通じ、カーボンニュートラル、福島の復興、核燃料サイクル、最終処分などをテーマに、有識者のインタビューも交え定期的に情報を発信し、6月末時点での記事数は約310本に上り、そのうち、原子力関連の記事は約60本となっている。リニューアルに合わせ「エネこれ」では、新着記事として、「エネルギー政策を考えるための、4つの理想」を掲載した。そこでは、エネルギーを考えるカギとなる4つの「理想」として、絶対に安全なものを使いたいいつでもどこでも安定して使えるようにして欲しい値上がりすると生活が苦しい。安いものがいい地球のため、環境にやさしいものを選びたい--を提示。エネルギーに係るそれぞれの「理想」に関し、福島第一原子力発電所事故の経験、世界情勢の影響による供給リスク、価格高騰の現状、大気汚染物質の排出や放射性廃棄物について考える必要性などをあげ、「4つをまとめて叶えられるような夢のエネルギーは見つかっていない」と説明。その上で、4つの理想の頭文字をとった「S+3E」(安全性、安定供給、経済性、環境への適合)を基本的視点として、エネルギー政策について考えさせている。一方、新設サイト「みんなで考えよう、エネルギーのこれから。」では、動画コンテンツも用いて、エネルギーに関する疑問に応え、エネルギー政策の基本となる考え方などをわかりやすく説明。多くの人たちがエネルギーについて考えるきっかけとなるサイトを目指す。1日に政府が決定した今冬の電力需給対策で「安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通し」が示されたものの、1月の東北・東京エリアでは厳寒時の需要に対する予備率が4.1%に留まるなど、依然として厳しい見通しだ。同サイトがまず掲載した動画コンテンツでは、「朝、いつもの電車が止まるかもしれない」、「来月、電気代がものすごく高くなるかもしれない」といった電力需給ひっ迫により引き起こされる影響を述べた上で、太陽光、水力、火力、原子力他の発電所イラストが並ぶところに「万能ではないから、エネルギーをひとつには選べない。」とのテロップを掲げ問題提起。これを踏まえ、エネルギーに関する、「電気代やガス代、ガソリン代はどうして高くなっているの?」、「全部、太陽光や風力で発電したらどうなるの?」、「原子力発電所の安全性は大丈夫?」といった疑問に対し、これまで「スペシャルコンテンツ」で紹介してきた記事に誘導し応えている。
- 11 Nov 2022
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「原子力産業セミナー2024」が東京で開催
企業と学生の採用・就職活動支援と原子力産業界への理解向上を目的とした「エネルギー未来フォーラム『原子力産業セミナー2024』」(主催=原産協会/関西原子力懇談会)が10月15日、東京都立産業貿易センター(東京・港区)で開催され、企業・機関42社が出展し、258名(速報値、オンライン参加の31名を含む)の学生らが訪れた。主に2024年卒の大学生・大学院生・高専生が対象。同セミナーは例年同様、大阪でも開催(10月29日)される予定で、東京会場に参加した企業・機関も含め34社が出展する。いずれの会場とも参加企業・機関数は昨年度を上回り、東京会場の来場者数はおよそ3割増となった。ブースで説明に当たるBlossom Energy・濱本CEO(左)と同・近岡COO今回、初参加の(株)Blossom Energyは、革新炉研究開発に取り組む設立から間もないベンチャー企業。日本原子力研究開発機構で20年間にわたり高温ガス炉の運転・保守・研究開発に従事してきたというCEOの濱本真平氏は、かつて指導を受けた上司の気概を回顧しながら、「人が減ってしまえばどんな産業も衰退する」との思いを強く感じ後進の育成を目指してセミナーに出展したと話している。放射線検出機器を手がけるセーコー・イーアンドジー(株)は今回、2年ぶりの参加。学生の頃、セミナーに参加したという担当者もブースに立ち、同社の事業に対し機械関係、食品関係他、幅広い分野の学生から関心が寄せられており、特に、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から採取したサンプルの分析など、大型プロジェクトへの関わりに「反応がよかった」と印象を語った。初回(2006年度)からセミナーに参加している原子力発電環境整備機構の担当者は、今回の傾向に関し、「例年と比べ、原子力関係の学生が多く文科系は少ない」、「学校の授業で地層処分について聞き知っているという学生も増えてきた」などと話している。セミナーに訪れた原子力専攻の学生3名グループ(いずれも学部3年生)に話を聞いたところ、Aさん 普段、耳慣れない企業もあり、色々なブースを回り知識を深めていきたいBさん 新型炉、SMR (小型モジュール炉)、高速炉に関する話も聞けて、ためになったCさん 原子力に関する知識を一般に提供する場が必要だと思う――などと語った。
- 17 Oct 2022
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アツイタマシイ Vol.3 ドミニク・ムイヨさん
2022年のWiN Global年次大会を東京で開催コロナ禍の中、WiNの活動にどのように取り組んできましたか?ドミニクウェブ会議など、オンラインで活動してきました。2020年にカナダで開催するはずだった年次大会はキャンセルせざるを得ませんでした。翌2021年もカナダ開催を試みましたが、感染拡大のため、最終的にはオンラインで年次大会を開催しました。5月に東京で開催されたWiN Global年次大会はいかがでしたか?ドミニク今年こそは顔を合わせて話し合いたいと考えていました。全員が参加するのは難しいので、対面とオンラインを併せたハイブリッド方式の年次大会を東京で開催しました。大会はパーフェクトにオーガナイズされ、大変興味深い内容でした。WiN-Japanのメンバーと大会主催者のみなさんのおかげです。コロナ禍に立ち上げた若手グループと専門グループに期待WiN Globalの会長として、特に力を入れてきたことを教えてください。ドミニク2020年の会長就任以来、私は新しいイニシアティブの立上げに取り組んできました。ひとつは、WiN Globalの中に若い世代のグループをつくること。今では30か国60人の若いメンバーのグループができました。彼女たちが国際原子力青年会議(IYNC)など、原子力業界の若い世代と対話し、新しいアイデアでWiN Globalのアクションプランを推進してくれることを期待しています。ふたつ目のイニシアティブとして、6つの専門グループをつくりました。私たちのネットワークのノウハウ共有やメンバーのプロモーションを目的としていますが、それと同時に、若い女子学生たちに、原子力業界の様々な分野でキャリアを築く道筋を示すためでもあります。それぞれのグループには、パートナーとなる組織がついています。核セキュリティに取り組むグループのパートナーは、国際原子力機関(IAEA)です。廃止措置に取り組むグループは、フランス電力(EDF)がパートナーです。そして、原子力のイノベーションに取り組むグループのパートナーは、ロンドンにある世界原子力協会(WNA)です。原子力防災に取り組むグループもつくりました。パートナーは2つあり、IAEAと、モロッコにある国立エネルギー・原子力科学技術センター(CNESTEN)です。このほか、核医学に取り組むグループや放射性医薬品に取り組むグループもあります。将来的には、専門家組織として各国政府に認められ、意思決定に関わることを目指しています。原子力業界における女性エンジニアのパイオニアとしてそもそも原子力業界の仕事を選んだ理由を教えてください。ドミニク私は学生時代に化学を専攻していました。化学工学の学位を取るためにフランス原子力庁(CEA=現・原子力・代替エネルギー庁)で半年間研究して学位論文をまとめました。CEAはそのまま私を研究エンジニアとして採用しました。特に原子力の研究機関を選んだわけではなく、偶然だったのです。もともと理系の科目が得意だったのですか?ドミニク子どもの頃から数学が得意でした。エンジニア養成コースには、週に16時間も数学の授業があり、私は数学が好きでしたので、そのコースに進みました。それだけです。化学というよりも数学が進路を決めましたね。当時はエンジニア志望の女子学生は少なかったのでしょうね。ドミニク在学中、30人の学生のうち女子は5人しかいませんでした。CEAには女性研究員がもっといましたが、それほど多くはなかったですね。CEAの化学研究エンジニアとして、様々な研究に関わりました。ラ・アーグにある再処理施設で核燃料の再処理に関する研究を行いましたし、核ペースメーカーの研究もやりました。高レベル放射性廃棄物を宇宙空間で処分する研究も! どれも面白かったですし、なにしろバラエティに富んだ研究がありました。若いエンジニアとして、こんなに様々なチャンスを与えられて、私は燃えました。そして、この業界でやっていこうと決めたのです。ですが、4年ほどでCEAを辞めました。研究は自分の天職ではないとわかったからです。私は産業界に入り、アメリカ系企業のフランス法人で原子力防護のための計測機器の装備の仕事に就きました。そこには女性は誰もいませんでした。男性ばかりの産業界は、働く環境としてどうだったのでしょう?ドミニク快適でしたよ。快適ですか!?ドミニク紅一点で快適でした(笑)実際、自社の技術開発や売り込みのために、パートナー企業やクライアントを訪問すると、彼らは女性が来たのを見て驚いたものです。競争相手は男性ばかり。私は自分の知識や能力を示す必要がありました。それが最初のバリアでしたね。担当分野で“ものすごくデキる”と認められること。私はとにかく働きました。このバリアを乗り越えてからは、競争相手やクライアントである男性たちに助けられてばかりでした。私は女のコじゃない。私はエンジニア。それだけです。実力を示してからは同僚や上司もサポートしてくれたのですか?ドミニクはい。ドイツ系の企業に転職してからも女性は私一人でしたが、社長も管理職層も私の能力を認めてくれました。繰り返しますが、私はとにかくよく働きました。知識も技術も誰にも負けないように。そうなると、周りの男性たちもとても協力的でしたね。そのように徐々にステップアップし、その後、フランスの会社では責任ある高い地位に就きました。ずっとフランスで働いてきて、女性であることは私にとって障害ではありませんでした。気候変動対策における原子力の役割気候変動対策における原子力の役割を、どう考えますか?ドミニク気候変動対策としての原子力の推進は重要です。それを世間にアピールするベストな場所は、COPだと考えています。WiNの具体的な取り組みをお聞かせください。ドミニク昨年グラスゴーで開催されたCOP26では、『Nuclear for Climate』という原子力業界の有志が打ち出したキャンペーンに署名しました。WiNの40の支部が署名し、署名した組織の半数を占めています。COPへの正式参加はできなかったため、WiN Globalの代表として、若い世代のリーダーと前会長をグラスゴーに送りました。2人は『Nuclear for Climate』のブースに参加して、WiN Globalの役割を説明し認知してもらえるよう努めました。そして、COP26で発表された「ジェンダー平等と気候変動に関するグラスゴーの女性リーダーシップ宣言」にも署名しました。今年はエジプトで開催されるCOP27にWiNが参加できるように準備しているところです。既にオブザーバーとしての参加は認められていますが、できればスピーカーとして参加したいので、たくさんの書類を送って主催者側の回答を待っているところです。なかなか簡単にはいかないんですよね(笑)持続可能な社会にとって、どのようなエネルギーミックスが望ましいでしょうか?ドミニク原子力業界は、もはや「原子力100%」という考え方ではないと思います。それは社会が期待していることではありません。風力や太陽光などの再生可能エネルギーに加えて、原子力にも役割があるエネルギーミックスがソリューションだと確信しています。私は、再エネに取り組む女性の国際組織と初めて連携することにしました。Global Women’s Network of Energy Transition (GWNET)という組織で、40か国からメンバーが参加しています。彼女たちは原子力に好意的ではありません。しかしWiN Globalは、業界内のパートナーシップばかりではなく、再エネを推進する組織にもオープンであるべきだと私は考えています。まずは6月末に、GWNETと共同で大きなイベントを開催しました。フランスのカダラッシュにあるITER機構の本部で、エネルギーミックスについて話し合う円卓会議です。原子力の組織と再エネの組織が互いに対立するのではなく、共に取り組むための対話を始めました。エネルギー問題やビッグサイエンスに取り組むほかの女性組織にもオープンになろうとWin Globalに提案しています。女性として私たちが果たせる役割があります。もちろん、私たちだけの役割ではありませんが、対話を進める上で私たちも役に立てると思います。原子力発電のリスクとどう向き合うか原子力にはメリットがある反面、福島第一原子力発電所のような事故のリスクもあります。ドミニク福島で起きたのは原子力事故ではなく、津波です。不幸にも、この津波が原子力事故を引き起こし、原子炉が制御不能となりました。発電所が機能していなかったことが原因ではありません。それでも、私たちはこのことから教訓を学ぶ必要があります。チョルノービリの事故からも教訓を学んだように。福島から学んだすべての教訓を、原子炉の運転の安全性のために考慮に入れてきました。私たちはゼロリスクとは決して言いません。ゼロリスクはどこにも存在しないのです。国際社会は、既存の原子力発電所の安全性に関わる全ての構成要素を強化し、新設に際しては、強化された安全基準をより一層考慮に入れてきました。今も努力を続けているところです。安全性のためにそこまで厳格な基準や条件を定めている産業部門は、そう多くはありません。そして、安全性のためのあらゆる方策と条件が恒久的に遵守されることを保証するために、各国の安全規制当局の独立性が保たれなければならないと考えます。高レベル放射性廃棄物の最終処分は、同世代間の地理的な不公平感、また、将来世代の負担をもたらす大変難しい問題です。どのようにお考えですか?ドミニク難しい問題です。原子力を活用している国々の中でも考え方が違います。原子力発電所から出た使用済み燃料をそのままの形で処分(直接処分)することに決めた国々もあります。一方、フランスや日本では、使用済み燃料を再処理して高レベル放射性廃棄物だけを処分します。フランスでは、高レベル放射性廃棄物を地下に埋めますが、その際に、可逆的な方法を取ることにしました。「可逆的な方法」とはどのようなものでしょうか?ドミニク何百年も経過すると、今日の私たちには未知のイノベーションが起こるかもしれません。そのためにも、地下に埋めた廃棄物を取り出せるようにしておくという意味です。高レベル放射性廃棄物は影響が弱まるまでに長い年月がかかりますが、量的に多いわけではなく、安全な方法で保管することができます。汚染物質を川に流したり自然界に捨てたりしている産業もありますが、原子力業界ではそのようなことはしません。自分たちが出した廃棄物を完璧に管理しているのです。確かに、私たちが「放射性廃棄物」を抱えていることは現実です。ですが、ITERで研究が進められている核融合が産業レベルで導入できるようになれば、発電による廃棄物は大幅に減ることでしょう。先ほどお話ししたように、数十年前には、放射性廃棄物を宇宙処分する案もありました。アリアン(Ariane=欧州宇宙機関 が開発した人工衛星打ち上げ用ロケットシリーズ)を使って廃棄物を宇宙空間の太陽軌道に送ろうと考えたのです。結局は、高コストのため実現しませんでした。原子力業界は放射性廃棄物の処分について、ベストなソリューションを求めて取り組み続けてきたのです。一般市民の理解を促進するために原子力について一般市民の理解を促進するために、どのような活動に力を入れていますか?ドミニク市民のみなさんとのコミュニケ―ションにも長年取り組んでいます。各国のWiNのチームが年に数回、ローカルなイベントを開催しています。原子力エネルギーや原子炉、核医学、原子力に関わるアート、天文学や農学など、原子力や放射線の様々な活用について、スピーカーを招いて地元の人たちに参加してもらうのです。原子力のベネフィットを知ってもらい、原子力のリスクへの偏見や恐怖のイメージを取り除いていくのです。そういうイベントに参加者をどうやって集めるのですか?ドミニクたとえば、地域の文化センターでは定期的に一般市民向けのイベントを開催しており、私たちが原子力・放射線の活用をテーマに会議を開く機会もあります。市民のみなさんはそういったイベントに参加することに慣れているので、私たちの会議にも来てくれるわけです。文化センターのような地方のパートナーとのつながりが必要で、WiNのローカルメンバーが力を発揮します。若い世代との意見交換にも取り組み、今ではWiN Globalの中に若い世代のグループもあります。原子力だけでなく、脱炭素について話し合える新しいアイデアを出してもらいたいですね。若い世代向けのミニ・コンテストも開催しています。コミュケーションは長期にわたるプロセスです。地方レベルと国レベルで一歩一歩進める必要があります。原子力業界は、もっとコミュニケーションを取り、もっと説明し、もっと教育活動に力を入れるべきです。若い人たちともっと話をし、もっともっと多くの若い人たちが原子力に興味を持って原子力業界に入ってくるようになれば、少しずつ、原子力への偏見がなくなっていくのではないかと思うのです。東日本大震災後の日本へのメッセージ福島第一原子力発電所の事故から11年経った今でも、日本では原子力の活用について対話するのがなかなか難しい状況です。そんな日本の原子力業界へのメッセージをぜひお願いいたします。ドミニク私はフランスで12年間、三菱重工さんと仕事をする機会に恵まれました。私が会ったエンジニアのみなさんは経験豊富な方々でした。私は日本の原子力産業を、彼らを通して知りました。三菱重工、東芝、日立といった日本の優秀な原子炉メーカーは、もはやグローバルな組織の一部であり、未来のための新しいテクノロジーに取り組んでいます。信頼できるみなさんだと思います。一般の人たちの考えを進化させるのは容易ではありません。しかし、それもWiN Globalの役割の一つですし、WiN-Japanが力になれると思います。WiN-Japanのメンバーが市民のみなさんの議論に参加することは、議論の助けとなり、原子力のメリットや使用済み燃料の再利用に対する意識を高めることにつながるのではないでしょうか。人類の持続可能な未来と原子力への強い信念原子力推進の取り組みを続けてこられたモチベーションは何でしょうか?ドミニク人類の持続可能な未来を信じているということです。そして、人類の持続可能な未来のためには原子力が必要だと確信していることです。深く強い信念です。私がずっと原子力業界で働いてきたのは、それが理由です。私は原子力推進に取り組み続けます。人類の持続可能な未来のための鍵は、原子力でありエネルギーミックスなのです。それがムイヨ会長の信念なのですね。ドミニク心の底からの強い信念です。個人の強い信念がなければ、こんなことをずっとやってこられたでしょうか? できるものではありません。強い信念を持つことはとても大切です。ムイヨ会長の心を支える「座右の銘」がありましたら、ぜひ教えてください。ドミニク人生において、私には情熱を持ち続けているものが二つあります。原子力、そして乗馬です。どちらも求められるものは同じ。それは信念と情熱、そして耳を傾けることです。原子力業界では、相手の言うことに耳を傾ける必要があります。たとえば、反対派、若い人たち、一般の人たち。彼らによく耳を傾けなければなりません。そして、馬に乗る時は常に馬に耳を傾けるのです。自分がすべてを仕切っていて、自分の思い通り、馬は常に従うべきだなんて思ったら大間違い。自分の馬によく耳を傾ける必要があります。どれぐらい耳を傾けられるか、日々精進しなければなりませんね(笑)
- 23 Aug 2022
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原子力学会、高校教科書の原子力関連の記述で調査報告
日本原子力学会は8月18日、教科書のエネルギー・環境・原子力・放射線関連の記述に係る調査報告書を発表した。同学会の教育委員会が毎年、小中高校で用いられる教科書を対象に実施しているもので、今回は、新学習指導要領に基づき2022年度から使用されている高校の地理歴史、公民、理科、保健体育、家庭、工業の各教科の検定済み教科書計72点を調査し、エネルギー・環境・原子力・放射線に関連した記述(写真、図・グラフも含む)、これに対するコメント・修文例を整理。エネルギーや原子力に関する教育の改善につながるよう意見・提言をまとめた。高校の新学習指導要領は、2022年度入学生から学年進行で実施されており、今回、調査した教科では現在、地理歴史の地理総合と歴史総合(近現史、旧課程の世界史A・日本史Aに概ね相当)、公民科の公共(旧課程の現代社会に概ね相当)の新設科目を含む計11科目が履修されている。地理総合では、今回調査した教科書6点中5点が資源・エネルギー問題について取り上げており、発展的学習として、国ごとのエネルギー事情の比較、日本の電源別発電量の推移など、資料を提示した上で、エネルギーの将来についてディスカッションを通じ考えさせる記述もあった(二宮出版「わたしたちの地理総合 世界から日本へ」)。そこでは、「従来通り、化石燃料を中心におく」、「原子力発電との共存を図る」、「再生可能エネルギーに迅速に移行する」の3つの主張をあげ、自身と意見の異なるグループとのディスカッションを経て「自分の意見はどう変わったか」を考えさせる内容となっており、今回の報告書では「理解を深め考察を促す効果的な内容」と評価している。歴史総合では、12点中11点がチェルノブイリ((本紙では「チョルノービリ」と表記しているが、実際の教科書の記述にならった))原子力発電所事故について取り上げていた。これに関し、報告書では、「『ウクライナ』、『ロシア』、『ソ連』の関係が今の生徒にはわかりにくい」と指摘し、「ウクライナ」の記載に関しては、「ソ連」との関係性を明確にするため、「ウクライナ(旧ソ連)」と記載するよう提案。また、戦後50年の国内外の動きを振り返る記述の中で、高速増殖炉「もんじゅ」の所在地を「大洗」と記載した誤りもあった(正しくは福井県敦賀市)。公共では、「これからの日本の発電エネルギーはどうあるべきか」をテーマとした市民、専門家、自治体職員、経営者によるロールプレイを通じた議論の事例を紹介した教科書があり、報告書では、「重大な問題を多角的に考える姿勢を育成する意味で大変好ましい」と高く評価(帝国出版「高等学校 公共」)。また、エネルギー問題の複雑さから、公共の教科書に関しては、新エネルギーのメリットとデメリットを紹介し理解しやすくする工夫を図るとともに、供給の安定性、安全性、環境への配慮、経済性も含めた総合的な観点、長期的な視点から言及するよう要望している。福島第一原子力発電所事故に関しては、化学基礎と「科学と人間生活」を除くほぼすべての教科書が記述。「カーボンニュートラル」については、地理総合と物理基礎の計4点の教科書が取り上げていた。電力の需給バランスについては、2018年の北海道胆振東部地震に伴う大規模停電を例をあげ、「火力発電・水力発電・原子力発電に加え、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーなどをふくめたうえで、電力の需給バランスを維持する必要がある」などと記述し、詳細に説明している教科書があり、報告書では「大変適切」と評価(啓林館「高等学校 科学と人間生活」)。高レベル放射性廃棄物の処分問題を取り上げた教科書も多くあったが、「科学的特性マップ」に触れていたのは1点のみだった(実教出版「地学基礎」)。
- 22 Aug 2022
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アツイタマシイ Vol.2 マシュー・メイリンガーさん
コミュニケーションを通じて先入観や思い込みを払拭マシューさんが原子力業界で働きたいと思ったきっかけは何でしたか?マシュー私が9年生、日本でいえば高校1年生の時、国語の授業で小論文(エッセイ)を書くことになり、たまたま選んだテーマが「原子力」、それがきっかけでした。いろいろ調べていくと原子力技術は効率のよい発電方法であると同時に、医療や工業、農業など幅広く社会に貢献し、エネルギー問題や環境問題にも寄与することを知りました。将来的に原子力分野の仕事は意義があり、また安定しているため、キャリアを積み重ねていく価値があると思ったのです。原子力業界に入る前と入った後で、意識などに何か変化はありましたか?マシュー実際に原子力分野で仕事を始めてから感じたことは、原子力が社会に幅広く利用されるためには一般市民の人たちに理解してもらうことが重要だ、ということでした。原子力工学を学んでいた時にはもっぱら技術的なことに取り組んでいましたが、様々な経験を経て、原子力利用の普及のためには技術の問題よりも一般市民に理解されるかどうか、つまりコミュニケーションを通じて先入観や思い込みの部分を払拭していくことが必要だと実感しました。この10年ほどYGNの活動を通じて一般市民の方々との対話を重ねてきましたが、こうした活動をまだまだ今後も続けていくことが重要だと考えています。ウクライナ問題などエネルギー情勢はめまぐるしく変化しています。このような時期にあって、原子力利用の意義と将来性についてどうお考えですか?マシューロシアのウクライナに対する軍事侵攻により、エネルギーや食糧の自給自足がいかに大事かということが明らかになりました。とりわけ各国が発電の手段を確保しておくことは重要です。ロシアのような資源国の状況変化に左右されないよう、発電手段を確保することが必要だと思います。エネルギー不足に直面すると、結局のところ、苦しむのは一般の人々です。特にドイツでは痛感されているのではないでしょうか。ドイツは天然ガスをロシアに依存していたことから、外交のカードとして使われてしまった。ベルギーも同じような状況にあり、脱原子力の立場から見直しを迫られている状況です。まして気候変動問題に真剣に取り組むことが求められている現状では、原子力発電は再生可能エネルギーと並んで最適な選択肢です。ウクライナではロシアの軍事侵攻によって多くの発電設備が破壊され、電力供給が停止していると聞きます。そのような中で、原子力発電所は運転を継続し電力を供給し続けています。安全性や安定供給が原子力発電所の特長といえますが、今後SMRが実現すると、より安全性の高い原子炉が運転を開始することになります。ウクライナ問題は各国政府が原子力発電の特長を再評価するきっかけになるでしょうから、原子力の将来性について国際的な評価が高まると期待しています。カナダの原子力利用の将来を担うであろう小型モジュール炉(SMR)開発について、またそれを支える人材の育成などについて、どのようにお考えでしょうか?マシューSMR開発についてカナダは、世界に先行するトップランナーの位置にあるといえるでしょう。カナダの4つの州、すなわちオンタリオ州、ニューブランズウィック(NB)州、サスカチュワン州、およびアルバータ州で覚書を取り交わして導入にむけた共同戦略計画を進めているところです。連邦政府のレベルでSMR開発のロードマップ(工程表)が定められ、それに基づいてアクションプラン(行動計画)が策定されています。アクションプランの中に人材育成やサプライチェーンの構築などの進め方も盛り込まれており、SMRを導入する事業者側の課題も挙げられています。またSMR開発自体については連邦政府が財政的な支援を行う計画です。英モルテックス・エナジー社やテレストリアル・エナジー社、米ウェスチングハウス(WH)社などカナダ国内でSMR建設を進める企業に資金を拠出します。カナダでは主に3つのSMR開発プロジェクトが進められていますが、オンタリオ州営の電力公社オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が建設するマイクロモジュール炉は2026年の運転開始を予定しています。またOPG社が2028年の運転開始を目指し、GE日立のBWRX-300を建設するプロジェクトも進行しています。PAが重要な課題SMRの導入に関して現在、重要な課題は何でしょうか?マシューもっとも重要な課題は一般市民の合意、すなわちパブリックアクセプタンス(PA)だと考えています。そのために継続的に対話活動に取り組んでいく必要があります。カナダ政府としても、「実証されていない」あるいは「投資に見合わない」と国民に思われてしまっているものをわざわざ推進しようとは考えません。例えば気候変動やエネルギー不足への対応、水素供給や地域熱供給への活用、そうしたメリットについて広く理解が進み、一般市民の側からプロジェクト推進の声が寄せられるような状況が望ましいと思います。一方で技術的な課題についてですが、初号機に採用された技術は実証済みのものですので、当面する課題は特にないと考えています。それ以降の、いわゆる第4世代の新技術については、今後の課題として進めていくものだと思います。最初に実現するSMRは実証された確実な技術で進めればよいでしょう。新技術の開発などにあたり、若手の研究者や技術者への期待は大きいと思うのですが、マシューさんから見て、現状や今後への期待などはいかがでしょうか?マシューおよそ10年前の福島第一原子力発電所事故の後、カナダでも原子力に対する世論が厳しくなった時期もありましたが、様々な活動を通じた印象としては原子力利用に将来的な希望を抱く若者は少なくないと思います。日本の状況について詳しくは承知していませんが、原子力に対して希望を抱く若者は、日本よりカナダのほうが多いといえるでしょう。私は、大事なことは彼らに「原子力のメリット」に目を向けてもらうことだと考えています。環境にクリーンな電源であることや、医学や工業、農業などの分野で社会に貢献する多様なメリットを原子力技術が有していることを実感してもらえるような活動が重要です。現在も絶えず技術革新を遂げつつある原子力分野の仕事は、若者に「COOL(クール)」と感じてもらえる側面がありますよね。ですから彼らにもそういった印象を持ってもらえるよう、常日頃から心掛けています。日常的にこなすルーティンな仕事というだけでなく、熱い意欲をもって取り組む価値のある仕事だということを理解してもらえるよう努力したいと思っています。そのために今後も引き続き、原子力の様々なメリットを実感してもらうために、シンポジウムや交流会への参加や、発電所サイトの視察機会を多く作っていこうと考えています。マシューさんが取り組んでいるYGNで、そうした機会を作っていくということですか?マシューはい。YGNの活動を通じて今までも取り組んできましたが、これからも引き続き、様々な機会を作る努力をしていきたいです。実は私、6月から3年の任期でYGNのプレジデント(理事長)に就任します。今後の活動について、私自身、強調していきたいのは国際的な活動の充実です。国を越えて若者同士がお互いのベストプラクティスを共有できればと考えています。今回の来日中に福島第一原子力発電所に訪れ、その後に日本のYGNのみなさんと交流する機会を持つ予定ですので、お互いの活動についても共有し、様々な学びが得られると楽しみにしています。私たちが活動する北米のYGNでは、将来を担う子供たちを対象に、コンテスト形式で絵を書いてもらったり、作文を発表してもらうイベントを開催しているほか、わかりやすい絵本を作って読み聞かせをするといった活動をしています。また政府・関係団体に対して若手の視点から意見を表明する政策的な活動として、州が開催する公聴会に参加して意見を表明するといった活動もしています。さらに幅広いネットワークを活かして地域社会の皆さんとの交流を続けています。YGNのメンバーが地域の皆さんに良い印象を持ってもらえるよう交流の場を作ることは大切な活動ですから、今後も原子力利用に対する理解を深めてもらえるよう努力をしていきたいと考えています。SMRが切り拓く 私たちの未来最近の情勢変化を踏まえ、欧州では原子力発電を脱炭素にむけた主要電源として見直す動きもあるようです。環境問題に対する原子力の役割についてどのようにお考えでしょうか?マシュー環境問題への対応の観点から、SMRを導入することで原子力利用の新たな市場が開拓できるというメリットについてお話ししたいと思います。カナダでは従来の大型の原子炉を導入すると、州によっては電力需要を上回ってしまう状況がありました。その点でSMRは各州の状況に応じて柔軟に対応できるため、新たな市場を切り拓くことになるでしょう。またカナダには遠隔地の電力需要をどのように賄うかという問題があります。冬期には道路が凍結するため、事前にディーゼル発電機用の燃料を備蓄する必要があるわけですが、SMRはより安定した電源であり、かつ脱炭素化が可能になります。同様のことはカナダの主要産業である鉱業部門にもいえます。天然資源採掘の現場にSMRを導入すれば安全で安定した電源というばかりでなく、大幅に脱炭素化がはかれるというメリットが期待できます。さらに水素製造や淡水化への応用、負荷追従運転による電力需要への柔軟な対応など、幅広いメリットを考えれば、SMRの実現によってさまざまな新たな可能性が切り拓けると思います。そして重要なことは、環境問題への対応という面で、従来とは違う観点で原子力をとらえることができるようになるということです。つまり、これからは原子力か再生可能エネルギーか、という対立した選択肢ととらえるのではなく、両者をうまく組み合わせ、原子力が再生可能エネルギーを補うといった新たな考え方が可能になると思うのです。それから、輸送部門への活用もSMRに期待されるメリットのひとつです。船舶の動力に使えば、脱炭素化がかなりスピーディーに実現できるでしょう。現在は原子力潜水艦など舶用の小型原子炉は軍事利用がメインとなっていますが、今後民生用の舶用炉という新たな市場がSMRによって切り拓かれることになると期待しています。
- 16 Jun 2022
- FEATURE
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環境白書、放射線影響に係るリスコミ「ぐぐるプロジェクト」紹介
2022年版環境白書が6月7日に閣議決定された。環境省が2021年度に講じた環境保全に係る施策について取りまとめたもの。その中で、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故からの復興・再生に向けた取組として推進している放射線影響に係るリスクコミュニケーション「ぐぐるプロジェクト」が取り上げられている。事故後の健康影響について、今回の白書では、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)による「放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにない」、福島県の県民健康調査検討委員会による「現時点において本格検査(2回目検査)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」との評価を明記。その上で、「放射線の健康影響に係る正しい科学的知見が届かないことにより、不安や風評が生じ、これが差別偏見につながっていく怖れがある」と、課題を提起している。こうした背景から、「ぐぐるプロジェクト」は、「学び・知をつむ“ぐ”」、「人・町・組織をつな“ぐ”」、「自分ごととしてつたわ“る”」ことにより、放射線の健康影響に関する情報を読み解く力と風評に惑わされない適正な判断力を身に付ける場を創出すべく、2021年7月に立ち上げられた。同プロジェクトは現在、「知る」、「学ぶ」、「決める」、「聴く」、「調べる」の5つの活動を展開しており、その詳細については特設サイトで見ることができる。「ラジエーションカレッジ」では、放射線の健康影響に関する誤った認識により結婚を反対する両親を子供が説得する短編ドラマも作成(環境省ホームページより引用)「学ぶ」活動の一つとして、2021年度は、全国の大学生らを対象にプレゼン作品を募集し優秀作を表彰する「ラジエーションカレッジ」が行われた。「ラジエーションカレッジ」では、1,300人以上の学生がセミナーなどに参加しており(2022年2月末時点)、今後は社会人を対象とした職域公開講座も開催し、風評払拭に向けて発信対象を広げていく予定だ。
- 14 Jun 2022
- NEWS
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アツイタマシイ Vol.1 プリンセス・トンビニさん
原子力はアフリカ「脱貧困」のための鍵「プリンセス」という素敵な名前には何か由来があるのですか?プリンセス私は、南ア最大の部族であるズールー族の出身です。父は自称「ズールー国の王」(笑)でしたので、父の“王国”の娘である私に“姫”と名付けました。そのため、私は自分の中には王族の血のような何か偉大なものが秘められていて、それを見つけなければならないと感じてきました。民族由来の名前を使う人も多いですが、私はこの名前が気に入っていて、若い頃から「プリンセス」で通しています。どんなお子さんだったのでしょう?プリンセスとても恥ずかしがり屋で物静かな女の子でした。でも好奇心は旺盛で、新しいガジェットを見ると興味津々。ラジオを分解して中がどうなっているのか知りたがるような子どもでしたね。好奇心の強いプリンセスさんが原子力に興味を持つようになったきっかけを教えてください。プリンセス原子力のことは、NECSAの仕事に就くまでは全く関心がなく何も知りませんでした。それまでは原子力に対してネガティブなイメージも持っていなかったのですか?プリンセスはい。南アの多くの人々がそうであるように、私は原子力に対してまっさらな状態でした。NECSAへの就職の時の話をしましょう。その頃失業中だった私は、毎朝図書館に通ってインターネットで職探しをしていました。当時は自宅からインターネットへのアクセスがなかったからです。ある日、就職エージェントから、NECSAに面接に行くようにという連絡があり、ヨハネスブルグからNECSAがあるプレトリアまで出かけました。80kmの道のりは遠くて、面接の時間に大幅に遅刻しましたし、疲れ切って、その場所の印象からも気乗りがせず、この仕事はお断りしようと思ったのですが、翌日、NECSAから電話がかかってきて1時間も懇々と説得され、働くことを承諾しました。実際にNECSAで仕事を始めてみると、原子力という技術は非常に興味深いものでした。私にはサイエンスやテクノロジーのバックグラウンドがなく、原子力について何も知りませんでしたが、NECSAに入ったことによって、自分の「パーパス」、つまり、やるべきことが見えてきたと言えます。以来、原子力への理解を促進するためのコミュニケ―ションに取り組んできました。アフリカの持続可能な開発の鍵を握るのは原子力持続可能な開発のためのアフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」実現の鍵を握るのは原子力である━━と考える理由を教えてください。プリンセスAUの「アジェンダ2063」は、アフリカを将来的にグローバルな大国に転換していくための青写真です。それを達成するためには、まず、アフリカ大陸にとって大きな課題であるエネルギー貧困を解消することから始める必要があります。アフリカ諸国はもう何十年も何世紀も、“開発途上国”と呼ばれてきました。なぜ、そういう状況が続いているのか。それは、エネルギー貧困が主な原因だと私は考えています。エネルギー貧困がある限り、インフラ開発は進みません。まず、電力へのアクセスを含めた安定性が確保されていないかぎり、投資家が投資することはありません。ですから、何としてもエネルギー貧困を解決しなくてはならないのです。アフリカ大陸では今でも、電力へのアクセスがない人々が6億人もいます。そのうち、4億人は衛生的な水へのアクセスもありません。こういった深刻な課題を解決するためにも、まずはエネルギー貧困を解決し、エネルギー・セキュリティを確保する必要があります。電力源として、なぜ、原子力なのでしょうか?プリンセスまず、コストです。現在、アフリカ大陸で唯一、商用原子力発電所を持っているのは南アです。南アで稼働しているクバーグ原子力発電所(PWR、97万kW×2基)の発電コストは、他の石炭火力や再生可能エネルギーと比較して最も安いのです。原子力はベースロード電源です。南アも含めて、アフリカ諸国は石炭火力によって成長してきましたが、世界は2050年までにゼロカーボンを目指すことになりました。それは、アフリカ諸国にとって、化石燃料への依存度を下げ、新たな技術に着目するチャンスです。南アには豊富な石炭資源がありますが、石炭の使用を削減していくとなると、他のオプションが必要になり、私としては、原子力が有力だと考えています。なぜなら、アフリカでは水不足が深刻ですので、多くの国で水へのアクセスがありません。ですので、水力発電に期待することはほぼ不可能です。モザンビークなどには天然ガス資源がありますが、まだインフラ整備が十分ではありません。他の国々に天然ガスを送るパイプラインなど、インフラ整備にはかなり時間もコストもかかってしまいます。そうなると、現にあるエネルギー貧困や気候変動問題に対応するためには、原子力を使う必要があると私は考えます。アフリカにとって、ベストなエネルギーミックスはどのようなものであるとお考えですか?プリンセス私は、「使用可能なあらゆる発電技術を使っていく」というエネルギーミックスの考え方を支持します。と同時に、それは現実的な解決策でなければならないと考えています。「アフリカでは再生可能エネルギー100%の実現を!」とお考えの人たちもいるようですが、それは誰もやったことがない、とても不可能なことです。どうぞご自分のお国でおやりになってください。私としてはアフリカでは、原子力を含めて多様な発電技術を活用するエネルギーミックスを推進したいと考えています。アフリカ諸国は原子力開発に向かっている現在のアフリカ諸国での原子力発電の進展状況を教えてください。プリンセス南アフリカでは、クバーグ原子力発電所について20年の運転期間延長に向けた手続きが現在進行中です。また、それとは別に、250万kW級の新規発電所建設の計画が進んでいます。既に2020年にRFI(情報提供依頼書)が出ました。RFP(提案依頼書)もまもなく出る予定です。規制当局は“契約の停止条件”(資金調達など、次のステップに進むために満たさなければならない一連の条件のこと)と呼ぶものを提示しているようですが、新設のための調達プロセスを2024年までに完了することを目指しています。次に、ガーナでは原子力発電導入のためのRFIが発出され、市場調査を進めているところです。RFIをベースに、ロシア、韓国、フランス、アメリカなど、各国政府や民間企業が関心を示していますが、日本の名前はなかったと思います。また、ナイジェリアでは原子力のインフラ整備の規制やプロセスなどを規定した5つの法律が制定され、400万kW分の原子力発電所を建設するための入札が発表されたばかりです。これからアフリカで大規模な原子力開発が進むということですね?プリンセスアフリカ大陸は次代の経済ハブになりますので、原子力開発の新しい中心地にもなるわけです。もう一つ付け加えますと、エジプトでは「エルダバ原子力発電所建設プロジェクト」が間もなく着工という段階に至っています。長期的には原子力を持つ計画があり、原子力インフラを準備している“TIER 3”の段階の国々は、これからますます増えていくのでしょうか。プリンセスそうなることを願っています。TIER 3というのは、原子力に関心はあるが国としてのサポートがない状況の国々ですので、その状況が変わることによって、TIER 3の国々がTIER 2(原子力発電プログラムの開始に賛同し、原子力インフラを積極的に開発している)の段階に上がり、新しい国がTIER 3に加わることを期待しています。やはり、人は実際に見たことしか信じないものですから、原子力発電を実現できた国が現れれば、それを目にした他の国々もそれが可能であることを確信できるのではないかと思います。原子力発電のリスクとどう向き合うか原子力には大きなメリットがある反面、重大な事故の危険性や放射性廃棄物の処分の問題があります。原子力発電のリスクについて、どのように考えておられますか。プリンセスあらゆる技術にはリスクがつきものであると考えていますが、原子力についてだけ申し上げます。既存の原子力プラントは50年以上前に建てられたものですが、いま開発されているプラントでは、科学者や技術者は、いかに人的ファクターの影響を制限、排除することができるか、安全を第一に考えて、技術開発に取り組んでいます。小型モジュール炉も、人的ファクターが影響する度合いを制限し、世界各地で過去に起きた事故の教訓を取り入れ、リスクを考慮に入れて設計されています。また、リスクを低減し、核拡散抵抗性についても考慮した燃料が開発されています。このように、テクノロジーは進化し続けており、新しい方法を見出すところにサイエンスの素晴らしさがあると思います。放射性廃棄物について言えば、原子力産業は、廃棄物をみずから管理・処分しようとしている唯一の産業です。ほかの産業では、自分たちが出したゴミがどこへ行ったかなんて、知る由もなく、あちこちに散乱してしまった状況だと思います。原子力産業では、50年前に発生させた廃棄物でさえ、今どこにあるのか把握していて、説明することができます。量的にも相対的に少なく、管理が難しいという状況ではありません。私自身は、いつでも自分の庭に持ってきてもらっても構いません。廃棄の段階になったものは十分に安全で、人体や環境に悪影響を及ぼすことはないと考えています。ロシアによるウクライナ侵攻の過程で、原子力発電所が攻撃対象になりました。また、5月にロシアのソチで開催予定だった2022年の国際原子力青年会議(IYNC)が延期となっています。この事態へのコメントをお願いします。プリンセス政治は専門分野外ですので、原子力に限って申し上げます。長年にわたり、原子力はネガティブな報道に直面してきました。主に、チェルノブイリ、スリーマイルアイランド、福島第一での歴史的な事故の影響によるものです。反原子力のロビー団体は、みずからの目的を達成するためにそういった報道を利用してきました。ウクライナとロシアは、原子力業界のそのような経験を十分に理解している国々だと思います。両国が原子力発電所をしっかりと守り、さらに、原子力産業のイメージを守ってくれることを期待しています。IYNCは、平和を目的として、原子力業界のプロフェッショナルが全員参加する場を作るための国際会議です。現状では、全員参加がほとんど不可能ですので、あらゆることを考慮した上で延期という判断になったのだと思います。アフリカで原子力への理解を促進していくためにアフリカで原子力の理解促進活動を行う中で、どのような困難に直面していらっしゃいますか?また、それをどのように乗り越えていこうとしておられますか?プリンセス難しい点が3つあります。まず、主流のメディアに入っていくことです。メディアには反原子力の声がかなり入っているところも多く、そこに原子力推進の立場として入っていくのは容易ではありません。2つ目は、アドボカシー活動((さまざまな社会的課題に対し、多くの人が関心を持っていることを示し、政策を動かしていくことを目的とした活動))のためのリソースを得ることの難しさです。原子力はほぼ国営事業であり財政上の制約がいろいろありますので、なかなか、コミュニケーションやアドボカシー活動に優先的に予算を頂くことは難しいのです。3つ目は、アフリカの人々にとってまだまだなじみのない原子力というものを説明することの難しさです。私自身もかつては何も知りませんでしたが、やはり、そういう複雑なものをわかりやすく伝えること、そもそも興味を持って聞いてもらうこと自体が難しいです。いろいろな動画を制作して、ある程度の人たちにはリーチできていますが、新しい試みとして、最近は原子力のポエムも書いてみました(笑)。創意工夫を凝らして、いろいろ手がけています。人々に少しでも耳を傾けてもらえるように!その動画の発信というのが、2021年に創設されたAfrica4Nuclearの活動ですね。ソーシャルメディアで原子力に関する教育動画を発信する効果にどのような手応えを感じていますか?プリンセス海外のみなさんにも注目していただき、予想以上の効果がありました。もう少し地元の人たちにも見てもらいたいんですけどね(笑)アフリカは若い人たちの大陸ですから。ソーシャルメディアを使っているアフリカの若者たちに見てもらいたいです。オンラインのコンテンツですから、これから何十年先でも見てもらえると考えています。元々は、学校の先生たちがこれからは動画を使って教えることが増えていくだろうと考えて制作したものでした。将来どんな変化が起きるかやってみようと思ったのです。今のように、まさかマスクをして生活することになろうとは思いませんでしたよね。物事は変わっていくのです。教科書だけでなく、将来は、こういう動画を使って子どもたちに教えてもらえればと思っています。それが動画制作の意図でしたが、海外の人たちにも注目され、さまざまな国際イベントに声をかけてもらえるようになりました。原子力の専門家にも動画に出演してもらっていることも一つの推進力になっています。一連の動画を昨年撮影したのですが、実は今年はまだ撮影できていなくて、「次のシリーズはいつ出るのか?」という問い合わせをあちこちからいただいているところです。将来的には、Africa4Nuclearをアフリカ大陸における原子力に関わるあらゆる事柄のシンクタンクとして位置付けたいと考えています。アドボカシー活動を推進するために、支援してくださる組織と覚書を締結しています。主流のメディアにもどんどん入っていき、テレビで取り上げてもらったり屋外広告を出したりといった計画を進めています。アフリカの貧困を克服するために原子力を推進していく今後、力を入れていきたいことを教えてください。プリンセス原子力とは関係のない市民団体とも関係を構築していきたいと考えています。アフリカの人々の生活水準を上げていくためにはさまざまな課題がありあす。その中で、人道的な側面に力を入れなければならないと考えています。そういう活動も地道にやっていきたいですね。日本の団体や組織のみなさんにも、ぜひ一緒に取り組んでいただきたいと思います。インフラ整備を進めていくよう、アフリカ諸国のリーダーが動けるような環境づくりをしたいのです。そのためには、一般市民を説得して、納得してもらう必要があります。一般市民の見方、とらえ方を変えていかなければなりません。そのために、コミュニケーションやアドボカシー活動への投資が必要です。日本のみなさんにもぜひ協力していただきたいと思います。原子力についての考え方は世代によってどう違うのでしょうか?プリンセス若い世代は、「何も気にしない」という感じですが、より成熟した世代の人たちは、アフリカには解決しなければならないもっと大きな問題があるということを認識しています。ですから、電力へのアクセスがないという問題を解決しなければならず、その状況を原子力によって解決できることを伝えれば、「ぜひ原子力を!」ということになると思います。困難に直面しながらも原子力推進の取り組みを続けるモチベーションは何でしょうか?プリンセス私は根っからのヒューマニストです。アフリカ各地を訪ねる時、目の当たりにする貧困の状況は本当に痛ましいものです。ですから、私にとっては、単に原子力や技術がどうこうという話ではなく、もっと大きな文明や人権の問題なのです。ひどい貧困状態に置かれた人たちは人間としての権利が侵害されているのです。朝起きても何もできないほど貧しい境遇にある人に、どうやって人間としての権利の話ができるでしょうか。私のモチベーションとなっているネルソン・マンデラの言葉があります。「アパルトヘイトも貧困も自然のものではない。人間が生み出したものだ。それゆえに人間の行動で貧困を克服、撲滅させることができる」と。次の世代に引き渡していくこの世界を、より良い場所に変えていくために、誰しも自分の役割を果たす責任があると私は感じています。人間である限り。
- 25 May 2022
- FEATURE
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NUMOが地層処分に関する授業研究で全国研修会、12件の実践事例報告
原子力発電環境整備機構(NUMO)は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の理解に向けた出前授業や教育関係者向けの授業プラン支援などの取組を通じ、次世代層への関心喚起に努めている。最近では、SDGsをテーマとした探求的な学習の題材としても注目されていることから、ESD(持続可能な開発のための教育)の観点で教育課程と地層処分との関連性を啓発する動画をウェブ上に公開。同ウェブには、小中学生向けのボードゲーム教材やモデル授業指導案の動画解説なども掲載されている。こうした状況下、NUMOは、全国各地で行われている地層処分に係る授業・教材研究の取組を教育関係者が共有すべく、「高レベル放射性廃棄物の処分問題を授業でどう取り上げるか」をテーマとする全国研修会を3月6日に都内の日本科学未来館で開催(オンライン配信併用)。全国のエネルギー・環境教育の研究団体から12件の研究・実践報告が披露された。高レベル放射性廃棄物に関する生徒へのアンケート結果、処分地を「北海道とするか」「札幌とするか」で回答に大きく差が生じた(白石中・森山氏発表資料より引用)北海道大学エネルギー教育研究会からは、札幌市立白石中学校教諭の森山正樹氏が3年理科「エネルギー資源とその利用」での授業実践例を発表。計10時間構成の授業の中で、日本のエネルギー事情を踏まえた発電方法ごとの「S+3E」(安全、安定供給、経済効率性、環境への適合)、2018年に発生した北海道内の全域停電、10年後の北海道の電源構成他について、生徒自身で考えさせるもので、「正解のない問題に対峙する資質・能力を育成するために、エネルギー・環境問題を扱うことは有効だった」と、成果を強調。一方で、「まずは教師がしっかり学ばねばならず、ハードルは高い」とも述べ、授業で地層処分について扱うには多くの課題があることを示唆した。森山氏は、授業の中で生徒に対し実施したアンケートについても紹介。「生活で生じたゴミは自分たちで処理すべきだ」との問いに対し94%の生徒が「そう思う」と回答したが、「北海道で高レベル放射性廃棄物を処分するとしたらどう思うか」、「札幌で高レベル放射性廃棄物を処分するとしたらどう思うか」との問いに対し、「賛成」との回答はそれぞれ29.2%、8.5%となっており、アンケート結果を通じ、同氏は「NIMBY」(Not in My Back Yard)の問題についても生徒に考えさせている。学生参加の琉球大・赤嶺さん(ZOOM撮影)沖縄エネルギー環境教育研究会からは、琉球大学教育学部学生の赤嶺優奈さんが中学校理科向けの学習指導案「沖縄特有の粘土を用いた実験と地層の働きから地層処分を考える」を紹介。沖縄北部の土壌「国頭マージ」(赤土)、同中南部の土壌「ジャーガル」(泥土)などを用いて吸水性を比較する実験を行い、人口バリアとしてガラス固化体を隔離し閉じ込める粘土(緩衝材)の働きを理解させるのがねらいだ。九州地区エネルギー環境教育実践研究会からは、大分市立大在小学校教諭の古澤拓也氏が「エネルギー環境教育を通して『バランス感覚』の育成を目指す」実践事例(6年理科)を紹介。火力、風力、水力、太陽光、原子力、地熱の各発電方法のメリット・デメリットについて生徒たちに考えさせたとしており、参加者からは、教科を越えた学校全体による連携の必要性を指摘する意見や、温泉地帯で知られる地元の地熱発電に対する理解に関して質問があった。今回の研修会では4つのセッションに分かれ報告が行われた。セッションのコーディネーターを務めた常葉大学副学長の安藤雅之氏は、「授業に係る大人に%A
- 22 Apr 2022
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エネ庁、小学生の自由研究「かべ新聞コンテスト」で優秀作品発表
資源エネルギー庁は4月7日、エネルギー教育推進事業の一環として小学校高学年を対象に作品を募った「『わたしたちのくらしとエネルギー』かべ新聞コンテスト」の2021年度受賞者を発表。全国からエネルギーに関する自由研究をかべ新聞形式でまとめた394作品が寄せられ、審査の結果、最優秀賞(経済産業大臣賞)には北海道教育大学附属札幌小学校(札幌市)の「地球を救おう ~カーボンニュートラルで~ 新聞」が選ばれた。この他、優秀賞として19作品、入賞として16作品が選ばれている。〈講評と受賞作品一覧は こちら〉最優秀賞作品の「地球を救おう ~カーボンニュートラルで~ 新聞」では、エネルギー基本計画が示す電源構成、「2050年カーボンニュートラル」の意味、電気自動車の普及、原子力発電に関する校内アンケート、旭川市の旭山動物園が取り組む環境保全の取組などを「記事」にまとめ、「地球は人間だけのものではない。私たちも空と森、そして未来のために電気の無駄使いからなくしていき、カーボンニュートラルを実現したい」と訴えかけている。「あさひやま 動物園で バイオマス たくさん学ぶ 猛暑の中で」。これは、同作品をまとめた山村理透さん(5年、応募当時)が旭山動物園を取材した感想を短歌にしたものだ。山村さんが動物園を訪れた2021年7月31日、旭川市は最高気温が37.6℃に上る記録的な猛暑となった。地球温暖化・森林破壊がホッキョクグマやオランウータンの生態に及ぼす影響、園内に設置される水・くみ取り不要のバイオトイレに関して説明を受けたとしており、昨今の異常気象を肌で感じながら、エネルギーと気候変動の関係や環境保全について考える重要性を学んだものと思われる。北海道教育大学附属札幌小学校からは、今回、優秀賞11作品、入賞6作品が選ばれており、冬季に降り積もった雪を貯蔵し施設の夏季冷房に利用する雪氷熱エネルギーや、畜牛の糞尿を発酵させて得られるメタンで熱・電気を起こすバイオガスプラント(副産物として肥料)など、地元ならではの課題がエネルギーへの還元を通じて解決される取組を現地取材した作品も幾つかあった。優秀作品にみられるこうした傾向に関し、コンテストの審査委員長を務めた山下宏文氏(京都教育大学教育学部教授)は、「具体的な見学や調査に基づいて考えが述べられていた」、「自分たちの住む地域の問題に目を向けていた」などと評価。一方で、取り上げるテーマが再生可能エネルギーと地球温暖化に偏っていることを憂慮し、「もう少し広い視野が欲しい」ともコメントしている。
- 11 Apr 2022
- NEWS
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NUMOが地層処分の提言コンテストで表彰式、次世代層からアイデア集まる
原子力発電環境整備機構(NUMO)は2月20日、「私たちの未来のための提言コンテスト」の表彰式を開催した(オンライン)。次世代層を対象に、広く社会全体の課題として高レベル放射性廃棄物地層処分への関心を持ってもらい事業の理解促進につなげていく方策となる提言を募集したもので、今回、「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門で10名が、「高専4年生以上・大学・大学院生」の部門で5名が表彰(最優秀賞、優秀賞、入選)された。表彰式の開会に際しNUMO・植田昌俊理事が挨拶。全国17校から寄せられた181点の提言応募への謝意を表した上で、「提言内容を今後の事業に反映できるよう努めていきたい」と述べた。「高専4年生以上・大学・大学院生」、「中学生・高校生・高専3年生以下」でそれぞれ最優秀賞を受賞した橋本さん(左)と石﨑さん「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門では京都教育大学附属高校の石﨑悠也さんが、「高専4年生以上・大学・大学院生」では東京都市大学工学部の橋本ゆうきさんが最優秀賞を受賞。今回の提言コンテストで審査に当たった麗澤大学教授の川上和久氏は「自分で探求心を持ち正確な事実を調べる」ことの重要性を強調したほか、提言には新学習指導要領への言及もあったことから、京都教育大学教授の山下宏文氏は「今後学校教育の中でどのように取り上げていくか」と述べるなど、学生たちによるさらなる発想、それを通じた課題解決の具体化に期待を寄せた。「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門で前回コンテストに引き続いての最優秀賞となった石﨑さんは、新学習指導要領で2022年度から高校で導入される必修科目「公共」の探求課題として高レベル放射性廃棄物問題を取り上げるよう提言。「高専4年生以上・大学・大学院生」の部門で最優秀賞を受賞した橋本さんは、放射線教育について、表面的な知識の詰め込みではなく「なぜ?」に答えられる基礎的素養への注力、感覚的に学べる教材開発の必要性を提言したほか、処分事業のインセンティブや後世への語り伝えに関し、東京臨海部にある「夢の島」がゴミの最終処分場からリゾートへと変貌してきた経緯を良好事例としてあげた。関西学院高等部の佐竹さん(入選)、「平和について考えを深めている中で応募に至った」と話す今回、各賞の表彰状授与は式終了後の送付に替えられたが、受賞者たちはオンラインを通じて意見交換。高レベル放射性廃棄物問題の学校教育での取り上げ方に関し「『総合的な学習の時間』を活用し、まず生徒たちに『知る』きっかけを与え、知った上で自分で考えさせること」といった提案や、六ヶ所村を訪れエネルギー問題に対する村全体での取組姿勢を知った高校生から「大人も子供も一緒に『自分ごと』として考えないといけないと思った」との声があがった。また、「中学生・高校生・高専3年生以下」の部門で入選作のあった福井南高校で指導に当たっている浅井佑記範氏は、高レベル放射性廃棄物について取り上げた教科書の少なさを指摘。今回の提言コンテストで教育に関する優秀作品が多かったことを歓迎した。なお、学生・生徒への表彰の他、特に応募が多かった愛媛県立八幡浜高校、京都教育大学附属京都小中学校、京都府立鴨沂高校、南九州短期大学に対し「学校賞」が贈られている。※写真は、いずれもオンライン中継より撮影。
- 03 Mar 2022
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「原子力人材育成ネットワーク」がシンポ開催
「わが国の原子力界を支える人材の確保」を掲げ産学官が連携し活動する「原子力人材育成ネットワーク」のシンポジウム(2021年度報告会)が2月15日、オンラインで開催された。「原子力人材育成ネットワーク」は2021年度、発足から11年目に入り、参加機関は、新たに日本原子力文化財団を加え、計84機関(国際機関を除く、関係省庁、自治体、企業、大学など)となった。最近の活動成果としては、主に初等中等教育向けに全国39の原子力発電所PR館や研究施設などを紹介したパンフレットの作成があり、原産協会ウェブサイトでも公開されている。シンポジウム開会に際し、同ネットワーク運営委員長を務める原産協会・新井史朗理事長が挨拶に立ち、「原子力産業界が抱える課題解決に向けて共通の思いを新たにし、ネットワークの輪をさらに広げ、今後の機関横断的な活動の成果が一層実り多いものとなるよう期待する」と述べ、議論に先鞭をつけた。「原子力人材育成ネットワーク」では現在、今後の活動に向けた戦略ロードマップの改定が検討されている。これを見据え、シンポジウムでは、「原子力産業界のグローバル化」、「原子力分野の学びの機会拡大」をテーマにパネルディスカッション。座長を務めた日立製作所原子力ビジネスユニット事業主管の吉村真人氏は、同ネットワーク戦略ワーキンググループ主査を務める立場から、「戦略ロードマップに魅力ある産業としての展望をしっかりと描いていく」と強調し議論を進めた。「原子力産業界のグローバル化」の関連でパネリストとして登壇した日立GEニュークリア・エナジー原子力国際技術本部の吉江豊氏は、欧米の原子力開発プロジェクトに参画した経験から、「プロフェッショナルエンジニア」(PE)取得の意義を強調。技術的発言の信頼性や顧客ニーズの理解など、PEのステイタスに関し「海外プロジェクトに参画できる資質の証明となるもの」と述べた。これに対し、新興国への協力事業を行う原子力国際協力センター・センター長の鳥羽晃夫氏は、海外プロジェクトにおける日本の弱みとして、(1)国としての一貫性に欠ける、(2)資金面での制約がある、(3)実務面での長期的研修システムが確立されていない、(4)インターンシップの受入れが難しい、(5)国内に建設中・試運転中のプラントが少ない-――ことを指摘。技術的な資格制度の認知度が低いことも課題としてあげた。また、国際機関でのキャリア形成に関し、原産協会人材育成部長の喜多智彦氏は、自身のIAEA勤務経験を紹介。日本人職員数(専門職)について、1993~2000年の赴任時を振り返り「出向者を含めて40人前後で今もあまり変わらない」と、拠出金分担率に比して少ない状況を憂慮した上で、雇用形態の壁、極めて高い競争率、言語や生活の違いなどを課題として指摘。求められる資質として、専門分野の高度な知識・経験、コミュニケーション能力、異文化に対する受容性などをあげた。閉会挨拶を行う原子力機構・大井川理事、「原子力の持続可能性と人材育成は『車の両輪』」と(ZOOM撮影)「原子力分野の学びの機会拡大」に関しては、「原子力人材育成ネットワーク」高等教育分科会委員で富山高専電気制御システム工学科教授の高田英治氏が、現場で教育に携わる人材の高齢化・退職が進む現状から、若手・中堅の教員育成に向け「まず原子力に関し理解してもらうことが必要」と強調。大学・研究所や企業からの人材登用の可能性にも言及した。また、同初等中等教育分科会主査で長崎大学教育学部教授の藤本登氏は、「教育現場は旧態依然のところもある」などと懸念し、教育行政への働きかけ、教科書の内容充実化に関し、学会が連携して取り組む必要性を述べた。
- 16 Feb 2022
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原子力文化財団、高校生らによる課題研究発表会開催
日本原子力文化財団は12月12日、高校生らによる課題研究発表会を東京大学本郷キャンパスで開催した(一部の学校はオンライン参加)。エネルギー・原子力に関心を持つ全国11組の高校生・高専生が研究活動の成果を発表。発表終了後、審査が行われ、最優秀賞に「意識の差 - 原子力発電を学校現場から改めて問い直す」のテーマで発表を行った福井南高校が選ばれた。福井南高が実施した高校生アンケート調査の一例、嶺北と嶺南で意識に差が見られる福井南高の研究発表では、福井県内の高校生を対象としたアンケート調査を実施し、原子力発電に関する意識の差について、地域別(嶺北・嶺南)、学科別などにより分析。それによると、「原子力発電を意識するようになったきっかけ」としては、石川県寄りの嶺北地域では、東日本大震災やニュースの割合が多く、原子力発電所を立地する嶺南地域では、家庭環境や校外学習など、自身で見聞きした情報の割合が多かった。また、カーボンニュートラルについては、8割以上の生徒に認知されていなかった。発表に臨んだ同校の生徒たちは、福島県双葉町への訪問体験から避難住民に町の情報を知らせるタブレットを配布したという話を紹介し、「原子力は難しい、関わりたくない、との話を聞くこともあるが、誰もが『心から知りたい』という思いを持っていると感じた。わからないことを突き詰め共有することが議論の土台につながるのでは」と、原子力に関する「対話の輪」を広げていく必要性を訴えた。また、優秀賞を受賞した飯田女子高校(長野県)の生徒は「微生物燃料電池の実用化に向けて」とのテーマで発表。地元の水田に着目し、泥の中に生息する微生物が有機物を食べたときに放出する電子の移動を利用した「泥の電池」について、微生物への餌による比較実験などを通じ実用性を考察したもの。同校の生徒たちは、環境保全について学ばせる双六を制作し小学校への出前授業も実施したとしている。大田原高の生徒が研究した畜牛の糞尿を利用するバイオマス発電のシミュレーション、栃木県北5市町の73,300頭を総動員しても必要電力量の2%にも満たない結果にエネルギーの地産地消に関する研究としては、静岡県立理工科大学星稜高校より地元富士宮市の神田川における小水力発電の活用について発表があったほか、栃木県立大田原高校からは、県北5市町で飼育される畜牛の糞尿を利用したバイオマス発電の可能性に関するシミュレーションが披露された。この他、東海大学付属諏訪高校(長野県)からは模型工作用モーターを利用した小型風力発電機の研究、愛媛県立新居浜工業高校からはカーボンニュートラルを踏まえた四国地方のエネルギーバランスについて発表があった。また、福島県立磐城桜が丘高校の生徒は、福島に係る風評被害に問題意識を持ち、インターネット上に流れる福島関連の情報や、原子力発電に関する全国紙と地方紙との取り上げ方の違いについて調査。さらに、他校とも交流しながらコミュニケーション手法についても探求し、「聞き手によって伝え方を変える必要がある」ことを学んだとした。今回の課題研究発表会で審査員長を務めた東京大学大学院新領域科学研究科教授の飯本武志氏は、生徒らよる発表の終了後、講評に立ち、「研究内容は高い水準にあった」と評価した上で、「自分と異なる意見を持つ人もいることを前提に話をしなければならない。根拠が具体的で定量的な主張は説得力を持つ」として、論理的に考えるプロセスの重要性を強調した。※写真・図表は、いずれもオンライン中継より撮影。
- 27 Dec 2021
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原子力機構、「ポストコロナ時代の核不拡散・核セキュリティ」で国際フォーラム
日本原子力研究開発機構は12月15日、「ポストコロナ時代の核不拡散・核セキュリティ」と題する国際フォーラムをオンラインにて開催。昨今の新型コロナパンデミックによる核不拡散・核セキュリティへの影響を踏まえ、技術開発、人材確保、国際協力の課題について議論した。議論に先立ち、IAEAがパンデミック下においても原子力の平和利用を担保するための保障措置活動を進めてきた経緯について、IAEA保障措置局プログラム調整課長のマリク・デロー氏が、マッシモ・アパロ同事務次長の代読で講演。デロー氏は、新型コロナ拡大に伴い、一部の国では国境封鎖も行われ、申告された核物質の平和利用からの転用や未申告の活動がないことを確認する「検認」が困難となり、「IAEAの保障措置活動に大きなインパクトを及ぼした」と述べた。締約国内での査察官の滞在や施設の立入りにも多くの制約が生じ、航空便が多数欠航となったためIAEA発足以来初のチャーター機契約により経費が増加したとする一方、遠隔モニタリング機器の活用や、新任査察官に対するリモート研修の実施などにより活動が支えられたことをあげ、「過去20年間で遠隔システムに投資してきたことが大きな効果を発揮した」と強調。同氏は、グロッシー事務局長の発言「困難な状況においてもIAEAは1分たりとも検認活動を中断することはない」を引用し、IAEAの原子力平和利用の担保に対する強い姿勢を改めて述べた上で、「努力することにより実効力ある形で保障措置を実施することができた」と、これまでの活動を総括した。続くパネルディスカッションでは、デロー氏に加え、原子力機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター副センター長の堀雅人氏(モデレーター)、原子力規制庁保障措置室長の寺崎智宏氏、韓国核不拡散物質管理院核不拡散担当事務局長のナー・ヨン・リー氏、東京工業大学科学技術創成研究院准教授の相樂洋氏、東京工業大学環境・社会理工学院博士課程の三星夏海氏が登壇。寺崎氏は、六ヶ所再処理工場での査察体制を例にあげながら日本におけるIAEA保障措置活動について紹介した。新型コロナ拡大下での国内関係者の対応としては、感染リスクを回避するための2グループ分けやガイドライン作成などをあげた上で、IAEA東京地域事務所を拠点としたコミュニケーションの重要性を強調。リー氏は、韓国の取組として、査察官の入国円滑化、政府の感染症対応に関する情報提供など、IAEAの保障措置活動に対するサポート体制について紹介した上で、将来起こりうるパンデミックに常に備えておく必要性を述べた。また、革新炉開発を巡る核不拡散・核セキュリティの課題に関して、相樂氏は、洋上設置を見込み構想される中小型炉「浮体式原子炉」を例に、陸上設置の施設とは異なるテロ対策や人員のアクセス性の検討が必要となることを指摘。核不拡散・核セキュリティに関する教育については、三星氏が前日に行われた同フォーラム学生セッションによる提言に基づき発表。その中で、「初等中等教育では原爆や福島第一原子力発電所事故のような原子力のネガティブな面だけが教えられがち」との懸念から、まずは核不拡散・核セキュリティの重要性を知ってもらうきっかけとして、「放射線利用など、原子力のポジティブな部分を知る機会を提供すべき」といった学生からの意見を紹介した。この他、原子力に関する大学教育の体系化とともに、既存の防災教育・実習の拡充や学園祭企画などを通じた啓発の可能性にも言及した。
- 24 Dec 2021
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「はばたく中小企業・小規模事業者300社」決定、東北エンタープライズなど
中小企業庁は12月22日、革新的な製品・サービス開発、地域経済の活性化、多様な人材活用の観点から、優れた取組を行っている中小企業・小規模事業者300社を選定し発表した。「地域経済と雇用を支えていることに加え、わが国の競争力と経済活力の源泉」との視点に立ち、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として毎年実施している取組で、今回、「生産性向上」、「需要獲得」、「人材育成」の3つの分野で全国から推薦された企業・事業者について、有識者による審査を経て選定されたもの。その中で、「人材育成」の分野では、原子力発電所を始めとしたプラント保守や、国内外の発電所向け機器・資材の卸売を行う(株)東北エンタープライズ(福島県いわき市、従業員数43人)が選定された。同社は、米GE社の原子力発電所技術者であった前代表が1980年に福島県富岡町で創業した企業で、現在は福島第一原子力発電所の廃炉作業にも携わっている。世界の750社との取引があり、特にプラント保全に有用な超音波診断機器は海外市場で約75%のシェア。同社卸売事業部では専門商社として世界各国の企業から機器・資材を調達しているため、2か国語以上の語学能力を持つ人材を日本人、外国人の分け隔てなく積極的に雇用。多様な人材の登用とともに、自宅で受講できる社外オンライン研修制度、ベテランスタッフとペアを組んだ新人教育など、能力開発支援にも力を入れている。また、「生産性向上」の分野では、毎年約100件のオリジナル実験教材を開発するなど、理科教育の充実に寄与しているケニス(株)(大阪市、従業員数140人)が選定された。同社は放射線実験キットも多数取り扱っている。今回の選定では、ペーパーレス化、ネットワークの無線化、在宅勤務の導入、出退勤・経費精算の電子化など、労働環境の見直しを図り、売上を毎年増加させながら2年間で勤務時間の20%削減を達成したことが評価された。同社では、新しい物流センターを近く稼働させ、さらなる作業省力化を図る計画だ。「需要獲得」の分野では、東日本大震災による全機能喪失から再建を果たした老舗ふかひれ製造業者の(株)石渡商店(宮城県気仙沼市、従業員数44人)が選定された。同社は、震災後、主力商品のふかひれ以外にも気仙沼産の牡蠣を使用したオイスターソースを開発するなど、伝統文化を守りつつも地元の水産資源にこだわった商品開発に取り組み、食材としての可能性を切り拓くことで地域の産業振興に貢献した。
- 23 Dec 2021
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NUMO、新しい地層処分展示車「ジオ・ラボ号」デビュー
新しい地層処分展示車「ジオ・ラボ号」(NUMO発表資料より引用)原子力発電環境整備機構(NUMO)は10月29日、全国各地を巡り高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する理解を深めてもらう地層処分展示車「ジオ・ラボ号」(全長約9.6m、全幅約2.5m〈通常時〉~約5.0m〈展開時〉、高さ約3.6m、重さ約13トン)を新たに完成し11月より出展を開始すると発表した。〈NUMO発表資料は こちら〉理解促進に貢献した「ジオ・ミライ号」(NUMO発表資料より引用)NUMOではこれまで、地層処分事業への理解促進に向けた取組として、地層処分模型展示車「ジオ・ミライ号」を、次世代層の来場が期待できる科学館、商業施設、公園他に出展し、3D映像の上映や実験などを通じた情報提供活動を実施。年間の巡回30~40箇所、来場者20,000~25,000人を目標とし、親子連れの関心を引くようロボットの「ペッパー」も活用するなど、工夫してきた。地層をイメージしたデザインの「ジオ・ラボ号」内部、間接照明と調光機能を活用することで没入感を演出(NUMO発表資料より引用)このほど新たに完成した「ジオ・ラボ号」は、「最終処分場とはどういうものか、その長期的な安全性が、展示をご覧になった方に直感的に伝わること」を展示コンセプトとし、(1)廃棄体を埋設する地下300m以深は暮らしから十分に離れた場所にある、(2)深い地層では物質が長い間とどまる特性がある、(3)高い技術力で構築された施設を作り処分される――ことを、98インチの大型ディスプレイで映すデジタル映像や壁面展示を通じて体感してもらう。感染症の拡大防止に配慮し、各種展示はタッチレス方式を採用。NUMOでは、「ジオ・ラボ号」の出展予定について、随時ホームページで告知することとしている。
- 01 Nov 2021
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福島大がシンポ、原子力災害発生後10年の環境修復から復興について議論
福島大学は10月11、12日、国際シンポジウム「原発事故から10年後の福島の“森・川・海”と“食” ~復興に向けて残された課題~」を福島市内で開催(オンライン併用)。国内外専門家による口頭・ポスター発表に続き、12日には市民向けのセッションが行われ、学長の三浦浩喜氏は、開会挨拶の中で、2013年に設置された同学環境放射能研究所の「地域とともに歩む」強み・責務を改めて強調し、「福島の復興に向けた科学的知見や思いを皆様と共有したい」と先鞭を付けた。森林の放射能汚染に関して、国立環境研究所福島地域協働研究拠点グループ長の林誠二氏は、宅地や農地と異なる環境修復の実態を説き、再生に向けたポイントとして、(1)森林生態系モデルの開発と活用、(2)地元が主導する地域資源としての活用、(3)将来の災害に対する備えとしての森林管理――をあげ、アカデミアによる積極的な参画の必要性を強調。河川における放射性物質の動態については、福島大環境放射能研究所特任助教の五十嵐康記氏が、阿武隈川での調査から、近年の水害や農作業による季節影響、中流部と上流部の濃度形成の違いなどを例示した。また、福島大環境放射能研究所准教授の和田敏裕氏は、「海と川の魚は語る」と題し、水産物の放射能汚染の推移・分析結果から漁業復興に向けた課題を示唆。海産魚種の放射性セシウム濃度については、事故後の指数関数的な減少傾向を図示し、その要因として、(1)物理的な減衰、(2)浸透圧調節に伴うセシウムの能動的な排出、(3)底生生態系(エサ)におけるセシウム濃度の低下、(4)成長に伴うセシウム濃度の希釈、(5)魚類の世代交代、(6)魚類の季節的な移動――をあげた。一方で、淡水魚については、一部の水系で出荷制限が続いており、「事故による影響は内水面(河川・湖沼域)では長引いている」と指摘。同氏は、内水面魚種の放射性セシウム濃度が「特に2017年以降で低下が鈍っている」要因の解明に向け実施した赤宇木川(浪江町)のイワナ、ヤマメの分析結果から、エサとなる陸生昆虫からの放射性物質の取り込みが継続していることを示し、「除染の困難な森林生態系とのつながりが主要因」と述べた。環境放射能に関する発表を受け、福島第一原子力発電所事故の発生直後から被災地支援に取り組んでいる長崎大学原爆後障害医療研究所教授の高村昇氏は、福島県の県民健康調査結果などから、「放射線に対する不安を持つ人は発災当初から減ってはきたものの、まだ一定数残っている」と、メンタルケアの課題を指摘。東日本大震災・原子力災害伝承館館長の立場から若者への啓発に努める同氏は、放射線に関する知識の普及とともに、「段々と事故を知らない世代も増えてくる」と、事故の記憶・教訓を次世代に伝えていくことの重要性を強調。さらに、浜通り地域8町村の今後の帰還者予測を示し、「事故後10年が経ち、自治体レベルで見て復興のフェーズが大きく異なっている。それぞれの地域に合った復興支援が求められており、住民と専門家が一体となった取組が必要となる」と訴えかけた。総合討論では、市民・オンライン参加者も交え、福島第一原子力発電所のALPS(多核種除去設備)処理水取扱いに伴うトリチウムの影響、山菜類の安全性、福島産食品の流通回復に関する質疑応答が交わされたほか、今回シンポジウムのテーマに関連し「永遠に『復興』を言い続けるのか。復興のイメージとはどういうものか」という問いかけもあった。これに対し、「今回シンポの登壇者では一番若手。バブル景気を知らない」という五十嵐氏は、「今、日本全体をみても人口が毎年30万人ずつ減っており、これは福島市の人口に相当する。復興は、『元へ戻す』というより、『新しい概念を創っていく』ことではないか」と、今後もさらに議論を深めていく必要性を示唆した。
- 22 Oct 2021
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弘前大、VR技術を利用した放射線測定トレーニングシステムを開発
弘前大学は9月30日、バーチャルリアリティ(VR)技術を利用した放射線測定トレーニングシステム「ナップ:RIサーベイ」を開発したと発表した。〈弘前大発表資料は こちら〉学習者がVR画像上に表示される被検者に対し実際の放射線計測器を模擬使用して汚染箇所を特定する学習ツールで、放射線源を用いずに、器材の使用方法の体得から、複数の汚染箇所や立位での計測も実習できる。昨今の感染症拡大により対面での放射線測定実習が困難になっていることから、弘前大学では、VR上で実際に学習者が動作を伴って学べるツールの制作を構想。「ナップ」と呼ばれる体の動きをデータ化しVR上で可視化し共有する技術を利用し、今回のシステムが開発された。同学では、「目に見えない放射線を可視化したステージからステップアップしていく流れが組み込まれており、初学者は直感的に測るべき対象を意識することができる」と、高い学習効果を期待している。イマクリエイトが提案する「ナップ」の概念、VR空間に「入る」ことで「時間や言語、場所を問わない職業訓練」が可能に(弘前大発表資料より引用)開発に際しては、弘前大学大学院保健学研究科と、「ナップ」を用いたVR技術の応用を手掛けるイマクリエイト(株)とが協力。「ナップ」のメリットについて、「VR上に可視化された動きに自分の体をなぞるように動かすだけで誰もが正しく体を動かせるようになる」と、医療、伝統芸能など、様々な分野での可能性を述べている。物体の透過や速度調整など、現実にはあり得ない状況を模擬する機能で技術習得をサポートでき、実際、同社では、熟練者の動作を手本としスローモーションで練習できるけん玉のトレーニングシステムも開発している。
- 30 Sep 2021
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放射線腫瘍学会、家庭・学校向けに放射線治療を啓発するアニメ公開
日本放射線腫瘍学会は9月14日、家庭・学校向けの短編動画「アニメで学べるがんの放射線治療」を公開した。肺がんで放射線治療を受けるという祖父を見舞おうとする少女と放射線腫瘍医・医学物理士との対話から、「最先端科学でがんと闘う」放射線治療の革新技術や医療関係者の姿を紹介し、「自分に合った治療を患者自らが選ぶ時代」とのメッセージを伝えるもの。正常組織を傷つけない高精度な照射技術を肺がんを例に紹介(放射線腫瘍学会ホームページより引用)動画ではまず、少女の「どうしてがんになるの?」、「放射線の治療ってどんなもの?」という根本的な問いかけに対し放射線腫瘍医と医学物理士がわかりやすく説明。続けて医学物理士は、CT画像診断によるがんの形状の正確な把握、組織に合わせた放射線量の最適化など、様々な技術で「正常な細胞を守りながら、がんに集中的に放射線に当てることが可能になった」ことを説く。さらに、放射線腫瘍医は「多くの人が入院せず働きながら治療を受けている」、「放射線治療の約99%が健康保険で治療可能」というメリットをあげ、少女は「がんの治療は手術だけではない」ことを理解する。2019年に好評を博した放射線科を舞台とするテレビドラマ「ラジエーションハウス」の続編が今秋より放映開始されるなど、昨今放射線医療への関心が高まりつつある。また、健康長寿社会の実現に向け、がん治療におけるQOL(生活の質)維持も課題だ。同学会では、一般向けに専門医による解説や治療経験者の声を紹介する動画やコラムをウェブサイト上に順次掲載するなど、放射線治療の啓発に努めている。
- 16 Sep 2021
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原子力委員会、原産協会より理解促進の取組についてヒア
原子力委員会は9月7日の定例会合で、原子力利用の理解促進に関する取組について、原産協会よりヒアリングを行った。原産協会からは、新井史朗理事長らが出席し、同協会が活動の柱の一つとして掲げる「国民理解促進」に向けて実施している情報発信と双方向の理解活動の状況について説明。〈原産協会発表資料は こちら〉ホームページ掲載とメール配信を基本とする情報発信では、原子力産業新聞(国内外ニュース)、「Atoms in Japan」(海外から関心の高い情報の英語発信)の他、会員組織からのニーズに応じた専門的情報として主要国・国際機関の調査報告の収集・発信、若者に親しみやすいコンテンツとして動画サイト「オレたちの原子力 あたしの原子力」(専門家が1分程度で疑問に答える)などを紹介。これに対し、佐野利男委員は「広報活動は10~30年を要するもの」として、小中学生も対象に長期的な視野で取り組んでいく必要性を指摘した。また、双方向の理解活動として新井理事長は、大学・高専生を対象にエネルギー・環境、原子力発電、高レベル放射性廃棄物処分、放射線利用に関する情報を提供し意見交換を行う「JAIF出前講座」や、2021年3月に完成した「原子力発電 THE ボードゲーム」の受講者・体験者の意識変化・感想を主に説明。2005年度から全国各地で実施されている「JAIF出前講座」は、これまで443回開催、延べ22,200名参加の実績を積んでおり(開始当初は地域オピニオンリーダーを対象とした)、最近では感染症対策のためオンラインや動画配信も積極活用している。受講前後のアンケート調査結果から、「日本で原子力発電を利用していくこと」への賛同や「原子力発電が電気の安定供給に役立つこと」への理解が増加していることから、新井理事長は「効果が目に見えている」とした。原子力発電に必要なものを遊びながら学べる「原子力発電 THE ボードゲーム」原産協会の若手職員の発想から「幅広い年代に、楽しみながら原子力発電についての知識を深めてもらい、原子力発電に対してポジティブなイメージを持ってもらう」ことをねらいに制作した「原子力発電 THE ボードゲーム」は、「JAIF出前講座」を開催した大学・高専、会員組織の広報・PR館へ約200セットを頒布しており、原子力産業新聞での掲載を通じボードゲームカフェや一般家庭からも問合せが来ている状況。実際にプレイした人からの感想としては、「原子力発電を知らない小学生も関心を高めてくれると実感した」との評価や、「原子力だけに限定せず、エネルギーミックスについて考えるゲームを作成しては」といった改善提案もあった。家族でボードゲームを楽しんだという上坂充委員長は、次世代層への関心喚起に向け、エネルギーミックスや廃炉をテーマとする可能性や、PC・スマートホンを活用した教育コンテンツの開発などにも言及し、「さらに興味が広がるよう、一歩一歩進めて欲しい」と期待を寄せた。
- 08 Sep 2021
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